ニュース クロアチアにおける馬伝染性貧血の発生  

 2011年3月29日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、クロアチアにおける馬伝染性貧血(EIA)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。なお、クロアチアにおけるEIAの発生は2007年以降毎年報告されており、2010年には4地方で合計17頭のEIA陽性馬が摘発されています。
 今回のクロアチアにおけるEIAの発生は今年最初となるもので、2011年3月17日に中央クロアチア地方カルロヴァツ郡の牧場で1頭の繁殖用馬がコギンス試験によりEIA陽性と診断された。なお、感染馬の年齢、性別、品種などの詳細については不明であり、防疫対応としてはウマの移動規制などの措置が実施されている模様である。

参考情報
1. Equine Infectious Anaemia: Potential Risk Factors for the Introduction o the Virus
to the United Kingdom from EU Member States. An Update. Version No.3, 2010. 3. 8, (Global Animal Health, Defra).
2. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 4. 15, 2010. 4. 29, 2010. 6. 1, 2010. 8. 5, 2010. 9. 20, 2010. 9. 27, 2010. 11. 11.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2011. 3. 29, 鎌田正信, 2011. 3. 30)

 

ニュース ポルトガルにおけるウマのWNV感染症の発生(3)―2010年最終報告  

 2011年3月25日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に、ポルトガルで発生したウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の最終報告が掲載されていましたので、以下にこれまでの発生概要を含めて紹介します。
 今回のポルトガルにおけるウマのWNV感染症の発生は、同国では最初の報告となるもので、2010年10月4日にリスボア地方セトゥーバル県の牧場で1頭のウマが発症し、10月9日に国立獣医学研究所でIgGおよびIgM補足エライザ、リアルタイムPCRによりWNV感染症と診断され、その後安楽死の処置を施された。また、10月29日にもリスボニア地方セトゥーバル県の牧場で70頭中1頭が発症し、11月29日に国立獣医学研究所でWNV感染症と診断された。2011年3月25日付のWAHIDの最終報告によれば、その後発生地域を含む危険地域の490頭のウマについて臨床および血清疫学調査が実施されたが、検査結果はいずれも陰性であった。また、危険地域の馬群に対する任意による予防接種も実施された。さらに、264羽以上の野鳥について疫学調査が実施され、いずれも陰性結果が得られた。その他の防疫対策としては、衛生昆虫の駆除、野生動物保有種対策、対症療法による感染馬の治療などが行われた。

参考情報
1. ProMed-mail, Archive Number 20101028.3910, 2010. 10. 28.
2. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 10. 28.
3. International Collating Center, Interim Report-October 2010 #5, 2010. 10. 29.
4. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 10. 27, 2010. 12. 17.
 
(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2011. 3. 25, 鎌田正信, 2011. 3. 29)

 

ニュース 中米ベリーズにおけるウマのWNV感染症の発生(2)―2010年最終報告  

 2011年3月24日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に、中央アメリカ北東部、ユカタン半島の付け根に位置するベリーズで発生したウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の2010年最終報告が掲載されましたので、以下にこれまでの発生概要を含めて紹介します。
 今回のベリーズにおけるウマのWNV感染症の発生は2005年8月以来となるもので、2010年6月18日〜8月13日の間にオレンジウォーク州とカヨ州の4ヶ所の牧場で、83頭中5頭が運動失調、跛行、横臥、強直、後肢麻痺などの神経症状を呈し、そのうちの3頭が死亡した。これらのウマは、9月7日にOIEリファレンスラボラトリーである米国国立獣医学研究所(NVSL)でIgM捕捉エライザによりWNV感染症と確定診断された。2011年3月24日付のWAHIDの最終報告によれば、その後馬科動物のWNV感染症陽性例は認められていない。なお、今回の発生源または感染源は不明であり、防疫対応としては衛生昆虫の駆除、予防接種などが行われている。

