★2004.10.4

 
 昨日、日高育成牧場内にある1600mダートコースを利用して、第38回浦河競馬祭(主催:浦河軽種馬生産振興会青年部)が行われました。浦河競馬祭は、先週新冠で行われた駒まつり同様、地元だけでなく遠くは道央、道東などの生産者や育成者が愛馬を持ちよって楽しむ草競馬です。

 午前中は、午後の決勝レースに進むための予選やポニーによる決勝レース、繋駕レースなど8レースが組まれました。第4レースは、昨年から行われるようになった軽種2歳による新馬戦(距離1600m)で、このレースに日高育成牧場で生産した2歳研究馬4頭を出場させました。昨年は、民間育成場からも2頭の参加があり、私たちの研究馬がワンツーフィニッシュを決めるなど盛り上がりました(馬の科学2004年、No1号参照)が、今年は残念ながら他牧場からの参加はなく、研究馬4頭だけのレースになりました。しかし、これも研究の一環、心拍数と速度が測定できるエクイパイロットを装着し、ゴール後は血液中の乳酸を測定するために血液採取も行いました。第4レースの結果は、軽種馬育成調教センター(BTC)職員の萩原さんが騎乗したイフが1着となりました。イフは小柄な牝馬ですが根性があり、その力量を見事にひきだしてくれた萩原さんの騎乗も光りました。

 午後は、浦河競馬祭の最高峰レースであるシンザングランプリ(GI:距離2400m)など5レースが行われ、第4レースを勝ち上がったイフは、午前のレース同様萩原さんを鞍上に、第13レースの楽古岳特別(距離1800m、7頭立て)に出場しました。イフは午前中のレースの疲れも感じさせず、勝ち馬に1馬身差にせまる2着で見事ゴールインしました。勝ったヨシノホラフキーは中標津からの参戦で、浦河競馬祭では過去のシンザングランプリで上位入賞の常連馬であることを考えると、イフの健闘は本当に素晴らしいものだったと思います。

 浦河競馬祭に研究馬を出場させることのメリットは、研究馬の能力検定のみならず、BTCの育成調教技術者養成研修生に実践的な教材を提供できることにあります。競馬祭当日は、馬運車による輸送からレース前の引き馬、レース後の馬体ケアなど、研修生たちは真剣に割り当てられた作業に取り組みながら、イフをはじめ出走した馬たちの健闘を心から喜んでくれました。この経験が彼らのこれからの人生に活きてくれればと願うばかりです。

写真1:いろいろな馬が道内各地から集まった。
 
写真2:第4レースのスタート直前、ファンファーレが鳴り止むと一斉にスタートをきる。
 

写真3:第4レースに勝ったイフと騎乗した萩原さん(左)。 写真4:ポニー限定のレース前のパドック。
 
 

写真5:楽古岳特別のゴール、イフは勝ち馬にわずかに遅れて入線した。 写真6:イフとその好走を支えた研修生たち。
 



★2004.10.11

 
 先週の5日と8日の18:30から20:30にわたり、浦河町総合文化会館ミニシアターにおいて「馬(バ)ラエティ町民講座」が行われました。主催は日高育成牧場、浦河町および日高支庁の3者で、当場は日本中央競馬会50周年記念事業の一環として、浦河町は生涯学習フェスティバル月間事業のプログラムのひとつとして、また日高支庁は日高馬王国新生事業の一環として、それぞれ本講座を催しました。当場としても、何かの機会を利用して市民講座的な“馬に関する講演会”を行いたいと考えていたこともあり、今回の3者共催による講座開催は絶好の機会となりました。

 本講座の主旨は、「日常は馬との接触が少ない一般市民に馬への関心をより高く持ってもらえるようなものとする」ということであり、具体的な計画立案や3者による打合せは7月から始めました。
 1日目である10月5日は、競走馬総合研究所の楠瀬氏(生命科学研究室長)による講演「馬が笑う、馬が泣く:行動と心理」、浦河町立図書館長の小野寺氏による絵本「砂の馬(アンターンプル作)」の朗読、日高育成牧場の朝井(生産育成研究室長)による講演「馬のライフスタイル」を行い、2日目の10月8日は、日高馬頭琴クラブの太田氏ほか1名による馬頭琴の演奏、日本在来馬に関するビデオ上映、北海道大学の近藤先生(家畜生産学講座教授)による講演「北海道における馬と人の関係」を行いました。心配された参加者数は両日とも70−80名になり、遠くは札幌からの参加者を含め、高校生から年配者にいたるまで幅広い年齢層の方々に楽しんでいただくことができました。

 本講座の主旨を理解していただき、ご多忙なところ講師を務めていただいた方々にこの場をかりてお礼申し上げます。また、参加者に配布した小冊子「サラブレッドの秘密」の提供をいただいた競走馬総合研究所に感謝いたします。

