★ 2009.8.7

 
 希望の眼差し

 「あら、今年も元気いっぱいの学生さんたちが来る季節になったのね。」
 「ねえねえ、お母さん、あのお兄さんやお姉さんたちも何か勉強しに来たのかな。」
 「そうね。学校にはあまり私たちの仲間がいなくて勉強ができないらしいの。私たちのことが大好きで、いろいろなことを勉強したい人たちが、夏に来るのよね。」
 「ふ〜ん、僕たちと友達になりたい、ってことなんだね!」
 今年から、「サマースクール」と題して、馬に関係した勉強、触れ合いを通じて、一人でも多くの人に馬を好きになってもらおう、馬に関係した仕事を目指すきっかけ作りをしてもらおう、という願いをこめて体験学習を企画し、HPで公募して実施しているところです。
 育成や繁殖、栄養に関する講義(写真1)と実習、病気の診断(写真2、3)、きゅう舎作業や牧場作業の体験、乗馬(写真4、5)などなど、いろいろな勉強ができたようです。
 私たちが何気なく話していることでも、聞き逃すまいと真剣な目で見つめられ、圧倒されることが多かったですね。その眼差しは希望に満ちあふれていましたよ!研修も最終日となった午後は、親子馬が放れている風景を見ながら、いろいろな話をしました。そして、今回の感想と将来のことも聞きましたよ!

 「馬に関わる仕事のやりがいをあらためて強く感じました。帰ってからも獣医学、乗馬技術を更に頑張って学んで生きたいと思います。」
 「馬に対する接し方や扱い方を見られたのが一番印象に残りました。」
 「普段経験することのできない検査や診療を見ることができてよかったです。」
 「ここで学んだことや感じたことを馬の獣医師になるための糧にして、今後もより一層精進していきます。」(参加者の感想より)

 親子馬たちも別れを察したのか、偶然なのか、全馬学生さんの近くに駆け寄ってくれました。
 「皆さん、また遊びに来てくださいね。」
 「お兄さん、お姉さん、待ってるよ!」
 サマースクールは4回に分けて行う予定です。2回目以降も楽しみです!

(ASHI)

写真1:いずれも最終日の様子を写真におさめました。これはスライドを使った講義を実施しているところ・・・。多くの鋭い質問が飛ぶものですから、スライドを探す職員も一所懸命です!
 

写真2,3:乗馬に向かう途中で、跛行(はこう)の馬が・・・。獣医さん、装蹄師さんと一緒に歩き方をチェックしているところです。  
 

写真4,5:乗馬体験も楽しそうでした。



★ 2009.8.18

 
 思い出づくり

 「お母さん、お母さん、僕ね、友達と遊ぶの、毎日楽しいな。お母さんと一緒にお外で走るのも大好きだよ。」
 「そうね・・・。」
 「あれ?お母さん、どこに行くの?水のみに行くの?僕も一緒に行くよ。」
 「また、あの季節が来るのかしら・・・。」
 最近のおフジさん、なんだか寂しそうに見えます。
 おフジさんの子も生まれて早6ヶ月が経過したところ・・・。放牧中も他の子馬と遊ぶ時間が長くなり、お母さんのそばを離れたい気持ちも少しずつ増えていっているような気がします。放牧するときのグループも、組み合わせの問題でいろいろありましたが、ほぼ固定されて1ヶ月以上たった最近は、特別相性が悪いと思わせる様子も見られず、仲良く集団で行動している様子です。しかし・・・。
 6ヶ月たつと離乳(りにゅう)をむかえます。その様子は次回詳しく紹介したいと思いますが、何かとストレスを感じやすい馬たち。突然母子を離してしまうと興奮したり、食欲がなくなったりいろいろなことが予想されます。あらかじめ、母馬と子馬が距離を置くようなスペースを作る、飼い葉桶の場所を離す、授乳が突然なくなると、おっぱいが張ってしまうので、お母さんの飼い葉の量を少し減らすなどなど・・・。子馬たちに気配をさとられないように、少しずつ準備を進めて来る日を待つのです。今週は仲良し親子を撮る最後の週になるかもしれません。おフジさんは時に子供と離れて草を食べたり、時に子供の様子を見ながら、離乳の日が近いことを思っているようでした。
 「お母さん、あのおじさん、また僕たちの写真を撮りに来ているみたい。」
 「最後だからかわいらしく写真を撮ってね。」
 今日は思い出の写真をたくさん撮ることにしました。

