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ゴルフにしろテニスにしろ、国際的なスポーツ競技には、個々の選手の実力を一定の方法で評価して順位をつける「世界ランキング」が存在します。世界各国の競馬場で優劣を競い合っている現役の競走馬についても、ワールド・サラブレッド・ランキングという名称で、ランキングがほぼリアルタイムで公表されています。最新のワールド・サラブレッド・ランキング(10月19日発行本誌p.112参照)は今年の4月4日から10月4日までに各国で開催された競馬における成績をもとに評価が行われたもので、1位は英国ダービー、凱旋門賞などの勝ち馬シーザスターズ(アイルランド産、3歳)で、日本調教馬はドリームジャーニー(20位)他、計4頭が50位以内にランクインしています。
さてシーザスターズは、はやばやと現役を引退して種牡馬入りすることが伝えられています。競馬では血統が大きくものを言いますが、世界中で繋養されている種牡馬についても世界ランキングを知りたいところです。しかし現在のところ、世界の種牡馬を特定の尺度で格付けした、権威あるランキングは存在していません。
■種牡馬の評価
質問:僕は先輩に誘われて競馬場に通うようになりましたが、結構奥が深くてのめり込んでしまいそうです。競馬ブックには毎週リーディングサイアーのリストが載っていますが、僕は眺めているだけでも楽しいと思います。ただ、入着賞金の数字だけは多い順になっていますが、他の数字はばらばらですよね。 (21歳 男性 競馬歴:半年)
答え:競馬を始めて半年で、リーディングサイアーのリストを眺めているだけでも楽しいというのは、今後貴兄がやまい膏盲に入る前兆かもしれませんぞ。
さて、ご存知のように競馬は血統のスポーツとも言われています。サラブレッドの競走能力は、明らかに両親が持っていた競走能力の影響を受けているからです。血統の情報は勝ち馬予想の上での大きな手がかりになりますし、サラブレッドのブリーダーは、自分が所有している繁殖牝馬にどの種牡馬を交配しようかいろいろと思い悩むものです。
種牡馬を評価する場合、尺度はその産駒の競走成績を用いるのが合理的と考えられます。現役時代の名声と、その産駒の活躍は微妙に異なるからです。
種牡馬評価の際、最も単純なのは、各産駒が一定の期間で延べ何回競馬で勝利したかを比較する方法といえます。ただしこの方法の最大の問題点は、その数字に競馬のレベルが反映されていないという点にあります。いくら下級条件の競馬で優勝しても、競走馬としての真の実力を示してはいないというわけです。
そこで勝利回数に競馬のレベルを加味した評価法として、産駒が競馬で獲得した賞金の総額で比較する方法が用いられます。賞金の高いレースであれば実力のある馬が多く集まり、そうしたレースで優勝し、高い賞金を獲得できたということは、強い馬の証明になるというわけです。この方法は同じ賞金システム、たとえばJRAの競馬で走っている競走馬だけを対象にする限り、一定の有効性があるものといえます。リーディングサイアーのリストは、まさにこの産駒の獲得賞金を尺度にして順位付けしたものなのです。
■アーニング・インデックス
さて、産駒の数は種牡馬によって、それぞれ異なります。産駒の多い種牡馬では、当然産駒が競馬に勝つチャンスが高まりますし、獲得する賞金の総額も多くなる可能性があります。そうした産駒数による評価のゆがみを是正する尺度として考え出されたのが、本誌のリーディングサイアーのリストにもあるアーニング・インデックス(平均収得賞金指数)という評価法です。
アーニング・インデックスとは競走馬全体の1頭あたりの平均収得賞金を1として、それぞれの種牡馬の産駒1頭あたりの平均収得賞金を指数化したものです。たとえばある種牡馬のアーニング・インデックスが2.5であれば、その種牡馬の産駒が、平均的な競走馬の2.5倍の賞金を獲得したことを表しています。
アーニング・インデックスは産駒の数が少なくても粒ぞろいであれば数値は高くなります。この点において種牡馬としての能力の実体を、より正確に示すものであるとされています。またこの指数は、1年間を単位として算出することもできますし、種牡馬としての生涯成績を求めて相対的に比較することもできるので大変便利なものといえます。
ただし極端に産駒の出走頭数が少ない種牡馬の場合、産駒が1頭でも大きなレースに勝つとアーニング・インデックスが高くなるので、注意が必要です。そうした例として、現在も米国で繋養されている種牡馬プレザントタップがあげられます。2004年度、この馬の輸入産駒タップダンスシチーが宝塚記念を勝つなど大活躍をしましたが、同年にJRAの競走に出走した産駒がタップダンスシチーを含めて2頭しかいなかったため、プレザントタップのアーニング・インデックスは35.53という極端に高い値となってしまいました。
獲得賞金はもちろん、アーニング・インデックスも賞金を評価の尺度の基本としています。そのため、日本の種牡馬と外国の種牡馬を同列に比較しようとすると、問題は複雑になります。世界的に見れば、競馬のグレードと賞金は必ずしも一致しないからです。
世界のサラブレッドの種牡馬としての評価は、最終的には歴史にゆだねるしかないのかもしれません。
(競馬ブック 2009.11.1号 掲載)
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