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平成21年4月から7月までの3ヶ月間、米国カリフォルニア大学デービス校にて馬の生殖内分泌および臨床繁殖学について客員研究員として研修させていただきました。今回はデービス市の気候、街並みについて紹介させていただきます。
いよいよ大学での生活が始まりました。初日朝には、Dr.BallがたくさんのルートがあるBike
Pathの中でもお勧めの近道を案内してくれました。往復1時間近くかかる通学には、3ヶ月間ほぼ毎日自転車を利用しましたが、まだ太陽が燦々と照り輝いている帰宅時の18時ごろにデービスの街並みを自転車で散策するのも楽しみの一つでした。
UCデービスに所属すると、新着のボストドクトラル(博士学位取得後の有給研究員、ポスドク)や客員研究員などはオリエンテーションに出席する必要があります。この説明会では、不法滞在を避けるべく、ビザとは何かを説明され、続いてUCデービス校での一般的なルール、デービスで生活するのに役立つ情報、保育所、国際交流や英会話を希望する人への案内、UCデービス学生証の発行方法などの紹介を受けました。
私が所属する研究室は、獣医学校のTupper Hallビルディング内(写真左奥)にあります。多くのビルが近代的である中、Tupper
Hall は30年以上前にできた建築物です。この中にあるDepartment of Population Health and
Reproduction(群管理および繁殖 学部)に所属する、Barry Ballラボに所属しました。私のスーパーバイザーであるDr.
Barry A Ball(写真左から3番目)が運営するラボです。また、同じフロアーにDr. Irwin Liu(写真前列右から2番目)およびDr.
Allan Conley(前列右)が運営するラボが併設され、これらのグループが施設を共同利用して馬の繁殖研究室として機能していました。ここでの研究活動は、馬の精子形成の解明、生殖内分泌学、妊娠維持機構の解明、子宮疾患の原因とその治療法など多岐にわたっており、世界各国から依頼されるホルモン測定を毎週実施したり、野生動物の効果的な避妊法を卵子に対するワクチンを用いて実績をあげるなど、幅広い研究活動が展開されていました。この研究室の机を借りて、UCデ ービスの研究員としての生活がスタートしました。
今回の研究目的は、馬の胎子期に分泌される成長因子のうち、ミューラー管抑制ホルモンという成長因子の同定を行い、カリフォルニア大学と共同の研究を進め、将来的に胎子の健全な成長を把握するための要因を解明しようとするものです。この研究のために、免疫組織化学という方法を用いて解析を行っており、その実験手技を取得し、さらに日本から持っていった馬胎子の精巣・卵巣、副腎および胎盤組織といった部位の発現やその生理学的役割について検索しました。
免疫組織化学の方法は以下のとおりです。
| 組織切片の作製→組織切片の脱パラフィン操作(上写真)→内因性酵素の除去→抗原部位賦活化→抗原抗体反応(ここまで約3時間半、さらに一昼夜置いて)→ABC法による酵素免疫反応(右写真)→発色反応→洗浄(ここまで合計約7時間) |
最初の頃は失敗の連続で、抗体の最適濃度や条件の把握に苦労しました。記録を見ると、1日3時間半の工程を、滞在期間中に62回実施しました。朝8時30分から開始する往診やゼミに参加するために、毎日早朝4時半に起床し、東の空が明るくなり次第、大学へ移動するという日々を送りました。10度近くまで下がる、人通りのない早朝のデービスの街を毎日大学までマフラーを巻いて自転車で通う苦労は大きかったものの、実験の結果がどのようになっているか、毎日UCデービスへ通うのが楽しみでした。その甲斐あってか、少しずつ結果が現れ始め、いくつかの発見を見ることができました。これらの研究成果については、来年度の国際学会に発表するため、本誌上では割愛させていただきますが、今思うに、3ヶ月間どっぷりと研究に漬かることができたことは私にとって幸せなことであり、米国でのこの生活は一生忘れられないことでしょう。
(南保泰雄)
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