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ジャパンカップレース(1981年開始)が始まった頃、数年にわたって、レースに出走した外国馬と日本馬のトレーニングおよびレース調査を実施したことがありました。その内容は、トレーニングに関して @ウオーミングアップ、A運動強度・距離・頻度、Bクーリングダウン、レースに関して Cウオーミングアップ、Dペース配分、Eクーリングダウンなどでした。日本馬と外国馬を比較したところ、特にクーリングダウン時間が大きく違っていたのがもっとも印象的でした。
● 日本・外国のどちらかの経験が正しいのか?
ジャパンカップに出走した馬1頭に調査員1人がつき、レースや追いきり時のクーリングダウン方法を調査しました。その結果、レース後のクーリングダウン時間は、外国馬は平均50分(30-90分)、日本馬は平均20分で、平均約30分の違いがありました。常歩で1分間に100m歩くとすると、距離にすると1日に3km(仮に月にレースや追いきりが5日あったとすると、3km×5日=15km、1年では15km×12ヶ月=180km)の違いになります。同じサラブレッドでありながら、なぜこのような違いがあるのでしょうか。そこで、次のようなことを考えました。
(1) 外国の馬の運動量が多すぎる。
(2) 日本の馬の運動量が足りない。
さて、日本の経験かそれとも外国の経験か、どちらがより有効なのだろうか。
● クーリングダウンに関する研究

クーリングダウンを行う目的は、レースや追いきりなどの主運動のあとに、心身の疲労回復を早め、傷害の予防やケアをするために行うものです。
ドイツのクリツバネック(1974)は、トロッターレース後、安静にしているより2、000mの速歩を加えた方が疲労回復が早いことを報告しました。その後、クーリングダウンに関する研究はなく、1980代の半ばになって、総研では調査に基づいてクーリングダウンに関する研究を実施しました。サラブレッド研究馬を用いて模擬レースを行い、レース後0分(運動後直ちに馬房へ)、15分、20分(日本馬の平均)、30分、50分(外国馬の平均)の常歩運動を行い、乳酸の回復状況を比較しました。その結果、50分>30分>20分>15分>0分の順に乳酸の回復が早いことがわかりました。乳酸は人・馬のスポーツ科学では疲労の指標とされている物質です。その後、馬で同じようなことがイギリスのマーリン(1987)、アメリカのハッベル(1997)らによって確かめられています。乳酸でみるかぎり、外国馬の方が疲労回復は早いということになります。
● おわりに
クーリングダウンの良し悪しは、疲労回復のほかに心理、傷害、省力化など総合的な判定が必要であると考えます。科学的データのない部分は経験と勘に頼ることになります。
(競走馬総合研究所 久保勝義)
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