★ 2005.11.1

 
 先週の土曜日、日高・平取「馬の文化とアイヌ民族の物語」という名の観光ツアーが当場を来場しました。雨の中での短い時間でしたが、場内調教場などの見学と当歳研究馬を前に馬に関するいろいろな説明をさせていただきました(写真1、2)。馬に初めて触れた方も多く、多くの質問を受けました。
 このツアーは、北海道文化振興課が、北海道の文化を活用した魅力あふれる地域づくりの推進や、北海道文化の幅広い情報発信を行なうための「アートツーリズム」の効果を調査検討するためのモニターツアーです。モニターとして札幌から24名の参加者に加え、ホテルクラビーサッポロの料理長である貫田圭一氏も随行され、前夜はアエル(写真3)で日高特産の鮭「銀聖」をはじめ、日高の食材を活用した夕食会も催されました。

 ツアーといえば、当場でも4月下旬から先週まで毎週水曜日に一般の方を対象に場内見学バスツアーを行なってきました。参加者は、地元浦河町の方から遠くは関西、九州の方まで合計144名で、参加者からいただいたアンケートによると、馬の調教が間近で見られて満足されていたようでした(写真4)。今月からはこのツアーもオフにはいり、再開は来年春です。ご来場いただいた皆さん、ありがとうございました。

写真1:当歳馬と記念撮影した後のきゅう舎で、やはり女性が多かった   写真2:満足されて「北海道遺産の旅」専用バスで当場をあとにした
 

写真3:本日誌でたびたび話題になる乗馬体験宿泊施設「アエル」の全景 写真4:ツアー参加者のニーズは、馬の調教見学が圧倒的に高い



★ 2005.11.8

 
 先月末に東京で開催された東京国際映画祭で最高賞であるグランプリを受賞した作品「雪に願うこと」(監督:根岸吉太郎)は、ばんえい競馬をテーマにした映画です。また昨年秋には、「北海道の馬文化」として、ばん馬は日高のサラブレッドとともにその存在が次の世代に引き継ぐべき北海道の大切な宝物として北海道遺産に認定されています。
 このように、ばんえい競馬にとっては、この上ない追い風が吹いているといっても過言ではないのですが、競馬の経営状態は非常に厳しいものになっているようです。こうしたなか、ばんえい競馬を運営する旭川、帯広、北見、岩見沢の四市は、今年から経営再建五ヵ年計画を策定し、広報強化など各種の取り組みに挑んでいるところです。
 ばんえい競馬の主役であるばん馬は、北海道開拓時代に農耕用馬としてフランスやベルギーから輸入されたペルシュロン種やブルトン種などの重種馬の末裔です。また、ばんえい競馬は、当時の農閑期に互いの馬の能力を競うお祭ばん馬を起源とするもので、世界に類を見ない文化に成長し、重種馬の用途として世界的にも注目を浴びています。
 
 絵本「赤べえ」(写真2)は十勝馬事振興会が昨年発行し道内の小学校に配付したもので、昭和30年代の北海道で活躍した農耕馬と人々の深いつながりを物語るものです。http://www.nokyoren.or.jp/akabe.htmで閲覧することができますので、是非読んでみてください。

 迫力あるばんえい競馬と雄大なばん馬を全国の人たちに知っていただき、そしてばんえい競馬が今後も末永く継続されることを願うばかりです。

写真1:北海道市営競馬組合のばんえい競馬のポスター (クリックすると大きくなります。)   写真2:絵本「赤べえ」の絵はばんえい競馬で厩務員をしている谷歩氏による



★ 2005.11.15

 
 先週10日、北海道のすべての馬関係者は大きな安堵を覚えました。高橋はるみ北海道知事が記者会見で来年度以降も道営ホッカイドウ競馬を存続させる意向を表明したからです(写真1)。北海道の財政が危機的状況にあるなか、今年は道営競馬の経営改善5ヵ年計画の最終年度にあたっており、知事の存廃に対する決定を、固唾を飲んで見守っていたところでした。道地方競馬運営委員会が提出した継続を求める建議書に沿う形での意向表明となったわけですが、「採算性と馬産地振興のバランス」を重視しながら年内に最終決断が示されるとのことです。いずれにしても、これで問題が解決したわけではなく、今後は高いハードルを設け収支改善していくことが存続条件であり、さらなる努力が必要になってきます。

 秋も深まるこの時期、日高の各地では研修会が催されます。
 先週8日には恒例の日高装蹄師会主催による会員向け研修会がBTC診療所で行なわれました。講師は日本装蹄師会装蹄教育センターの青木研究部長(写真2)とノーザンファームの菅谷獣医師(写真3)で、非常に有益な研修となりました。
 また、10日には新冠青年部の主催で新冠レ・コード館において、ノーザンファームの馬づくりを学ぼうという研修会がありました(写真4)。講師はノーザンファームの中島獣医師で、急きょ会場を変更しなければならないほどの参加者があり大盛況でした。生産馬が大活躍しているノーザンファームで核となって活躍している人材がこのように講師となって日高に派遣され、惜しみなくその技術を披露してくれることに対し、その懐の広さに頭が下がる思いでした。

