★ 2005.12.6

 
 日高の寒さもこれから本格的になってきます。当歳馬では、これまで行なってきた昼夜放牧から昼間だけの放牧に切り替えるとともに、運動量の低下を補完するためにウォーキングマシーンで運動させますが、その馴致も行なう必要があります。また、この時期に馬服を着せる馴致を行なったり(写真1)、放牧地に草架を設置したり、いざというときのための凍結防止剤を準備したりします。
 当歳馬へのウォーキングマシーンによる運動は慎重に行なう必要があります。急に強い運動をさせると蹄や関節への負担が大きくなり、運動器疾患などの原因になるので、様子を見ながら徐々に増加するようにします。わたしたちが行っている方法は、2−3日の馴致の後、2-3週間は時速5−6km程度で10分間の常歩運動にとどめ、年内は同程度の速度で時間を15-20分程度行なえるようにしています。年が明けると、速度と時間をさらに増やしていく予定です。また、右回りと左回りを日替わりで変えていくことも重要だと思います。

 このような冬期の飼養管理方法を学ぶために、静内の日本軽種馬協会で軽種馬生産育成技術者研修を受けている第27期生12人が先週2日にやってきました(写真2−4)。今年の3月末から研修が開始した彼らの当場での実地研修受け入れは、7月、10月に続き今回で3回目になります。次回は、来年の2月前後、繁殖牝馬の出産時期になります。

写真1:11月末の昼夜放牧最後のころ、馬服を着て放牧地を走る当歳馬たち   写真2:当歳馬の蹄の様子を観察する
 
 

写真3:この日がウォーキングマシーン馴致初日となった 写真4:馬が歩く場所で凍結がある場合は、予め凍結防止剤を散布し安全を確保する



★ 2005.12.13

 
 浦河では週末にまとまった雪が降り一面真っ白になったと思いきや、昨夜遅くから今朝未明にかけてさらに雪が降り、すっかり周囲は雪野原に化してしまいました(写真1)。原因は、真冬なみの寒気団が北海道上空に停滞していることによるようです。

 そんな天候のなか、昨日は当場で日高地区獣医師を対象とした繁殖に関する研修会を開催しました。午前中は、定期的に実施しているカラードップラ超音波診断装置を利用した妊娠馬の子宮機能測定についての検討会を行ない(写真2)、午後からは、帯広畜産大学大動物特殊疾病研究センターの石井三都夫先生を招き、「繁殖牝馬の分娩生理学および分娩誘発について」の講義を行なっていただきました(写真3)。積雪の中、遠くは胆振、門別からの参加者も含め約30名が参集し、まもなく始まる繁殖シーズンに向けて有意義な研修会とすることができました。

写真1:積雪の上を元気に走り回る当歳研究馬たち(先週掲載した写真と同じ放牧地で撮影) ※動画はこちら   写真2:子宮動脈への血流など貴重なデータが集積しつつある
 
 

写真3:石井先生は釧路地区NOSAIで勤務後、本年から帯広畜産大学で教鞭をとっている 写真4:雪野原の放牧地に迷い込んだエゾシカ



★ 2005.12.20

 
 先週16日、当場で軽種馬育成調教場を利用する育成関係者との「育成に関する意見交換会」を開催しました。第3回目の開催となった今年のテーマは、関係者からのニーズが高かった「栄養」で、生産育成研究室の松井職員から「育成場の栄養」、山野辺業務課長から「JRA育成馬とアンケート調査から見た飼料給与方法の現況」についてそれぞれ話題提供を行い、後半にメインとなる討論会に移行しました(写真1)。討論会は当初、展開が読めずどんな議論になるか心配されましたが、調教と飼料給与タイミング、有機ミネラルの効用、トレセンでの飼料給与とのギャップ、植物油の種類とその付加価値、飼料コスト、海外での給与方法など、さまざまな話題について白熱した議論が行われ、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

 昨日から連続3日間の予定で、これまた恒例となっている軽種馬生産関係者を対象とした「強い馬づくりに関する生産育成技術講座」を行なっています。昨日は門別地区で行い(写真3、4)、今日は新冠地区、明日は浦河地区で行う予定です。今年のテーマは、「繁殖牝馬、当歳馬、1歳馬の護蹄」「繁殖牝馬の分娩および分娩後発情の管理法」「最近の馬栄養に関する話題」です。この研修会は、平成13年から毎年この時期に開催しており、今年で5年目となります。3地区での参加者の合計は例年200-250人程度ですが、11月24日に浦河で行った研修会(11月29日付け日誌参照)での参加者数400人には及ぶべくもありません。今後、普及を目的とした研修会の方法や内容について要検討です。

写真1:討論形式のテレビ番組を参考に、討論参加者を中心に配置する方法で行なった   写真2:終了後も場所を移して、夜更けまで議論は続いた
 

写真3:門別地区では約60名が参加した
 
写真4:繁殖に関する講演を行なった日高地区農業共済組合の後條力獣医師



★ 2005.12.27

 
 先週の日誌で紹介した「強い馬づくりに関する生産育成技術講座」の最終日は21日、浦河で行いました。当日は、今回開催した3地区の中ではもっとも多い100人を超える参加者があり、講演後の質疑も活発に行なわれました(写真1)。近年、参加者数が少しずつ減少傾向にあったので、浦河地区での参加者数は当初80名前後と予測していたのですが、うれしい誤算でした。軽種馬生産地における危機感のあらわれかもしれません。

 12月の浦河地区としては例年になく降雪量の多い年になりましたが、妊娠馬のおなかの大きさが気になる時期になるところです。近隣の生産牧場でも、1月中旬には分娩予定日を控えている繁殖牝馬もいるようです。私たちの研究用繁殖牝馬のなかでは、予定日がもっとも早いのは1月下旬です。一方、出産を控えた馬の運動不足は難産の原因になるとされていますが、とくに分娩時期が早い馬にとっては放牧地が雪や氷に覆われることもあって、何らかの対策が必要と考えられます(写真2)。一般的な対策は、引き馬やウォーキングマシーンによる運動ですが、私たちは分娩予定日の約1ヶ月前からウォーキングマシーンによる常歩運動を行うことにしており、先週から予定日が比較的早い3頭に対し行なっています。しかし、その運動が繁殖牝馬にストレスになるようでは逆効果となる可能性があるので、現在は時速5kmで15-20分間程度としています(写真3)。他牧場での運動状況も同じようで、長くても30分間程度のようです。

 ウォーキングマシーンは当歳馬にも利用しています。目的は、やはり放牧地での運動量が低下する冬期間の運動量確保で、現在は時速6kmで20分間行なっています(写真4)。

 さて、今年の日誌も今回が最終回です。また、来年ご愛読いただければ幸いです。来年の日誌では、子馬の出産シーンを手始めに、いろいろなシーンを動画で掲載する予定です。ご期待ください。

写真1:盛り上がった浦河での研修会   写真2:草架の周りから動かない繁殖牝馬
 

写真3:順次ウォーキングマシーンに入れていく 写真4:ひたむきに歩く当歳馬




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