★ 2007.12.12

 
 最近、周辺の馬関係者から「人材不足」に関する嘆きをよく耳にします。育成場や生産牧場で馬に携わる人が足らず、困っているというのです。11月27日に東京で行われた日本ウマ科学会シンポジウムの討論でも話題になり、もっと馬産業のピーアールが必要である、こどもたちと馬とのふれあいを通して馬の魅力を伝える、軽種馬生産の基盤強化をはかる、などの意見が出されました。将来を左右する深刻な問題です。

 さて、飼養管理指導者の養成もまた重要ですが、本日誌でも度々紹介(8月22日付け日誌参照)してきた外人講師を招いての牧場巡回指導が先週行われました(写真1、2)。昨年2月から行われてきたこの指導事業も今回で6回目、この間の指導により、当歳時からの昼夜放牧実施に踏み切った牧場では生産馬の発育も向上し、繁殖成績の向上も認められました。指導を受けた参加者と対象牧場は、適切な飼養管理の重要性とその効果を実感したことと思われます。次回2月で第1期養成は修了し、新たなメンバーで第2期へと進む予定です。

 昨日、「平成19年度日高管内農業研究大会」(同実行委員会、日高支庁主催)が新冠レ・コード館で行われ、日高管内の青年農業者グループが今年行った活動などが報告されました(写真3)。浦河4Hクラブからは「ホッカイドウ競馬向上委員会浦河支店 Evolution」というタイトルの発表が行われ、今年実施したホッカイドウ競馬に対する応援活動と今後の産地競馬支援方針について報告されました。最優秀賞は、門別4Hクラブによる乳牛の乾乳期(出産前の乳牛の体力を維持するために搾乳を休止する2か月の期間)に対する管理上の新たな取り組みを報告したもので、独創的かつ実用性に富むものでした。ほかにも、新冠町4Hクラブによる草地管理や平取町4Hクラブによるトマト摘果試験に関する報告、アメリカの酪農牧場での実習報告、都会から酪農家として新規参入した女性の苦労と希望に満ちた報告、静内農業高校で取り組んでいる廃棄物を利用したエタノール生産に関する研究報告など、いずれもすばらしい発表でした。
 これらの発表に聞き入っている間、「人材不足」という問題をしばし忘れていました。

写真1:寒い中、いつものように馬をチェックした   写真2:移動の合い間、当場に立ち寄り記念写真
 

写真3:若い人たちの真剣な取り組みを聞くことができた   写真4:いまだ雪らしい雪は降っていない離乳後当歳馬の放牧地



★ 2007.12.21

 
 昨夜降った雪が放牧地一面を覆い、今朝はこの冬初めての雪野原を見ることができました。遅生まれの当歳馬にとって雪に覆われた放牧地は初めて、喜んで放牧地を何周も走り回っていました(写真1)。では、2月に生まれた早生まれ当歳馬は雪に戯れなかったか、というとそうではなくて、やはり他の子馬と同じように放牧地を走り回っていました(写真2)。こちらは、滑ってけがをするのではないかと冷や冷やしながら見守るのですが、器用にターンをして走り抜けていきます。

 今週18日は門別で、19日は浦河でそれぞれ「強い馬づくりのための生産育成技術講座」を当場主催で催しました(写真3、4)。この研修会は、おもに軽種馬生産や育成に携わる方を対象として平成13年から毎年実施しており、この時期の恒例行事となっています。門別、浦河ともそれぞれ100名以上の参加者があり、盛況でした。
 今回は、日高家畜保健衛生所の西さんによる「インフルエンザの基礎知識」、当場の松井さんによる「GPSからわかる放牧時の運動量」、同じく井上さんによる「栄養管理と繁殖成績」、北海道農業改良普及センターの田渕さんによる「注意すべき牧草病害」の4題について講演していただきました。
 「注意すべき牧草病害」では、今年の夏、いくつかの牧場で確認された「クローバの黒カビ病」の紹介とまん延防止対策、さらに草地を黒く染めてしまう頑固な雑草である黒穂(メドウフォックステール)の特性と防除対策について紹介していただきました。いずれの話題も「黒」のイメージが示すとおり、馬の健康維持にとっては「百害あって一利なし」、強い馬をつくる草地は美しくなければなりません。

写真1:気持ちよさそうに走る遅生まれ群当歳馬   写真2:走り始めは少しおっかなびっくり    
 

写真3:日高管内での防疫対応についても紹介していただいた   写真4:会場は後ろまで満席だった     



★ 2007.12.26

 
 有馬記念も終わり、いよいよ年の瀬となりましたが、場内にある軽種馬育成調教場では日々若馬の調教で活気付いています。
 さて、本年のJRAが主催する競馬が終了し、同調教場を利用した馬のJRAにおける成績をまとめたところ、とくに2歳馬の成績が昨年に比べ向上していることがわかりました。たとえば、本年の新馬競走では42勝(昨年31勝)、未勝利競走では55勝(昨年41勝)と、2歳馬の競走だけで105勝(昨年82勝)挙げることができました。また、JRAにおける全競走のうち751勝(昨年722勝)を同調教場利用馬が獲得することができました。
 今年の2歳馬は、昨年末に竣工した延長後の屋内坂路馬場利用馬の第1期生にあたることから、今年の良好な成績は、700mから1000mに延長した屋内坂路馬場の効果であったと考えています。

 JRA育成馬たちも屋内坂路馬場の常連で、もっとも進んだグループは現在この馬場を2本駆け上がっていきます(写真1、2、3)。はたして来年、この調教効果をどのように発揮してくれるか楽しみです。

写真1:15分ほどかけて屋内坂路馬場の入り口に到着する   写真2:順次隊列を整えて駆け上がっていく  
 

写真3:監視室のモニターにより馬の走りっぷりを確認できる   写真4:屋内坂路馬場断面図
 




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