参考情報
1. Pro-MED-mail, Archive Number 20100913.3301, 2010. 9. 13.
2. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 9. 13.
3. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 9. 10.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2011. 3. 24, 鎌田正信, 2011. 3. 29)

 

ニュース 中米ベリーズにおけるベネズエラ馬脳炎の発生(2)―2010年最終報告  

 2011年3月24日付のOIE World Animal Health Information Databaseに、中央アメリカ北東部、ユカタン半島の付け根に位置するベリーズで発生したウマのベネズエラ馬脳炎(VEE)の2010年最終報告が掲載されましたので、以下にこれまでの発生概要を含めて紹介します。
 今回のベリーズにおけるウマのVEEの発生は2009年9月以来となるもので、2010年8月10日にカヨ州Lower Barton Creekの村で200頭中1頭が跛行および運動失調などの臨床症状を示し、9月7日にOIEリファレンスラボラトリーである米国国立獣医学研究所(NVSL)でIgM捕捉エライザによりVEE陽性と診断された。また、9月21日にはカヨ州Santa Elena郡の牧場で川の近くに放牧されていた3頭中1頭(サラブレッド混血種セン馬)が発症し、10月15日にNVSLでIgM捕捉エライザによりVEEと診断された。2011年3月24日付のWAHIDの最終報告によれば、その後は馬科動物における新たなVEEの発生は認められず、2010年にベリーズでVEEに罹患したウマは2頭のみであった。なお、今回の発生源または感染源は不明であり、防疫対応としては予防接種や衛生昆虫の駆除などが行われている。

参考情報
1. ProMED-mail, Archive Number 20100912.3294, 2010. 9. 12.
2. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 9. 13.
3. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 9. 10.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2011. 3. 24, 鎌田正信, 2011. 3. 29)

 

ニュース 南アフリカにおけるアフリカ馬疫の発生(3)  

 2011年3月28日付のTheHorse.com newsに、南アフリカで発生したアフリカ馬疫(AHS)の続報が掲載されましたので、以下にこれまでの発生概要を含めて紹介します。
 今回の南アフリカにおけるAHSの発生は、2011年3月3日に同国農林水産省当局が今年南アフリカ国内で既に92頭のAHS罹患馬が確認され、そのうちの52頭が死亡したと発表したのが発端である。3月4日には西ケープ州当局はAHSの伝播防止策として南アフリカの他の地域から同州へのウマの移動規制を実施した。しかしながら、その後3月7日に西ケーブ州ケープタウン都市圏Mamre地域でも12頭のAHS罹患馬が確認され、3月9日および22日付のOIE World Animal Health Information Databaseにその一部が報告された。そこで、欧州連合(EU)は3月9日付で南アフリカからのウマの輸入を全面的に禁止した。また、3月10日には今回伝播しているAHSウイルスの血清型がオンダーステッポート獣医学研究所により1型と同定された。2011年3月28日付のTheHorse.com newsによれば、西ケープ州当局は同州のAHS罹患馬の頭数が3月28日現在で24頭に達したと報告した。AHS財団によれば、南アフリカ全土におけるAHS罹患馬または疑似患馬頭数は現在約500頭で、クワ―ズル・ナタール州からの報告では1日当たり10頭以上も死亡しているとのこと。因みに、AHS罹患馬頭数は2008年から2009年のシーズンには236頭、2009年から2010年のシーズンには85頭であった。今回の南アフリカにおけるAHSの発生地域は、プレトリア北部及び西部、ハウテン州のBapsfontein、フリースティト州のHarrismith、 Vrede、 Memel、西ケープ州のMamre、北ケープ州のKuruman、Hotazelで、輸送用および競技用に使用されているウマが感染している。また、AHSの発生はナミビアとスワジランドでも報告されている。本病は南アフリカでは新しい病気ではなく、毎年発生しているが、今年は過去最悪であるとのこと。なお、競馬産業は現在のところ比較的痛手を受けておらず、どのレースも中止していないし延期もしていないが、AHSが伝播することに注意を払っており、すべての予防策が取られている。なお、西ケープ州当局は先に今回のAHS症例数の劇的な増加は南アフリカの他の地域における持続的な多雨がもたらした結果であり、AHSの発生時期は過去数年に比べて非常に早いと発表している。

参考情報
1. ProMed-mail, Archive Number 20110303.0702, 2011. 3. 3, 20110308.0758, 2011. 3. 8, 20110320.0883, 2011. 3. 20.
2. Horsetalk-International horse news, 2011. 3. 4, 2011. 3. 29.
3. TheHorse.com news, Article # 17879, 2011. 3. 4, # 17888, 2011. 3. 7.

