★ 2005.4.5

 
 札幌では4月にはいってもまだ80cm以上の積雪があり、これは約60年ぶり、観測史上2番目の多さだそうです。しかしその後気温も上がり、急速に雪解けが進んでいます。日高でも日陰こそ若干の残雪があるものの、放牧地から雪は消え、子馬たちも楽しそうに駆け回っています(写真1)。
 今年の雪は思わぬところにも影響を与えています。たとえば、屋外の調教コース(1600mダート)が本日現在いまだに使えず、来週月曜日に予定されているJRA育成馬展示会は別のコースを使って行なわなければならないのでは、とやきもきしています。もうひとつの影響は、「山菜の王者」ギョウジャニンニクの収穫が遅れそうだ、ということです。これを食べないと春が来た感じがしないのは私だけではないはず、すでに何回か山に入ってはまだか、まだかとやきもきしている人がいます。なぜなら、恒例のJRA育成馬出発前のギョウジャニンニクパーティーが流れると士気に影響を与える一大事!となるからです。

 4月から、日高育成牧場内にあるメモリアルホールを一般向けに公開しています。メモリアルホールとは、開拓期の官庁建築物の風格豊な旧日高種畜牧場事務所を保存するとともに明治40年以降の種馬改良の歴史などを物語る資料を展示している記念館です(写真2、3)。日高を訪れた際には是非お立ち寄りください。
 ついでにもうひとつ、場内の珍しいものを紹介します。それは、誰が見つけたのか、一部が人の顔のように見える木「人面木」(写真4)です。メモリアルホールのすぐ裏手にひっそりと立っているので、ついでに見ていってください。

写真1:雪がなくなった放牧地で元気に駆ける子馬(3週齢)   写真2:明治41年に建設された旧日高種畜牧場事務所
 

写真3:メモリアルホール内部の展示
 
写真4:見る方向によって表情を変えるという人面木



★ 2005.4.12

 
 昨日JRA育成馬展示会が無事終了しました。前夜は遅くまで雨が降り続いていたのですが、当日はうそのように晴れわたり好天のもとで行なうことができました。また、先週の本日誌で紹介した1600mの馬場も先週水曜日から使用が可能となり、展示会に向けて育成馬たちを何回か馬場に入れることもできました。育成馬の生産者や周辺の育成関係者をはじめ競馬関係者や地元行政関係の方々など昨年を上回る200名以上の来場があり、比較展示と騎乗供覧をとおして育成馬たちの成長ぶりに熱い視線を送っていました(写真1、2)。また、昨年から始めた展示会終了後の場内バスツアーを今年も行い、ツアー途中にはトレッドミルによる実馬走行も見学していただきました(写真3)。
 先週の日誌で紹介したもうひとつの心配事であったギョウジャニンニクの生育調査に本日でかけてきました。今年は雪が多かったこともあってか、陽当たりの良し悪しによって生育に差があるようでした(写真4)。したがって、収穫適期はもう少し先のように思えましたが、恒例のギョウジャニンニクパーティーは何とか行なうことができそうです。

写真1:JRA育成馬の比較展示は4班に分かれて行なわれた   写真2:BTC研修生も騎乗した騎乗供覧
 
 

写真3:トレッドミル走行デモでは心拍数を測定した 写真4:場所によって生育に大きな差があった(個人的には左から2番目がおすすめ)



★ 2005.4.19

 
 一昨日、JRA育成馬たちが出発しました。昨年までは、阪神競馬場へ向かう西組と中山競馬場へ向かう東組に分かれて半日の時間差を持って出発していましたが、今年からは全馬中山競馬場へ向かうため、馬運車10台と人員は朝5時に集合、馬を積み始めました(写真1、2)。集合時間直前から雨が降り始めたため、肌寒い中での出発準備となりましたが、育成馬たちは馬体から湯気を立ちのぼらせながら次々に積まれていきました。昨日の午前中に中山競馬場に無事到着したとの連絡があり、その後は4月25日のブリーズアップセールに向けて最終調整が行なわれます。

 旅立ちといえば、先週15日に軽種馬育成調教センターで実施している育成調教技術者養成研修の第22期生修了式が行なわれ、18名の若いホースマンの卵が巣立っていきました(写真3)。研修生の卒業文集を読むと、彼らの馬に対する豊かな感性と1年間の成長量を感じます。また、わたしたちの研究馬とともに出場した浦河競馬祭(昨年10月4日付け本日誌参照)のことが何人かの文集に書かれているのを見ると、いい経験と思い出を彼らに与える役割をしてくれたわたしたちの研究馬たちにも感謝する思いがわきました。

 巣立つものいれば新しく生まれるものあり、JRA育成馬が出発する数時間前に、今年最後の研究馬の出産があり、無事元気な子馬が生まれました。これで8頭の子馬たちすべてが無事にそろいひと安心、またにぎやかなシーズンが始まります。

写真1:この日のために入念な馬運車馴致をしてきただけあって、小雨の中積み込みはスムーズだった   写真2:10台の馬運車が青函フェリー経由で中山競馬場に向かった
 
 

写真3:修了式に先立ち、父兄と先日入校した23期生が見守る中、実技査閲が行なわれた 写真4:愛情豊な母馬と新生子馬
 



★ 2005.4.26

 
 昨日、中山競馬場でJRA育成馬を売却する第1回ブリーズアップセールが行われました。日高と宮崎の両育成牧場で育成された69頭のJRA育成馬が上場され、ダートコースでの騎乗調教供覧、装鞍所での実馬展示(写真1)を経て、午後2時からバスターミナルとセンタープラザの間のスペースに特設された会場でせり(写真2)が行なわれました。ときおり小雨が舞うような天気でしたが、152名もの馬主の来場があり、いまどきのせりでは珍しい87%もの高い売却率を記録し無事に終えました。とくに一般のせりでは売れ行きが劣る牝馬が好調で、上場馬30頭のうち29頭が落札されました。最高落札価格(2900万円)を記録したフォーティナイナー産駒も牝馬で、同馬は午前中の騎乗調教でもゴール前2ハロンを、11秒6、11秒2と出場馬の中で最高タイムを記録しました。騎乗調教供覧は、いかによいフォームで走ることができるかを見せるものであり、決してタイムを競うものではありませんが、トレーニングセールでは概ね速いタイムを出す馬の売れ行きがよいという傾向があり、今回のセールでも同様でした。
 売れ行きが好調だったという背景については今後詳細に分析する必要がありますが、都心近郊という地の利のみならず、できるだけ多くの馬主に集まってもらえるよう関係者が事前の準備を重ねた、個体情報開示室(写真3、4)を設けるなどオープンなセールとなるよう心がけ、それらが購買者に安心感を与えた、などは見逃せない要因であったと思われました。
 今回のセールで未売却に終わった馬たちは、5月12日に船橋競馬場で行なわれる千葉サラブレッドトレーニングセール、5月24日にJRA日高育成牧場で行なわれるひだかトレーニングセールに上場される予定です。
 
 JRA育成馬は、わが国の育成技術向上のための育成研究を行い、その効果を競走場裏で検証するための馬たちであることを今一度銘記し、そのためにも今回売却された馬たちのこれからの活躍を期待したいと思います。

写真1:実馬展示でも人気を集めたヘイセイサイアーの03(メジロマックイーン産駒)は1200万円で落札された。   写真2:馬もびっくりするほど多くの人がつめかけた。
 
 

写真3:実馬展示会場横の個体情報開示室では上場馬のビデオ映像やレントゲン写真が閲覧できる。 写真4:個体情報開示室内にはおなじみの生産育成研究室オリジナルパネルも展示された。




Back