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最先端の科学技術を駆使し、ようやく馬の正しい重心の位置が判った。重心の位置が判れば、これまで感覚的に捉えてきた馬の動きや騎手のテクニックが、さらに合理的に説明できるのだ。 ■極意は重心にあり? たとえば、北京オリンピックを間近に控え、一人の馬術選手が脚光を浴びた。67歳という高齢でのオリンピック出場を決めた法華津寛さんだ。ご本人は当初、高齢出場を話題にされることが本意ではないようだった。が、ついには自ら「じじぃの星」と称して、マスコミ攻勢を甘受していた。そんなご高齢でもオリンピックに出られる馬術という競技自体が、一般人には少々不可思議に思えるだろう。でも、それが馬術なのだ。競馬にしても、馬術にしても、パフォーマンスの本体はウマが演じる。騎手や馬術家にも最小限の体力や筋力は求められるが、そのウマのパフォーマンスを邪魔せず、そのウマの能力を極限まで引き出せばよい。そこに求められる極意の一つが、ウマと騎乗者が織りなす重心の動きのハーモニー。つまり「力ワザ」ではなく、重心の協調性なのだ。この極意を悟ったからこそ、法華津さんは67歳という高齢でも、オリンピック出場を現実のものにしたのである。 ■アシの運びと重心の動き ヒトが歩いているときの重心の動きを考えてみよう。歩くには「左右のアシを交互に前方に送り出せばよい」と単純に思っている人は多い。だが、それは、そんなに単純ではない。立っているところから始めよう。まずは体をやや前に傾け、重心を歩き出す方向に移動するはずだ。それと同時に、左右どちらかのアシを前に送り出し、地面に着ける。続いて地面に着けたアシに重心を移動する。その結果、反対側のアシが自由になり、前方に送り出せるのだ。この動作が繰り返されて、歩きがよどみなく続く。このとき、新たに接地したアシに重心が異動しなければどうだろう。接地していたアシに重心が残ったままでは、そのアシを挙げて、前に送り出すことはできないはずだ。 ■ウマだって基本は同じ 幸い、ウマはアシが4本だ。ヒトの2本アシに比べれば、安定感は比べモノにならない。だから生まれて40分もすれば、自力で立ち上がる。おぼつかない足取りながら、すぐに母親の乳房を探して歩き出す。そんな安定性に優れた4本アシのウマだが、ヒトと同じように、重心移動の原則は守られているのだ。 ![]() (競馬ブック 2008.6.29号 掲載) |
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