オーストラリアにおけるウマのヘンドラウイルス感染症の発生  

 2010年5月22日付のHorsetalk-Internatinal horse newsに、オーストラリアにおけるウマのヘンドラウイルス(HeV)感染症の発生報告が掲載されましたので、以下に発生経過を含めてその概要を紹介します。
 2010年5月20日付のクイーンズランド州当局の発表によれば、本年最初のウマのHeV感染症の発生が同州サンシャインコーストのTewantuinに所在する1頭のウマで確認された。このウマは5月17日に急性の神経症状を示し、獣医師の検査では呼吸および脈拍は正常であったが、目が見えないことが確認された。その後神経症状が急激に進行したことから、このウマは安楽死の処置を施された。この施設にはもう1頭のウマが飼養されており、現在のところ異常は認められず、検査でも陰性の結果が得られているが、今後6週間は隔離され、検査が継続される。また、感染馬と接触した獣医師やウマ所有者を含めて11名のヒトがHeVに暴露された可能性があり、現在検査を受けているが、5月24日現在、初回の検査が終了した10名については陰性結果が得られている。ヒトにおけるHeV感染症の潜伏期間は通常5〜21日間で、今後3週間以内に再検査が行われ、6週間後まで検査が継続される。なお、今回感染馬の診察を行った獣医師は、事前にHeV感染症を疑い、防護服の着用などのバイオセキューリティ対策を実施している。

参考資料
1. Horsetalk-International horse news, 2010. 5. 20.
2. Horsetalk-International horse news, 2010. 5. 23.
3. TheHorse.com news, Article#16389, 2010. 5. 21.
4. TheHorse.com news, Article#16402, 2010. 5. 24.
5. ProMed-mail, Archive Number 20100520.1673, 2010. 5. 20.
6. ProMed-mail, Archive Number 20100521.1688, 2010. 5. 21.
7. ProMed-mail, Archive Number 20100522.1699, 2010. 5. 22.
8. ProMed-mail, Archive Number 20100524.1724, 2010. 5. 24.

(出典:Horsetalk-International horse news, 2010. 5. 22, 鎌田正信, 2010. 5. 25)

 

アイスランドで原因不明のウマの呼吸器病の流行  

 2010年5月20日付のHorsetalk-International horse newsに、アイスランドの馬群で原因不明の呼吸器病が流行しているという内容の記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 アイスランド政府当局は、2010年4月から同国の馬群でマイルドな呼吸器病が流行し、原因究明をしているが、現在のところ不明であると発表した。同国農務省によれば、4月初旬頃から感染性の咳がアイスランド中の馬群に流行し始めた。ウイルス学的研究では現在原因究明に成功していないが、馬インフルエンザ、馬アデノウイルス感染症(馬伝染性気管支炎)、馬鼻肺炎、馬鼻炎ウイルス感染症などの既知のウイルス性呼吸器病については既に関与が否定されている。検査法が確立されていない未知の原因ウイルスの場合には、短期間に原因を確定できない可能性がある。第一原因は高い確率でウイルスと考えられているが、培養検査では沢山のStreptococcus zooepidemicusの気道感染も認められている。本病は乾いた咳を主徴としているが、衰弱、鼻汁漏出、息切れ、発熱などの症状を示す症例も認められる。また、症状は2〜4週間継続するが、それ以上長期にわたる場合もあり、各きゅう舎では同じような流行形態がみられている。最初の発症馬が認められると1〜2週間以内にそのきゅう舎の全てのウマが咳を始め、感染症の症状を示す。すなわち、感染環境下にいる全てのウマは発病する。このことは全ての馬群がこの感染症に感受性であることを示しており、この感染症の病原体は恐らくアイスランドの馬群にとって新しい病原体であると考えられる。現段階では、感染馬がどのぐらいの期間にわたって他のウマの感染源となりうるのかということについては不明である。ウマからウマへの伝播は、施設から施設へ移動するウマによって起こされているものと思われるが、人についても同様に病原体を撒き散らし、移動させる可能性がある。感染馬は休養させ、冷た過ぎない新鮮な空気を十分に与えるようにし、もし外気が十分に暖かければ、野外にウマを出すのがベストである。症状が最終的に治まり数日間経過してから、使役に供したり、徐々に運動を再開させるようにウマ所有者にアドバイスをしている。本病が今後どのような経過を取るかについて確定することは難しいが、春になり感染率が有意に減少することが期待される。なお、ウマ所有者は感染馬を移動させないようにし、競技会への参加も最小限にすべきである。

参考資料
1. TheHorse.com news, Article#16368, 2010. 5. 18.
2. ProMed-mail, Archive Number 20100518.1638, 2010. 5.18.

