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今回は、当コラムのテーマである“こころ”の話から少しはずれますが、今話題の白毛のサラブレッドについての質問が寄せられたのでお答えしましょう。
■白毛のすべてを教えて欲しい
質問:私は、20歳になったときに初めて競馬場に行きました。そのときに連れてきてくれた彼とはとっくにお別れしましたが、今や一人でも出かけて行くぐらい私は競馬にはまっています。で、先日パドックで真っ白な馬を見ました。白毛という珍しい毛色の馬だそうですね。なぜか感動でぞくぞくしました。私の好きだったクロフネの子供だそうですが、白毛と芦毛とはどこが違うのでしょうか。 (31歳 女性 競馬歴:11年)
答え:白毛はサラブレッドでは非常に珍しい毛色です。この毛色のサラブレッドを間近に目にするだけでも、競馬場に出かけて行く価値は十分あると思います。
日本で白毛のサラブレッドの誕生が初めて確認されたのは1979年のことです。この年の5月、北海道浦河町の牧場で全身が真っ白な子馬が生まれました。白いサラブレッドといえば当時は芦毛しか考えられませんでしたが、この真っ白な子馬は芦毛の子馬とは明らかに異なっていました。
まず第一点は、生まれた直後なのに全身の毛が白いこと。芦毛の子馬は生まれたときには、青毛(全身真っ黒)や黒鹿毛のように見えることが多く、全身が白いということはありません。芦毛は年をとるにしたがってだんだん白くなっていきます。
第二点目は、両親とも芦毛ではなかったこと。芦毛の子馬は、少なくとも両親のどちらか一方が芦毛でなければ生まれないはずなのですが、この子馬の母は栗毛、父は黒鹿毛でした。もちろん血液型での検査で親子関係に問題はありませんでした。
第三点目は、この馬の体毛の下にかくれた地肌の色がピンクだったこと。芦毛なら、地肌の色は黒かそれに近い色のはずです。また瞳も芦毛なら黒いはずが、青味がかっていました。
この馬の誕生を受けて軽種馬(サラブレッド、アングロアラブ、アラブ種)の登録要件を決める委員会が急遽開催されました。そしてこの馬が芦毛とは明らかに異なること、こうした毛色は海外のサラブレッドでは以前から知られており“White”とされていたことなどから、日本でも新たに“白毛”という毛色を設け、この子馬を白毛第一号として登録しました。
このとき生まれた馬はハクタイユーと名づけられ、1982年に中央競馬でのデビューを果たし(4戦0勝)、引退後は神馬ならびに希少な毛色の種牡馬として繋養されました。
■白毛の競走能力
日本における白毛のサラブレッドは、ハクタイユーから始まり、現在までに16頭が競走馬として登録されています。この間、日本で生まれたサラブレッドはおよそ24万頭です。計算をすると、白毛はおよそ1.4万頭に1頭という割合になります。これはダービー馬になるよりも難しい数字といえます。
さて、この16頭のうち中央競馬で勝ち星をあげたのは今話題のユキチャンとその全兄のホワイトベッセルの2頭です(他、地方での勝利馬2頭)。世の中には、競馬で勝ち鞍をあげられないで引退していくサラブレッドはいくらでもいることから考えれば、確率的には他の毛色の馬と遜色はないと考えられます。
一方で、白毛は体が弱いとする誤解があるようですが、競走能力という点で劣るという証拠は全くありません。おそらく白毛が生まれる原因となっている遺伝子を両親から同時に受け継ぐと、死んで生まれたり出生直後に死亡したりする(白色致死)ことから、白毛は体が弱いという誤解が生じたものと思われます。
白毛は、メラニン色素を産生させる遺伝子の一部に突然変異が生じたものと考えられています。確かにメラニン色素は紫外線から体を守るという役目を持っています。この点で、毎日の管理には、ある程度の配慮が必要となると考えられますが、そうした馬でも正常に成長すれば、メラニン色素が産生されにくい点以外は普通のサラブレッドとなんら変わらないものと考えられます。
ところで話はガラッと変わりますが、男性でも女性でも、人は最低3回は恋ができるということをご存知ですか。最初は春のような初々しい10代の恋。2回目は真夏の燃えるような20代の恋。そして3回目、秋のようにしみじみとした30代の恋です。質問を下さったお姉さんにも、紅葉の季節になれば、きっと白馬にまたがった素敵なナイトがやってくるでしょう。
(競馬ブック 2008.5.11号 掲載)
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