英国滞在記 8 アイルランド編

 英国ネタが尽きて難儀しておりますので、今回は英国のお隣のアイルランド共和国への旅について、書かせていただきます(わざわざ、共和国と書きましたのは、英国の北アイルランドと区別するためです。ここからは単にアイルランドと書きます)。どうして、アイルランドに行くことになったのかと申しますと、先の米国への学会出張時に、アイリッシュエクワインセンターのDr. Ann Cullinaneという馬伝染病分野の高名な先生と知り合いになることが出来ました。世界の競走馬の約10%がアイルランドの生産馬であり、アイルランドの軽種馬の伝染病診断を一手に引き受けているのがアイリッシュエクワインセンターです。これは、是非、自分の目で見ておきたいと思ったのと、日本に帰ってしまったら、アイルランドを訪れる機会はなかなかないだろうということで、今回の旅行となったわけです。アイルランドはご存知のようにEU加盟国ですので、英国人は出入国時にパスポートコントロールがありません。写真つきの身分証(例えば、自動車運転免許)の提示で行ったり来たり出来ます。日本人の私は、アイルランド入国時にパスポートコントロールを受けましたが、英国帰国時は何のチェックもありませんでした。後で英国人に、「空港によって違うよ。」と云われましたが、ヒースローでは何もありませんでした。飛行機を降りて、人の流れに沿って歩いていると、「あれっ、もうBaggage reclaim? えっ、ここってもう外なんじゃない?」という感じです。
 訪問した時期は3月15-17日です。15日と16日はセンターでの診断の様子を見学させて貰いました。ちょうど繁殖時期でしたので、検体が続々と届けられていました。アイリッシュエクワインセンターは、キルデア郡(Kildare county)にあります。日本で言えば北海道の日高、英国で言えばニューマーケットに当たるような大馬産地ですが、同時に7つもの競馬場が郡内にあるそうです。実際にキルデア郡は、フランスのドービルや米国のレキシントンと姉妹都市の提携をしているそうです。アイリッシュダービーが行われることで知られるカラ(Curragh)競馬場も、キルデア郡にあります。馬産業が盛んなお土地柄のせいか、日本でもお馴染みのマイケル・キネーン元騎手(2009年12月に引退)の妹さんが、アイリッシュエクワインセンターで働いているそうです。キルデアは高速道路(National primary road, 無料)を使えば、首都のダブリン市街や空港に30-40分ほどで着くことが出来ますので、大企業の倉庫が多くあります。また、多くの人たちが、キルデアからダブリンに通勤しています。さらには、アイルランド陸軍の最大の基地もあります。パッと見では緑が多く広々とした所に馬がいて、日高やニューマーケットと似ていますが、馬産業以外の産業も発達している点が異なっているとの印象を受けました。そして、17日はアイルランドの最大のお祭りである聖パトリックの日(St. Patrick's day)のパレードを見てきました。

(山中隆史)


アイリッシュエクワインセンターにて、ラボヘッドのDr. Ann Cullinaneと筆者。



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