米国ケンタッキー州で東部天幕毛虫が3年連続して増加  

 2010年4月23日付のThehorse.com newsに、米国ケンタッキー州における東部天幕毛虫(天幕毛虫)の数が3年連続で増加しているという内容の記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 ケンタッキー州大学農学部の昆虫学者であるLee Townsendは、場所によって違いはあるものの、ケンタッキー州における繁殖牝馬流産症候群(MRLS)の原因と考えられている天幕毛虫の数は今年も3年連続して増加していると報告した。彼の話によれば、今の時期は天幕毛虫を簡単に観察することができるので、この毛虫が活動する野生の桜や関連樹木について調査を行い、防除措置が必要かどうかを確認する時期である。既に大枝に作られていた沢山の小さな巣が放棄されており、天幕毛虫は木の主な幹の枝の角に作られたより大きなテント(巣)に移動している。彼の予想では、天幕毛虫は4月の第3週までに完全に成長した幼虫となり、その後5月の初旬にかけて彼らが育った枝を去り、繭を紡ぎ蛹となるための安全な場所へ分散する。一旦、天幕毛虫が分散する段階に到達すると、これらの毛虫を防除することは非常に困難となる。天幕毛虫を防除することはウマの牧場にとっては極めて重要なことである。すなわち、2001〜2002年にかけて勃発したMRLSの発生では、サラブレッド種の子ウマの年間生産頭数は概算で30%も失われ、ケンタッキー州のあらゆる品種のウマにおいて概算で3億3600万ドルの累積的な経済損失を引き起こした。ケンタッキー大学の研究者達は疫学および野外調査研究を行い、MRLSがケンタッキー州のウマの牧場に生息している天幕毛虫の夥しい数と関連していることを実証した。また、その後引き続いて実施された研究では、ウマが天幕毛虫を不用意に摂食することによりこの毛虫の硬い毛が消化管に突き刺さり、そこから消化管内の正常細菌が胎子や胎盤などの免疫力の低下した部位に侵入し増殖することが明らかになった。これらの腸管内からの細菌による胎子死はMRLSの目立った特徴である。このように、これまでに実施されたケンタッキー大学の研究により、妊娠後期の胎子喪失(流産)、早期胎子喪失、虚弱子を引き起こすMRLSの発生と東部天幕毛虫との因果関係が明らかにされた。もし、ウマの牧場管理者が東部天幕毛虫の防除や桜の木の排除を積極的に行わないのであれば、これからの数週間、桜や他の関連樹木が境界に植えられている牧草地に妊娠牝馬を入れないようにすべきである。

参考情報
1. TheHorse.com news, Article#16207, 2010. 4. 19.
2. Horsetalk-International horse news, 2010. 4. 22.

(出典:Thehorse.com news, Article#16216, 2010. 4. 23, 鎌田正信, 2010. 4. 27)

 

米国バージニア州政府がウマへの蚊媒介性疾病の予防接種を勧告  

 2010年4月22日付のHorsetalk-International horse newsに、米国バージニア州政府がウマ所有者に対してウエストナイルウイルス(WNV)感染症や東部馬脳炎(EEE)などの蚊媒介性ウイルス病の予防接種を実施するように勧告したという内容の記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 米国バージニア州農業消費者サービス省は、全てのウマ所有者が予防接種について担当獣医師に問い合わせるように勧告した。2009年のバージニア州におけるウマのEEEの発生件数は増加したが、WNV感染症の発生件数は過去2、3年間に比べて減少しており、州政府としては、ウマ所有者が本症の発生が減少していくことにより防疫活動をしなくなることを懸念しているとのこと。同省検査局プログラムマネジャーのJoseph Garivin 獣医師によれば、昨年はバージニア州の多くの地域で大雨が降るというような、ある種の異常な気象パターンであった。EEEVやWNVがどのくらいのレベルで蚊に感染しているのか、またこれらのウイルスに感染した蚊の総数がどのくらいなのかということを予測することは困難である。このワクチンが非常に安全かつ効果的であることから、最終的には殆どの発生事例で民間獣医師が彼らのクライアントに予防接種を推奨してくれると確信している。これらの疾病の発生は予防接種によって劇的に減少させることができるが、ウマ所有者は6ヶ月から12ヶ月毎に補強接種が必要であるということに注意を払う必要がある。ワクチンの有効期間は6〜12ヶ月間であり、少なくとも毎年ウマに予防接種をすべきである。予防接種が効果的であるためには、適切に取り扱われ、適切に投与されなければならず、ウマがウイルスに暴露される少なくとも2週間前には接種されていなければならない。さらに、ウマに完全な免疫刺激を与えるためには、初年度については30日間隔で2回の予防接種を行わなければならない。他の予防法としては、蚊の繁殖場所となる水溜りを除去したり、殺虫剤を散布したり、通常蚊が刺すピークの時間帯である黄昏や夜明けの時刻に蚊の群がる地域からウマを移動させるなどの方法がある。ウマの典型的な脳炎症状は、よろめき、旋回、沈鬱、食欲喪失、時折の発熱や失明を含む。これらの疾病の治療法はないので、感染馬の30%(WNV)〜90%(EEE)が死亡する。ヒトが感染馬を取り扱っても感染することはないし、感染馬から他のウマへウイルスが感染することもない。しかしながら、その地域における感染馬の存在は、EEEVやWNVを保毒する蚊が存在し、ヒトやウマの両方に脅威を与えていることを示唆している。

