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読者のみなさま、あけましておめでとうございます。本年も競馬のほう、どうぞよろしくお願いいたします。
さて今年は丑年。ウシは馬と同じ草食動物で、もっぱら牧草を食べています。
昨今、メタボがうとまれ、かくいう筆者もダイエットに励んでいる次第ですが、私の場合は、野菜をたくさん食べるようにしています。でもこれって、効果はあるのでしょうか。葉っぱばかり食べていれば痩せることができるのでしょうか。もしそうなら、ウシはどうしてくれる、カバやゾウはどうしてくれる、という話です。
■セルロース・パワー
質問:私はウシ年生まれ。小さい頃は、この生まれ年がほんとうにいやでした。なんかノロノロしている感じだし。妹はウサギ年ですが、かわいらしいイメージで、とてもうらやましかったのをよく覚えています。それから弟はウマ年生まれ。競馬が大好きなのはいいのですが、私の予想に口出しが多くて少しうんざり。さすがに彼は、まだ馬券は買ってはいません。で、質問ですが、お馬さんは草食動物で葉っぱばかり食べているのに、なんであんなに大きくて、速く走ることができるのでしょうか。 (23歳 女性 競馬歴:1年)
答え:馬もウシもウサギも、みんな草食動物です。この動物たちは、草だけ食べていても大きく成長し、赤ちゃんを産み、パワーを発揮することができます。その秘密は、人が食べてもほとんど消化できないセルロースを、たくみに栄養として利用できる能力にあります。
草食動物が主食としている草は、水分を除いてその4分の3はセルロースというきわめて分解されにくい物質でできています。人はセルロースをほとんど消化吸収することができません。セルロースは食物繊維とも呼ばれ、人にとっては便秘や大腸ガンの予防など健康維持の面では有用ですが、エネルギー源としての価値はゼロに等しいといえます。ですから、筆者のように葉っぱ系をよく食べるのは、ダイエットという点で効果があるといえるのです。
ところが馬やウシはそのセルロースをエネルギーとして利用する能力を持っています。ただし彼らの消化器官がセルロースを分解できる強力な消化酵素を分泌するわけではありません。体内に共生している微生物の助けを借りているのです。
■微生物の活躍
馬の場合、セルロースの消化吸収には、大きな盲腸の存在が鍵といえます。
人は盲腸と聞くと無用の長物を連想しがちです。実際、人の盲腸はわずか指先程度の大きさしかなく、消化器官としてはほとんど生理的役割を持っていないと考えられています。これに対して馬の盲腸はとても大きく、長さは1メートル、体積は30リットルにもおよびます。
この馬の大きな盲腸には大量の微生物がすんでおり、活発な活動をしています。そして、盲腸内に送り込まれてきた未消化のセルロースを発酵分解し、馬の消化管で吸収できる脂肪酸に変えています。微生物の作り出したこの脂肪酸を、馬は盲腸ならびに結腸で吸収し、エネルギーとして利用しているのです。
一方、同じ草食動物でもウシをはじめとした反芻獣は4つの胃を持ち、そこにすむ微生物にセルロースの分解をおこなわせるとともに、一度飲み込んだものを吐き戻して何度もよく咀嚼(反芻)します。ウシはこうした反芻によって、摂取したセルロースをあらかた消化して、馬と同じようにエネルギーとして利用します。ただし盲腸を利用する馬に比べ、4つの胃を持つウシのほうが、消化効率は3倍程度優れています。
ところで馬と同じように盲腸でセルロースを分解しているにもかかわらず、馬よりもずっとセルロースの消化効率の優れた草食動物がいます。それはウサギです。ウサギは、盲腸内の微生物によってセルロースが分解済みの糞(盲腸食)を、肛門に口をあてて食べる習性があります。ウサギは、まだ利用できる栄養価に富んだ自らの糞をもう一度最初から自分の消化管をとおすことによって、セルロースの消化効率を高めているのです。
さて草食動物はセルロースをエネルギーとして上手に利用できるため、普通に生活している限りは、草だけ食べていれば充分といえます。しかし、日々激しい調教をしているサラブレッドや、年間1万kg以上もの牛乳を生産するホルスタインでは、さすがに草だけではカロリーが足りません。そこで不足分のエネルギーを、エンバクやフスマなどの穀物を主体とした高カロリーの濃厚飼料と呼ばれる餌が与えられています。
みなさんがダイエットを志すなら、パンやお米などの濃厚飼料の取りすぎにも注意しましょう。
(競馬ブック 2009.1.11号 掲載)
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