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水泳中の馬の呼吸循環機能の大きな特徴は、水圧により呼吸、特に吸息が制限されることである。呼吸数は1分間に30回程度になるため、分時換気量も少なくなる。一回換気量をおよそ30_と推測すると、1分間では30_30_となり、分時換気量はおよそ900_となる。この数値が正確かどうかは分からないが、馬の肺活量と目される40〜45Pまで一杯に吸い込んだとしても、分時換気量は1200_であり、野外を疾走するのに比べて換気量は少ないといえる。 ■潜水時の心拍数 動物が水中に入った場合には、潜水反射という現象が起こることが知られている。潜水反射というのは、アザラシなどが潜水するときに、重要な臓器である脳に対する血流を維持するために、その他の器官に対する血流を少なくする反射をいう。そのため、潜水により心拍数は低下する。ウェッデルアザラシでは、安静時に60拍/分程度の心拍数が、通常の自然潜水時においても15〜30拍/分程度まで低下することが知られている。潜水に関するデータに関しては、以前は実験環境下でのデータが主であったらしいが、近年では小型のデータロガーが開発されとことにより、アザラシやペンギンなどの自然環境下における潜水中の行動や生理学に関する記録が容易になり、思わぬ結果が得られているようである。 ■水泳時の心拍数 水泳中の馬の心拍数を測定したデータによると、心拍数は170〜200拍/分であることが多く、陸上運動のように最大心拍数と目される230拍/分まで増加することはないようである。水泳時のスピードは人が付いて歩くことが出来る程度である。ゆっくりと泳いでいる馬を、人間が早足になるくらいまで速く泳がせても、心拍数を200拍/分を大きく越えるまで増加させることは難しい。もっとも、馬は、スピードや順位を競う競技として泳いでいるわけではないので、本当に全力で泳ぐと、心拍数はもう少しは高くなるのかもしれない。 ■水泳時の呼吸循環機能 JRA競走馬総合研究所で、水泳時の呼吸循環機能を評価するための実験が行なわれた。水泳時の呼吸循環機能の特徴を明らかにするために、これらの馬たちをトレッドミル上で走らせたときのデータも同時に記録した。水泳時には、あまりゆっくりと泳ぐ馬については、多少速く泳がせることもあったが、基本的には馬がほぼ自分のペースで泳ぐスピードのときのデータを記録した。一方、トレッドミル上では、最大心拍数に達するまでの強い運動を負荷した。 ![]() (競馬ブック 2010.11.7号 掲載) |
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