参考情報
1.TheHorse.com news, Article#16238, 2010. 4. 26.

(出典:Horsetalk-International horse news, 2010. 4. 22, 鎌田正信, 2010. 4. 27)

 

オーストラリアにおける腺疫の発生  

 2010年4月21日付のHorsetalk-International horse newsに、オーストラリアのクイーンズランド州北部で発生した腺疫に関する記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 2010年4月19日付のクイーンズランド州雇用経済開発改革省HPのバイオセキューリティニュースによれば、同州北部で数頭のウマが腺疫と診断された。同州バイオセキューリティは、ウマ所有者が自分のウマに腺疫の予防接種を実施するように勧告している。州獣医官のCharlotte Williamsonの説明によれば、腺疫は発熱、食欲喪失、黄緑色鼻汁漏出を引き起こし、咽喉頭リンパ節に膿瘍を形成する。膿瘍は激化し、苦痛を伴い、最終的には自潰し、排膿する。腫脹したリンパ節は呼吸困難や嚥下困難を引き起こす。時折、馬体の別の場所に感染が拡大し、膿瘍を形成したり、慢性疾患や体重減少を引き起こす。本病は主に5歳以下の若ウマに発生するが、過去に感染歴がなく免疫がない場合にはどの年齢のウマも感受性がある。最良の感染防御方法は毎年予防接種を実施することである。腺疫のような疾病には以下に示すような適切なバイオセキューリティ対策の重要性が強調される。
・馬具や器具を清潔に保ち、使用時には器具を消毒すること。
・異なるウマを取り扱う前後には手指を洗浄すること。
・施設の訪問客を監視し、手指、衣服、靴を清潔にするまでは訪問客がウマに接触しないようにさせること。
・施設から出入するウマの移動歴に関する記録を保持すること。
・施設に新入きゅうするウマについては、他のウマと一緒にさせる前に少なくとも2週間は検疫すること。
・病気のウマと施設の他のウマとは隔離すること。
・施設の他のウマを取り扱った後で、病気のウマに餌を与え、世話をすること。

(出典:Horsetalk-International horse news, 2010. 4. 21, 鎌田正信, 2010. 4. 26)

 

米国ウィスコンシン州におけるウマのボツリヌス中毒症の発生  

 2010年4月4日付および4月8日付のProMed-mailにウマのボツリヌス中毒症の記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。本中毒症は、わが国のウマではほとんど発生報告はありませんが、欧米諸国では一般的に発生しており、サイレージやヘイレージなどを作る時には注意すべき疾病の一つとされています。
 2010年4月4日付のProMed-mailによれば、2010年3月から4月にかけて米国ウィスコンシン州Rusk郡の1牧場で8頭中5頭のウマがボツリヌス中毒で死亡した。ウマ所有者の話では、最初に33歳の牝馬が死亡し、その後数週間の間に4頭のウマが相次いで死亡したとのこと。現在発生源の調査のために、牧場の干草などについて検査が行われている。4月8日付のProMed-mailによれば、今回のボツリヌス中毒はC型毒素によるもので、一般的にはこの毒素が産生されたげっ歯類やネコの死骸が干草や飼料を汚染することにより発生する。すなわち、ウマは汚染された干草や飼料の中に入った嫌気性細菌のClostridium botulinumによって産生された神経毒素を摂取することによりボツリヌス中毒症を発症する。一匹の汚染された死骸には多数の動物を殺すのに十分な毒素量が含まれており、1998年にはカリフォルニア州で1匹の汚染されたネコが発生源となって400頭以上のウシが死亡したと報告されている。

(出典:ProMed-mail, Archive Number 20100404.1084, 2010. 4. 4 & 20100408.1129, 2010. 4. 8, 鎌田正信, 2010. 4. 26)

 

イタリアにおける馬伝染性貧血の発生(2)  

