第16回 馬学講座概況
競走馬総合研究所では、平成21年11月18日(水)に一般の方を対象とした第16回馬学講座を開催した。講義名は「屈腱炎の再生医療 −屈腱炎はもはや不治の病ではない?−」で、当研究所臨床医学研究室の笠嶋主任研究役が講師を務めた。笠嶋研究役は多数のスライドを駆使し、屈腱の位置、構造、役割などの基本から、屈腱炎の発症メカニズム、病態、そして屈腱を幹細胞移植によって再生させ、今後の展望までを約1時間に渡って解説した。競馬ファンにはおなじみの屈腱炎ではあるものの、「馬や動物だけが好き」というような方にはやや専門的な内容かと思われたが、ヒトの世界でも最近話題の再生医療ということで、参加者の評判はかなり高く、「専門的な話が分かりやすかった」「知人にも話せる専門知識がまた増えた」などの感想を頂いた。
講義終了後は、乗馬・馬車の試乗、乗馬厩舎、装蹄実演およびトレッドミル調教の見学を実施した。馬車試乗では、ほとんどの方が初めてで、実際の揺れや座席からの景色に感動されているようであった。また、乗馬試乗についても初めての方が多く、跨っている時は緊張しながらも、降りてから「もう1度」「楽しかった」「気持ちよかった」など、十分満足していただいた様子であった。また、1本の鉄が蹄鉄に変わっていく様子に感激したり、トレッドミルで馬が疾走する様子に驚く参加者が多く見受けられた。
参加者の募集方法はJRAホームページ、総研ホームページ、各種新聞、優駿、競馬開催日のレーシングプログラムで行った。今回の馬学講座は開催日が例年より若干遅く、また春の部は獣医学会での市民公開講座に代替えしたため、募集開始前から問い合わせがあり、講座内容に対する競馬ファンの関心の高さが感じられた。応募者は65名であったが、当日は県内外から60名弱の参加者が来所した。
近年は県外からの参加者が半数を超えているが、メディアで広く参加を募っていること、同講座が研究所のファン向け活動として定着していることが要因と思われる。終了後のアンケートでは、「新しい知識を増やすことができた」「さらに研究を続けて、1頭でも多くの馬を救ってください」「再生医療に関する新たな成果の発表を期待しています」など、講座及び当研究所での研究が多くのファンに期待され、そして楽しみにされている企画であると実感した。また、乗馬や馬車の試乗、施設見学などと組み合わせることにより、ファンに対して研究成果を還元するだけではなく、馬事普及活動、馬の研究所としての広報も行える複合的イベントとして位置づけられると思う。
馬学講座は、「研究活動の報告」「馬事普及活動」「競走馬総合研究所の紹介」という3つの役目を担っているが、今後も競走馬総合研究所の活動のひとつとして、競馬ファンのみならず、馬や動物が好きというだけの方にも興味を持って参加していただけるような馬学講座を開催していきたいと考えている。
(企画調整室 田邉 草平)
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