英国滞在記 6 アメリカ出張編2

 前回に引き続き、2月上旬の米国珍道中についてご紹介させていただきます。前述のとおり、学会会場は、フロリダの北部の大西洋側にあるアメリア島というところでした。これを聞いた殆どの英国人は、「寒い時に、良いところに行けていいなぁ。」と云いました。私も、密かに「海水浴なんぞ楽しめちゃったりして。」などと想像し、カプチーノとケーキの飲みすぎ食べ過ぎで気になっていたわき腹をすっきりさせるべく、走りこみに余念がなかったところです(本業の研究の発表も準備しましたよ)。「なんてったって、フロリダは亜熱帯式気候だもんね。」などと、極寒のブリテン島で勝手に想像しておったわけです。しかし現実には、ロンドンよりは確実に暖いのですが、上着を着ないと夜の外出はきついといった感じの寒さでした(最低気温は5-6℃ぐらい)。ホテルの部屋は、オーシャンビューで眺めも良いのですが、波は高くて人気はなく、今にも演歌が聞こえてきそうな風情の海でした。海水浴などという幻想は、あっけなく藻屑と消え去ってしまいました。そもそも、海外で学術集会などというのは、オフシーズンのリゾート地で行われるのが相場のようで、実際にホテルの宿泊客を見渡したら学会参加者が殆どでした。私の参加した学会以外にも、同時に2つの学会が開催されていました。ロンドンで冬を過ごしているうちに、冷静さを失っていたようです。
 発表本番は、予定時間10分のところを9分30秒で終了しました。昼休み直前の演題だったからだと思うのですが、予め座長から時間厳守してくれとの指令を受けていました。そのことに気を取られ、少し早口になっていたのかも知れません。しかし、聴衆の反応から判断する限り、内容は聴衆に通じていたと確信しています(そりゃ、全員に聞いて回ったわけではないですよ)。また、質問者の英語が聞き取りやすかったこともあって、”Pardon?”や”Say it again clearly, please.”などを連発することもなく無事に終わりました。私の下手な発音を聴いて、わざわざclearな発音をしてくれたのでしょう。
 振り返ってみると、日本語で口頭発表する場合と、準備にかけた時間は殆ど同じだったような気がします。しかし、精神的なストレスは2倍ぐらいあったでしょうか。また、原稿を暗記して聴衆とアイコンタクトを取りながら話すといった芸当は出来ませんでした。さらには、ポケットに手なんぞ突っ込んで、壇上で質問者とディスカッションする人もいてかっこよくみえましたが、私には無理でした。発表技術的には、米国や英国の高校生以下の棒読みだったと思います。「あくまでも中身が重要で、発表技術など上手くなる必要があるのか?」とも思わないでもないのですが、まあ、米国を中心に回転しているバイオサイエンスの研究に私も携わっているので、上を目指さなければいけないのでしょう(?)。

(山中隆史)


Session 。 (Virology)のpresentation members。一番右からTom Chambers (University of Kentucky), Richard Webby (St Jude Children's Research Hospital), Ruben Donis (CDC), Michelle Quinilivan (Irish Equine Centre), Wenjun Ma (Kansas State University), そして緊張でうつむき加減の筆者。



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