★ 2014.2.24

 
愛しき研究室(へや)よ

 暦の上では立春を過ぎ、春らしくなる時期となっておりますが、ここ日高育成牧場では根雪になっていたアスファルトがスケートリンクのようになることもあり、凍った地面に凍結防止剤を混ぜた砂を撒いて、若馬の収牧ルートを確保しています。凍結融解が繰り返されると、屋根の雪が大きな氷柱になることもあり、定期的に取り除きます。春はもう少し時間がかかりそうです。

  
 凍った道路を渡って若馬たちが毎朝収牧されます(左写真)きゅう舎の出口付近では、屋根の氷柱を定期的に取り除きます(右写真)。

 冬になっても、山から鹿はやってきます。多くの鹿は朝になると山に帰って行きますが、きゅう舎のすぐ近くの林で堂々と休んでいる牡鹿もいます。道路や放牧地の雪上に鹿の糞が散乱している様子が目立ちます。

  
 きゅう舎の横の林でゆうゆうと休憩する雄鹿(左写真)。雪上に散在する鹿の糞、偶蹄類特有の足跡もしっかり残っています(右写真)。

 2月上旬から開催されていたソチオリンピックも閉会を迎えました。浦河町出身のウィリアムソン師円選手もまだ高校生の若さで一生懸命がんばりました。オリンピックに参加されたすべての選手の皆さま、感動をありがとうございました。そして3/7からはソチパラリンピックが開催されます。ハンディキャップを持ちながら高い目標に向かって難度の高い種目に立ち向かう姿は、スポーツを通じて私たちに新たな感動を呼び起こしてくれることでしょう。そのような中、スポーツ好きの多い日高育成牧場のメンバーは、浦河町民スケート大会に出場し、素人集団ながら見事完走、仮装大賞を受賞しました。元気、団結力があることはよいことです。

  
 晴天のもと、1月末に浦河町民スケート大会が開催されました(左写真)。日高育成牧場のメンバー4人は、ホクト君の着ぐるみをかぶって1周400mのリレー競技に参加し、仮装大賞を受賞しました(右写真)。

 2月吉日、浦河東部小学校、第二中学校への登校前の小中学生と記念撮影をしました。3月1日付の定期人事異動により、この学期末で日高育成牧場を去っていく児童生徒が相当数いることがわかりました。一学年10-20名程度の体制は、児童生徒ひとりひとりに目が行き届き、いじめのないのびのびした教育で申し分ありませんでした。学年の垣根なく、みんな仲良く遊びました。新しい小学校中学校に転校してもたくさんお友達を作ってください。

  
 JRAすずらん寮バス停前で記念撮影(左写真)。雪の日も、吹雪の日も、毎朝7時50分にスクールバスを待ち、小学1年生から順番に乗車しました(右写真)。

 1年で一番寒い1月から2月にかけても、当場では1歳馬に夜間放牧を実施しています。夜間の外気温はマイナス15度になります。そのような中でも、乾草兼寝藁の上で伏臥姿勢で、時には横臥姿勢で休んでいます。今年は馬服を着せているせいか、快適に休んでいるようにも見受けられますが、馬服を着用した際の事故の心配が全くないわけではなく、十分に留意する必要があります。月が出ているときの雪国の夜はとても明るくなり、馬にとっても安心を与えているものかもしれません。我々も懐中電灯なしに歩くことができます。

  
 マイナス15度の中でも若馬たちは伏臥、横臥姿勢で休みます(左写真)。雪国の月光は幻想的でとても明るく感じます(右写真)。

 人間にも「癖(くせ)」があるように、馬にも癖があります。馬の管理上問題となる癖には、?癖(さくへき)、蹴癖(しゅうへき)、熊癖(ゆうへき)、噛癖(こうへき)、旋回癖(せんかいへき)、などが有名ですが、当場には変わった癖をもつ繁殖牝馬が数頭います。「水桶に寝藁を入れ癖」ならまだかわいいほうですが、「水桶に糞をする癖」などがあり、動物行動学者でも説明不可能な行いをします。冬に多い傾向があります。ほんとうの理由は馬に聞いてみないとわかりません。

  
 「水桶に寝藁を入れる癖」(左写真)。見苦しい描写をお詫びいたします。「水桶に糞をする癖」困ったものです(右写真)。

 1月27日から31日にかけて、ニュージーランドの北島中部、ハミルトンにて、第11回国際ウマ繁殖シンポジウム(International Symposium on Equine Reproduction, ISER)が開催され、日本から北の研究室の関係研究4題を含め、過去最高数となる計5題の発表がされました。本学会は、1974年、ウマの繁殖学全般の諸研究を発表・討論する場として発足した、世界唯一のウマ繁殖学の専門学会です。学術シンポジウムは4年に1度世界各地で行われ、発表演題数150題のみに厳選される審査の厳しい国際シンポジウムです。第二次世界大戦後、日本のウマ繁殖学研究は、世界から注目される程有名でしたが、その後衰退気味でした。日本が世界で5番目のサラブレッド生産国である以上、馬生産に関する研究成果を発表することは責務であると考え、北の研究室もその責任の重大さを感じながら邁進してきたところがあります。この流れが消えることがないように、生産関係団体、大学研究機関とともにさらに日本のウマ繁殖学の研究が発展することを望んでいます。

  
 学会最終日のトロッター競馬観戦での日本人関係者記念撮影の様子(左写真)。繁殖牝馬の流産予知と予後診断に関する調査研究について口頭発表する日高軽種馬農協の敷地先生(右写真)。

 中国の古いことわざに、「人間万事塞翁が馬」があります。塞翁が所有していた馬が織り成す様々な出来事から、人生の吉凶禍福は予測できないものだから禍も悲しむにあらず、福もまた喜ぶに足りないというたとえとして知られています。北の研究室としても、わずかな変化に臆することなく決意を新たに邁進することが大切です。これからも、日本のサラブレッド生産地に必要とされる、地域に密着した研究室であるよう、引き続きご愛顧の程宜しくお願い申し上げます。

  

 

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