(出典:TheHorse.com news, Article # 18006, 2011. 3. 28, 鎌田正信, 2011. 3. 29)

 

文献紹介 低Na飼料摂取時の血漿アルドステロン濃度と心臓血管反応  

 低Na飼料摂取が競技馬の血漿アルドステロン濃度と心臓血管系におよぼす影響を7頭のスタンダードブレッドを用いて調べた。週2回トレーニングを行なっている馬たちに、標準Na飼料(58mg Na/kg bw)と低Na飼料(3mg Na/kg bw)を、それぞれ5週間ずつ順番をかえて投与した。血液材料は週1回ずつ採取し、第5週目には運動前および運動後は22時30分まで採取した。測定項目は、血中Na・血漿総タンパク・血漿アルドステロン濃度・トロポニン氈EPCV・血圧・脈波・心電図・心エコーであった。水摂取は運動前日および運動実施日に測定し、自発的な生理食塩水摂取はそれぞれの実験期間終了後2日間測定した。糞採取は週ごとに行ない、Na濃度とK濃度を測定した。血漿アルドステロン濃度とPCVは低Na飼料投与の方が高かった。血圧・心電図・トロポニン氈E心エコーには群間で差はなかったが、脈波の大きさは低Na飼料で小さい傾向にあった。低Na飼料で水摂取は多く、生理食塩水摂取は多かった。血中Na・血漿アルドステロン・PCV・血漿総タンパクの運動時の反応には飼料群間で違いがあった。糞中のK/Na比は低Na飼料で高かった。これらの結果は、5週間の低Na摂取は、血漿アルドステロン濃度とPCVを増加させるが、心機能には影響をおよぼさないことを示唆している。

(出展:Jansson et al, Equine Vet. J. Suppl. 38, 329-334, ICEEP8, 2010, 平賀敦, 2011. 3. 28)

 

文献紹介 加齢に伴う体温調節機能と循環機能の変化  

 若馬6頭(平均7.7歳)と老馬5頭(平均26歳)の運動中の体温調節機能と血漿量を測定した。これらの馬をトレッドミル上で核温が40℃になるまで運動させた(6%傾斜・1625W強度)。核温・皮膚温・直腸温・心拍数を運動中から運動後10分まで1分ごとに測定した。運動前・核温が40℃に達した時・運動10分後まで5分間隔に採取した血液を用いて、PCV・血中乳酸濃度・血漿タンパクを測定した。発汗量は体重変化から見積もった。さらに、若馬26頭(平均8.2歳)と老馬8頭(平均26.6歳)の血漿量をエバンスブルーを用いて測定した。運動前の血液量・赤血球量は血症量とPCVから計算した。その結果、老馬は若馬よりも核温が40℃に達するのが速かった、またその際の心拍数は有意に高く、しかも汗の喪失も大きかった。核音・皮膚温・直腸温・血中乳酸濃度・PCV・血漿タンパクに年齢の影響はなかった。血漿量・血液量・赤血球量は若馬が多かった。

(出展:McKeever et al, Equine Vet. J. Suppl. 38, 220-227, ICEEP8, 2010, 平賀敦, 2011. 3. 28)

 

