★ 2007.8.1

 
 内地では暑い日が続いているようですが、7月末の日高は最高気温が20度を少し超える程度、このまま秋になっていくのでは、と思うような涼しい気候が続いています。

 さて、先月から実施している当場内のバスツアーは順調に見学者の客足を伸ばしています。今年は、ツアー中に期間限定サービスを行っており、先日のツアー客には馬車に乗車してもらい好評を博しました(写真1)。というのも、月末に行われる「うらかわ馬フェスタ」(下記参照)での馬上結婚式の馬車の準備を兼ねて行ったもので、まさに一石二鳥でした。

 先々週の20日には、小雨降るなか十勝軽種馬農業協同組合(中川郡幕別町)において、「軽種1歳駒品評会」(十勝軽種馬農業協同組合主催)が開催されました(写真2、3)。出陳馬頭数8頭のなかから最優秀賞に選出されたのは、トゥービー2006(雌、イブンベイ産駒、小野瀬晃司牧場生産)でした。ちなみに、昨年の最優秀賞馬はトゥービーの母であるリトルバンデーラの2005年産駒でしたから、この系統は品評会ではおなじみとなりました。

 先週末28、29日、馬に関する日高の一大イベント「うらかわ馬フェスタ」が当場内特設会場で行われました。前夜祭である28日のメインイベントは何と言っても馬上結婚式、多数の応募者の中から厳正なる審査によって選ばれた3組のカップルが大勢の参加者から祝福を受けました(写真4)。また、翌日は第41回浦河競馬祭(写真5)と並行して、岩手県の伝統馬事芸能であるチャグチャグ馬コ(写真6)、馬事公苑から人馬の派遣していただいたアンダルシアンのホースダンス(写真7)とホーストリック(写真8)を披露し来場者の喝采をいただきました。その他、日高装蹄師会による造鉄や装蹄の実演(写真9)、JRAブース(写真10)にも多くの人だかりができました。
 ときおり小雨が降る2日間でしたが、関係者の努力によって今年も大成功のフェスティバルでした。

写真1:一瞬、おとぎの国にスリップしたような気分に   写真2:いつもながらののどかな雰囲気の中で行われた
 

写真3:十勝種馬所で繋養されていたハクタイセイ   写真4:歓声の中、馬車に乗って入場       
 

写真5:迫力あるポニーのレース   写真6:馬の飾りはしめて?百万円という
 

写真7:見事なクールベットがきまる   写真8:馬は椅子にも座ることができる
 

写真9:何人もの装蹄師が技を披露した      写真10:準備、応対、後片付け、ご苦労様でした



★ 2007.8.8

 
 今週は、ケンタッキーみやげ話のうち、「子馬の放牧地」について紹介します。

 日本ともっとも異なるところは、放牧地が広いこと、そして当たり前のように哺乳期から昼夜放牧(1日20時間程度の放牧)が行われているということでしょうか。一区画の面積は15〜20ヘクタールが一般的で、多くの放牧地にはなだらかな傾斜があります(写真1)。牧草は、ケンタッキーブルーグラスの他オーチャードグラス、ペレニアルライグラス、トールフェスクなどが混植されており(写真2)、10〜20cmの草丈で維持するよう掃除刈りが頻繁に行われています。また、ほとんどの牧場で定期的に土壌検査に基づいた施肥管理と追播(部分的に牧草種子を播くこと)が行われています。このような広い放牧地の維持管理作業に要する多大な労力は、労働賃金が安いメキシコ人に支えられています。
 また、必ずしも一般的ではありませんが、放牧地内に子馬専用のスペース(クリープペン)を設けている牧場があります(写真3)。母馬は中に入ることができず、クリープペンの中で子馬だけの飼料を食べることができます(写真4)。放牧時間が長くなると、どうしても放牧地内で飼料給与を行う必要が生じますが、母馬に横取りされずに子馬のペースで食べさせることができるよう、よく考えられた設備といえます。

 発育旺盛な当歳の時期に十分な運動をさせて基礎体力を養成する、という基本原則を日本の環境でどう実現するか、これが日本における「強い馬づくり」の第一歩であると思います。

