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平成21年4月から7月までの3ヶ月間、米国カリフォルニア大学デービス校にて馬の繁殖学について研修させていただきました。今回は馬繁殖学教室の大学院生活について紹介いたします。
UCデービス獣医学校の修士課程
UCデービス獣医学校には、4年制の獣医学校を卒業した後、Master
of Preventive Veterinary Medicine(MPVM)と呼ばれる獣医マスター(修士)コースと、学位を取得するpH.Dドクター(博士)コースが設立されています。
獣医マスターコースに在籍する大学院生は、そのほとんどが米国以外の出身者でした。かなりの数の必須、選択授業を履修する必要があり、予習、復習、レポート作成、試験など、在籍中にゆっくりと学生生活を楽しむことはできない様子でした。生物統計学は必須科目であり、日本でおろそかにされがちな解析手法をしっかりと身につけている様子でした。日本の獣医大学を卒業後、海外の大学生活に興味があれば、このMPVMというコースに在籍することをお勧めいたします。このコースには、4,5名の日本人も所属しておられました。動物病院での仕事を一時休止して自費で留学される方もいれば、大学卒業後単身で来られた方、さらには、国の研究機関から派遣されて留学される方もいました。彼らに共通することは、わずか1,2年の滞在で非常に流暢な英語を使って発表していました。おそらく、まだ吸収能力の高い若い世代が、同年代のクラスの仲間とともに学生生活を送ることが、高い英語力と流暢な会話力を得る秘訣なのでしょう。
UCデービス獣医学校の博士課程
UCデービス校の博士課程に入学するためには、受け入れ側の研究室教授の承認はもとより、研究予算をもち、希望学生に極端な金銭面の負担がないような形で受け入れることができるかどうかという条件も必要になります。多くの院生は、最初の2年間はティーチングアシスタントや研究補助などを行い、そこから授業料を支払うように配慮されるそうです。必ずしも4年間で修了できるわけではなく、中間面接試験、修了面接試験などは学生一人に対して密室で3時間以上の口頭試験が課せられるなど、知識と研究実績の両方を問われます。
日本獣医生命科学大学を卒業された炭竈志穂さん(右写真)は、UCデービス獣医学校の博士課程に在籍しています。マスターコースで犬の避妊について、ドクターコースで霊長類の精子形成に関する研究を続けておられました。渡米当初はほとんど英語が話せなかったとのことですが、英語力・専門知識ともに要求される難関の中間試験をパスし、現在は研究室の中心人物として立派に日々研究されておりました。志穂さんには、UCデービスの事情について教えてもらったり、通訳をしてもらったりと、右も左もわからない私をサポートしていただきとても感謝しています。
スペイン人の博士課程大学院生Alex氏(右写真)とは、サッカー好き同士ということもあり、時間を割いてRIAによるホルモン測定法について教えてもらいました。大学院の最初の2年間は、専門科目の履修とホルモン測定アシスタントとしての労働で、十分な研究時間や勉強時間が取れないことを嘆いていました。しかし、この7月に晴れて中間試験を合格し、PH.D
Candidate(学位取得候補生)という肩書きがつく身分となり、馬の子宮動脈の血流調節機構に関する研究に集中できるそうです。
6月に学位取得の最終試験を合格した同研究室のLizさんは、試験終了の直後、4年間の苦労が報われた喜びをレンズに向けて表してくれました(右写真)。彼女は、経済学学士を卒業後、社会人として働いた後、獣医大学に入学した経歴の持ち主です。米国臨床繁殖専門医の認定も取得し、さらに大学院で研究を続けています。研究者として多忙の中、周囲に気を使う人格者であり、今年7月の米国臨床繁殖学会で優秀賞を受賞しておられます。彼女の採血に毎週同行し、広い放牧地で馬の採血を一緒に行ったことはよい思い出です。彼女の今後の活躍を期待しています。
日本で研究生活を送る大学院生は、夜遅くまで実験研究を重ね、ときには徹夜に近い状況で生活することもあります。一方、私の見た米国の大学院生の生活は、夕方には帰宅し、比較的ゆったりしていたように思えました。もちろん彼らは、隠れた努力をしていると思いますが、オンとオフ、プライベートと仕事のメリハリがはっきりしたなかで、最高の研究目的を達成しようとする、日本とは違った独特の雰囲気を感じました。米国の研究生活には雑用がなく、研究に集中できる体制が整っていることがよく理解できました。
(南保泰雄)
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