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島田明宏さんのエッセイから再び・・・。 ■左右2本のアシが決める常歩の歩幅 推進力を発揮する主役はトモ(後ろアシ)だ。それは間違いない。だから、パドック診断でも、トモの踏み込みが重視されてきた。トモの「踏み込みが良い」、「さばきが軽快」。それは、旺盛な推進力を期待した“プラス”評価だ。が、検証の結果、島田さんの期待はやや裏切られたようだ。なぜだろう。 ■4本のアシが作るギャロップの歩幅 右手前のギャロップを例に説明しよう。この図は、ずいぶん前にも紹介した。覚えているだろうか。その歩幅は、左右のトモが作る歩幅(1)、右のトモと左の前アシとが作る歩幅(2)、左右の前アシが作る歩幅(3)、そして空を跳んで稼いだ歩幅(4)の総計で決まる。このうち、最も短いのは、左右のトモが作る歩幅(1)。つまり、ギャロップでは、思ったほどトモは踏み込まない。“空を飛んだ”あのディープインパクトですら、そうだった。トモの踏み込みは、ライバルのそれとほぼ同じ。違っていたのは、着地直前のトモの振り出し。彼は大きく振り出したアシを一転、方向を変え、大きく後ろに引き戻しながら着地するのだ。 ■“泳ぎがうまい”から“走りが速い”? とは、限らない。常歩は、魚の泳ぎから生まれた。ギャロップは、ほ乳類に進化して初めて獲得した走りだ。常歩とギャロップは、もともと歩幅の稼ぎ方が異なるテクニックなのだ。だから、歩くときのアシさばきが、そのままギャロップに反映するとは限らない。“+マーク”が島田さんの期待を裏切った理由の一端が、そこにある。ちなみに名馬のなかでもシンザンは、すこぶる付きの“+マーク”だった。が、名馬であってもトーカイテイオーやディープインパクトは、島田さんがどんなに耳を澄ませても、“+マーク”は付かなかったはずだ。もちろん大きく歩けるウマは、ふつう背骨も柔らかい。だからトモの踏み込みが良ければ・・・。が、過信は禁物。と、いうことだろう。 キリンやラクダは、胴が短く、アシが長い。ウマと同じでは、アシが衝突して歩けない。そこで彼らは、常歩や速歩のとき、同じ側の前後のアシをほぼ同じタイミングで前に振り出す。それは、側対歩と呼ばれる。衝突のリスクがないから、彼らは大きく踏み込んで歩く。が、なぜか彼らのギャロップはそれほど速くない。ここにも常歩の“踏み込み”がギャロップの能力と直結しない事実がある。 ![]() (競馬ブック 2009.7.26号 掲載) |
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