 今月24日には、浦河で開催する研修会(当場とひだか東農協による共催)でも、ノーザンファームの秋田場長が講演されます(本HP「日高だより」にある「講習会・研修会のお知らせ」をご覧ください)。多数の参加をお待ちしています。

写真1:11月11日の北海道新聞(朝刊)第1面に掲載された記事


写真2:菅谷先生の講演「装蹄師と獣医師のより良い関係を目指して」に先立ち、講師紹介をする青木先生

 

写真3:適切な削蹄の効果を削蹄前後のレントゲン写真でわかりやすく説明した 写真4:中島先生の講演では、軽種馬飼養標準の紹介も行なわれた



★ 2005.11.22

 
 先週17日、当場で「生産地獣医技術向上研修会」を開催しました。この研修会は、生産地で活躍する獣医師を対象としたもので、近年重要度が増している育成馬に関する獣医技術を学んでもらおうという趣旨で行いました。参加者は、日高、胆振地区の獣医師約40名で、JRA育成馬の育成状況、跛行診断、装蹄判断のための歩様検査、レントゲン撮影法、育成馬および競走馬に見られるおもな運動器疾患の紹介など、真剣に受講していました。
 とくに好評だったのは、先月行なわれた第58回全国装蹄競技大会で見事農林水産大臣賞の栄誉を勝ち取った当場の種間職員による装蹄判断のための歩様検査で、一流の装蹄師が馬の歩様からどのようなことを見ているのかを参加者一同真剣なまなざしで聞いていました(写真1)。また、業務課に所属する頃末職員によるレントゲン撮影法では、ターゲットとする部位の鮮明な画像を得るために撮影機の角度を微妙に調節する技術が披露され、これまた参加者の目を釘付けにしていました(写真2)。
 
 効果的な生産育成技術の普及方法が模索されるなか、こうした指導者層のレベルアップに直結する研修会を今後も企画、実施していきたいと考えています。

写真1:獣医師と装蹄師の連携を目指すための効果的な研修となった   写真2:的確な診断をするためには、的確な画像を撮る必要がある



★ 2005.11.29

 
 今週も研修会の話題です。先週24日、当場とひだか東農業協同組合の共催で、浦河町総合文化会館において「強い馬づくり」研修会を行いました。講師は、服巻滋之氏(ハラマキファームクリニック、写真1)と秋田博章氏(ノーザンファーム、写真2)で、この二人の講演を聴くために何と400人もの軽種馬生産、育成関係者が集まりました(写真3)。
 かつて白老ファームでゼンノロブロイなどを生産した経験を持つ服巻氏の講演では、ボディコンディションスコアを利用した繁殖牝馬の栄養管理で早期流産などの生産リスクを低減できることや、適切な放牧地管理が強い馬づくりの基礎になること、などが説明されました。
 また、最近の10年間で5頭ものダービー馬を送り出しているノーザンファームの秋田氏からは、当歳馬の運動器異常のチェック方法や対処方法、夜間放牧の利点と実施方法、などノーザンファームで行なわれている管理方法などについて紹介されました。とくに、最後のスライドで示した10年前と現在の1歳馬の馬格の比較は、ノーザンファームにおける管理方法の進化を表しているという説明は印象的でした。
 400人の参加者には非常に印象に残る研修会であったことと思います。学んだことのうちのひとつでも、できることから実践していってもらえれば、と思います。

 昨日の28日、東京大学で行なわれた日本ウマ科学会学術集会では、「スターホースの走りを科学する」というシンポジウムが行なわれました。あふれんばかりの聴衆が見守る中、多彩な顔ぶれの5人の演者が、それぞれの視点からディープインパクトがいかにすぐれた競走馬であるかを紹介しました。科学の進歩がディープインパクトの強さを証明したことに大きなインパクトを受けました。その科学で、いつの日かディープインパクトのような強い馬を生産育成する方法が見出せれば、と思うばかりです。

写真1:服巻氏は日本人で始めての競走馬の生産育成コンサルタントだ
 
  写真2:強い馬づくりのためには、血統のみならず、栄養、運動、管理、放牧、スタッフなどすべてのことが大切だと語った秋田氏
 

写真3:研修会で400人も集まったのは異例中の異例だ 写真4:講演に引き続き、軽種馬生産振興会青年部の部長たちと意見交換会を行った
 

写真5:講演のあと、ディープインパクトに関する質問を受けるシンポジストたち 写真6:第1面でシンポジウムを取り上げた翌日のスポーツ紙 ※拡大できます




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