 2010年4月13日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、イタリアにおける馬伝染性貧血(EIA)の発生に関する続報が掲載されていましたので、これまでの発生経過を含めて以下に紹介します。なお、イタリアでは2006年に不法に作製された高度免疫血漿を介してサラブレッドなどで多数のEIA陽性馬が摘発され、その後の検査でイタリア国内における広範な汚染状況が明らかとなりましたが、2008年以降は報告がありませんでした。
 今回のイタリアにおけるEIAの発生は、2010年2月18日にイタリア南部のプーリア州の牧場で飼養されていた1頭のウマが、コギンス試験によりEIA陽性と診断されたのが発端である。3月26日付のRESPEの情報では、さらに1頭のEIA陽性馬が確認されている。4月13日付のRESPEの情報によれば、イタリア中部のウンブリア州ペルージャで3月25日に3頭中1頭のウマが疑わしい症状を示し、3月29日にEIA陽性と診断された。また、イタリア南部のカンパニア州ナポリでも3月29日に64頭中1頭のウマが発症し、4月1日にEIA陽性と確認された。なお、感染馬の年齢、性別、品種、飼養施設、発生源や感染源などについての情報は報告されていない。

参考情報
1. International Collating Center, Interim Report-March 2010 #5, 2010. 3. 26.
2. International Collating Center, Interim Report-April 2010 #2, 2010. 4. 13.
3. Horsetalk-International horse news, 2010. 4. 20.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 4. 13 , 鎌田正信, 2010. 4. 20)

 

L. intracelluralis感染子ウマは馬群に菌を排出し感染源となる  

 2010年4月12日付のTheHorse.com newsに、Lawsonia intracelluralisの馬体感染実験に関する論文のレビューが掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 馬増殖性腸炎(EPE)は、1982年に初めて報告され、それ以降米国、カナダ、南米、ヨーロッパ、オーストラリア、日本などで散発的な症例や発生が報告されている。本病はL. intracelluralisによって引き起こされる細菌感染症で、4ヶ月から9ヶ月齢の当歳馬が最も一般的に感染し、下痢、沈鬱、発熱、食欲廃絶(食欲減退)、体重減少、下腹部や下肢部の浮腫(水腫)、被毛の粗励化、小腸および大腸粘膜の肥厚による間欠的な疝痛を起こす。本病に対して適切な治療を施せば予後は良好であり、治療には補液、血漿や抗生物質の投与を含む。また、子ウマの栄養状態が良好かどうかを確かめることも重要である。カリフォルニア大学デービス校のNicola Pusteria准教授は、EPEに罹患した離乳馬は、適切な治療を施せば快復するので、ウマ所有者は病気の子ウマがこの新興感染症に罹っていないかどうかを調べるべきであると述べている。
 最近、Pusteria准教授らは、EPEがどのように進行するのか、また、感染した子ウマが菌を排出し馬群の仲間の子ウマに感染の脅威を及ぼすのかどうかを調べるため、L. intracelluralisの馬体感染実験を行った。すなわち、3頭の子ウマに胃内接種によりL. intracelluralisを感染させ、臨床症状、臨床病理学的所見、抗体価、糞便中への菌の排出を調べ、本病がどのように進行するかについて検討した。その結果、子ウマは接種後12〜18日目にL. intracelluralisを糞便中に排出し始め、その後7〜21日間継続して排菌した。このことから、感受性のある馬群の仲間の子ウマが本菌に暴露されないようにするため、感染した子ウマは隔離すべきであることが示唆された。本病は実際に診断が容易な臨床発現タイプと、一時的な血液の異常(低アルブミン血症)および糞便中への排菌を伴うサブクリニカルなタイプの2つの臨床局面がある。専門家によれば、幼駒は母ウマからL. intracelluralisに対する感染防御抗体を授乳により獲得し本病から防御されるが、離乳が終了するや否や、子ウマは本病に感受性となり、さらに離乳のストレスが子ウマを感染の危険に陥らせるとのこと。なお、1歳以上の若ウマも本病に罹るが、それは稀な事例である。現在のところ、ウマ所有者は本病を予防することができないが、研究者はワクチンの研究開発を進めている。本論文は「Oral infection of weanling foals with an equine isolate of Lawsonia intracelluralis, agent of equine proliferative enteropathy」というタイトルで、J. Vet. Intern. Med., 2010. 3. 10に掲載されており、PubMedで要旨を見ることができる。

参考情報
1.TheHorse.com news, Article#16065, 2010. 3. 26.

