★ 2004.12.6

 
 昨日は全国的に大荒れの天候で、日高も例外ではありませんでした。東京でも40mの強風が吹いたようですが、浦河でもかなりの強風が吹いたようで、当場敷地内の大木も何本かが倒れていました(写真1)。先週末もでしたが、馬を放牧していなくてよかった、と思います。

 本日、平取町の「ふれあいセンターびらとり」で平成16年度日高管内農業研究大会(同実行委員会、日高支庁主催)が行われます。本大会の開催目的は、日高農業の担い手である農業青年が情報交換を行い、さらなるレベルアップと活動の場を広げることにあります。今年の大会で発表される農業研究6題のうち、浦河4Hクラブからは「馬産地の中心で発情を叫ぶ−ライトコントロールの有用性−」と題した報告が行われます。
 そこで、先週2日に当場会議室で本番前の発表練習とスライドチェックを行いました。内容は、馬の繁殖特性や受胎の有無が軽種馬生産牧場に及ぼす影響、ある4Hクラブ所属牧場におけるライトコントロール(日照時間が短くなる冬期間、繁殖牝馬に対し馬房内で一定の時間人工照明による光刺激を与え、発情を賦活化する技術)と並行して行った血液中の性ホルモン検査などが軽種馬生産の効率化に及ぼす効果などを紹介するものでした(写真2〜7)。繁殖牝馬へのライトコントロール法は、馬の繁殖に関する研究の一環として当研究室で行っているものであり、その成果がこのように若い生産者たちの支持を受け、そして彼ら自身がその効果を発表しようとする今回の試みは、軽種馬生産地で研究を行う私たちにとって非常に感慨深いものがあります。

 今回の大会で日高支庁長賞を獲得すると来年1月に札幌で開催される全道大会(北海道青年農業者会議)に日高代表として駒を進めることができます。明確な目的と内容、発表態度や発想のユニークさ、将来への希望や実用性などが評価されるとのことですが、是非とも支庁賞を獲得して、北海道の中心札幌で乾杯!と叫んでほしいものです。
 気になる結果は次週の本日誌で報告したいと思います。

写真1:新しく研究馬用放牧地にしようと予定していた場所では2本の倒木があった。 写真2:発表練習でスライドに合わせて原稿を読む磯野君(当日は岡崎君が発表予定)。
 

写真3:ライトコントロールに要する経費の低さを強調する。 写真4:ライトコントロールの効果は血液中のホルモン検査でも明らかだ。 ※拡大できます
 

写真5:種付けにかかる経費(種付け料は除く)も結果的には低くなる。 ※拡大できます 写真6:軽種馬生産者の立場からみたライトコントロール法の利点をまとめると、、、 ※拡大できます
 

写真7:最後のスライドでは「真の光」を訴える。 ※拡大できます



★ 2004.12.13

 
 先週の日誌で紹介した平成16年度日高管内農業研究大会における浦河町4Hクラブからの発表は、アウエーである不利(やはりホームが有利らしい、今年は平取町)を見事に克服し、栄えある「最多得票賞」(支庁長賞)を見事獲得しました。内容はわかりやすく、発表も最高の出来ばえとのことでした。来年1月に開催される「平成16年度青年農業者会議」に向けて、関係者の心はすでに札幌にあります。
 
 浦河町の隣町である三石町には、町が管理運営する大規模な堆肥センターがあり、先日見学してきました。この施設は、今年の3月に完成したばかりで、1日に11.5トン、年間3500トンあまりの生糞を処理する能力があります。原料は、三石地区が誇る「みついし和牛」の糞にバーク材を水分調整のために混合したもので、約10日間かけて1次発酵したのち、2次発酵施設で約1ヶ月間処理を行い、完熟堆肥を年間に2200トン生産することができます。1次発酵では、好気性発酵菌の投入に加え独自の通気システムによって堆肥中心部の温度を約80度で維持していました(写真1,2)。また、2次発酵では、強制的に空気を送りながらロータリー撹拌機でゆっくり時間をかけて撹拌していました(写真3,4)。これらによって生産された完熟堆肥(写真5)はほとんど臭いがなく、町内の野菜や花き園芸農家に還元され有機農業に一役かっているそうです。

 本年11月から環境保護を目的とする家畜排せつ物法が完全施行されたことから、軽種馬生産および育成牧場でも堆肥舎に屋根を付設するなどの対策が求められるようになりました。馬の糞は牛糞に比べ水分含量が低く、良好な発酵には水分を補給するとともに空気を送り込むためにトラクターなどによる頻繁な切り返しが必要です。また、堆肥を還元する草地を持たない育成専業牧場では糞の処理に苦慮しているところです。こうした現状にあって、馬産が盛んな各地区に集約的な堆肥センター設置の必要が迫られているように思われます。そのような意味からも三石町の堆肥センターが注目されています。

