★ 2006.9.6

 
 札幌管区気象台によると、今年の8月は道内の観測地点のすべてで月平均気温が平年を1.5-2.8度上回るという記録的な暑い夏となったようです。1日の最高気温が30度以上となる「真夏日」は札幌で13日(平年は4.5日)もあったそうです。浦河でも「真夏日」が観測され(といっても30.3度、全国から「そんなの暑いうちにはいるか!」と叱られそうですが)、25度以上となる「夏日」の日数は平年の倍以上あったとのことです。一方、降水量は平年の5分の1以下であり、高温乾燥の8月であったといえます。

 さて、9月ともなると軽種馬生産牧場では子馬の離乳が始まります。当場で生産した研究馬たちも昨日から離乳を開始しました(写真1)。一般的な子馬の離乳時期は生後5-6ヶ月で、4月生まれだと9月ころに行ないます。ちょうど、1歳馬がせりで売れて退きゅうすると馬房が空き、離乳ができるという好循環になるわけです。しかし、最近のように2、3月生まれが多くなると8月には離乳時期を迎え、1歳馬が売れないと馬房も空かないという悪循環に陥ります。
 ディープインパクトなど数多くの活躍馬を生産しているノーザンファームの離乳の条件は、4ヶ月齢以上に達していること、体重が230kgに達していること、エンバクやサプリメント飼料などを1日に1kg以上摂取できるようになっていること、だそうで理にかなった設定であると言えます。

 最近、離乳以降の子馬を各生産牧場から集合させて広い放牧地で放牧をさせるための「中期育成場」という施設が増える兆しがあります。強い馬づくりにとって、広い放牧地は必要不可欠な施設であり、馬房の悪循環から逃れるためにも有効と考えられます。

写真1:お互い母馬のいなくなった子馬どうしは仲がいい



★ 2006.9.12

 
 先週の日高は天皇皇后両陛下の行幸啓にわき返りました(写真1、2)。7日に公務で訪れた札幌から苫小牧経由で新ひだか町静内まで、8日には静内から浦河を経由し、今回の目的のひとつであり天皇陛下の念願であったというえりも岬の植林地の視察をされ様似町でご宿泊、翌9日に天馬街道経由で十勝地区を視察後帯広空港から無事帰京されました。途中各所に立ち寄られ、日高地区が軽種馬の産地であるということもご記憶にとどめられたとのことでした。

 10日は静内にある乗馬施設「ライディングヒルズ静内」で、馬を中心としたお祭り「オーマイホースフェスティバル」が開催されました。好天のもととはいきませんでしたが、静内農業高校馬術部や日本軽種馬協会生産育成技術者研修生による騎乗供覧や障害飛越競技、無料体験乗馬などのプログラムが組まれていました。また、今年の5月に「ライディングヒルズ静内」にやってきたNHK朝の連続ドラマ「ファイト」で主人(馬)公を務めたサイゴウジョンコが当場し(写真3)、武豊騎手役で出演した武豊氏が騎乗するとサイゴウジョンコの走りが見違えるように変わったことや武豊氏が「ハルウララよりも速い」と言っていたことなど撮影時の裏話も紹介されていました。
 ダンスアワルツという競走馬名で走っていたときはあまりいいことがなかったサイゴウジョンコ、生まれ故郷であるグランド牧場のすぐそばで馬好きの人々に囲まれて余生を過ごすことができるなんて、こんな幸せな馬はめったにいるものではありません。

写真1:9月8日付けローカル新聞の見出し   写真2:9月9日付けの同じく見出し
 

写真3:少しカリカリしていたサイゴウジョンコ    写真4:ライディングヒルズ静内のきゅう舎にはサクラユタカオーがいた



★ 2006.9.20

 
 先週16、17日と別海町で「別海町産業祭協賛第33回別海町馬事競技大会」が行なわれ、初日だけ訪れる機会がありました(写真1、2)。別海町は道東の野付郡にあり、釧路からさらに北東へ車で1時間ほどのところにあります。浦河からもポニー少年団など人馬が参加し、優秀な成績を収めていました。別海町は今でこそ道内有数の酪農地帯として有名ですが、開拓当初は人と馬の血のにじむような苦労があったとのこと、会場内の像や石碑に当時の様子を偲ぶことができます(写真3、4)。当時の馬といえば、軽種馬ではなく和種馬や重種馬であり、この歴史ある馬事競技大会においても2日目には多くのばんえい競技が組まれていたことからも別海町の人々と馬の絆をうかがうことができます。

 昨日は、ひだか東農業協同組合が設立した有限会社「優駿サポート」が主催する強い馬づくりに関する技術講習会が当場において行なわれました(写真5、6)。この講習会は、参加者限定で来春まで都合6回のシリーズで行なわれ、今回が第3回目となります。今回のテーマは、「歩様検査の基本と装蹄師の考え方」(講師:種間誠氏)と「離乳前後の子馬の飼養管理」(講師:服巻滋之氏)で、約70名の参加者がありました。とくに、種間講師の講演は実馬を使用して行なわれ、普段は装蹄師まかせの蹄管理を生産者にもっと問題意識を持ってもらえるよう企画されたもので、いずれの参加者も興味津々で聴いていました。日高育成牧場では今後も強い馬づくりに対し、さまざまな側面から支援していくつもりです。

写真1:迫力あるレースが次々と行なわれた。馬場内側にはばんえい用の障害コースもあった   写真2:道東地区ではおなじみの繋駕レース   
 
 

写真3:「別海町開拓の馬」像 写真4:「家畜感謝の碑」
 

写真5:乾草庫内で行なわれた実馬講習
 
写真6:当場大会議室があふれんばかりの参加者が集まった



★ 2006.9.27

 
 気が付けば9月も今週で終わり、まもなく山の木々もあざやかに色づくことでしょう。浦河地区の最低気温はまだ15度前後ですが、昨日のニュースによると北海道内陸の山間部ではすでに0度が観測されたとのことです。

 育成馬の初期馴致も順調に進んでおり、先日はその様子をNHK室蘭支局が取材し、全道にニュースとして放映されました(写真1)。馬の背中に人が乗って自由に操るということは一見当たり前のように思われがちですが、そこに至るまでには人と馬の間にいくつもの約束事を積み重ねなければなりません。こうした馬とのつながりを一般の方々に少しでも知っていただけることができれば幸いです。今週末、フランスの凱旋門賞レースに出走するあのディープインパクトも人との約束事をきちんと理解できているから、あのように集中して実力を発揮できるわけです。

 最近、近隣の小学生たちが相次いで登場の施設見学に訪れています(写真2)。こどもたちは離乳した子馬たちに触れ、育成馬の調教風景を見学し、ベテラン職員にいろいろな質問を浴びせて帰っていきます。馬との楽しい1日を提供することができたとすれば、これまた私たちにとってもうれしい限りです。

写真1:ドライビング風景の収録   写真2:子馬もこどもたちには馴れたものだ




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