★2004.4.5

 
 いよいよ4月、関東地方では桜も満開のことと思います。日高の桜はゴールデンウィーク明けが見ごろで、まだ1ヵ月以上先になります。桜どころか、日高では先日の2日から3日未明にかけて雪が降り、せっかく雪解けが終わった放牧地も一面真っ白に逆戻りしてしまいました(写真1)。こんな天候の荒れる日には子馬が生まれる、という言い伝えどおり、雪降る2日の夜に今年5頭目の子馬が生まれました。最近は子馬の誕生時期が早くなってきたとはいえ、出産から種付けにいたるピークはやはり4月です。その証拠に日高の道路はこの時期、繁殖牝馬を積んだ馬運車の往来が盛んになります。日高育成牧場から車で約5分のところにある日高軽種馬農業共同組合杵臼診療所でも、子宮洗浄や妊娠鑑定に訪れる繁殖牝馬の頭数も日ごとに増えてきているようです(写真2)。この時期の獣医さんは大忙しで、朝早くには牧場を往診してまわり直腸検査(直腸に手を入れ腸壁をとおして卵巣の状態を触診する)によって種付け時期を予測し、9時からは診療所にもどって来診馬の対応をします。もちろんこの時期は休日などなく、軽種馬生産者にとっては神様のような存在となります。


 

写真1:一面に雪を被った分娩前の繁殖牝馬用放牧地(4月3日撮影) 写真2:日高軽種馬農協杵臼診療所前に並ぶ馬運車
 

写真3:ある馬運車の内部。母馬は前向きに繋ぐが子馬は寝わらの上で寝たり、乳を飲んだりできるようフリーにしておく 写真4:超音波診断装置によって妊娠鑑定を行う日高軽種馬農協の岡田獣医師(モニターに黒丸で見えるのが受精卵、この映像が映ると生産者も一安心)
 

写真5:検査が終わると馬運車に乗って牧場へ帰る

 

★2004.4.12

 
 今日は日高育成牧場で育成された馬たちの卒業式ともいえる恒例の育成馬展示会が行われ、生産育成関係者やきゅう舎関係者など約170名の来場者でにぎわいました。予定どおり10時に開会されましたが、しばらくしてから天気予報が的中し、雨降る中何とか立ち馬展示(写真1)と騎乗供覧(写真2)を12時過ぎに無事に終えることができました。展示会場内には、研究室から育成研究に関するパネルを展示したり、展示会終了後には参加者数限定の場内バスツアーも行われました。バスツアーでは研究棟トレッドミルでの実馬走行の見学も組み込まれ、馬が実際に走る姿をすぐそばで見てもらいました(写真3)。今週末には阪神競馬場と中山競馬場へ旅立つ育成馬たちの無事とこれからの活躍を願ってやみません。


 

写真1:来場者の中には、育成馬を生産した牧場の方々もおり、見違えるような生産馬を目にし、競馬場で活躍する姿を思い浮かべる 写真2:1600mダート馬場で小雨降るなか行われた騎乗供覧では、ゴール前2ハロン(1ハロンは200m)のタイムが発表される。
 

写真3:研究棟のトレッドミルで実馬の走行を見る見学者

 

★2004.4.19

 
 育成馬たちは先週末に日高育成牧場を出発し、阪神競馬場、中山競馬場にそれぞれ本日無事に到着したとのことです。馬運車の中には育成馬たちのほかに、飼料や馬具など多くの荷物も積まれています。さらに、北海道ならではのおみやげもひょっとしたら積み込んであるかも、、、
 もっとも喜ばれるおみやげはギョウジャニンニクと呼ばれる山菜で、日高地方では4月の中旬頃が採りごろ、食べごろの強烈な匂いを発するユリ科ネギ属の多年生植物です。タマネギやニンニク、ニラ、ラッキョウと同じ仲間に属し、東アジアやシベリア、北アメリカ北部にも同種の植物が分布しているようです。日本では、奈良県以北の高山でみられるとされています。別名ではヒトビロ、キトビロとも呼ばれ、中にはシトビロと読んで4月10日が採りごろと覚えている人もいます。
 食べ過ぎると、周囲の人に臭害の迷惑をかけるので、こっそり食べずにみんなで食べるのが正しい食べ方です。ギョウジャニンニクは「山菜の王様」と呼ばれるほど薬効がすぐれ、とくに抗血栓作用による動脈硬化や脳梗塞など生活習慣病の予防に効果があるとされています。また、匂いのもとであるアリシンはビタミンB1と結合することにより活性持続型ビタミンに変化するため、ビタミンB1が豊富な食材と調理することにより、消臭効果と疲労回復効果が期待されます。いずれにしろ、貴重な天然資源であり、食べ応えのある鉛筆ほどの太さにまで生育するのに5−6年かかる生育の遅い植物なので、必要な量以上は採らない、採るときは根を残す、など注意したいものです。


 

写真1:中山競馬場に向けて出発する馬運車軍団(4月18日朝出発、阪神競馬場行きは前日の夜に出発した)
 
写真2:熊に遭遇しないことを祈りながら、山の沢沿いの斜面で採る。鈴を鳴らしながら、数人でしゃべりながら、山に入れば熊のほうから避けるらしい。
 

写真3:斜面でひたすら採るこの道?十年の日高育成牧場が誇るベテラン山菜採り師
 
写真4:10-12cmほどのギョウジャニンニク。葉が2枚以上になるのは3年目以降だという。(写真は4月10日浦河で撮影)

 

★2004.4.26

 
 今日は中山競馬場で、明日は阪神競馬場でJRA育成馬の売却が行われます。日高育成牧場と宮崎育成牧場で育成されたJRA育成馬たちが、調教師や馬主など関係者の見守る中、晴れ姿を公開し人気の高い順に指名されていきます。これまでの数ヶ月間、この馬たちの育成に携わってきた者にとっては、卒業式を迎えた学校の先生のような心境でしょう。
 卒業式といえば、去る16日に軽種馬育成調教センター(通称BTC)日高事業所の育成調教技術者養成研修第21期生の修了式が行われ、希望に満ちた19名の若者たちが就職先である民間の育成場へと巣立っていきました(写真1)。
 研修生たちは日本全国から選抜され、騎乗方法や飼養管理方法、育成馬の初期馴致方法などの実技のほかに馬の栄養や運動生理、繁殖、病気、草地管理などの講義、周辺育成場や競馬場の見学などからなるカリキュラムを1年かけて修得しました。運がよければ研究馬の出産にも立ち会うこともできます(写真2)。
 JRA育成馬とともに、彼らのこれからの活躍を祈っています。


 

写真1:研修生の父母が見守る中、緊張の「最後の騎乗」は800mダート走路で行われた。
 
 
写真2:研究馬の分娩には夜中に駆けつけ立ち会った。分娩後に排出された胎盤を前に南保研究室員から説明を受ける研修生。

 


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