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私が北海道浦河町にある日高育成牧場に来て6年目になります。ここ浦河では1、2月にはマイナス10度以下の日々が続き、早く暖かくならないかと春を待ち焦がれます。冬はただ気温が低いばかりでなく、午後4時過ぎにはもはや暗闇となり、これが気分を暗くさせるようです。世界の北国の人々が短い夏をお祭りやバカンスで楽しむ文化をもっていることに思わず納得してしまいます。
さて、馬の生産地ではお産のピークを迎えようとしています。あたかも馬は、地面を青草が覆いはじめる、温暖な季節である春に子供を生むと、安全に子孫を残すことができることを知っているかのようです。それではなぜ、馬は春に子供を産むような仕組みになっているのでしょうか?
馬は「長日性季節繁殖動物」に属し、春になると恋の季節がやってきます。春になって昼間の長さが徐々に長くなると、目からの光刺激が「視床下部」という神経器官からのホルモン分泌を促進することにより、雌が雄を受け入れることが知られています。実際に、馬の生殖機能がもっとも活発になるのは、夏至を中心とする5−7月ごろといわれています。したがって、約11ヶ月の妊娠期間である馬は、翌年の4−6月に子馬を産む確率が高くなるわけです。競走馬生産では、「ライトコントロール」という方法を用いて、人工的に早生まれ生産を行っています。ライトコントロールによる最近の研究結果から、昼間時間の長さは、馬の繁殖機能ばかりでなく、脂肪代謝や被毛量、さらには運動量にも影響を与えることが明らかになり、ここに厳しい冬を無理なく過ごすための知恵が隠されていることに驚きを感じます。
馬が春に生まれるという話でしたが、夏至の頃の北海道の気候が大好きな私も、2年前の春に子供を授かり、息子の成長を糧に日々研究業務に励んでいます・・・。むむむ、もしや、ひょっとして、私本人が長日性季節繁殖動物なのでは?
(南保泰雄)
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