文献紹介 馬術競技馬の運動性不整脈  

 合計28頭の障害競技馬(平均7.5歳;4〜13歳)において、運動時心電図記録と安静時心エコー検査を行なった。11頭(39%)に心エコー検査により軽度あるいは中等度の弁口部の逆流像を認めたが、不整脈とは関連性はなかった。上室期外収縮は安静時において9頭(32%)、運動時において25頭(89%)、回復期において15頭(54%)に認められた。それぞれの馬におこる上室性期外収縮の数は少なかったが(8拍以下)、ある馬では運動中に13拍、また別の馬では41拍の上室性期外収縮を発生させていた。上室性期外収縮は心拍数が少ないときに(40〜98拍/分)典型的に観察された。心室期外収縮は、運動中は5頭(18%)、回復期中は2頭(7%)に観察されたが、いずれも2拍以下であった。馬場馬術馬については、合計21頭の馬(平均9歳;5〜21歳)について、運動時の心電図記録と安静時の心エコー検査を行なった。上室期外収縮は安静時には稀であったが、運動時には6頭(28.6%)、回復期には13頭(61.9%)に認められた。心室期外収縮は1頭の馬で観察された。軽度の弁口部の逆流像が観察されたが、不整脈との関連性はなかった。

(出展:Buehl et al, Equine Vet. J. Suppl. 38, 196-201, Barbesgaard et al, Equine Vet. J. Suppl. 38, 201-207, ICEEP8, 2010, 平賀敦, 2011. 3. 23)

 

文献紹介 持続走とインターバル走における筋動員様式の違い  

 競走馬のトレーニングに用いられる持続走とインターバル走における筋線維動員様式を調べた。5頭のサラブレッドを用い、10%傾斜のトレッドミル上において、持続走として90%VO2max強度で4分間の運動を1回負荷した。一方インターバル走として90%VO2max強度で2分間の運動を10分間の休憩をはさんで2回負荷した。骨格筋サンプルは運動前と運動直後に中殿筋から採取した。その結果、速筋線維におけるグリコーゲンの減少量は、インターバル走の方が持続走よりも大きかった。この結果は、インターバル走が速筋線維の解糖系能力強化により効果的なトレーニング法である可能性を示している。

(出展:Yamano et al, J. Equine Sci., 21, 59-66, 2010, 平賀敦, 2011. 3. 23)

 

ニュース 米国カリフォルニア州でウマのWNV感染症に対する注意喚起  

 2011年3月17日付のHorsetalk-International horse newsに、米国カリフォルニア州でウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の再発を防止するためにワクチン接種を実施するように注意喚起がなされているという内容の記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 カリフォルニア州では2010年に19頭のウマがWNV感染症と診断されたが、全ての感染馬はワクチン非接種馬または不完全なワクチン接種馬であった。カリフォルニア州獣医官のAnnette Whiteford獣医師によれば、WNV感染症の発生はウマにとっては依然脅威であり、所有者はできる限り早くウマの予防接種の状態が適切であるかどうか確かめるために担当獣医師と連絡を取るべきであるとのこと。ウマ所有者が必要なワクチン接種を今実施すれば、所有馬は本病に対する最適な感染防御能を保有するであろう。WNV感染症の症状にはつまずき、よろめき、震え、脱力、筋肉痙攣、起立不能などが含まれる。ウマは媒介蚊によってウイルスを伝播されWNV感染症に罹患するが、他のウマやヒトにはウイルスを伝播しない。また、WNV感染症に罹患した全てのウマが死亡する訳ではなく、これまでの経験では感染馬の致死率は40%である。

(出典:Horsetalk-International horse news, 2011. 3. 17, 鎌田正信, 2011. 3. 22)

 