(出典:Horsetalk-International horse news, 2010. 5. 20, 鎌田正信, 2010. 5. 24)

 

米国でミツバチの攻撃により2頭のウマが死亡  

 2010年5月17日付のHorsetalk-International horse newsに、米国テキサス州で2頭のウマがミツバチに襲われ死亡したというショッキングなニュースが掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 2010年5月15日に米国テキサス州の牧場で2頭のウマと1頭のラバがミツバチの猛烈な攻撃を受け、ウマは2頭とも死亡し、ラバは一命を取り留めた。テキサス州当局の説明によれば、攻撃したのはアフリカミツバチで、死亡した2頭のウマには数100箇所以上もの刺し傷があり、ラバにも約50箇所の刺し傷が確認された。アフリカミツバチは非常に攻撃的であり、逃げると極端に執念深く追いかけてくることが知られている。2頭のウマはミツバチの毒素による急性中毒で死亡したものであり、生き残ったラバには抗ヒスタミン剤投与などによる治療が施された。なお、わが国ではアフリカミツバチは外来生物法で要注意外来生物に指定されているが、米国中部の州ではこのアフリカミツバチを養蜂に活用している。

参考情報
1. TheHorse.com news, Article#14690, 2009. 8. 9.
2. Horsetalk-International horse news, 2010. 3. 25.

(出典:Horsetalk-International horse news, 2010. 5. 17, 鎌田正信, 2010. 5. 24)

 

ナイジェリアで集団発生したアフリカ馬疫の臨床病理学的特徴  

 2006年12月20日から2007年2月21日にかけて、ナイジェリアのラゴスの17の牧場でアルゼンチンホースと在来馬の40頭がアフリカ馬疫(AHS)で死亡した。原因ウイルスはナイジェリアでは初めてのアフリカ馬疫ウイルス2型であった。発端は、ラゴスから約500マイル北東のカデュナで開催された大会に参加したアルゼンチンホースが帰厩し、ワクチン接種されていない地元の馬が感染してAHSが集団発生したと考えられた。感染馬は臨床的には発熱、沈鬱、眼窩周囲の浮腫、可視粘膜のうっ血および点状出血、舌のチアノーゼ、呼吸困難を呈し、特に甚急性例では横臥して頭部と頚部を伸張させ、鼻孔から黄色の泡沫液を大量に排出して死亡した(発病後1−3日の経過)。7頭の病理解剖では、臨床的に観察された眼窩の浮腫や可視粘膜の点状出血に加え、胸水の貯留(数リットル)と肺実質や気管支ないし気管内に多量の黄〜白色の泡沫液の充満、心臓における血様心嚢水の増量と心外膜の点状出血、腹腔では諸臓器の漿膜における点状出血と脾腫などが観察された。病理学的特徴による分類では心臓型は2例、肺型は4例、混合型は1例であった。フィールドでの診断は伝染病の初期の迅速対応において非常に重要で、本論文に記載された病気の発生状況や臨床症状ならびに病理解剖所見などは非常に有用な診断基準となる。

(出典:M. Kazeem et al., J. Equine Vet. Sci., 28, 594-597, 2008, 片山芳也, 2010. 5. 24)

 

アルゼンチンにおける馬ウイルス性動脈炎の発生(2)  

 2010年5月11日付の総研HPのニュース記事でアルゼンチンにおける馬ウイルス性動脈炎(EVA)の発生について紹介しましたが、2010年5月17日付のOIE World Animal Health Information Database (WAHID) にその続報が掲載されましたので、これまでの経過を含めて以下にその概要を紹介します。
 今回のアルゼンチンにおけるEVAの発生は、2010年3月9日にブエノスアイレス州の障害飛越馬および競走馬の生産牧場で多数のウマが流産を起こしたのが発端である。この発端牧場の牝馬は、流産の30日から40日前に人工授精を実施されており、141頭中80頭が感染した。この発端牧場の発生に引き続き、3月11日から4月27日にかけてブエノスアイレス州および首都特別区の7つの牧場でEVAの発生が認められ、667頭中116頭が感染した。これらの牧場の発生源または感染源は、汚染された精液、発端牧場や続発牧場から移動してきた感染馬などと判明している。2010年5月17日付のWAHIDによれば、5月5日から5月7日の間にブエノスアイレス州および首都特別区の3つの牧場(1生産牧場と2乗馬クラブ)で新たな発生があり、5月17日に362頭中108頭が国立ウイルス研究所で中和試験によりEVA陽性と診断された。この結果、今回の発生では11箇所の牧場で1,170頭中304頭のウマがEVAに感染したことになる。なお、アルゼンチン政府は既に5月8日付でブエノスアイレス州におけるウマの輸送を全面的に停止させており、競馬、障害飛越競技、耐久騎乗競技、競りなどのウマの活動を規制している。現在実施されている防疫対応としては、検疫、国内の移動規制、疫学調査などで、今回の第一次発生源または感染源についても追跡調査中である。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 5. 7.
2. ProMed-mail, Archive Number 20100509.1513, 2010. 5. 9.
3. ProMed-mail, Archive Number 20100510.1526, 2010. 5. 10.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2010. 5. 17, 鎌田正信, 2010. 5. 20)

 