写真1:本講座のポスター。
※画像をクリックすると大きくなります。
写真2:楠瀬氏の講演は、馬という動物を知る上で新鮮な内容だった。
 

写真3:「砂の馬」朗読では、絵(マイケル・フォアマン作)を背景のスクリーンに映し出した。 写真4:馬頭琴の演奏では、背景スクリーンにモンゴルの馬や風景を映した。
 

写真5:近藤先生の講演では、それぞれの馬にあった利用方法が提示された。 写真6:幅広い層の参加者が熱心に受講した。
 



★2004.10.18

 
 16、17日の土日曜日、JRA創立50周年記念馬事文化デーとして行われた「札幌競馬場秋まつり」を応援するため、日高育成牧場からも「ポニー試乗&記念写真」と「馬学講座:サラブレッドの速さのひみつ」のプログラムを提供しました。
 ウインズ札幌B館が面している狸小路商店街を当場の人気者ポニーのパトランが、散歩したり子どもを乗せたりして、行きかう人々を驚かせていました。最近のパトランは、静内をはじめ釧路や室蘭の道内ウインズでの出番が多く大活躍です。

 馬学講座は最終レース終了後のウインズB館3階において、16日は「サラブレッドの運動機能について」、17日は「パワーをささえる食べもの、食べかた」と題し、それぞれ約30分間ずつ行いました。このような講座に対する競馬ファンの要望は、馬券的中に参考となる情報提供や純粋に馬に関する知識を得たい、というものまで千差万別です。したがって、大勢の競馬ファンに聴講していただいたというわけではありませんが、レース終了後も残って熱心に参加していただいた方々にはこの場をかりて感謝したいと思います。

写真1:狸小路商店街で行われたイベントのポスター。※画像をクリックすると大きくなります。 写真2:高舘地区の南部駒踊りも披露された。
 
 

写真3:試乗と散歩の合間はウインズ札幌B館の前に設置された特設パドックで待機するパトラン。 写真4:商店街の一角で行われた試乗を補助する日高育成牧場の塚下(右)・鈴木両職員。     
 

写真5:ウインズでは初めての試みである馬学講座に耳を傾ける競馬ファン。



★2004.10.25

 
 台風23号ならびに新潟地方を襲った大地震の被災者の方々には、心よりお見舞い申し上げます。
 さて、昨日京都競馬場で行われた菊花賞に出走したコスモバルクは残念ながら4着に敗れましたが、北海道の競馬関係者に感動と勇気を与えてくれました。今後の活躍と第2のコスモバルクの登場に期待したいと思います。
 当研究室で生産した1歳研究馬たちは、10月初旬のトレッドミルテストを終えたのち先週当場の育成馬厩舎に入きゅうし、初期馴致にはいっています(写真1,2)。順調にいけば、前年度と同様、来年春まで騎乗調教とトレッドミルによる強い運動を組み合わせたトレーニングを行い、若馬の科学的調教方法に関する研究に貢献してくれることでしょう。

 先週の22日、軽種馬育成調教センター(BTC)、十勝獣医師会、十勝農業共同組合連合会、十勝軽種馬農業協同組合の共催による研修会「強くて丈夫な馬づくりのための栄養管理のあり方を考える」が十勝農業共済組合(帯広市川西町)で開催されました。演題は、「馬のライフステージ別栄養管理」(朝井洋:JRA日高育成牧場)、「放牧地と馬の栄養管理」(河合正人:帯広畜産大学)、「骨疾患の成り立ちと予防」(兼子樹廣:BTC)で、十勝地区でこのような研修会の開催が少ないこともあってか、主催者の予想を上回る90名以上の参加者が集まり、終了予定を1時間も越えるほどの盛況振りでした(写真3,4)。十勝地区の馬産は重種馬が多く、体重増を目的とした濃厚飼料多給による飼養管理が行なわれているケースが多い可能性があり、これを原因とする消化器系のトラブルや若い馬の骨疾患発症率の増加が懸念されます。今回の共通テーマである適切な飼養管理方法の提案が、十勝地区の馬の飼養管理改善に少しでも役に立つこと、また、重種馬の用途として世界から注目されている「ばんえい競馬」の存続とさらなる発展につながることを願っております。

写真1:ロンジングに集中する1歳研究馬。
 
 
 
写真2:騎乗の第一歩である馬房内での横乗りを見守るBTC日高事業所の育成調教技術者養成研修生たち、研究馬の初期馴致は研修プログラムの一環でもある。
 

写真3:研修会の開会あいさつをされる十勝獣医師会会長の大星健治帯広畜産大学教授。 写真4:放牧地での馬の採食量や運動について説明された河合正人先生。
 

写真5:日高と帯広を結ぶ天馬街道沿いの紅葉樹。




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