(出典:TheHorse.com news, Article#16153, 2010. 4. 12, 鎌田正信, 2010. 4. 19)

 

米国におけるウマの狂犬病の発生(3)  

 2010年4月13日および4月17日付のTheHorse.com newsに、米国ノースカロライナ州とコロラド州におけるロバとウマの狂犬病の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。なお、2010年3月9日付および3月23日付の総研HPニュース記事に米国テキサス州とミシガン州におけるウマの狂犬病の発生報告が紹介されていますので参照していただきたいと思います。
 4月13日付のTheHorse.com newsによれば、ノースカロライナ州Durham郡のヤギ牧場で1頭のミニチュアロバが狂犬病に罹患して死亡したことが確認された。このロバは最初群れから離れて立つようになり、その後凶暴性を示し、牧場のイヌに噛み付いたり、人に突っかかるようになった。動物管理当局によれば、感染源は明らかではないが、このロバは牧草地内に侵入したアライグマなどの野生動物によって狂犬病に感染したと考えられるとのこと。2009年のノースカロライナ州における動物狂犬病の発生は473例で、そのうちの254例がアライグマであった。なお、同州では4ヶ月齢以上のイヌ、ネコ、フェレットへの狂犬病の予防接種が義務付けられており、直近の予防接種が行われていない動物が暴露された場合には州令により6ヶ月間の検疫または安楽死の処置が施される。また、予防接種が実施されている動物の場合には暴露されてから5日以内に補強接種が必要となる。一方、4月17日付のTheHorse.com newsによれば、コロラド州Arapahoe郡でも1頭のウマが剖検により狂犬病陽性と診断された。同州では昨年まで過去25年間ウマの狂犬病の発生はなかったが、2009年9月に1頭のウマが摘発され、今回が最近では2例目の発生となった。なお、コロラド州では動物狂犬病の発生が2009年には103例あり、今年に入ってからは4月12日現在で28例の発生がある。その内訳は、スカンクが25例、ネコ、ジャコウネズミ、ウマがそれぞれ1例である。ノースカロライナ州およびコロラド州農務省は、家畜やペットに対して狂犬病ワクチンを接種するようにこれらの所有者に勧告している。また、今回の発生において狂犬病に暴露された疑いのあるウマの所有者、近隣者、診察した獣医師については、2009年6月24日付の米国ワクチン接種に関する諮問委員会(ACIP)のガイドラインに沿ったワクチンの緊急接種が勧告されている。

参考資料
1. ProMed-mail, 20100417.1242, 2010. 4. 17.
2. Horsetalk-International horse news, 2010. 4. 17.

(出典:TheHorse.com news, Article#16169 & #16199, 2010. 4. 13 & 4. 17, 鎌田正信, 2010. 4. 19)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(39)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、38回にわたりその続報を紹介しておりますが、2010年4月16日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新されましたので、その内容を掲載します。なお、今回の発表で新たに摘発されたCEM菌陽性馬はおりません。現在までの検査対象馬は1,001頭(種牡馬が278頭、牝馬が723頭)で、28頭(種牡馬が23頭、牝馬が5頭)がCEM陽性、943頭(種牡馬が249頭、牝馬が694頭)がCEM陰性とそれぞれ診断され、残り58頭(種牡馬が29頭、牝馬が29頭)について検査が継続されています。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計23頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追求するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 23頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、他の973頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計1,001頭の馬は、48州に所在する。合計278頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は31州に所在し、723頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。ハワイ州とロードアイランド州だけは感染が疑われる馬や陽性馬が1頭も認められていない。
 23頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオワ州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が10頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。
 全体的には、1,001頭中943頭(94.2%)が現在CEMフリーであることが判明している。CEM陽性馬がいた8州中4州、すなわちジョージア、インディアナ、アイオワ、ケンタッキーの各州は全ての既知の陽性及び感染が疑われる馬の検査と治療を完了し、現在ではCEMフリーと考えられている。
 278頭中249頭(89.6%)の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコルを完了し、CEM菌陰性となっている。この249頭の種牡馬の中には、先の検査でCEM菌陽性となっていた22頭の種牡馬が含まれており、これらの22頭は現在治療されて再検査で陰性となっている。他の21頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。
 合計723頭中694頭(96.0%)の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この694頭の牝馬の中には、先にCEM菌陽性となっていた5頭の牝馬が含まれており、これらの5頭は検査と治療を完了して現在はCEM菌陰性となっている。
 今回の発生調査では、ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいたことが確認されている。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、8番目、9番目ならびに10番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の陽性種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオワ州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオワ州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭の牝馬はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の陽性牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2010. 4. 16, 鎌田正信, 2010. 4. 19)

 