米国におけるウマの東部馬脳炎の2009年発生概要  

 2010年5月12日付で米国農務省検査局から米国におけるウマの東部馬脳炎(EEE)の2009年発生概要が報告され、米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年の米国におけるウマのEEEの症例数は301例で、発生州は18州であった。各州の症例数の内訳は、フロリダ州が75例、ジョージア州が44例、ミシシッピー州が43例、ルイジアナ州が28例、アラバマ州、ノースカロライナ州が各23例、メイン州が15例、サウスカロライナ州が14例、バージニア州が9例、ニューヨーク州が7例、ニュージャージー州が6例、テキサス州が5例、ニューハンプシャー州が3例、ロードアイランド州が2例、アーカンソー州、コネチカット州、メリーランド州、マサチューセッツ州が各1例である。流行のピーク時は2009年9月9日から9月16日までの1週間で、症例数は27例であった。2009年のウマのEEEの症例数は2008年に比べて100例以上も多く、過去5年間では2005年の330例に次いで多い症例数であった。

(出典:2009 Summary of Eastern Equine Encephalitis Cases in the United States, NAHSS, USDA, 2010. 5. 12, 鎌田正信, 2010. 5. 20)

 

米国におけるウマのWNV感染症の2009年発生概要  

 2010年5月12日付で米国農務省検査局から米国におけるウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の2009年発生概要が報告され、米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年の米国におけるウマのWNV感染症の症例数は276例で、発生州は36州であった。各州の症例数の内訳は、ワシントン州が72例、テキサス州が29例、コロラド州が21例、カリフォルニア州が18例、モンタナ州が14例、アラバマ州が13例、ミシシッピー州が11例、アイダホ州、ルイジアナ州が各9例、ケンタッキー州、ニューメキシコ州が各8例、オクラホマ州、フロリダ州が各7例、イリノイ州、ユタ州が各6例、オレゴン州が5例、サウスダコタ州が4例、アイオア州、ネブラスカ州、ネバダ州、バージニア州が各3例、ミズーリー州、ペンシルベニア州、ワイオミング州が各2例、アーカンソー州、ジョージア州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミシガン州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ノースダコタ州、サウスカロライナ州、テネシー州、ウェストバージニア州、ウィスコンシン州が各1例である。流行のピーク時は2009年9月17日から9月22日までの1週間で、症例数は55例であった。2009年のウマのWNV感染症の症例数は2008年に比べて約100例多く、ワシントン州が2年続けて最も症例数の多い州となった。なお、米国疾病予防管理センター(CDC)の情報によれば、2009年のヒトのWNV感染症の症例数は722例で、発生州は37州およびコロンビア特別区であった。

参考情報
1. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2010. 4. 2.

(出典:2009 Summary of Equine West Nile Virus Cases in the United States, NAHSS, USDA, 2010. 5. 12, 鎌田正信, 2010. 5. 20)

 

英国における馬インフルエンザの発生  

 2010年5月17日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、英国における馬インフルエンザの発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 5月17日付のRESPEによれば、5月11日にイングランド東部に位置するリンカンシャー州に所在するウマの慈善休養施設のBransby Homeで大発生した呼吸器病の原因が、馬インフルエンザと確認された。この発生では、慈善施設で飼養されていた274頭の動物(271頭のウマとポニー、ロバ)のうち180頭以上が既に感染した(施設関係者の話では80%のウマが感染)。臨床症状は発熱、鼻汁、特徴的な激しい乾いた咳を含む典型的なもので、非常に早く感染が拡大した。診断はアニマルヘルストラストによって行われ、多数の鼻咽腔スワブを用いた核蛋白(NP)エライザ法での陽性結果に基づいて確認された。感染動物から得られた2株の分離ウイルスの遺伝子性状の解析により、これらの分離ウイルスはH3N8ウマインフルエンザウイルスの米国系統のフロリダ亜系統クレード2に属すことが判明した。この施設では、公的な寄付金で運営されており、271頭のウマに予防接種するためには高額な資金が必要なことから、馬インフルエンの予防接種は実施されていなかった。この事実については、5例の陽性例について実施されたHI試験の結果からも裏付けられた。発生源または感染源については未だ不明であり、この施設に最近導入されたウマは無く、間接的な発生源または感染源について調査中である。現在、ウマの移動規制などの措置が実施されており、今後残りの感染馬の検査が実施される。

参考資料
1. International Collating Center, Interim Report-May 2010 #2, 2010. 5. 14.
2. TheHorse.com news, Article#16363, 2010. 5. 15.
3. Horsetalk-International horse news, 2010. 5. 17.

(出典:Reseau dユ Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 5. 17, 鎌田正信, 2010. 5. 18)

 

米国ケンタッキー州における繁殖牝馬流産症候群の発生  

 2010年5月14日付のHorsetalk-International horse newsに、米国ケンタッキー州における繁殖牝馬流産症候群(MRLS)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。MRLS関連情報としては、2010年4月27日付の総研HPニュース記事にケンタッキー大学から注意喚起を促す情報が掲載されていますので、ご参照ください。
 ケンタッキー大学家畜疾病診断センターは5月14日に4頭の妊娠後期のウマ胎子および生後直後の虚弱子ウマの死亡解剖例がMRLSの所見と一致することを報告した。これらの4症例については、ケンタッキー州中部のそれぞれ異なる牧場での発生であり、最初の症例は5月1日に提供された。これらの胎子や子ウマはMRLSと一致する病変や細菌分離所見を有していた。ケンタッキー大学家畜疾病診断センターによれば、過去数年間に一時的に発生したMRLS症例と一致するもので、2009年には12症例のMRLSの発生があった。

参考情報
1.ProMed-mail, Archive Number 20100516.1604, 2010. 5. 16.