ニュース 中米ホンジュラスにおけるベネズエラ馬脳炎の発生  

 2011年3月18日付のOIE World Animal Health Information Databaseに、中央アメリカ中部に位置するホンジュラスにおけるウマのベネズエラ馬脳炎(VEE)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 ホンジュラスにおけるウマのVEEの発生は2007年6月以来となるもので、2011年1月26日〜2月4日までの間に同国西部のレンピーラ県およびコパン県の3つの集落で発生があり、32頭中2頭、250頭中4頭、36頭中1頭、合計323頭中7頭がそれぞれ神経症状を呈して死亡し、3月9日に国立ホンジュラス獣医学研究所でエライザ法(非構造タンパク)によりVEE陽性と診断された。レンピーラ県で死亡した6頭については野外調査期間に確認されたもので、レンピーラ県およびコパン県の発生場所近くの自治体では予防策として合計740頭のウマに弱毒生ワクチン(組織培養由来TC-83株)が接種された。なお、今回の防疫対応としては、予防接種とスクリーニング調査が実施されたが、感染馬に対する治療は行われていない。

参考情報
1.Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2011. 3. 21.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2011. 3. 18, 鎌田正信, 2011. 3. 22)

 

ニュース 宮崎県における馬伝染性貧血の発生  

 2011年3月18日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に、宮崎県における馬伝染性貧血(EIA)の発生概要が紹介されていましたので、以下にその概要を掲載します。日本国内でのEIAの発生は1993年に岩手県で2頭の肥育馬が摘発されて以来、18年ぶりとなります。なお、競走馬では1983年以降、28年間にわたって摘発されていません。
 発生場所はJRA宮崎育成牧場で、2011年2月23日に3歳の乗用馬(御崎馬混血)が宮崎家畜保健衛生所の定期検査で寒天ゲル免疫拡散法(AGID)によりEIA陽性と診断され、隔離された。当該馬は3月9日の再検査でも陽性となり、3月11日に安楽死の処置を施され、検査材料が宮崎家畜保健衛生所から動物衛生研究所に送付され、3月16日にAGIDによりEIA陽性と確定診断された。当該牧場には他に乗用馬16頭と育成馬24頭が飼養されているが、定期検査および再検査ではいずれも陰性結果が得られている。なお、今回の発生源または感染源は不明であり、防疫対応としては衛生昆虫の駆除、感染施設の消毒、検疫などが行われている。

参考情報
1. 軽種馬防疫協議会ニュース速報「号外」、2011. 3. 17.
2. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2011. 3. 21.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2011. 3. 18, 鎌田正信, 2011. 3. 22)

 

ニュース 英国におけるウマヘルペスウイルス脊髄脳症の発生(3)  

 2011年3月18日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、英国におけるウマヘルペスウイルス脊髄脳症(EHM)の発生報告が掲載されていましたので、以下にこれまでの概要を含めて紹介します。
 英国におけるEHMの発生は2010年12月8日にイングランド中部のウォリックシャー州の預託牧場で40頭中10頭以上のウマがウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)感染症に罹患し、そのうちの2頭がEHMと診断され安楽死の処置を施されたのが発端である。その後2011年1月17日にイングランド南西部のオックスフォードシャー州のサラブレッド生産牧場で9頭中4頭が神経症候群、流産、高熱などの臨床症状を示し、1月28日に流産を起こした1頭の母ウマがEHMと診断され安楽死の処置を施された。2011年3月18日付のRESPEによれば、3月16日に12歳のサラブレッド混血種のセン馬が後肢の運動失調および衰弱を呈し、EHV-1感染症に最近罹患したことが血清学的に確認され、EHMと診断された。この馬群には30頭のウマが飼養されていたが、臨床症状を示したのはこの1頭のみであり、今後疫学調査が実施されるであろう。また、EHM罹患馬は臨床的に改善していることから、今後鼻腔スワブからのウイルス分離が陰性と証明されるまで拘束され隔離される。なお、今回の発生場所を含む詳細な発生状況や防疫対応などについては記載されていない。

参考情報
1. International Collating Center, Interim Report-December 2010 #1, 2010. 12. 9, January 2011 #1, 2011. 1. 19, March 2011 #6, 2011. 3. 17.
2. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 12. 4, 2010. 12. 21, 2011. 1. 19, 2011. 2. 2.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2011. 3 .18, 鎌田正信, 2011. 3. 22)

 

