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● 走スピードと心拍数が同時に測定できるエクイパイロット
現在、美浦および栗東トレセンの坂路コースでは、競走馬の調教タイムがバーコードを利用して計測されています。最近、GPS(人工衛星を利用し位置を決定するシステム)を利用して、エンデュランス競技馬の走スピードと心拍数を測定できるエクイパイロットがドイツで開発されました。総研ではそのエクイパイロットを改良し、競走馬の走スピードと心拍数をすべての走路で測定できるシステムを完成しました。このエクイパイロットを利用して、両トレセンの競走馬のデータを収集し、トレーニング強度、トレーニング効果、コンディショニングなどを科学的に評価する研究に取り組んでいます。今回は、トレーニング強度(運動強度ともいう)とはなにか、スポーツ科学における考え方を紹介します。
● 人のスポーツにおけるトレーニング強度の考え方
トレーニング強度の指標として、物理的強度、生理的強度、および心理的強度があります。物理的強度の指標としては、走スピード、トレッドミル運動ではベルトのスピードや傾斜度をいい、自転車エルゴメーター運動ではペダルの負荷や回転数などをいいます。生理的強度とは生体負担度のことで、その指標としては酸素摂取量、心拍数、エネルギー代謝率、血中乳酸値のレベルなどがあります。心理的強度の指標としては、主観的強度といって楽である・ややきつい・きついなど15段階に分ける方法などが利用されています。
● 競走馬でのトレーニング強度とは
物言わない馬には主観的運動強度は成り立たず、トレーナーの他覚的判断(息づかい、発汗、走りっぷり、顔の表情、気合など)によって評価されています。物理的強度は走スピードなどをいい、生理的強度の指標としては、馬でも心拍数や血中乳酸値が利用され、トレッドミルを用いた運動では酸素摂取量なども指標として利用されています。馬の運動負荷を強くする、つまり、 馬の生体負担度を増す(運動強度を増す)方法として、図のような方法が考えられます。走スピードを増したり、騎手や馬具の負担重量を重くしたり、坂路の傾斜を大きくしたり、芝・ダート・ウッドチップなどの走路を柔らかく深くしたり、昔試みられたという重い蹄鉄を履かせたり、呼吸を制限するマスクを装着したり、人と同じように高地でトレーニングするなどが考えられます。これらのいくつか要素を組み合わせ、運動時間(距離)の長短によって、トレーニング強度を調整することができます。
● おわりに
トレーニングの目的は、心・技・体(気合、走行フォーム、エネルギーの産生など)の総合的な運動能力をできるだけ向上させることにあります。トレーニング効果を得るためには、運動の条件、つまり適正な運動の強度(スピード)・時間(距離)・頻度(1日にあるいは週に何回など)が重要であり、これらの中でも特に運動の強度は重要と考えています。
(競走馬総合研究所、久保勝義)
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