写真1:広大な放牧地、今夏の高温乾燥により牧草の変色が目立つ   写真2:日高で一般的なチモシーは放牧地にはない
 

写真3:子馬だけがペンの中に侵入(クリープ)できる   写真4:えさは子馬の前の入れ物の中にある     



★ 2007.8.22

 
 例年の北海道は、お盆を過ぎると朝夕の涼しさに秋の気配を感じるものですが、今年に限っては、先週の猛暑がそのまま引き続いているようです。

 そんな猛暑の中、13日から17日にかけて、外人講師を招いての牧場巡回指導が行われました(写真1、2、過去の関連記事は、昨年の2月21日、7月19日、11月14日、今年の2月21日付けの各日誌参照)。昨年2月に開始したこの巡回指導も今回で5回目、昨年に比べ受胎率や子馬の発育状況に効果が現れてきた牧場も増えてきました。また、今回のテーマのひとつは「コンフォメーション(馬体のつくり、体形)」で、Rich Decker先生から講義を受けるとともに(写真3)、実際の馬を見ながら体形の特徴について教わりました。Decker先生の日本馬に対する印象は、輸入され日本で飼養されている繁殖牝馬に肩や繋(つなぎ)の角度が起っているものが目立つ、導入時の実馬チェックが重要ではないか、とのコメントをいただきました。血統と価格を重視して輸入されることが多い繁殖牝馬の導入方法を見直す必要があるのではないか、と思われました。

 牧場巡回期間中に飛び込んできた馬インフルエンザ騒動、週末の競馬開催はやむなく中止されましたが、20日からの北海道市場サマーセール(24日まで)は関係者のギリギリの事前調整の末、入念な健康チェックをクリアした馬のみ上場するというルールのもとで予定どおり開催されました(写真4)。心配された欠場馬頭数は今のところ例年と同程度とのことであり、関係者一同胸をなでおろしているところですが、今後の感染状況について経過観察は欠かせないところです。
 日高においても、競馬開催が中止となる事態に対する衝撃は大きく、せり会場のいたるところで今後の見通しについての意見交換が行われていました。また、札幌競馬観戦ツアーを楽しみにしていた生産者たちの落胆ぶりも印象的でした。早期の沈静化と競馬の再開が望まれます。

写真1:この日、日高の最高気温は35度を超えた   写真2:底が湾曲したロッカーシューが装着された1歳馬を確認する
 

写真3:Decker先生の講義は4時間にわたって行われた(軽種馬生産技術総合研修センターにおいて)   写真4:いつもどおりのせり会場 
 
  



★ 2007.8.29

 
 朝晩の風に秋の気配を少し感じるようにはなりましたが、日中の日差しはまだ厳しさが残っています。

 先週の5日間にわたって開催された北海道市場サマーセールは、上場された1歳馬1,125頭のうち、368頭(32.7%)が売却され、前年(31.7%)に比べ売却率は若干向上したようです。しかし、平均売却額460万円(税込み)は、前年(510万円)に比べ若干低下しました。JRAはこのサマーセールで60頭を購買し、他のセールで購買した20頭と合わせ前年同様80頭のJRA育成馬をそろえました。

 今日、浦河町東栄に新築された「ヒダカシーサイドファーム中期育成場」の落成式が同育成場で行われました(写真1、2、3、4)。この育成場は、同地区に所在する6件の牧場が、共同利用する放牧地や育成施設の整備を行うとともに自己馬による生産から預託を中心とする管理へと構造改革を行い、さらに積極的に科学的な飼養管理体制を導入して「強い馬づくり」と「経営の安定化」を図ることを目的として設立された育成場で、平成17年度から5ヵ年計画で行われている「競走馬生産振興事業」のうちの「軽種馬経営構造改革支援事業」の補助を受けて完成したものです。
 このように、各地区で創意工夫をこらした競走馬の生産構造改革が進んでおり、それぞれのグループから強い馬が出現することを期待するばかりです。

写真1:V字型に配置された2棟の厩舎   写真2:ネットフェンスで囲まれた放牧地
 

写真3:直径18mのウォーキングマシーン   写真4:放牧地の掃除刈りに欠かせないロータリーカッター




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