ドイツにおける馬伝染性貧血の発生  

 2010年4月14日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に、ドイツにおける馬伝染性貧血(EIA)の発生が掲載されましたので、下記にその概要を紹介します。なお、ドイツにおけるEIAの発生は2006年以降毎年報告されており、2006年から2007年にかけて勃発したドイツ中部のチューリンゲン州の牧場を発端とする大規模な発生では、数10頭のウマが死亡又は安楽死の処置を施されました。また、2009年10月12日に確認されたドイツ南部のバイエルン自由州におけるEIAの発生では、最終的に9頭の陽性馬が摘発され、疑わしい症例馬を含めて合計11頭が安楽死の処置を施されました。
 2010年4月14日付のWAHIDの緊急報告では、3月29日にドイツ南部のバイエルン自由州の牧場で、15頭中1頭のウマが疑わしい臨床症状を示し、3月30日に国立リファレンスラボラトリーのFriedrich-Loeffler研究所でエライザによりEIA陽性と診断され、安楽死の処置が施された。このウマの詳細については報告されておらず、感染源または発生源については不明である。なお、現在疫学調査が行われており、防疫対策として衛生昆虫の駆除、検疫、国内の移動制限、施設の消毒などが実施されている。

参考情報
1. Horsetalk-International horse news, 2010. 4. 17.
2. ProMed-mail, Archive Number 20100414.1213, 2010. 4. 14.
3. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 3. 16.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2010. 4. 14, 鎌田正信, 2010. 4. 19)

 

米国における2008年狂犬病発生報告  

 2010年4月9日付のTheHorse.com newsに、米国疾病管理予防センター(CDC)が公表した「米国とプエルトリコにおける狂犬病の発生報告(2008年)」に関する記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 2008年に米国の49州(ハワイを除く)とプエルトリコで6,841例の動物狂犬病の発生が確認され、野生動物が93%、家畜が7%をそれぞれ占めた。これらの数値は米国における狂犬病罹患動物の総数の一部を表したもので、確認されていない症例や検出されていない多くの症例がいる。ハワイを除く49州とプエルトリコでは、家畜や野生動物での狂犬病の症例が確認されており、ウマやラバでの狂犬病の症例は20州で30例報告されている。その内訳は、アラバマ(1)、アリゾナ(1)、デラウエア(1)、フロリダ(2)、ジョージア(1)、カンザス(2)、ケンタッキー(2)、マサチューセッツ(1)、メリーランド(2)、ミズーリー(1)、ノースダコタ(1)、ネブラスカ(2)、ニューヨーク(1)、オクラホマ(1)、プエルトリコ(1)、ロードアイランド(1)、サウスダコタ(2)、テネシー(1)、テキサス(4)、バージニア(2)である。狂犬病はウイルス性疾病で、哺乳動物種に感染する。米国大陸での狂犬病ウイルスの第一保有宿主は、アライグマ、スカンク、キツネ、コウモリであり、プエルトリコではマングースが野生動物保有宿主である。狂犬病のコウモリはハワイ、アラスカ、ニューメキシコ、プエルトリコ以外の全ての州で報告されているが、過去5年以内では狂犬病のコウモリが49州の全てで確認されている。ヒトの狂犬病はカリフォルニアとミズーリーでそれぞれ1例ずつ確認されており、狂犬病ウイルスのコウモリ変異株が関与している。狂犬病は人獣共通感染症であり、1頭の狂犬病のウマによって多くのヒトが診断前に暴露され、数千ドルも費用がかかる暴露後のヒト用狂犬病予防接種を余儀なくさせる。暴露後の狂犬病予防接種は暴露された動物では除外される。狂犬病は米国馬臨床獣医師会(AAEP)で推奨されている基本的なワクチンの一つである。行動の変化や臨床的に神経症状を示す如何なるウマについても獣医師に迅速に診療してもらうべきである。

参考情報
1.J. D. Blanton et al., J. Am. Vet. Med. Assoc., 235, 676-689, 2009.

(出典:Thehorse.com news, Article#16151, 2010. 4. 9, 鎌田正信, 2010. 4. 13)

 

米国ニュージャージー州における神経病原性EHV-1の発生  

 2010年4月3日および4月8日付のProMed-mailに、米国ニュージャージー州における神経病原性ウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)の発生報告およびその続報が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 2010年4月3日付のProMed-mailによれば、4月1日にニュージャージー州Monmouth郡の5つの牧場とGloucester郡の1つの牧場の合計6牧場が、神経病原性EHV-1感染症の発生の疑いにより検疫下に置かれた。同州農務省の発表では、Monmouth郡のSweet Dreams 牧場の2頭のウマが神経病原性EHV-1感染症と類似の症状を呈し、安楽死の処置が施され、他の1頭のウマが同様の症状を呈して死亡した。安楽死の処置が施された2頭のウマについては生前に予備的な検査によりEHV-1陽性と診断されたもので、現在確定診断が行われている。なお、Sweet Dreams牧場とその疫学関連牧場の5つ牧場において、現在EHV-1感染症の臨床症状を呈しているウマはいないとのこと。EHV-1感染症の潜伏期間は一般的には2〜10日間であるが、21日間は伝播する可能性があるので検疫下に置かれる。4月8日付のProMed-mailによれば、マサチューセッツ州とメイン州にも発端牧場からEHV-1に暴露された疑いのあるウマが輸送され、それらの牧場は検疫下に置かれている。マサチューセッツ州農務省によれば、ニュージャージー州の発端牧場から4頭のウマが同州に輸送され、1頭が検査で陽性と診断され、その後臨床症状を示しているとのこと。同州農務省は、本病が州内のウマに伝播する可能性があるので、ウマ所有者、生産者、獣医師に対して警報を発している。

