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春のG1レースも、今が佳境。古馬たちの、練り上げた≪走り≫も面白い。そして“オークス”、“ダービー”へと続く。そこで繰り広げられる若馬たちの未完の≪走り≫。それもまた魅力的だ。そんな優駿を育てる調教法の一つが、バイタルウォーク。“大また”で、躍動的な≪歩き≫だ。前回に続き、バイタルウォークのメリットをさらに探ってみよう。 ■≪歩き≫と≪走り≫ まずは基本から・・・。 ■続・それは魚から受け継いだ 「前アシは魚の胸ビレ、後ろアシは腹ビレから・・・」。このシリーズ、第17話で、そう説明した。覚えているだろうか。アシだけではない。陸上歩行の基本“常歩”もまた、魚から受け継いだ。“両生類”が、その開発者だ。浅瀬に進出した彼らは、背骨を左右にくねらせ、前進した。それは魚の“泳ぎ”の動作だ。胸ビレと腹ビレが地表をつかみ、効率よく体を前に送り出した。ヒレからアシへ。ドラマチックな大改革だ。ここで、パドックを周回するウマたちに目を向けよう。“常歩”で歩くウマ。アシの着地する順番に注目だ。 ■まだある、“歩き”のメリット たとえば、2頭のウマが並んで運動している。1頭は常歩、1頭は速歩だ。が、その速度が同じだったら・・・。常歩の方が、“大また”だ。“チャカ”ついているウマを思い出そう。それは、“小また”の速歩だ。アシの動きは速い。が、常歩で周回するウマよりも動きは小さい。“だく”と呼ばれる軽い速歩でも、バイタルウォークに比べれば、アシの動きは小さいはずだ。うっかりすれば、遅いキャンターでも、そのアシの振り幅は、常歩よりも小さいだろう。速歩やキャンターは、空中を跳んで歩幅を稼ぐテクニック。常歩は、アシの振り幅だけで歩幅を稼ぐテクニック。だから、速い常歩では、アシの大きな動きが必要だ。私たちだって同じこと。自分自身に当てはめれば判るはず。つまり、《バイタルウォークは、肩甲骨と肩関節、骨盤と股関節の動きを大きくする》と、いうことだ。 ウマの筋肉の動きを、特殊な機材−筋電計−で測定していたときのことだ。歩いているのに、後ろアシの筋肉は、ほとんど使わない。驚いた。が、“歩き出し”の数歩、登坂あるいは大またで歩けば、後ろアシの筋も活動する。だからこそ、調教用の“歩き”は“バイタル”でなければ・・・。そう思わされた事実だった。 ![]() (競馬ブック 2009.5.24号 掲載) |
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