(出典:Horsetalk-International horse news, 2010. 5. 14, 鎌田正信, 2010. 5. 18)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(40)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、39回にわたりその続報を紹介しておりますが、2010年5月14日付で米国農務省公式発表のニュース記事が1ヶ月ぶりに更新されましたので、その内容を掲載します。なお、今回の発表で新たに摘発されたCEM菌陽性馬はおりません。現在までの検査対象馬は1,001頭(種牡馬が278頭、牝馬が723頭)で、28頭(種牡馬が23頭、牝馬が5頭)がCEM陽性、947頭(種牡馬が250頭、牝馬が697頭)がCEM陰性とそれぞれ診断され、残り54頭(種牡馬が28頭、牝馬が26頭)について検査が継続されています。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計23頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追求するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 23頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、他の973頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計1,001頭の馬は、48州に所在する。合計278頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は31州に所在し、723頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。ハワイ州とロードアイランド州だけは感染が疑われる馬や陽性馬が1頭も認められていない。
 23頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオワ州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が10頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。
 全体的には、1,001頭中947頭(94.6%)が現在CEMフリーであることが判明している。CEM陽性馬がいた8州中4州、すなわちジョージア、インディアナ、アイオワ、ケンタッキーの各州は全ての既知の陽性及び感染が疑われる馬の検査と治療を完了し、現在ではCEMフリーと考えられている。
 278頭中250頭(89.9%)の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコルを完了し、CEM菌陰性となっている。この250頭の種牡馬の中には、先の検査でCEM菌陽性となっていた22頭の種牡馬が含まれており、これらの22頭は現在治療されて再検査で陰性となっている。他の24頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。
 合計723頭中697頭(96.4%)の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この697頭の牝馬の中には、先にCEM菌陽性となっていた5頭の牝馬が含まれており、これらの5頭は検査と治療を完了して現在はCEM菌陰性となっている。
 今回の発生調査では、ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいたことが確認されている。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、8番目、9番目ならびに10番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の陽性種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオワ州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオワ州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭の牝馬はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の陽性牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。.

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2010. 5. 14, 鎌田正信, 2010. 5. 17)

 

米国モンタナ州における馬伝染性貧血の発生  

 2010年5月14日付のTheHorse.com newsに、米国モンタナ州における馬伝染性貧血(EIA)の発生報告が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。なお、米国ではEIAの症例数が毎年100例以上も報告されていますが、モンタナ州での発生は、2007年以来となります。
 今回の米国におけるEIAの発生は、2010年4月26日にモンタナ州Gallatin郡の1頭のウマがルーチン検査でコギンス試験によりEIA陽性と診断されたのが発端である。モンタナ州の家畜衛生担当者によれば、このウマはモンタナ州の外から移動してきたもので、どのようにしてEIA陽性となったのかは不明である。この陽性結果を受けて当該施設で飼養されていたさらに2頭のウマが検査を受け、このうちの1頭がEIA陽性と診断された。そこで、飼養されていた50頭近いウマについても検査を実施し、5月13日までに45頭のウマについては陰性と確認された。残りのウマについても明日あたりには検査結果が得られる予定とのこと。なお、EIAに罹患した馬は通常安楽死の処置を施されるか、または一生隔離されるが、この2頭のEIA陽性馬については研究所のEIA陽性馬群へ輸送されるために隔離されており、本病の研究に寄与するために安楽死の処置が施されない。モンタナ州では毎年EIA検査を受けることを奨励しており、ウマ関連イベントのために移動するウマについては、年2回の検査を受けることが望ましい。モンタナ州の外へ移動するウマについてはルーチン検査としてコギンス試験が要求され、現在では預託滞在施設やイベントでも同様にコギンス試験の陰性結果が求められる。また、牧場によっては、繁殖のために導入されるウマについても陰性証明が求められる。

参考情報
1.ProMed-mail, Archive Number 20100516.1607, 2010. 5. 16.

(出典:TheHorse.com news, Article#16356, 2010. 5. 14, 鎌田正信, 2010. 5. 17)

 

イタリアにおける馬伝染性貧血の発生(3)  