参考情報
1. Horsetalk-International horse news, 2010. 4. 2.
2. ProMed-mail, Archive Number 20100406.1098, 2010. 4. 6.
3. TheHorse.com news, Article#16139, 2010. 4. 7.

(出典:ProMed-mail, Archive Number 20100403.1071 & 20100408.1131, 2010. 4. 3 & 4. 8, 鎌田正信, 2010. 4. 12)

 

ウマの骨折治療への幹細胞使用を探索する研究者  

 2010年4月1日付のHorsetalk-International horse newsに、グレイソン・ジョッキークラブ研究財団がウマの骨傷害の修復における成馬の幹細胞の潜在的な役割りを探索する研究に資金を提供したという記事が掲載されていましたので、その概要を紹介します。
 米国ルイジアナ州立大学のウマおよび比較整形外科研究所のMandi Lopez準教授兼所長は、グレイソン・ジョッキークラブ研究財団から前述の研究に対して15万7,830ドルの資金提供を受ける。また、この研究の協力者であるルイジアナ州バトンルージュのPennington Biomedical Research CenterのDr. Jeffrey Gimbleは、この研究所内の大型研究に対する研究資金から資金提供を受けるだろう。骨折はウマでは一般的な問題であり、競走馬では特にそうである。2008年11月1日開始からの一年分のデータに基づいたウマ傷害データベース (EID) によれば、サラブレッド平地競走における致命的な傷害は出走回数が1,000回当たり2.04と記録されている。米国では競馬や調教中に死亡したウマの80%以上に骨折を確証している。数10年にわたる研究にも拘らず、ウマの骨折の治療については未だ困難性を伴う。この困難性は、しばしばウマの患畜に特有な特徴かつ複雑性によるものであり、2006年のケンタッキーダービーのチャンピオン馬のバルバロによってこのことが悲劇的に強調された(プリークネスステークスでスタート直後に右後肢を骨折し、ペンシルベニア大学ニューボルトンセンターで7時間に及ぶ手術を行い、手術は成功したがその後に左後肢、両前肢の蹄葉炎を起こし、手術から8ヵ月後に安楽死の処置が施された)。骨の治癒率を促進し増加させる方法は、ウマの骨折治療の成功に寄与すると研究者達は確信している。成馬の幹細胞はウマの骨折治療のチャレンジに対する有望な答えを提供してくれる。1Dの骨を修復するためには約7,000万個の成馬の幹細胞が必要とされる。最近の研究によれば、この数量の幹細胞を供給可能な哺乳類の成熟組織は僅か2種類のみであり、それが脂肪と骨である。当研究所の研究では、成馬の脂肪由来細胞(AsCs)と骨髄由来細胞(BMSCs)が細胞実験において骨形成能を有していた。骨の傷害部位に配置するためには、幹細胞は吸収されやすいキャリアー(担体または支持体)に載せられる。現在のところ、異なるキャリアーでのウマのASCsやBMSCsの骨形成能に関する研究は殆ど見当たらない。我々はウマの骨の治癒率やその質を向上させる成馬の幹細胞とキャリアーの最良の組み合わせを決定すべく計画を行っている。この研究から得られる結果はウマの骨折治療を有意に前進させるだろう。グレイソン・ジョッキークラブ研究財団は1年当たり約100万ドルの資金を提供しており、18〜20の研究グループに配分される。

(出典:Horsetalk-International horse news, 2010. 4. 1, 鎌田正信, 2010. 4. 12)

 

