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≪ギャロップでは、同じ側の前アシと後アシが推進の主役。右手前のギャロップなら、左側の前アシと後ろアシだ。直進するウマから得られたデータが、それを教えてくれた。ウマは後輪駆動が定説だったから、この事実には驚いた≫ ■前後のアシで異なる“原動力” 「トモのケッパリ」。つまり後ろアシの推進力。それは、厩舎関係者が重視するポイントの一つだ。「前アシの掻き込み」を期待する厩舎人もいる。が、それは「トモのケッパリ」に比べれば、“付け足し”程度の期待だったはずだ。ところが予期した以上に前アシの推進力は効いている。それが事実なら、後ろアシのケッパリに加え、前アシの推進力を利用した「走りのテクニック」が求められる。ここで前回の実測データと文末のコメントを思い出して欲しい。 ■重力が作る推進力とは 厚い木板を「アヒル」の形に切り抜き、そこに振り子のようにぶらぶらと動く2本のアシを取り付けたおもちゃ。プラスティックの胴体に、2本のアシがついた兵隊さんのおもちゃもあった。アヒルも兵隊さんも、下り坂に置くと、2本のアシを使ってトコトコと歩いて坂を下りる。電池やゼンマイなどの動力はない。子供の頃、こんなおもちゃで遊んだことがある人もいるだろう。おもちゃ自体の重さが、歩く動力になっているのだ。ヒトや動物が歩くときも、このテクニックを巧みに使っている。おもちゃとは違って、坂道でなくても、動物はそれができるのだ。今、注目を集めている二足歩行ロボット。だが、彼らはまだ、そのテクニックは使えない。 筋力が作る後ろアシの推進力は、言ってみれば能動的だ。だから筋トレを目的とした調教や鍛錬は、「トモのケッパリ」の強化に直結する。いっぽう、重力が生みだす前アシの推進方法は、いわば受動的だ。筋トレだけでは、前アシの推進力を高めるのは難しいだろう。むしろ、そこには頭の上げ下げの巧拙が関係するに違いない。前アシが踏ん張っているとき、頭を低く構え、前方に伸ばせば、重心が前に出やすくなる。頭が高いよりも低い方が好まれる理由が、ここにもあるに違いない。 競馬の騎手は、短めのアブミに踏ん張って、尻を浮かせて乗る。モンキー乗りとか、ツーポイント騎乗と呼ばれる。そのメリットは「騎手が反撞を受けにくく、ウマの背中にも優しい」と説明されている。それだけだろうか? ![]() (競馬ブック 2008.11.16号 掲載) |
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