 2010年5月5日付および5月12日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、イタリアにおける馬伝染性貧血(EIA)の発生に関する続報が掲載されていましたので、これまでの発生経過を含めて以下に紹介します。
 今回のイタリアにおけるEIAの発生は、2010年2月13日にイタリア南部のプーリア州の牧場で飼養されていた1頭のウマが疑わしい症状を示し、2月18日にコギンス試験によりEIA陽性と診断されたのが発端である。この発生では、さらに1頭のEIA陽性馬が確認されている。その後、3月25日にイタリア中部のウンブリア州ペルージャで3頭中1頭のウマが疑わしい症状を示し、3月29日にEIA陽性と診断された。また、イタリア南部のカンパーニャ州ナポリでも3月29日に64頭中1頭のウマが発症し、4月1日にEIA陽性と確認されている。5月5日付のRESPEの情報によれば、2月11日〜4月19日の間にアブルッツオ州、プーリア州、ヴェネト州、カンパーニャ州の4州で90頭中9頭がEIA陽性で摘発された。また、5月12日付のRESPEの情報によれば、4月23日〜5月4日の間にカラブリア州、エミリア・ロマ―ニャ州、フリウリ・ヴェネツィア州、リグーリア州、ピエモンテ州、シチリア州の6州で121頭中7頭がEIA陽性と診断された。なお、感染馬の年齢、性別、品種、飼養施設、発生源や感染源などについての情報は報告されていない。

参考情報
1. International Collating Center, Interim Report-March 2010 #5, 2010. 3. 26.
2. International Collating Center, Interim Report-April 2010 #2, 2010. 4. 13.
3. Horsetalk-International horse news, 2010. 4. 20.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 5. 5 & 5. 12, 鎌田正信, 2010. 5. 13)

 

クロアチアにおける馬伝染性貧血の発生  

 2010年4月15日付および4月29日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、クロアチアにおける馬伝染性貧血(EIA)の発生報告が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。なお、クロアチアでは、最近になって欧州共同体(EU)にEIAの発生について届出をするようになっており、2007年には17例、2008年には18例、2009年には9例の発生が報告されています。
 2010年4月15日付のRESPEによれば、4月6日にクロアチアのダルマチア地方シベニク・クニン郡の牧場で1頭のウマが疑わしい症状を示し、EIA陽性と診断された。その後4月29日付のRESPEの情報では、中央クロアチア地方シサク・モスビィナ郡の牧場で、4月9日に発症馬が認められ、4月16日に4頭中2頭がコギンス試験によりEIA陽性と診断された。現在、防疫対応としてはウマの移動禁止などの措置が実施されている。

参考資料
1. Equine Infecious Anaemia: Potential Risk Factors for the Introduction of the Virus to the United Kingdom from EU Member States. An Update. Version No.3, 2010. 3. 8, (Global Animal Health, Defra).

(出典:Reseau dユ Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 4. 15 & 4. 29, 鎌田正信, 2010. 5. 13)

 

ガンマウマヘルペスウイルスは単なる通りすがりか、それとも真犯人か  

 ガンマウマヘルペスウイルス(EHV-2およびEHV-5)は世界中に存在し、病原体としての重要性を決定し難いウイルスである。問題はこれらのウイルスが単なる通りすがりのウイルスなのか、それとも病気を起こす真犯人のウイルスなのかを決定することである。フランスのFrank Duncombe研究所のGuillaume Fortier博士によれば、ガンマヘルペスウイルス感染症は成馬では殆どがサブクリニカルなものである。しかしながら、これらのウイルスは特に子ウマや若ウマの重篤な呼吸器疾患の発生に関わっている。これらのウイルスは、子ウマの上気道に感染し、潜在的に免疫系を抑制し、細菌性肺炎などの二次感染に罹りやすい状態にさせる。また、ガンマヘルペスウイルスは幼駒に目の炎症(結膜炎)を引き起こす。最近の研究では、EHV-2も競技馬の気道炎症に関与していることが報告されている。アルファウマヘルペスウイルス(EHV-1およびEHV-4)は最も激しいヘルペスウイルスの臨床発現(脊髄脳症、呼吸器症状、流産)の原因であるが、ガンマヘルペスウイルスは子ウマを除けば、臨床発現が幾分弱い。しかし、ウイルスが母ウマから子ウマに、子ウマから他の子ウマに、そしてその後に子ウマから他の母ウマに容易に伝播するので、繁殖期間中やトレーニング場での迅速な感染の拡大からウマを防御することが最大の難問である。臨床症状は結膜炎や鼻漏排出などの軽度な呼吸器所見から発熱や元気消沈などの一般的な症状の子ウマや成馬を含む激しい発生まで様々である。EHV-2およびEHV-5に対するワクチンは存在しないので、早期に認知することが重要である。もしウマ所有者がいかなるヘルペスウイルスについても感染の疑いを持ったら、迅速にウマを獣医師に見てもらい、病気のウマを残りの馬群から隔離するべきである。
 Fortierのレビューについての論説において、Stephanie A. Brault博士は、これらのウイルスを検査で検出しても、これらのウイルスは至る所に存在するので、単純に病気の原因であるかどうかについて述べることは十分ではない。彼女はこれらの知名度の低いヘルペスウイルスについての研究をもっと行うことを要望している。この研究は、「Equine gammaherpesviruses: Pathogeneses, epidemiology and diagnosis」というタイトルで2009年9月に発刊されたVeterinary Journalに掲載されており、その論説は、「Equid gammaherpesvirus: persistent bystanders or true pathogens ?」というタイトルで、2010年4月に発刊されたVeterinary Journalに掲載されている。なお、この要旨はPubMedで読むことができる。

