★ 2006.3.7

 
 日高地方では3月にはいってから雪解けがすすみました。当場周辺では、まだ若干雪は残っていますが、放牧地の馬たちの行動範囲は広まったようです(写真1)。

 近年、1、2月生まれの早生まれ子馬が増えたせいか、周辺の牧場では出産や種付けなど、すでにシーズン真っ盛りといった感があります。早生まれ子馬の生産は、軽種馬生産者にとって「当歳や1歳での販売時期に少しでも大きな体格とすることは販売上有利」というメリットがあるようですが、生まれてくる子馬にとって極寒の環境はいきなりの試練となります。4、5月生まれの子馬では、生まれてまもなくの時期に緑の放牧地で駆け回ることができるのですが、早生まれの子馬ではそうはいきません。そこで、浦河町のとある牧場では、「生後間もないころの自由な運動は、子馬の運動神経系の発達に重要な働きをしているはず」との考えから、早生まれ子馬にも活発な運動ができるようにと専用の屋内パドックを建設しました(写真2、3、4)。かなり思い切った先行投資であったと思われますが、子馬の行動を見る限り、今のところはねらいどおりの効果が得られている、とのことです。
 近い将来、あちこちの牧場に、このようなパドックが見られるようになるかもしれません。

写真1:1歳研究馬の放牧地(3月4日撮影)   写真2:屋内パドックの前景(10m×20m)
 

写真3:壁面と屋根は、十分な光透過性と強度を有するフィルムが素材となっている 写真4:ウッドチップの上を元気に走る子馬
 



★ 2006.3.14

 
 先週、8日は新冠で、9日には浦河で日高支庁(農務課)が主催する「強い馬づくり研修会」が行なわれました。この研修会は、各地区の軽種馬生産振興会青年部のメンバーを地域のリーダーに育成することを支援する日高支庁の独自事業の一環として行われたもので、当場の2名が「強い馬づくりのための飼養管理」「効率的な繁殖管理を目指して」と題して講師を務めました。参加者は両地区とも青年部員を中心とした40−50名でしたが、強い馬づくりのための生産育成技術を学ぼうと熱心に聞き入っていました(写真1)。研修の成果が現れることを切に期待します。

 10日には、同じく日高支庁(地域政策課)主催の「馬(バ)ラエティ町民講座」が静内町で行なわれました。1月24、27日に浦河で開催された町民講座の続編で、今回は、北海道大学の秦寛先生による「馬と森の話し」、日高馬頭琴クラブによる「馬頭琴演奏」(写真2)、当場からの「馬のライフスタイル」で構成されました。普段の研修会とは異なる参加者層ですが、馬という動物を理解しようという参加者の気持ちが伝わってくる催しでした。

写真1:講演後質問者に囲まれる南保先生
 
  写真2:講座の様子をNHKが収録し、今日のローカルニュースで紹介した



★ 2006.3.21

 
 先週14日、この日誌でも何回か登場した日本軽種馬協会の生産育成技術者研修第27期生の修了式が静内種馬場で行なわれました(写真1)。1年間の研修を無事に修了した12名はこの日、修了式の前に最後の乗馬訓練を家族や来賓の前で披露し、1年前は馬に乗ったこともなかった生徒たちとは思えない見事な騎乗ぶりをみせてくれました(写真2)。ところで、彼らを乗せた12頭の馬のうちの2頭は、私たちが研究馬として生産した馬で久しぶりにその元気な姿を見られたのも収穫のひとつでした(写真3)。乗馬として健気に役立っているのを見るのは生産者としてうれしいものです。さて、研修生たちは、競走馬の育成場や生産牧場にこのあと就職しますが、初心を忘れることなく研修で学んだことを活かして、それぞれの職場で「強い馬づくり」を実践していってほしいものです。

 東京では今日、桜の開花が宣言されたそうですが、北海道は大荒れの天気となりました。昨日から今朝にかけて北海道東部沖に発生した低気圧が台風なみに発達し、浦河でも30メートルの強風が吹き荒れました。強風の日は、放牧地で樹木が倒れないかどうか、枝が放牧している馬の上に落ちてこないかどうか心配します。案の定、ある放牧地で草架(乾草をいれておく架台)が倒れましたが、運よくその放牧地には馬を放牧していなかったので事なきを得ました(写真4)。

写真1:研修生代表が心のこもった謝辞を述べた   写真2:最後の乗馬訓練を家族が見守った    
 

写真3:平成11年生まれのモーニングモモコががんばっていた 写真4:放牧地で横倒しになった草架
 



★ 2006.3.28

 
 先週23日、静内町コミュニティセンターで、日高支庁が主催する「軽種馬経営体育成シンポジウム」が開催されました。基調講演として、競馬コラムニストの河村清明氏による「外部からみた馬産地・日高の傾向とこれから」、福島大学の小山良太助教授による「グローバル競争下における軽種馬経営の戦略課題」が行なわれたあと、北海学園大学の古林英一教授をコーディネーター、河村氏、小山助教授のほか日高管内の軽種馬生産振興会青年部の代表4名をパネリストとしたパネルディスカッションが行なわれました(写真1)。
 講演で、河村氏は、軽種馬生産現場における変化のなさを指摘し、現状認識と明確な目標設定の必要性を強調し、具体的な方法を示唆されました。経済学が専門の小山助教授からは、既存の軽種馬経営モデルの現状分析と将来を見据えた新しい経営モデル(高度生産体系化、多角化あるいは分業化、大規模化、安定・共同化)などが提案されました。 
 パネルディスカッションでは、4名の青年部代表から現状の認識や今後の取り組み方法に対する考え、また共同化の失敗事例などが述べられ、講師2名との間で活発な意見交換が行なわれました。いずれにしても、何かしなければならない時期に来ていることは確かであり、とくに若い生産者の活動に期待したいと思います。

 当場の研究用繁殖牝馬の出産は、昨日で9頭すべてが無事に終わりました。子馬の内訳は雄3頭、雌6頭で、これが一般の軽種馬生産牧場なら嘆き悲しむ結果となりました。最初に生まれた子馬(2月7日付け日誌参照)をはじめ9頭とも元気で、現在は冬期の放牧環境の違いが子馬の行動に及ぼす影響を検討するため、日替わりでいろんな放牧地で放牧されています(写真2)。この試験の成績はいずれ近いうちに紹介したいと思います。

写真1:興味深い議論が行なわれたパネルディスカッション
 
  写真2:すっかり雪解けした放牧地での親子の放牧、後方に1頭でポツンとしているのが最初に生まれた子馬(3月28日撮影)




Back