ウマ獣医師に対するヘンドラウイルスの安全性に関わる研修  

 2010年3月29日付のHorsetalk-International horse newsに、「クイーンズランド州当局は、致死的なヘンドラウイルス(HeV)がウマからヒトへ伝播する機会を減らすため、同州に所在する30から40箇所のウマ関連獣医診療所を対象に獣医実習を開催し聴講させようとしている」という記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 HeVによって最近死亡した2人は、ウマの獣医師であった。オーストラリア獣医師会は、クイーンズランド州法務省および雇用経済開発改革省の職場衛生安全バイオセキューリティによって実施されるこの獣医実習を支援していくと声明を出している。この実習課程は6月までの約3ヶ月間である。Mark Lawrie獣医師会副会長によれば、馬産業は近いうちに獣医師が本病に罹患する機会を減らすために動き始めるとのこと。Alister Rodgersの非業の死に直面して、我々は感染抑制について獣医師を教育するために研究会を実行している。時間をかけ、少しずつ広げていくという文化的な変更要素があるが、我々はこのメッセージがうまく伝わっていくと強く確信している。HeVの潜在的感染地域で仕事をしている獣医師や獣医スタッフは、動物に関わる仕事をする場合には、本人自らの防護や公衆衛生の重要性に気づくことが極めて重要なことである。オーストラリア獣医師会は感染抑制に関する詳細なガイドラインを作成している。そのガイドラインには汚物の取り扱い、刃物や注射針などの鋭利なものの取り扱い、消毒、防護用装備のようなものについて記載されている。この獣医実習はHeVに対する最良の防御方法を獣医師や獣医スタッフに教育することが狙いである。

(出典:Horsetalk-International horse news, 2010. 3. 29, 鎌田正信, 2010. 4. 12)

 

スペイン本土における馬トリパノソーマ病の発生  

 馬トリパノソーマ病の病原体の一つであるTrypanosoma evansiは、病原性アフリカ動物トリパノソーマの中では最も広範に伝播しており、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの家畜や野生動物に感染している。T. evansiはアフリカを起源としており、動物宿主であるラクダ、ウマ、ラバなどの輸出を介して南アメリカやアジアに伝播している。本原虫はスラ(ズルラ)という病名で知られる疾病を起こし、アブやサシバエなどに刺されたり、南アメリカでは吸血コウモリによって機械的に伝播される。本原虫が感染し定着した大陸では多くの種類の家畜化された動物が感染し、地理的に様々な種類の動物が主要な宿主となる。バッファロー、ウシ、ラクダ、ウマが特に感染しやすいが、野生動物を含む他の動物も感受性がある。
 ヒトコブラクダ(Camelus dromedarius)は、6世紀に使役目的で西アフリカ海岸近隣からカナリア諸島に導入されたが、最近では観光目的に使用されている。カナリア諸島にはヨーロッパで最も多い飼養頭数のラクダがおり、統計調査では約2,000頭が飼養されている。近年アフリカからのラクダの輸入が衛生問題などから非常に難しくなっており、最近10年間にヨーロッパや南アメリカ諸国に輸入されたラクダの多くはカナリア諸島からのものである。一方、T. evansiは、1997年にモーリタニア・イスラム共和国からカナリア諸島に輸入されたヒトコブラクダで初めて診断されたが、それ以降この諸島に常在していることが知られている。しかしながら、T. evansiについてはEU間、或いはEU と多くの他の国々との国際取引における動物衛生条件に含まれていない。このため、最近では2006年にフランス市内で馬トリパノソーマ病の発生が起きている。
 本論文は、ヒトコブラクダがカナリア諸島の汚染地域からスペインに導入された後、スペイン東部のバレンシア州アリカンテに所在するラクダとウマの牧場で発生したT. evansiによる馬トリパノソーマ病について報告している。この牧場には、ウマが75頭、ロバが17頭、ヒトコブラクダが21頭の合計113頭が飼養されていた。2008年6月に1頭のラクダが進行性の体重減少、食欲減退、衰弱、貧血などの臨床症状を示し、血液塗抹検査によりT. evansiが形態学的に検出された。この牧場における本病の広がりを確認するために調査が行われた。その結果、ラクダの76%、ロバの35%、ウマの2%がT. evansiに感染していることが明らかになった。これらの動物は隔離され、Cymelarsan (0.5 mg/kg) の筋肉内投与により治療された。その結果、2週間以内に臨床的に改善が認められ、治療後の3回の寄生虫学的手法による血液検査により陰性の結果を示した。これはスペイン本土におけるT. evansiの初めての発生であり、ヨーロッパ本土では2回目となる発生である。両方ともカナリア諸島からのヒトコブラクダの導入後に発生したものである。

(出典:A. Tamarit et al., Vet. Parasitol., 167, 74-76, 2010, 鎌田正信, 2010. 4. 6)

 

