馬のライトコントロールの季節
遅ればせながら新年あけましておめでとうございます。2012年も「北の研究室(へや)から」をよろしくお願いいたします。
岩見沢付近では記録的な豪雪で自衛隊が除雪に参加するほどの事態に陥っていますが、ここ日高育成牧場では太平洋側の気候が幸いして、それほど降雪はありません。しかし、例年以上に低温がつづいており、1月は最低気温がマイナス10度を下回る日が続いています。1/17の育成きゅう舎付近の温度計はマイナス18℃!気象庁発表の浦河町の気温がマイナス12℃でしたので、同じ町内でも山に近い日高育成牧場はそれより6℃も低くなります。それでも日光とともにぐんぐん気温があがり、昼夜放牧されている馬たちにとって、0℃付近にもなればぽかぽか陽気のような気分で元気に過ごしています。

日頃、馬の飼養管理をしてくださる北の研究室を支える業務課馬取扱職員の皆さん。マイナス10度以下でも朝から防寒装備で寝藁出しをしています(写真左)。1,2か月後に出産を控える繁殖牝馬たちも元気いっぱい、雪の下の草を一生懸命前肢で掘り返しています(写真右)。
一方、1歳馬4頭は研究のために昼夜放牧をされています。放牧地の一角にベニヤ板で風よけの壁をつくりその周辺に寝藁(牧草)を敷くと、昼夜のほとんどを壁の前で過ごしていることがGPS解析からわかってきました。壁の前には馬糞が多くなりますのでこまめなボロ拾いも必要です。朝夕、放牧地に撒くルーサンはできるだけ四隅にほぐして散らし、馬たちが少しでも自発運動するようにしています。1月の日高育成牧場は、降雪が多すぎず少なすぎずという状態で比較的歩きやすい放牧地になっていますが、今後どのような天候になるかわかりません。このような飼養方法が良いかどうかは現在のところ確かではありませんが、昼間放牧と比較し、様々な角度からデータを蓄積しています。

放牧地の一角(北西側)に風よけの壁をつくりその周辺に寝藁(2番牧草)を敷くと、昼夜のほとんどをそこで過ごします(左写真)。放牧地の四隅に細かくアルファルファ乾草を撒き、自発運動を促しています(右写真)。
2012年1月もあっという間に過ぎ、もうじき2月。当場の最初の分娩予定は2月20日となっていますが、大手の牧場では1月中に数十頭の馬が産れると聞きます。ここ日高育成牧場でも来る繁殖シーズンに向けて準備が始まっています。その一つが空胎馬のライトコントロール。馬房に電球をつけて1日の明期がトータル14.5時間になるように調節する方法です。詳しい方法や原理については、以下のBTCニュースHPなどが参考になりますのでご覧ください。
http://www.b-t-c.or.jp/btc_p300/btcn/btcn65/btcn065-03.pdf
当場では、3月中旬以降の交配を計画している関係から、空胎馬の昼夜放牧を1月10日まで行い、その後ライトコントロール法を開始しました。一般にこの手法は馬房で行うものなので、夜間放牧中ではできそうにありませんが、十勝の重種馬では小パドックに照明をつけライトコントロールを実施するという新しい試みも報告されています。ライトコントロールによる排卵促進の効果がでるのは2か月程度と考えられており、寒冷生産地の日本でも全体の70%は2か月と10日で排卵を開始することが明らかとなっています。また、最近流行のLED電球も、光が拡散するタイプであれば非常に効果がありますので、このご時世には有効な方法となります。海外の教科書では60日間ライトコントロールを行い、最後の10日は黄体ホルモン製剤を経口投与するというリバウンド現象を狙う方法も紹介されています。研究のバックグラウンドが大きい欧米では、いろいろなアイデア、研究成果が生まれるものであるとつくづく感じます。

朝5時30分から馬房に電球をつけるライトコントロールの様子、夜は20時に消灯すれば明期14.5時間となります。タイマー調節が便利で効果的です。
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