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夏は暑い。暑いとビールがおいしいのですが、飲んだビールは汗で飛んでいってしまいます。ビールには塩のきいたエダマメがよく合います。汗とともに流れ出た塩分補給にちょうどよいとも言えるでしょう。
さて今回は汗のはなし。
■動物の汗腺
質問:休日の朝は、私がショコラ(トイプードル、雌、5歳)を散歩に連れて行きます。朝といっても今は夏ですから、私は結構汗びっしょりになります。でもショコラはちっとも汗をかいていないようです。競馬場のお馬さんは、競馬が終わったあとは冬でもポタポタ汗をかいていますよね。イヌと馬と人。同じ動物なのに、汗のかきかたはそれぞれ違うのでしょうか?
(27歳 女性 競馬歴:1年)
答え:汗をかかないショコラは、イヌとして特に変わっているとは言えません。イヌはほとんど汗をかきません。イヌの体には、鼻先や足裏のパッド(肉球)を除いて、汗を分泌する汗腺が存在しないからです。
イヌは暑いときには、汗をかかないかわりに口の中の水分を蒸発させて体温を下げようとします。口をあけてハアハアあえぐ、いわゆるパンティングと呼ばれる行動ですが、イヌに見られるこの動作は、口の中の水分を蒸発させて体温を下げるという役割を持っています。
ついでに言えばネコもほとんど汗をかきません。ネコは、水が貴重な砂漠で進化した動物で、オシッコの水分も濃縮させるくらい体内の水分をけちけち使います。いよいよ暑さに耐えられなくなると、体をなめて、体についた唾液を蒸発させることで体温を下げようとします。しかし普通は、暑いときはなるべく動かずに涼しいところで休息して暑さをやりすごし、気温が下がった夜に活動するという戦術をとります。
さて馬ですが、馬は二大汗かき動物のひとつに数えられます。二大汗かき動物のもう一方は、私たち人間です。
サラブレッドは一回の競馬で10リットルの汗をかくと推定されています。この量は、およそバケツ一杯分に相当します。
馬は汗をかくことで、もちろんもっぱら体温の調節をおこなっています。体表の汗が蒸発すると体温は下がります。馬はいわば全身をラジエターにしているのです。温度の上がった筋肉は、汗が蒸発して冷やされることで持久力が増します。
馬では、疾走時に安静時の40〜60倍の熱が産生されます。サラブレッドが競馬を一回走ると約2000キロカロリーの熱が産生されますが、もし仮にこの熱がすべて馬体に蓄えられたとすると、体温はまたたくまに5℃は上昇する計算になります。もちろん実際にはそんなことにはなりません。馬はせっせと汗をかいて体温を下げているからです。
■石鹸入りの汗
人は「裸のサル」とも言われるように、体の一部を除いて、毛はまばらにしか生えていません。噴出した汗は、すぐに皮膚に広がり、そこから蒸発することで、効率よく体温を下げることができます。
一方、馬は全身が短い毛でおおわれています。馬の汗には、被毛という障害物があっても効率よく体温調節ができるような物質が含まれています。その物質はラセリンと呼ばれます。
馬の汗には、他の動物にくらべてラセリンが多く含まれていますが、この物質の働きは石鹸とよく似ています。すなわちラセリンには、脂分と水分をなじみやすくして表面張力を抑え、汗が被毛を伝わって皮膚全体に広がりやすくする機能があるのです。汗にラセリンが含まれていることで、汗が全身に広がり、体表からの放熱効果が高まるのです。
写真のように、運動を終えた馬の股間や頸が泡で白くなっているのも、馬の汗にラセリンという、石鹸と作用がよく似た物質が多く含まれているからなのです。
馬は、このように発汗能力がきわめて高いのですが、意外なことに夏の暑さにはそれほど強くはありません。どうも馬の発汗能力は、人のように気温が高くなったときに体温を調節するためではなく、激しい運動をしたときの体温調節に役立つように進化してきたためと考えられます。
(競馬ブック 2009.8.30号 掲載)
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