馬ゲノム解析
ゲノム"Genome"とは、「遺伝子」 "Gene"と「集団」"-ome"を合成した言葉で、生物種ごと
の遺伝子の1単位をいう。人や馬は両親からそれぞれ1単位ずつ遺伝子を受け継ぐ。遺伝子は人で
46本、馬で64本の染色体上に並んでいる。
細胞分裂のときに観察できる染色体の正体はデオキシリボ核酸(DNA)が連なった細長い糸を
束ねたもの。競走能力や毛色などの遺伝は染色体上の遺伝子で決まる。染色体のうち31対(62本)
を常染色体、残り2本を性染色体と呼ぶ。常染色体は父馬と母馬から同じものを受け継ぐが、性
染色体は母馬からはX染色体だけを、父馬からはX染色体またはY染色体のどちらか一方だけを受け
継ぎ、XとXの子馬は雌に、XとYの子馬は雄になる。
馬ゲノム解析の第一歩は64本の染色体上に並んだ遺伝子の順序や距離を調べて配置図を作るこ
と。この、遺伝子の順序や距離を表す配置図を「遺伝子地図」と呼ぶが、その作り方には2種類の
方法がある。ひとつは遺伝学的な方法を用いて作製する「連鎖地図」、もうひとつは化学的な方
法を用いて作製する「物理地図」。連鎖地図作製には、個体ごとに違いのある多型性マーカーが
必要だ。
世界の研究者の協力で行っている馬ゲノムプロジェクトでは、このような多型性マーカー
を600個以上配置した連鎖地図を作り終えたが、馬の能力や健康に影響する遺伝子を解明するには、
さらに詳しい地図を作る必要がある。
(生命科学研究室 長谷川 晃久)

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