★2004.5.3

 
 いよいよ5月、日高もようやく春らしくなり、これから桜の時期にはいります。北海道の桜はエゾヤマザクラが主で、この桜並木で有名な静内二十間道路では6日に開花、満開は9日と予想されています。また、わが日高育成牧場に通じる西舎桜並木の開花予想日は8日で、8,9日には桜祭りが催されます。
 ところで、今年の北海道の冬の天候は異変続きでした。キーワードは「暖冬」と「ドカ雪」。これは、今年に限ってシベリア高気圧の勢力が弱く日本の冬の代表的な「西高東低」という気圧配置が乱れたことによるとされています。そのため湿った暖かい風が北海道にまで北上(北海道では南風)し、道内各地に暖冬と大雪をもたらしたようです。12月から2月にかけての全道の平均気温は平年値より1.5度高く、1946年の観測開始以来、史上4番目の暖かさであり、真冬日(最高気温が0度未満の日)は札幌でも平年より19日も少なかったと報告されています。一方、積雪は日高地方では少なかったのですが、1月中旬と2月下旬には記録的な暴風雪がオホーツク海側や道東を襲いました。これは急激に発達する「爆弾低気圧」と呼ばれる低気圧の仕業によるもので、これも強い暖気を持った低気圧と大陸の強い寒気の衝突によって発達したとされています。


 写真1:まだつぼみはかたい
       (4月29日撮影)
 写真2:あと1週間もすると満開になり
    桜のトンネルができる西舎桜並木
 







 写真3:桜咲く前はミツバが採れる
       (5月1日撮影)
 写真4:同じくコゴミも今が採れごろ
       (5月2日撮影)

 

★2004.5.10

 
 週末の8,9日、日高育成牧場内の特設会場において「うらかわ桜まつり」(浦河観光協会主催)が行われました。当場正門付近まで続く桜並木「優駿・さくらロード」には約3,000本のエゾヤマザクラが立ち並んでいます。肝心の桜はまだ満開には少し早いようでしたが、青空広がる絶好の花見日よりとなり、大勢の人でにぎわいました。厳しく長い、彩りの少ない冬を耐えて待った春の訪れだけに、北海道の人々にとって桜の淡い色はことさら心にしみるようです。
 一方、軽種馬生産牧場にとっては出産と種付けの最盛期、西舎と同じく花見客でにぎわっている静内二十間道路周辺の種馬場へ種付けに行く馬運車の通行上の苦労がしのばれます。
 さて、昨日は航海途中の豪華客船「飛鳥」が浦河港に寄港し、乗船客は浦河滞在のわずかな時間内に当場にも見学に訪れました。今回は「日本一周・韓国クルーズ」13泊14日(最長コース)の旅だそうで、ちなみに旅行代金(大人ひとり)は612,000円から2,500,000円まで利用客室によって7クラスに分かれているとのことでした。


写真1:にぎわいを見せる「うらかわ桜まつり」会場
 
写真2:先週の日誌(写真1)で紹介した老木もここまで開花したが、満開はもう少し先(5月8日撮影)
 





写真3:浦河港に寄港した全長192.8m、総トン数28,856GTの豪華客船「飛鳥」 写真4:デザインのギャップが楽しい浦河郵便局限定販売の「飛鳥」寄港記念切手シートの表紙

 

★2004.5.17

 
 先々週末(8,9日)の花見はやはり数日早かったようです。しかし、その後開き始め、先週は平日でも日高育成牧場内にかなりの数の人々が桜見物に来場されました。
 さてこの時期、周辺の様子は日ごとに変化しています。まず目に付くのがタンポポ、路肩や草地などいろんな場所が黄色にかわりつつあります。とくに馬のためにある放牧地や採草地がまっ黄色になると情けなくなるものです。馬の害に直接なることはありませんが、肝心の牧草の生育を抑え、草量低下の原因になります。黄色のタンポポがアクセントになった放牧地で馬が遊ぶ写真をよく見かけますが、その放牧地の主は多分良い気持ちはしていないはずです。もう少しすると白い綿帽子を付け、種を周囲にまき散らしてくれることでしょう。その前に刈り払ってしまうのが防除手段のひとつです。
 タンポポ以外にも気温の上昇とともに、牧草の生育を追い越す勢いでありがたくない草が草地にはびこってきています。たとえばメドウフォックステール(穂が黒いので“黒穂:くろほ“とも呼ばれる)、この草は穂の出る時期(出穂期:しゅっすいき)が5月上〜中旬と早く、他のイネ科牧草の収穫時期にはすでに結実し種子を拡散している生命力の強い草です。したがって、ひとたび侵入を許すとその除去は非常に手強くなる相手です。馬の嗜好性、栄養価ともに低く、本来の牧草の収量も低下させます。日高地方では過去10年ほどの間にみるみる勢力を広げてきた雑草扱いされている牧草のひとつです。