写真1:1次発酵堆肥舎では、床面から常時空気が送り込まれている。 写真2:1次発酵堆肥の温度は表面近くでも74度を示していた。
 

写真3:2次発酵堆肥舎は全長が90m近くもある。 写真4:2次発酵堆肥舎内で自動的に運転されるロータリー撹拌機。
 

写真5:搬送を待つ完熟堆肥の山。



★ 2004.12.20

 
 平成13年以降、毎年12月中旬に「強い馬づくりのための生産育成技術講座」(日高育成牧場主催)を行っており、今年は先週の15日(浦河町)、16日(新冠町)、17日(門別町)の3日間連続で行いました。開催の主旨は、生産育成研究室などで行っている強い馬づくりに関する調査研究の成績を軽種馬生産育成関係者にわかりやすく紹介し、飼養管理の現場で実践、活用してもらおう、というものです。おもなテーマは、放牧、運動科学、栄養、蹄管理、繁殖などいずれも強い馬づくりに欠かすことのできない重要なもので、日高育成牧場の職員や外部機関の方を講師として行っています。

 今年のテーマは、日高地区農業共済組合中部家畜診療所の田原口貞生先生から(1)「子馬の胃潰瘍の診断、治療および予防」(写真1,2)、日高育成牧場の田中弘祐職員から(2)「子馬の肢軸異常の矯正法」(写真3)、同じく南保泰雄職員から(3)「空胎馬および妊娠馬に対するライトコントロール法による排卵促進」(写真4)の3題について講演していただきました。
 (1)では、現役競走馬の多くが患っているとされる胃潰瘍が、哺乳期の子馬にも認められ重度の場合は致命傷となること、十二指腸での潰瘍はロタウイル感染との関係が見られること、母馬に給与する濃厚飼料を子馬が多量に採食すると発症の危険率が高まる可能性があること、などが報告されました。
 (2)では、先天性X脚(左右あるいはどちらか一方の前肢の腕関節が内側に破折し、関節や蹄への負担が大きくなる)などの肢軸異常に対する充填剤を利用した矯正法の紹介と早期発見、早期処置の重要性が強調されました。
 (3)では、昨年来精力的にその効果を説いてきた空胎馬へのライトコントロール法を、妊娠馬にも応用する際のポイントを中心に紹介されました。会場では、昨年の本研修会に参加してライトコントロール法を導入したところ、予想以上の効果があったと講師に報告にこられた方もいらっしゃいました。
 会場で行ったアンケート調査の内容なども参考にしながら、日高育成牧場では今後もこのような研修会をとおして「強い馬づくり」に貢献していきたいと考えています。

写真1:わかりやすく説明していただいた田原口先生。 写真2:子馬の胃潰瘍についてのまとめ。 ※拡大できます
 

写真3:充填剤を蹄底に充填し過重バランスを調整することによって改善が認められた。 ※拡大できます
 
写真4:妊娠馬へのライトコントロールは、早い時期に出産する馬にみられる卵巣静止などの繁殖障害を予防する効果がある。 ※拡大できます
 

写真5:質問をする浦河地区参加者(12月15日、浦河町堺町基幹集落センターで)。
 
写真6:参加者の年齢層が若く女性が目立った新冠地区参加者(12月16日、新冠町レ・コード館で)。

写真7:大手牧場従業員の参加が目立った門別地区参加者(12月17日、門別町中央公民館で)。



★ 2004.12.27

 
 今年の競馬も有馬記念で無事終了しました。北海道民の期待を集めたコスモバルクもさすがに疲労が蓄積していたのか、11着という残念な結果に終わりました。来年のさらなる成長を期待したいと思います。

 さて、先週は2日続けて浦河地区にもまとまった雪が降りました。そのため放牧地もすっかり真っ白になってしまいました。11月末まで昼夜放牧をしていた当歳馬たちは、12月から昼間のみの放牧に切り替え、放牧地での運動量が少なくなった分を12月中旬から始めたウォーキングマシーンで補っています(写真1,2)。最初はウォーキングマシーンにはいるのを嫌がったり、歩きながら仕切りのゴム板を蹴ったりしていた馬たちも、今ではおとなしく入り、まじめに常歩をしています。現在のウォーキングマシーンによる運動量は、時速6kmで15分(距離にして1.5km)と少なめですが、年明けから少しずつ運動量を多くしていく予定です。

 つい先日、その作成が今年の大きな目標であった「軽種馬飼養標準2004年版」(写真4)が完成し納品されました。1998年にわが国で初めての軽種馬飼養標準を刊行して以来早くも6年が経過したこともあり、その間の新しい知見を盛り込んで改訂したものです。飼養標準とは動物を飼育する際の飼養管理の基準を示すテキストのようなものです。初版(1998年版)はすでに絶版状態で一部の方々からは改訂版の発行が待ち望まれていたとも聞いています。年明け早々には書棚に陳列される書店もあるかと思いますが、発見できなかった方は、発行元のアニマルメディア社(東京03-3818-8501)にお問い合わせいただくか書店でご注文(ISBN4-901071-12-2)ください。

 早いもので2月中旬から開始した本日誌も今年は今日で終わりです。来年も日高からの便りをお届けしますので、よろしければお付き合いください。

写真1:ウォーキングマシーン運動が終わったところ。 写真2:ウォーキングマシーンを出たあと、きゅう舎で馬服を着てから放牧地へと向かう。
 





写真3:吹雪の中、放牧地で遊ぶ当歳馬たち。 写真4:軽種馬飼養標準2004年版の表紙。




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