ニュース ポルトガルにおける馬伝染性子宮炎の発生(2)―2010年最終報告  

 2011年3月15日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に、ポルトガルで発生した馬伝染性子宮炎(CEM)の最終報告が掲載されましたので、以下にこれまでの発生概要を含めて紹介します。
 今回のポルトガルにおけるCEMの発生は、WAHIDへの初めての報告となるもので、同国中南部に位置するアレンテージョ地方中部のエヴォラ県の牧場で飼養されていた3頭のウマが、2010年7月2日に国立獣医学研究所(LNIV)で細菌培養検査によりCEM菌陽性と診断されたのが発端である。この牧場では種牡馬が1頭、繁殖牝馬が5頭、6ヶ月〜24ヶ月齢の牡馬が5頭、6ヶ月〜24ヶ月齢の牝馬が7頭、合計18頭のウマが飼養されていたが、CEM菌陽性と診断されたのは繁殖牝馬5頭中3頭で、いずれも無症状であった。これらの感染馬は公的なプログラムに従って治療が施され、残りのウマについても検査でCEM菌陰性と確認された。また、この牧場ではバイオセキューリィティ対策が強化され、人工授精による繁殖のみが実施された。さらに、2010年にポルトガル国内で実施されたルーチン検査で、287頭のウマがCEM菌陰性と判定された。2011年3月15日付のWAHIDによれば、3月14日に全てのCEM罹患馬がLNIVで細菌培養検査によりCEM菌陰性と診断されたことから、今般最終報告がWAHIDに提出された。なお、今回の感染源または発生源は最終的に不明であり、防疫対応としてはスクリーニング検査と公的プログラムによる感染馬の治療が行われた。

参考情報
1. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 8. 14.
2. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 8. 12.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2011. 3. 15, 鎌田正信, 2011. 3. 16)

 

ニュース オーストラリアにおけるウマの原因不明神経疾患の発生  

 2011年3月10日付のHorsetalk-International horse newsに、オーストラリアのビクトリア州第1産業省が獣医師に対して原因不明神経疾患の臨床症状を示すウマの検体の提供を求めているという記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 ビクトリア州第1産業省は同州でウマの原因不明神経疾患の増加を調査しており、そのような症状を示すウマからの検体の提供を獣医師に求めている。この要請は、最近数ヶ月の間にオーストラリア東部で発生した前例のない洪水に引き続いて症例数が増加している、蚊媒介性ウイルス疾患に対する警戒中に出されたものである。同州チーフ獣医官のAndrew Cameronによれば、当局は数例のウマの原因不明神経疾病を調査中であり、あらゆる神経系疾患を調べている臨床獣医師から提供される検体は、当局の調査の手助けになるとのこと。ビクトリア州では原因不明神経疾患の症例がマレー川沿いやバララトの周辺約50km以内で認められている。同じような神経疾患の症例は、最近南オーストラリア州やニューサウスウェルズ州でも認められており、南オーストラリア州の症例についてはつい最近マレーバレー脳炎(MVE)と確認されている。罹患馬の主な症状は運動失調または動揺病(歩様が不均等になる)である。多雨シーズン後の非常に高い蚊の活動期間中の症例であることや発生場所が水系近くと結びつくことは、昆虫媒介性感染症であることを示唆している。ウマの神経疾患の症例は、過去に1974年等にMVEの活動期間中に認められている。また、ロスリバーウイルス感染症の症例は最近検体が採取された数頭のウマで診断されており、MVEまたは他のアルボウイルスの可能性についても調査をしている。ウマは一般的には蚊媒介性アルボウイルス感染症の終末宿主であり、ウマとの直接的な接触によってヒトが感染する危険性はない。アルボウイルスに感染したほとんど大部分のウマは臨床症状を示さない可能性が高い。所有者は、ウマが蚊に刺されるリスクを減少させる方法について担当獣医師に相談すべきである。蚊の活動期である夜明けと夕暮れ時に厩舎内でウマを飼養することは有効な方法であり、局所的な治療や防虫剤の使用は有効である。この原因不明神経疾患は当局が取り扱っているヘンドラウイルスとは明らかに異なるものである。すなわち、コウモリの群れとの関連性がなく、罹患馬の症状や病気の経過がヘンドラウイルス感染症とは異なり、予防策としての鑑別診断によってこの原因不明神経疾患の原因から除外されている。