(出典:TheHorse.com news, Article#16208, 2010. 4. 23, 鎌田正信, 2010. 5. 13)

 

アイルランドにおける馬ウイルス性動脈炎の発生  

 2010年5月10日付のInternational Collating Center からの中間報告(2010年5月1号)で、アイルランドにおける馬ウイルス性動脈炎(EVA)の発生が報告されていましたので、下記にその概要を紹介します。
 今回のEVAの発生は、アイルランド西部のメイヨー州クレアモリスの牧場で勃発し、30頭中10頭が感染した。これらの感染馬には、2頭の種牡馬、6頭の自然感染牝馬、2頭の試験交配用牝馬が含まれている。発生源はアイルランドに輸入された1頭の種牡馬で、2009年10月27日に抗体の陽転が認められた。2010年になってから、この種牡馬にはEVAの予防接種歴のないことが確認され、その後2010年3月15日に中央獣医学研究所でPCR検査によりEVA陽性と診断された。なお、現在検疫などの防疫対策が既に実施されており、調査が継続中である。なお、アイルランド農務省はパリのOIE事務所に2010年5月10日付で緊急報告を行っている。

参考情報
1.Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine (RESPE), 2010. 5. 10.

(出典:International Collating Center, Interim Report−May 2010 #1, 2010. 5. 10, 鎌田正信, 2010. 5. 12)

 

アルゼンチンにおける馬ウイルス性動脈炎の発生  

 2010年5月7日付のOIE World Animal Health Information Database (WAHID) に、アルゼンチンにおける馬ウイルス性動脈炎(EVA)の発生に関する記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 今回のアルゼンチンにおけるEVAの発生は、2010年3月9日にブエノスアイレス州の障害飛越馬および競走馬の生産牧場で多数のウマが流産を起こしたのが発端である。この発端牧場の牝馬は、流産の30日から40日前に人工授精を実施されており、現在までに141頭中80頭が感染している。この牧場から他の牧場に移動したウマについては、現在調査中であるが、既に数頭のウマが血清学的にEVA陽性と判明している。この発端牧場の発生に引き続き、3月11日から4月27日にかけて7つの牧場でEVAの発生が認められ、667頭中116頭が感染した。その結果、今回の発生では8つの牧場で808頭中196頭のウマがEVAに感染したことになる。これらの牧場の発生源または感染源は、汚染された精液、発端牧場や続発牧場から移動してきた感染馬などと判明している。なお、EVAの確定診断は、INTA-Castelarの国立ウイルス研究所 でRT-PCR、中和試験、ウイルス分離により実施されており、3月30日から4月19日にかけてEVA陽性の診断結果が報告されている。2010年5月9日付のProMed-mailの記事によれば、2010年5月8日付でアルゼンチン国立動物農業保健局は、今回のEVAの発生によりブエノスアイレス州では全てのウマの輸送を2週間停止させるという声明を出した。今週から施行中のこの禁止令は、30日間に延長される可能性があり、競馬、障害飛越競技、耐久騎乗競技、競りなどのウマの活動を既に規制している。今回の最初の発生源または感染源については現在追跡調査中であり、障害飛越馬の繁殖用にオランダから最近輸入された精液の調査を進めている。なお、現在実施されている防疫対策は、検疫、国内の移動規制、スクリーニング調査などで、予防接種は禁止されている。

参考情報
1. ProMed-mail, Archive Number 20100509.1513, 2010. 5. 9.
2. ProMed-mail, Archive Number 20100510.1526, 2010. 5. 10.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2010. 5. 7, 鎌田正信, 2010. 5. 11)

 

バーレーンにおけるウマの鼻疽の発生  

 2010年4月29日付のTheHorse.com newsに、バーレーンにおけるウマの鼻疽の発生報告に関する記事が掲載されていましたので、以下のその概要を紹介します。
 2010年4月17日付のProMed-mailに、バーレーンで致命的なウマの疾病が発生し、3週間の間に2頭のウマが死亡し6頭のウマが安楽死の処置を施されたという記事が掲載された。4月26日付のGulf Daily NewsおよびEquID Blogによれば、この疾病は鼻疽であったことが確認された。鼻疽は、Burkholderia malleiによって引き起こされる細菌性疾病で、非常に伝染力が強く、主としてウマ、ロバ、ラバなどに感染するが、ヒトも本病に罹る。バーレーン自治・農務省畜産局のSalman Abdul Nabiによれば、同国のウマは現在、鼻疽の臨床症状を示していないかどうかについて検査を受けている。既に400頭以上のウマから採取された血液材料がUAEの専門家に送付されており、今回の発生が小規模な発生であると確信できるような結果が得られるであろう。政府は迅速にこの状況を処理するために資金を供給した。約12頭のウマが本病の症状を呈し、数頭は既に快復している。4月中旬にバーレーンで本病が発見されたときに、2頭のウマが最初に死亡した。政府はこの時点でウマの移動禁止令を制定し、競技会へのウマの参加を禁止した。この規制は4月26日現在、必要な場所には継続されている。Guelph大学のScott Weese獣医師は、他のウマと密接に接触させると鼻疽を伝播させるので、暴露された全ての動物も確認することが重要である。感染動物と一緒に仕事をしたヒトは、衣服や道具を介して本病を伝播させるので注意が必要である。バーレーン王国には約6,500頭のウマがおり、サウジアラビア東岸のペルシャ湾内にある36の諸島からなる島国であり、ワシントンDCの約4倍の広さである。

