「エクイターフ」に夢のせて

 競馬場の芝馬場で使用されているシバがどんなシバかご存知でしょうか?ホームセンターなどで一般的に売られているシバとは違い、もっと頑丈で葉も大きなシバです。このシバは一般的にはノシバ、日本シバと呼ばれるもので、日本に古来から自生しているシバと言われています。学名はZoysia japonicaといいます。家の庭でよく見かけるシバはコウライシバと呼ばれ、葉が細く、密で見た目が美しいのが特徴ですが、馬が疾走する馬場では丈夫さが第一(本当は馬が怪我をしないのが第一)で、馬に蹴られて穴が開いてもすぐに生長する、生命力の強さから、ノシバが選ばれています。
 ノシバは日本古来の植物でありながら、研究はほとんどされてこなかったうえに、品種改良の歴史も浅く平成7年に日本第一号の品種が登録されました。JRA競走馬総合研究所では昭和50年代後半に日本全国に自生しているノシバを収集し、競馬場の芝馬場に合ったノシバの選抜を行ってきました。その結果、一昨年2月に品種登録が受理され、「エクイターフ」という名で世に出すことができました。エクイはequineという馬を意味する言葉からとったもので、馬のターフ、すなわち馬の芝生という意味です。エクイターフの特徴は横への生長(ほふくけい匍匐茎の生長)はもちろん、縦への生長(葉の伸び)も良く、とても密で綺麗な芝生を形成します。この特徴が馬場に使うために重要です。
 現在、エクイターフは、生産地である筑波(茨城県)、芦原(福井県)、鹿屋(鹿児島県)での試験栽培を経て増産を行っています。各競馬場や生産地での評判もよく、快く生産していただいています。シバの植え付けでは写真のようなマット状のシバを手でちぎって植え付けるのが一般的ですが、シバがあまりにも密で手でちぎれないという苦情が出るほど、よい出来の芝生になっていました。競馬場で使用するには十万m2単位での生産が必要です。まだまだ、競馬場の需要に生産が追いつかない状況ですが、今後は一般的にも使用していただけるように広く普及させていきたいと思います。

(今泉 信之)


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