参考情報
1. ProMed-mail, Archive Number 20110311.0784, 2011. 3. 11 & 20110312.0792, 2011. 3. 12 & 20110313.0804, 2011. 3. 13.
2. TheHorse.com news, Article # 17905, 2011. 3. 9.

(出典:Horsetalk-International horse news, 2011. 3. 10, 鎌田正信, 2011. 3. 15)

 

ニュース モーリス動物財団が動脈炎ウイルス研究費を助成  

 2011年2月22日付のTheHorse.com newsに、米国のモーリス動物財団(MAF)がケンタッキー大学の馬動脈炎ウイルス(EAV)の研究に研究費を助成するという記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 2011年2月2日にMAFは、EAVに対するウマの感受性を調べるため、全ゲノム関連解析を実施するケンタッキー大学グリュック馬研究センターの研究者に対して10,800ドルを助成すると発表した。EAVは馬ウイルス性動脈炎の原因ウイルスで、成馬の上気道感染症、繁殖牝馬の流産、幼駒の肺炎をひき起こす。種牡馬はウイルスの長期キャリアーとなり、交配によりウイルスを伝播することがある。慢性感染した種牡馬は、人工授精と同様に自然交配により感受性のある牝馬にウイルスを伝播することができる。グリュック馬研究センター教授のUdeni Balasuriya博士によれば、繁殖や競技会参加の目的での国内および国際的な輸送が増加しているので、EAV感染が増加傾向にあると考えられる。Balasuriya教授の研究室で得られた過去の研究成果は、ウマがEAV感染に対して高い感受性を有しているかどうかの予知に、研究室検査が使用可能であること示した。MAFの研究助成金に関連する研究は、ウマの遺伝子の塩基配列の解析を通して同定された54,000遺伝子マーカーに基づいて、EAVに対するウマの感受性または抵抗性を検査することである。2つのグループに対するマーカー分布が比較検討され、1つのグループに特有なマーカーはウイルス感受性または免疫応答の責任遺伝子を追究するために使用されるであろう。この研究に参加する他の研究者は、免疫遺伝学研究者のErnie Bailey博士とPerter Timoney博士、大学院博士課程のYun Young Goである。この研究はYun Young Goの博士課程の研究の一部である。Balasuriya教授によれば、MAFは、EAV感染に対するウマの感受性を決定する特異遺伝子を同定するための先駆的なプロジェクトを助成してくれる。本研究の成果は、宿主遺伝子とEAVに対するウマの感受性との間の強い結びつきを証明してくれるであろう。これは、グリュック馬研究センターのウマの遺伝学と感染症の専門技術を連携させた新しい分野の研究であり、我々はこの重要研究の支援のために研究助成金を提供してくれるMAFに感謝したい。この研究の成果は、EVAに対するウマの感受性と同様にキャリアステートについての理解を深めさせてくれるであろう。この先駆的な研究データが本当にEAV感染に対するウマの感受性と抵抗性に関する特異遺伝子と関連していれば、さらに別のフォローアップ研究でこの研究と同じ技術を用いて120の精液検体を検査する予定である。MAFはコンパニオン動物、ウマ、ラマ、野生生物の疾病の予防、診断、治療および介護を支援しており、2011年には約30の新規および継続大動物保健研究に助成すると表明している。本財団は、これから3年間を通してウマの保健および福祉の研究に170万ドルを提供する。

(出典:TheHorse.com news, Article # 17804, 2011. 2. 22, 鎌田正信, 2011. 3. 15)

 