参考情報
1. TheHorse.com news, Article#16192, 2010. 4. 16.
2. Horsetalk-International horse news, 2010. 4. 17.
3. ProMed-mail, Archive Number 20100417.1241, 2010. 4. 17.
4. ProMed-mail, Archive Number 20100428.1364, 2010. 4. 28.
5. ProMed-mail, Archive Number 20100510.1527, 2010. 5. 10.
6. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 5. 10.

(出典:TheHorse.com news, Article#16268, 2010. 4. 29, 鎌田正信, 2010. 5. 11)

 

ルーマニアにおける馬伝染性貧血の防疫強化策をEUが支援  

 2010年5月5日付のHorsetalk-International horse newsに、欧州共同体(EU)がルーマニアにおける馬伝染性貧血(EIA)の防疫強化策を支援する旨の声明が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 EUは、ルーマニア政府が他のEU諸国へのEIAの伝播を防止するために実施する防疫対策について強く支援する旨の声明を出した。最近数ヶ月間に英国を含めてヨーロッパで届出されたEIAの発生については、ルーマニアから輸出されたウマが原因となっている。この防疫強化策にはルーマニアから出国する前に実施されるウマの2重検査が含まれており、EIAフリーと証明された施設で飼養されていたウマのみが出国を許可される。ルーマニアのこの対策を支援するEUの決定は、2日間の日程で開催された食物連鎖および動物衛生に関する常設委員会の会議期間中にメンバー諸国によって承認された欧州委員会の提案に基づいている。この会議ではEUにおける動物衛生および公衆衛生を守ることを目的とした一連の他の対策についても承諾された。EIAはウマ、ロバ、ラバに感染するウイルス病で、ルーマニアでは常在化しており、ウマ科動物の移動を介した本病の伝播を防止するために必要な信頼できる規制が存在する。今回公表された獣医査察団の報告では、EIAの最近の発生はルーマニアから他のメンバー諸国に感染馬が移動して起きたものであり、本病の防圧を目的としたルーマニア政府の防疫強化策は今後のEUの防疫対策にとって有益であることが示されている。ルーマニアからのウマ科動物については、今や出国前に実施される2重検査を含む充実した特別体制下で、EIAフリーと証明された施設からのみ他のメンバー諸国に輸出されるだろう。

参考情報
1.Horsetalk-International horse news, 2010. 5. 8.

(出典:Horsetalk-Internationa horse news, 2010. 5. 5, 鎌田正信, 2010. 5. 10)

 

2007年の豪州での馬インフルエンザ発生時にイヌも感染  

 2010年5月1日付のTheHorse.com newsに、「2007年に勃発したオーストラリアにおける馬インフルエンザの発生時には、約20,000頭のウマが感染したが、発症馬と密接な接触があったイヌもウマインフルエンザウイルスに感染したことが確認された」という内容のレビューが掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 ニューサウスウェルズ州にあるElizabeth Macarthur農業研究所のPeter D. Kirkland 博士によれば、馬インフルエンザに罹患したウマと一緒または近くにいたイヌには感冒様症状が観察された。サンプルの詳細な遺伝子研究では、イヌ由来ウイルスとウマ由来ウイルスは全く同じであった。もし、ウマの所有者が自分のイヌをインフルエンザから守りたければ、感染馬と密接に接触させないようにイヌを離すべきである。暴露されたイヌは耳障りな咳、鼻汁漏出、嗜眠、食欲拒絶などの症状を含む感冒様症状を示した。数匹のイヌは短期間の間完全に発病したが、米国の発生とは異なり死亡するものはなかった。米国におけるイヌインフルエンザH3N8ウイルス(CIV)は伝染性の高いイヌ呼吸器感染症であり、30州とコロンビア特別区で確認された。フロリダ大学のCynda Crawford博士の話では、CIV分離株の分子解析では、1999年までにウマからイヌへのウマインフルエンザA H3N8ウイルスの種間伝播が起きたという起源説が支持されているとのこと。米国ウイルスは、イヌからイヌへ伝播され、イヌに特異的な病原体となるように変異した。したがって、イヌインフルエンザN3H8ウイルスの感染症例は、米国以外の国では認められていない。実験的な研究では、ウマはCIVの感染に感受性であるが、臨床的には無症状または軽度な症状しか起こさない。CIVワクチン(インターベット/シェリング・プラウ動物衛生)は米国では使用可能である。このワクチンはCIVに暴露される危険性のあるイヌ用ワクチンであり、ウマと接触のあるイヌには予防接種を考えるべきである。このレポートは、「Influenza virus transmission from horses to dogs in Australia」というタイトルで、Emerg. Infect. Dis., 16(4), April 2010に掲載されており、要旨はPubMedで見ることができる。