(ASHI)

写真:最初に離乳をむかえると予想される、2月生まれのキンさん(写真1・2)、おフジさん(写真3・4)親子。キンさん親子はいつも仲良く行動します。お母さんがイライラすると子供に八つ当たりする場面を見ることがあるのですが、基本的に仲良し親子という感じです。おフジさん親子はお互い離れて過ごすことが多いです。でも要所で気にかけて、仲良くしているようです。二組を比べると、離乳の時はキンさん親子の方がストレスを感じて寂しがるのでは、と予想しているのですが果たしてどうなることやら・・・。避難用の小屋の中でたたずむのが好きなおセキさん(写真5)親子。比較的単独行動の多い親子なので、離乳で心配な部分もあるのですが・・・。子供のそばで眠っているおイチさん(写真6)。何の夢を見ているのでしょうか・・・。

写真1 写真2
 

写真3 写真4
 

写真5 写真6



★ 2009.8.26

 
 さよならお母さん

 「そろそろ、お別れの季節が来たわね。私がいなくなっても、たくましく大きく育つのよ。」
 「お母さん、お母さん、お別れって、どういうこと?僕はお母さんと離れるのは嫌だよ。」
 「だめよ。これからは一人で何でもできなくてはいけないわ。お友達と一緒にご飯を食べて、走りまわって、人間とも仲良くなって、丈夫な体を作っていくのよ!」
 おフジさんの子も2月に生まれて早6ヶ月がたとうとしています。生まれたときは60kgくらいだった体重も、今では200kg後半。大きくなりました。牧場によってこの「離乳」(りにゅう)の時期は異なりますが、母馬は次に生まれてくる子馬にも栄養を与えなくてはいけません。そして、子馬は他の馬や人とのコミュニケーションを深めていかなければなりません。離乳はお母さんにとっても、子馬にとっても大きなストレスになります。離乳の準備を十分にしてから実施し、そのタイミングも慎重に選びながら行います。まず天候が穏やかであること、体調を崩していないこと。離乳前には離乳食に十分に慣れさせておくことが必要ですし、母馬と距離を置く事のできるスペースを確保して、子馬だけを自由に行き来させる環境を作ることも一つの方法です。離乳するときは、1度に全親子を引き離すのではなく、群れの中から1、2頭母馬を間引いていく方法が良いと考えています。(昨年の8月のブログにも離乳の様子が紹介されています。)母馬も子馬も離乳直後は落ち着きがなく、食欲も落ちるので、仲の良い馬の組み合わせを考えて、早く慣れるように気を配ります。
 「うちの子がいないわ。」
 「お母さんどこに行ったの?」
 そんな姿を見るとちょっとかわいそうになったりしますが、そこは我慢して見守ります。私も16歳の時に家を出て一人暮らしをはじめました。そのとき買ってもらった置時計は、今子供が使っています。自分の子供もいつか旅立ちの時が来る。その日が訪れたとき何を思うのでしょうか・・・。

(ASHI)

写真1,2:離乳翌日の様子です。木の陰で寂しそうにたたずむキンさんの子・・・。皆と一緒になればいいのに・・・と思っていたら、ちゃんと輪の中に入って草を食べてくれました。おセキさん、サクラさんも優しくしてくれているようです。
 

写真3:おフジさんの子は皆と打ち解けている様子でした。おハギさんに甘えておっぱいをつつくと、当然自分の子ではないので、おハギさんは拒否。そんな姿を見るとちょっとかわいそうになります。
 
 
 
 
写真4:こちらはお母さんたち。突然わが子と離れ離れになったため、入り口うろうろして離れようとしません。子供をさがしているのです。よく見ると、地面に糞がたくさんあります。この周辺から動いていない証拠です。馬房にいるときは、お母さんたちも、子供たちも鳴いてばかり。早く慣れることを願うしかありません。体力を落とさないように、たくさん草を食べて欲しいものです。
 

写真5:そんなお母さんたちを心配そうに眺める馬たち・・・。出産を控える3歳のヤングお母さんです。来年の今頃は君たちも・・・。



 


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