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● エリート競走馬の最大酸素摂取量は大きい
馬は安静時に毎分4-7ml/kgの酸素を摂取しています。レースのような激しい運動時になると毎分150-170ml/kg、実に安静時の約30−40倍以上の酸素を摂取することになります。この酸素を摂取できる量は馬によって異なり、一般に全身持久力(スタミナ、ねばり強さ)のある馬ほど大きいといわれています。それぞれの馬が酸素を摂取できる能力の限界を、最大酸素摂取量といい、エリート競走馬の最大酸素摂取量は大きいことが知られています。最大酸素摂取量が大きいということは、酸素を運搬する器官、肺・血液・心臓・筋がよく発達していることを意味し、換気量や血液の酸素運搬能力、心拍出量、筋の毛細血管の発達や酸素利用率などの機能が優れていることになります。
● 人のスポーツでは
人での最大酸素摂取量は、一流のマラソン選手で75-80 ml/kg/min、サーカー選手で65-70 ml/kg/min、20歳の一般青年男子で約48
ml/kg/min、40歳の一般成年男子で約41 ml/kg/min、60歳一般成年男子で約32ml/kg/minであります。このように、最大酸素摂取量が大きい人は、マラソンのような全身持久力を必要とする種目で有利になります。
● エリクソン博士の見解から(J Equine Vet Sci,2003 Vol23, No7の記事より)
平均的なサラブレッド競走馬は、人の一流ランナー(70 ml/kg/min)の2倍以上の最大酸素摂取量(140-170 ml/kg/min)があるといいます。実際の超エリート競走馬での測定はありませんが、恐らく190
ml/kg/min以上と予想されていました。最近、イギリスのマーリンが、ニューマーケットでトレーニング中のあるエリート競走馬を測定したところ210
ml/kg/min であり、アメリカのポールがセクレタリアートの最大酸素摂取量は推定したところ230 ml/kg/minであったと、エリクソン博士は述べています。
わが総研でも何百頭ものサラブレッドの最大酸素摂取量を測定してきましたが、多くは140-170 ml/kg/minの範囲でした。時に、190
ml/kg/minを示す一流馬なみの馬もいましたが、この馬は競走馬としての素質があったのかも知れません。
● おわりに

一番大きい最大酸素摂取量を示す馬がレースに勝つとは限りません。なぜなら、レースの勝敗は、この能力のほかに無酸素エネルギーを産生する能力、よい走行フォームつまりエネルギー効率のいいこと、走る意欲(気合)、騎手の技術や戦略、運・不運など複雑な要素が絡み合って決まるからです。
この最大酸素摂取量は、トレーニングによって相当増強されること分かっていますが、トレーニングにより伸びる馬、伸びない馬があり、遺伝的な制約もあると考えられています。現在、若馬の時に、競走馬になったときの最大酸素摂取量を誰も予測することはできません。つまり若馬の段階で、どの馬が素質があるか分からないので、どの馬も日々のトレーニングを地道に行って、その結果をみる以外に道はありません。
(競走馬総合研究所 久保勝義)
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