★ 2005.5.3

 
 5月にはいって道南の方では桜の開花宣言もでたようです。日高ではまだしばらく先になる見通しですが、桜並木で有名な静内町の二十間道路のさくらまつりは今日から始まったようです。先週京都競馬場で行なわれた天皇賞を優勝したスズカマンボの生産牧場は静内にあり、牧場関係者にとっては格別の花見を向かえていることでしょう。ちなみに、当場正門付近まで続く浦河町西舎の桜並木で開かれるさくらまつりは来週の週末に予定されています。確かに、まだ「蕾かたし」のようです(写真1、2)。
 馬の生産に携わる人たちから、よく「桜の咲く頃はとまり(受胎率)がいい」ということばをききます。確かに5月上旬頃の交配は受胎率がよいようで、いかに出産時期が早まりつつあるとはいえ、やはり4月生まれ(5月に交配すると11ヶ月の妊娠期間を経て翌年4月に出産する)が多いのはこういった自然の摂理も影響しているようです。
 分娩前後の繁殖牝馬の体調を良好に維持することは、生まれてくる子馬の健康や分娩後の受胎率をよくすることが知られています。繁殖牝馬の体調や栄養状態を把握するためには、ボディコンディションスコアによる評点評価は有効な指標です。そこで、繁殖シーズンに軽種馬生産者がもっとも多く目にする場所、すなわち繁殖牝馬の妊娠鑑定や子宮洗浄に訪れる日高軽種馬農協や日高地区農業共済組合の診療所にボディコンディションスコアの評点方法を紹介するポスターを掲示しました(写真3、4)。評判は上々のようで、自分の牧場にも是非貼りたいという声もちらほら聞こえます。

写真1:場内にある桜の老木はまだ静かにかまえている   写真2:と思いきや、蕾はすでに準備していた(5月3日撮影)
 

写真3:次から次へと直腸検査をする日高軽種馬農協荻伏診療所の伊藤克己先生 写真4:診療所の一画に貼られているポスター     



★ 2005.5.10
 
 「花冷え」とは、桜の咲く頃に寒さがもどって冷え込むことをいうらしいですが、まさに北海度は花冷えの気候です。連休後半から全道的に低温で道央や道北では積雪もあったようです。札幌ではソメイヨシノの開花宣言が本日あったようですが、5月10日以降の開花宣言は20数年ぶりとのことで、当然のことながら浦河町の桜の開花も、もう数日ほど先になりそうです。
   


写真1:1600m馬場での調教風景を撮影する韓国アリランTVのクルー
 さて、今月下旬に韓国でアジア競馬会議が開催されます。アジア競馬会議は、アジアの競馬の発展や競馬に関する情報交換、競馬を通して互いの親善をはかることなどを目的として創設されたもので、1960年に第1回会議が開催されて以来、今年で30回目の節目を向かえます。現在は日本、オーストラリア、香港、インド、ニュージーランドなど19もの国が加盟しています。今年の開催国である韓国では競馬人気が年々高まっており、このことを各国にアピールする絶好の機会と考えているようです。先日も韓国のテレビ局が、アジア競馬会議の特集番組を作成すべく当場に取材にやってきました(写真1)。その中で、日本の競走馬の生産、育成の現状などを紹介するそうです。韓国は、日本産馬の販売先としても魅力ある市場であり、馬のみならず生産育成技術の交流も今後は盛んになることを期待します。  
   


★ 2005.5.17

 
 先週末の14、15日に予定されていた「第38回うらかわ桜まつり」は悪天候のため14日のみの開催となりました。桜まつりが雨にたたられたのは7年ぶりとのことです。また、翌日の16日に浦河測候所はエゾヤマザクラの開花を宣言しました(写真1、2)。

 さて、放牧地の方は一雨ごとに緑を増していきますが、この時期、土壌の良し悪しの差が明確に現れます。当場の研究馬が放牧されている地域の土壌は一般には黒ボクと呼ばれる黒色火山性土で、土壌成分が乏しく、細粒質で軽いため侵食を受けやすい土壌です。とくに、凍上(冬期に土壌水分が凍結して地面が盛り上がること)がやわらぐ春先は、地面が盛り上がったままになるため雨が降ると放牧馬の膝近くまでドロドロになり、冬眠から覚めた牧草の根も生育に必要な養分を十分吸収できないような状況になります。この対策として、地中から水分が抜ける4月下旬から5月上旬ころに放牧地の土壌を押しつけることを目的にローラーをかけています(写真3)。

 今年生まれた子馬たちも早い馬はすでに生後2ヶ月を過ぎました。この頃になると子馬は母馬のえさをいっしょに食べるようになります。しかし、母馬のえさの食べ過ぎは、子馬の発育速度を速め栄養素のバランスをくずし、結果的に関節や腱などの運動器に異常を起こす原因となります。そこで、この時期になると子馬専用のえさを与え始め、また母馬のえさをなるべく食べさせないような工夫をする必要があります(写真4)。