写真1:ようやく咲きそろった日高育成牧場正門付近の桜並木(5月14日撮影) 写真2:黄色が鮮やかなタンポポの群落、ここまではびこると見事としか言いようがない
 

写真3:採草地で生命力旺盛なメドウフォックステール、穂の形状は優良牧草チモシーに似ている(5月14日撮影) 写真4:同じく採草地で目立たないがしっかり根付いているナズナ(種実の形を三味線のバチに見立ててペンペングサとも呼ばれる)

 

★2004.5.24

 
 満開の桜並木の下を馬車に乗りながら見物、とても優雅な気分に浸らせてくれます(写真1)。日高育成牧場ではシンザンフェスティバル前夜祭(今年は7月31日)の馬上結婚式など、いろいろなイベントで馬車が大活躍しています。しかし、大型の馬車馬はオリバー1頭だけなので、後継馬としてジャマイカの訓練を始めました。馬車馬を作ることはとても大変で根気のいる仕事です。日高だよりでは、折を見てその様子を訓練の経過とともにご紹介していきたいと思います。最初は以下のような訓練から始めます。
 
1. 馬具にならす---馬車を引くためには特別な馬具が必要です。馬のくび 頸には、「はも」(漢字では首輪と書く)と呼ばれる馬具をつけます(写真2)。「はも」はとても頑丈でなんと重さが10kgくらいあります。「はも」に梶棒(かじぼう)を通して馬車本体に繋げることで、馬車をひくことができるのです。
 
2. 馬を誘導する---馬を動かしたり、止めたり、方向を変える作業はハミにつながる手綱を通して行います。このような馬の口向き(ハミをとおして正しくコントロールする)を作るために、人は馬の後ろでロングレーンを通して誘導します。この作業をドライビングと呼んでいます(写真3)。
 
3. じっと立たせる---人が馬車の乗り降りをしている間、馬はじっと待っていなければなりません。命令があるまで何分でもじっと待っている。実はこれが一番難しいのですが、これができなければ馬車馬になることはできません(写真4)。


写真1:満開の桜の下を通るベテラン、
    オリバー(5月16日撮影)
写真2:馬車用の馬具に慣らす
   (緊張気味のジャマイカ)
 

写真3:ドライビングで口向きを作る 写真4:じっと立ってがまんする

 

★2004.5.31

 
 昨日のダービー、「馬産地日高と道営競馬のためにがんばりたい」という関係者の意気込みのもと出走したコスモバルクは8着に敗れはしましたが、関係者とコスモバルクの健闘を心からたたえるとともに、この挑戦が北海道の馬産業活性化につながることを心より期待します。
 さて、先週は来年のダービー馬を夢見る2歳馬のトレーニングセールが2日間にわたり行われました。24日は日高軽種馬農業協同組合主催により、新冠で公開調教後、せりが静内の北海道市場で、25日はひだか東農業協同組合主催により、公開調教とせりが日高育成牧場で行われました(写真2)。公開調教ではゴール前200mのタイムが発表され、速い馬では10秒台後半から11秒台で駆け抜けていました。せりは韓国や香港からの購買者も交え、売却率はいずれのセールも昨年を上回る好調なものとなりました。ちなみに最高落札価格は、25日に上場されたサンデーサイレンス産駒(雄馬)の5,050万円でした。晴れ舞台である競馬場での新馬戦デビューが期待されます。25日のトレーニングセール終了後には、購買者が集まる機会を活用しようと、ひだか東地区の良質当歳馬展示会が開かれました(写真3)。30頭の離乳前の子馬たちが母馬とともに立ち、名簿を手にした関係者の視線を浴びましたが、子馬にとってもよい経験になったと思われます。
 一方、24日の夜に連続して研究馬2頭が出産し、これで今年の研究馬の出産は無事終了しました。この機会にあわせ、日本軽種馬協会静内種馬場の軽種馬生産育成技術者研修生達が出産に立ち会いました。静内と浦河を何回も往復しながら、また夜はトレッドミル室で分娩馬房のモニターを監視しながら何日間も待った甲斐があり(写真4)、一晩に2頭の出産に立ち会うことができました。道外出身が多い研修生達ですが、いずれも希望に燃えた青少年たちであり、近い将来日本の「強い馬づくり」の担い手として活躍し、いつの日か彼らの中からダービー馬生産者が出現することを期待したいと思います。


写真1:ダービー当日ウィンズ静内でも販売されたJRA創立50周年記念切手 写真2:日高育成牧場の屋内角馬場に設営されたトレーニングセールせり会場
 

写真3:アエル敷地内特設会場で開かれた当歳馬展示会 写真4:出産を待つ研修生、仮眠とモニターによる監視(写真奥)を交代で行っていた。
 

写真5:生まれたばかりの羊水で濡れた子馬の体をふく研修生たち。これが子馬に対する馴致の始まりであることを教わる。 写真6:母馬から排出された胎盤を前に、南保職員の説明に聞き耳をたてる研修生たち。
 

 


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