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●疫学
ウマ1型インフルエンザウイルス、A/equine/Prague/1/56(H7N7)が最初に分離されたのは、1956年チェコスロバキアのプラハ(Prague)でのことです。その後、ヨーロッパ、アメリカをはじめ世界中でウマ1型ウイルスによる流行がみられ、1980年まではこのウイルスが分離されていましたが、それ以降は確認されていません。一方、1963年にはウマ2型ウイルス、A/equine/Miami/1/63(H3N8)がアメリカのマイアミで競走馬から分離され、現在までウマ2型ウイルスによる流行が世界各国で引き続き起きています。表1に示した馬インフルエンザの流行は1989-90年の中国の例を除いて、全てウマ2型ウイルスによる流行例です。
1) 抗体保有馬群における発生
馬インフルエンザの発生状況は、過去に感染を受けた経験のある馬群またはワクチン接種馬群のようにウイルスに対する抗体を保有している馬群と抗体を保有していない馬群とでは大きな違いがあります。ヨーロッパやアメリカなどの常在地では、ほとんどが感染の経験を有する馬群のため比較的軽度な症状の流行形態をとります。また、最近の欧米における発生報告によると、季節に関係なく年間を通して発生していることがわかります
(表1) 。 ワクチン接種による抗体保有馬群における発生状況については、1979年のスウェーデンにおける流行時に、1,011頭の発症馬について調査した成績が報告されています。それによると、ウマ1型とウマ2型ウイルスの混合ワクチンを定期的に接種していた馬では37%、定期的ではないものの、過去にワクチン接種の経験がある馬では77%が発病しましたが、ワクチン接種歴のない馬では98%もの馬が発病しました。最近の発生例としては、1992年の香港のシャティン競馬場において在厩馬はすべて定期的にワクチンが接種されていたにもかかわらず、958頭のうち402頭(42%)が発病しました。
表1. 最近の欧米諸国で報告された馬インフルエンザの発生状況(International Collating
Centerの資料による)
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国 名 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
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4〜6月 |
7〜9月 |
10〜12月 |
1〜3月 |
4〜6月 |
7〜9月 |
10〜12月 |
1〜3月 |
4〜6月 |
7〜9月 |
10〜12月 |
1〜3月 |
4〜6月 |
7〜9月 |
10〜12月 |
1〜3月 |
4〜6月 |
7〜9月 |
10〜12月 |
1〜3月 |
4〜6月 |
7〜9月 |
10〜12月 |
| デンマーク |
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| フランス |
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| スウェーデン |
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| イギリス |
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| アイルランド |
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| スイス |
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| ノルウェー |
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| イタリア |
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| トルコ |
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| アメリカ合衆国 |
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| アラブ首長国連邦 |
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+:流行 +:局地的発生
2) 抗体陰性馬群における発生
代表的な例の一つに、わが国で起きた流行があります。1971年12月4日から翌年1月11日の僅か39日間で、全国的に6,782頭の発症馬が観察されました。東京都のJRA馬事公苑と東京競馬場、千葉県の中山競馬場および付属白井分場の各馬群における詳細な調査成績によると、合計2,064頭のうち1,934頭が発症し、発病率は93.7%でした。特に東京競馬場では在厩馬963頭中956頭(99.3%)
(図1)が、馬事公苑では在厩馬171頭中168頭(98.3%)が発症し高い発病率を示しました。その他、海外の例では1986年に南アフリカで、1987年にインドで、それぞれ初めて発生して大きな被害を受けています。また、1989年に中国の東北部2省でトリ由来の新型インフルエンザウイルスによる大流行があり、約13,000頭の馬が感染し、そのうちの35%が死亡して大変な損害を被ったことが報じられました。そして、翌1990年にも同地区の1省で2回目の流行が発生しましたが、感染率は初回の流行の約1/2に減少し、死亡する例はありませんでした。幸いにも、この新型トリインフルエンザウイルスによる流行は、1990年以降報告されていません。その後、中国では1994年にも北部と西部の11省にまたがるウマ2型ウイルスによる大流行があり、137万頭が感染し、19,000頭が死亡したと伝えられています。
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