(出典:TheHorse.com news, Article#16271, 2010. 5. 1, 鎌田正信, 2010. 5. 10)

 

ブラジルにおけるウマの鼻疽の発生  

 2010年4月21日付のOIE World Animal Health Information Database (WAHID) に、ブラジルの中西部に位置する連邦直轄区におけるウマの鼻疽の発生報告が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。鼻疽は、Burkholderia malleiによって引き起こされる細菌性疾病で、非常に伝染力の強い疾病として知られており、ブラジルでは北東部の数州に限定して常在化しています。今回の鼻疽の発生報告は、2008年のサンパウロにおける発生以来となります。
 2010年4月21日付のWHAIDによれば、2009年12月22日にブラジリアの大学獣医病院の1頭のウマが呼吸器症状を呈し、抗生物質療法により症状が良化しなかったことから、ペルナンブーコ州にある国立農業研究所(LANAGLO/PE)に材料を送付し検査を依頼した。その結果、補体結合試験により鼻疽と診断された。しかし、その後45日目と60日目にマレイン試験が実施されたが、不定および陰性という結果が得られた。その後も検査が継続され、細菌検査のために鼻粘膜スワブが同研究所に送付され、4月12日に鼻疽菌が分離同定された。獣医当局は最初に補体結合試験で陽性結果が得られた時点から疫学調査を始め、感染馬と接触のあった全てのウマを検査したが、今日まで全てが陰性であり、臨床的に発症したウマは認められていない。獣医当局は感染源または発生源の確認に必要なサーベイランスおよび調査を行っている。防疫対策としては、検疫、国内の移動制限、感染施設の消毒などが行われている。

参考情報
1.ProMed-mail, Archive Number 20100501.1411, 2010. 5. 1.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2010. 4. 21, 鎌田正信, 2010. 5. 7)

 

米国におけるウマの狂犬病の発生(4)  

 2010年5月3日付のTheHorse.com newsに、米国マサチューセッツ州におけるウマの狂犬病の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。なお、米国における馬科動物の狂犬病の発生報告は、テキサス州、ミシガン州、ノースカロライナ州、コロラド州に次いで今年5州目となります。
 5月3日付のTheHorse.com newsによれば、4月3日にマサチューセッツ州の1頭のウマが狂犬病に罹患したことが検査により確認され、安楽死の処置が施された。このウマはFreetownの施設で飼養され、狂犬病の予防接種をしていなかった。Bruce Chase担当獣医師の話では、マサチューセッツ州におけるウマの狂犬病の発生は、過去10年間で2例しか報告がなく、今回が3例目であるとのこと。なお、今回の感染源については、スカンクからの感染が示唆されている。マサチューセッツ州公衆衛生省は、調査の結果では狂犬病の汚染レベルは低いものの、家畜やペット、ヒトに対して脅威を与え続けているので、家畜やペットに対して狂犬病ワクチンを接種するようにこれらの所有者に勧告している。現在のところ、今回の発生において狂犬病に暴露された疑いのある人や動物で発症したものはいない。

参考資料
1. ProMed-mail, 20100503.1434, 2010. 5. 3.

(出典:TheHorse.com news, Article#16283, 2010. 5. 3, 鎌田正信, 2010. 5. 7)

 

英国における馬伝染性貧血の発生(最終報告)  

 2010年1月20日付の総研HPのニュース記事で英国における馬伝染性貧血(EIA)の発生について紹介しましたが、2010年4月30日付のOIE World Animal Health Information Database (WAHID) にその最終報告が掲載されましたので、以下にこれまでの経過概要を含めて紹介します。
 今回の英国におけるEIAの発生は、2010年1月19日に英国のウィルトシャー州の牧場で、50頭中2頭のウマがコギンス試験によりEIA陽性と診断されたのが発端である。この2頭のEIA陽性馬は2009年12月22日にベルギー経由でルーマニアから輸入された10頭のうちの2頭で、2010年1月20日に安楽死の処置が施された。10頭の輸入馬の内訳は、ルーマニアからのものが9頭、ベルギーからのものが1頭で、ルーマニアからの9頭中2頭がEIA陽性と診断された。英国動物衛生当局は約90日間にわたって発端牧場について疫学調査を継続してきたが、4月30日に残りの48頭が全てEIA陰性と診断されたことから今回WAHIDに最終報告をした。なお、今回の防疫対策としては疫学調査、検疫、国内の移動制限、施設の消毒などが実施された。

参考情報
1. Horsetalk-International horse news, 2010. 1. 20, 1. 21, 1. 22, 1. 23, 2. 3, 2. 23, 3. 6.
2. TheHorse.com news, Article#15661, 2010. 1. 19, #15669, 2010. 1. 20, #15674, 2010. 1. 21.
3. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 1. 20, 1. 29, 2. 5, 2. 12, 2. 26, 3. 5, 3. 26, 4. 2, 4. 9, 4. 23.
4. ProMed-mail Archive Number 20100121.0235, 20100209.0439.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2010. 4. 30, 鎌田正信, 2010. 5. 6)

 

 
 

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