アブはウマの毛色に好みを示す  

 2010年3月9日付のTheHorse.com newsに、「アブはウマの毛色によって好みが異なり、白馬はアブに刺され難い」という興味深い内容のレビューが掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 ハンガリー、スペイン、スエーデンの研究者グループによれば、吸血アブの世界では、白毛のウマに対しては鹿毛や青毛のウマと同様な魅力をほとんど感じないらしい。この興味深いアブについてのとっておきのニュースは、今まで白毛は不利益をもたらすとされてきた白馬やそれらの所有者にとっては朗報となるかもしれない。なぜなら、白馬は太陽光線に弱く、皮膚癌や視覚異常になりやすく、肉食動物に簡単に見つかりやすいといわれてきた。野外試験や少数の選り抜きされた実験に基づき、白馬は光の偏光により吸血アブ類(アブやメクラアブを含む)にとって魅力が幾分低いということを研究者達は発見した。すなわち、明るい色の毛に覆われたウマは暗い色の毛に覆われたウマに比べて偏光の程度が低い状態で光を反射する。著者らの説明によれば、明るい色のウマは暗い色のウマに比べて毛や皮膚組織からの後方散乱光が多く、結果的には光の偏光を減じる。人間は偏光をほとんど認識することはできないが、昆虫は偏光を認識し、反射光の偏光を頼りに活動する。白毛のウマは他の毛色のウマに比べて光の偏光の程度が低く、アブに感知され難いことから、白馬はアブに刺され難いと考えられる。吸血アブ類は馬伝染性貧血などの病気を伝播するので、この研究は重要である。この研究は「An Unexpected advantage of whiteness in horses: the most horsefly-proof horse has a depolarizing white coat」というタイトルで、the Proceedings of the Royal Society of London; Series B, Biological Sciences (Proc. Biol. Sci., 2010. 2. 3) に公表されており、PubMedで抄録を見ることができる。

(出典:TheHorse.com news, Article#15946, 2010. 3. 9, 鎌田正信, 2010. 4. 6)

 

イタリアにおける馬伝染性貧血の発生  

 2010年3月26日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、イタリアにおける馬伝染性貧血(EIA)の発生に関する記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。なお、イタリアでは2006年に不法に作製された高度免疫血漿を介してサラブレッドなどで多数のEIA陽性馬が摘発されたことから、競走馬を含む全ての競技馬に対してEIAの陰性証明が義務付けられました。その結果、2006年から2007年にかけて多数のEIA陽性馬が摘発され、イタリア国内における広範な汚染状況が明らかとなりましたが、2008年以降は報告がありません。
 3月26日付のRESPE のHPによれば、2010年2月13日にイタリア南部のプーリア州の牧場で1頭のウマが疑わしい症状を示し、2月18日にコギンステストによりEIA陽性と診断された。3月26日現在、2頭のEIA陽性馬が確認されているが、年齢、性別、品種、飼養施設、飼養頭数などについての情報は報告されていない。

参考情報
1.International Collating Center, Interim Report-March 2010 #5, 2010. 3. 26.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 3. 26, 鎌田正信, 2010. 4. 5)

 

フランスにおける馬伝染性貧血の発生(2)  

 2010年3月16日付の総研HPのニュース記事で、フランスにおける馬伝染性貧血(EIA)の発生について紹介しましたが、2010年4月2日付のOIE World Animal Health Information Database (WAHID) にその続報が掲載されましたので、以下にこれまでの経過概要を含めて紹介します。なお、フランスでは、2005年以降継続的にEIAの発生が報告されており、2009年3月からの発生では4つの異なる地域に所在する84施設の450頭以上のウマについて疫学調査が行われ、最終的には合計16頭の馬が摘発されています。
 今回のフランスにおけるEIAの発生は、3月3日にドルドーニュ県Montcaretの牧場で飼養されていた29頭中1頭のウマが、フランス食料安全局の馬病理学疾病研究所(LERPE)でコギンス試験によりEIA陽性と診断されたのが発端である。この馬は3月12日に安楽死の処置が施され、残りの28頭のウマについては再検査で陰性と診断された。4月2日付のWAHIDの続報によれば、この発端牧場のEIA陽性馬はその後の疫学調査によりドルドーニュ県Prigonrieuxの牧場から移動してきていたことが判明した。そこで、Prigonrieuxの牧場の馬群についてEIA検査が実施された。その結果、3月30日にこの牧場で飼養されていた21頭中2頭のウマが、LERPEでコギンス試験によりEIA陽性と診断され、安楽死の処置が施された。なお、今回の感染源および疫学関連馬の特定のための疫学調査は現在も継続されており、その他の防疫対応としては検疫、国内の移動規制、衛生昆虫の駆除、感染施設の消毒などが行われている。

参考情報
1. Horsetalk-International horse news, 2010. 3. 16.
2. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 3. 10, 2010. 3. 12.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2010. 4. 2, 鎌田正信, 2010. 4. 5)

 

 
 

back