写真1:ライトアップされた西舎の桜並木は3分咲きだった(5月14日撮影)   写真2:満開となった場内の老木(5月16日撮影)
 

写真3:放牧地のローラーがけ作業
 
写真4:母馬のえさ桶の縁に板を張り子馬が食べられないようにした



★ 2005.5.25

 
 23、24日の2日間にわたり、日高で2歳馬のトレーニングセールが行なわれました。
 23日は日高軽種馬農業協同組合の主催で新冠にある日高軽種馬共同育成公社において公開調教が、その後静内の北海道市場に場所を移してせりが行なわれ、24日にはひだか東農業協同組合が主催してJRA日高育成牧場で公開調教ならびにせりが行なわれました(写真1、2)。
 両日ともときおり小雨が降る肌寒い日でしたが、23日は上場頭数126頭のうち64頭が、24日は110頭上場され55頭がそれぞれ売却され、いずれもまずまずの成績でした。最高売却価格は、23日は2730万円(デヒア産駒の雄)、24日は2835万円(アグネスタキオン産駒の雄)でした。注目は韓国馬事会ならびに韓国の馬主団体の積極的な購買で、売却率向上に一役も二役もかっていました。とくに、23日のせりでは売却頭数の約3分の1にあたる合計22頭もの2歳馬を購買していました。これには、昨年日本で購買され韓国で競走馬としてデビューした馬たちの成績が非常に良好であることが大きく影響を与えているようです。今後も日本産馬の有力な販売先として積極的な購買が期待されるとともに、馬という産物だけではなくその生産や育成技術の交流も盛んになっていくことが望まれます。
 また、本日の午前中には昨年に引き続き、ひだか東農業協同組合主催による良質当歳馬展示会が行なわれました(写真3)。この展示会には、トレーニングセールという購買者が参集する機会を有効に利用し、できれば今後の購買計画の参考としてもらおうという目的があります。しかし、トレーニングセール翌日の開催ということもあり、購買者の参集状況に若干寂しい印象はぬぐえませんでした。

写真1:24日は当場の1600mダート馬場を使って公開調教が行なわれた   写真2:午後2時から行なわれたせりには多くの購買者が詰めかけた
 

写真3:25頭の当歳馬が展示された
 
写真4:当場の調教場を見学する韓国のソウル馬主協会、果川(カチョン)馬主協会のメンバー



★ 2005.5.31

 
 一昨日、東京競馬場で行なわれた第72回日本ダービーは圧倒的1番人気に推されたディープインパクトがその強さを証明するレースとなりました。
 ディープインパクトに関する話題のひとつに「小柄」というのがあります。小柄であることを論じる材料は出走時体重しか手元にないのですが、確かに448kg(それでも前走に比べプラス4kg)という今回の出走時体重は、過去のダービー馬に比べ軽いといえます(図1)。平成元年(1989年)のダービー馬ウイナーズサークルから昨年のキングカメハメハまでの16頭のダービー出走時体重の平均は475kgですから、ディープインパクトは平均より27kgも軽いことになります。なお、16頭のうち、もっとも軽かった馬はアグネスフライト(平成12年)の452kg、もっとも重かった馬はアイネスフウジン(平成2年)の514kgで意外や500kgを超えた馬はこの1頭だけでした。ちなみに、平成元年以降昨年までのオークス馬の平均は437kg、今年のシーザリオは460kgでしたから、今年のオークスではダービーと逆の現象がみられたということになります(図2)。
 秋の菊花賞に向けてどの程度体重が変化するのか興味あるところですが、平成元年以降昨年までの菊花賞馬の出走時体重の平均が484kg、そのうちナリタブライアンはダービー出走時468kg、菊花賞出走時が470kgであったこと、などから考えるとディープインパクトの3冠をかける菊花賞は450kg台での出走となるのでしょうか。ちなみに、第53回菊花賞馬ライスシャワーは438kgとかなりの軽量でした。
 ところで、体重の重い競走馬は屈腱炎をおこしやすいといわれています。これを間接的に説明する調査成績として、平成9年の2歳馬を対象に行われた健康馬と屈腱炎発症馬との体重を比較したものがあります。これによると、雄馬では健康馬の平均が460kgに対し屈腱炎発症馬では478kg、雌馬では健康馬439kgに対し屈腱炎発症馬では451kgと、いずれも屈腱炎発症馬は体重が重いということが示されています。しかし、体重が重いと屈腱炎を発症するということではなく、休養後などの太めの馬の調教には十分注意を要するということはいえそうです。

図1:ダービー勝ち馬の出走時体重  
 

図2:オークス勝ち馬の出走時体重




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