★ 2007.10.5

 
 9月下旬は北海道各地で観測史上最も遅い真夏日を記録するなど、日によっては暑い日もありましたが、さすがに最近は朝夕めっきり涼しくなりました。しかし、今はまだ紅葉を楽しむにはかなり山奥にまで行かなければなりません(写真1)。

 先週3日、プロ野球高校生ドラフト会議が行われましたが、北海道内で話題をさらっているのは、楽天が1順目で指名した寺田投手です。寺田投手は、毎年北大への進学者数が百数十人にも達する北海道屈指の進学校である札幌南高校に在学、全国大会出場経験はないものの長身で素質を感じさせる本格派投手です(写真2)。彼は科学トレーニングに取り組み、とくにスポーツ栄養に力を入れていたとのことです。その蔭には、野球部員の食生活調査とその改善方法をアドバイスした札幌市内の大学で食物栄養学を学ぶ学生たちの存在があり、まさにコラボ、彼らも今回の指名はわが事のように喜んでいたようです。指導前は、カルシウムやマグネシウム、食物繊維などの不足、脂肪や食塩の過剰が認められたようですが、その後は「試合前は消化の良いものを食べ、登板後はビタミンB群が豊富な豚肉を食べるようにしている」と寺田投手に言わしめるほどになりました。
 
 コンディション調整や疲労回復にバランスのとれた栄養摂取は必須です。とくに、成長段階にある場合には骨や筋肉を合成する栄養素も重要です。これは、競走馬も同じ、適切な飼養管理が成功へと導きます。

 今日、事務所内にとんだ珍客が乱入しました。大きな羽音とともに窓の隙間から入ってきたのはスズメバチで、何とか殺虫剤で撃退することができました(写真3、4)。スズメバチの刺傷によって死亡する人の数は熊の被害による死者数の数倍に達することから、ウイルスを除くと地上で最も危険な生物とされています。獰猛な性格、ミツバチと違い何度でも刺すことができる毒針、空中からも毒液を散布できる(目に入ると失明することもあるという)、などの特性を持つ生きる凶器には十分注意しましょう。

写真1:場内の樹木、紅葉にはまだ早い(10月5日撮影)   写真2:今夏の北海道南地区予選での寺田投手

写真3:羽の先端まで5cmはある
 
  写真4:迫力ある顔面アップ、意外とかわいい?



★ 2007.10.10

 
 当場では今年も数多くの大学実習生を受け入れ、馬に触れながら大学では学びにくい馬に関するさまざまな知識を吸収してもらいました。中には、長期滞在し卒業論文作成のための調査研究をした学生も何人かいます。また、合い間に描いた馬のスケッチや写真を記念においていってくれる学生もいます(写真1)。馬が好きで来る学生、馬が好きになって帰る学生、さまざまです。

 そんななか、新しい試みとして北海道大学と酪農学園大学が文部科学省の支援を受けて実施している「北海道臨床獣医学先進教育プログラム」における獣医学実習にも協力いたしました。当場には、両大学の獣医学を専攻する学生20数名が9月19、20日に来場し、馬の走行フォームや育成馬馴致見学、繁殖牝馬の直腸検査実習や講義などを受講していただきました(写真2、3)。講師には、当場職員のほか、日高地区農業共済組合(NOSAI)や日高軽種馬農業協同組合(HBA)の獣医師にもお願いいたしました。いずれの講師も、学生時代の勉強意欲を思い出しつつ、意気に感じて務めてくれたようです。本プログラムが末永く続くこと、馬を知る獣医師が数多く育つことを期待しています。

 さて、夏以降に入厩したJRA育成馬たちは、インフルエンザに感染することもなく順調に調教を進めています(写真4、5)。これから、寒い冬をはさんで来春まで、山あり谷ありの半年が始まりますが、どの馬もきっと大きな成長を見せてくれることでしょう。

写真1:玄人はだしのスケッチ   写真2:真剣に馬の走行を見つめる
 

写真3:最新の超音波画像診断装置の威力を学ぶ   写真4:円(まる)馬塲内で集中して人との約束ごとを学習する
 

写真5:早い群はすでに騎乗調教にはいっている 写真6:場内見晴台からの全景(10月10日撮影)



★ 2007.10.24

 
 先週15日から19日まで行われた北海道市場オータムセールは、初日の当歳馬セールこそ売却率14.3%と不振だったものの、2日目以降の1歳馬セールは4日間で760頭あまりの馬が上場され、そのうちの333頭(43.6%)が売却されるという大盛況ぶりでした。ダーレージャパンからの上場馬13頭すべてが売却されるなど売却率向上の好材料もありましたが、これまで売れ残り感が強く低調だった秋せりに対する需要が高まったことは、競走馬売買の場が庭先から市場に移行してきた表れと考えられます。

 先週18日、「強い馬づくり」講演会を催しました(写真1)。第1部では、ケンタッキー州のウインチェスターファームで牧場を経営している吉田直哉氏から、「鍛えて馬を育てる〜ケンタッキー州の馬産〜」と題した講演をしていただきました(写真2)。
 吉田氏はまず、1日20〜22時間放牧されるケンタッキー産馬は、日本の平均的な馬に比べ、生後から1歳9月までの間で実に6000時間以上(実に263日間!)も長く放牧地にいる(その間、日本の馬は馬房の中にいる)ことを示したのち、放牧の重要性、繁殖管理の効率化、離乳やせり馴致、運動器疾患治療などケンタッキーで行われている方法や考え方について紹介してくれました。
 また、第2部では、日本軽種馬協会が行っている「軽種馬経営高度化指導研修事業」において、昨年、今年と2回にわたるケンタッキー視察研修を終えた5名と吉田直哉氏によるパネルディスカッションを行いました(写真3)。ここでは、日本の現状とこれからの「強い馬づくり」に向けての進むべき方向を見出すことを目的として、パネラーにさまざまな討議をしていただきました。
 この講演会には、300名を上回る来場者があり、その約半数の方から終了後にいただいたアンケートによると、第1部、2部とも非常に好評であったことがわかりました。また、今回会場として利用したウインズ静内も非常に好評であり、「今後も活用すべし」との声を数多くいただきました。来場者の中にはウインズ静内に初めて来た人もいたようで、今後は馬券購入のために気軽に足を運んでいただけるかもしれません。

 講演会当日、来場者に配付できなかった吉田直哉氏のスライド資料は、その後正式に許可を得て配付可能となりました。アンケートを見る限り、多数の方が資料を希望されていましたが、必要な方は軽種馬協会静内種馬場あるいは日高軽種馬農業協同組合にお立ち寄りください。

 最後になりましたが、講演後にいただいた吉田直哉氏からのメッセージを以下に記します。「講演では放牧に焦点を絞ったため、経営上役立つアイデアを紹介できませんでした。また、いつか、こうした機会を得たいと思います。国際競争なんてこわくない、そう言える日が来ることを信じています。場外馬券場の新しい可能性を発見しました。」

写真1:ウインズは講演会場としても活用できることがわかった   写真2:好評だった吉田直哉氏の講演
 

写真3:第2部のパネルディスカッション   写真4:きれいに色づいた場内のイタヤカエデ(おまけ写真)




Back