ニュース ウマの糞便中のバンコマイシン耐性腸球菌  

 2011年2月25日付のHorsetalk-International horse newsに、ウマの糞便中のバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に関する記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 2010年11月3〜5日にスペインのバリャドリッドで抗菌剤研究国際会議が開催され、Mohamed O Ahmedらによって「ウマの糞便検体中のVRE」というタイトルの研究が発表された。この研究発表によれば、少なくともイングランド北西部ではウマはVREのヒトへの伝播において主要な役割を演じているらしい。すなわち、Ahmedらは、病院由来の66検体と非病院由来の72検体について調べ、その研究結果を発表した。腸球菌は多くのヒトや動物の消化管に認められる腸管由来細菌で、院内感染症の原因として尿路感染症や創傷性感染症を起こす可能性がある。免疫が抑制された患者では、心臓の弁膜(心内膜炎)や脳(髄膜炎)の感染症等の重篤な疾病を引き起こす。腸球菌群は多くの抗生物質に自然耐性で、バンコマイシンは腸球菌感染症に罹患したヒトの治療に使用される数少ない最終選択抗菌剤の一つである。VREは、動物界で報告されている新興院内感染病原体であり、VREに存在する薬剤耐性遺伝子は、恐らく病気を起こさないけれどもバンコマイシン耐性となっている他のタイプの細菌から獲得したものである。もしVanAおよびVanB遺伝子型のVRE株がウマの糞便中に存在していれば、人獣共通感染症の感染源となる可能性がある。全体的には、合計264検体の糞便から47株のVREと思われる分離株が検出された。これらのうちの9株がPCR法によりVREと確定されたが、7株はVanC遺伝子型として同定され、そのうちの6株は入院中のウマの検体から検出された。また、VanAおよびVanD遺伝子型がそれぞれ各1株ずつ同定された。これらの両株は入院馬ではなく非入院馬から検出されたものであるが、PCR法ではどちらも型別できなかった。VanA遺伝子型は、ヒトの感染症に関わっている病原体として最も多く報告されている。しかしながら、本研究で最も高頻度に認められたVanC遺伝子型はヒトの感染症例からは通常分離されていない。Ahmedらは、このような地理的に特別な地域ではウマはヒトに対してVREを伝播する主要な役割を演じているらしいと結論付けた。VRE分離株のほとんどが入院患馬から検出されたという事実は、入院が馬群間でのVREの伝播リスクを増加させ、ヒトへの伝播リスクも増加させることを示唆している。今後このことを追究する研究が必要と考えられる。

(出典:Horsetalk-International horse news, 2011. 2. 25, 鎌田正信, 2011. 3. 15)

 

文献紹介 飼料中脂肪酸が1歳馬の血液成分や免疫能等に与える影響  

 近年、ヒトや家畜で、n-3脂肪酸摂取が、炎症メディエーター産生能を変化させ免疫系に影響を与えることが知られるようになった。本論文では、馬において、異なる由来の飼料中のω-3(n- 3)脂肪酸が血漿と赤血球の脂肪酸組成および免疫能に与える影響を調べた。クォーターホース(1歳)各6頭を、魚油カプセル給与群、粉砕アマニ給与群、非給与群に分けた。魚油は脂肪酸100gあたりエイコサペンタエン酸(C20:5n-3)15g、ドコサヘキサエン酸(C22:6n-3)12.5gを含み、アマニは100gあたりαリノレイン酸(C18:3n-3)61gを含む。
試験馬は、牧草は自由採食とし、混合穀類を1.5%体重/日を与え、体重100kgあたりn-3脂肪酸6gを飼料に混合し、70日間給与した。
 脂肪酸の給与は、体重増加には影響を与えなかった。魚油給与群は、血漿おおび赤血球のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の比率および総n-3脂肪酸量が他の二群と比べて多かった。さらに血漿のアラキドン酸が他の群より多く、リノレン酸は少なかった。脂肪酸給与は、非特異的リンパ球増殖物質(マイトジェン)のひとつであるPHAに対するリンパ球増殖能やプロスタグランジンE2産生に影響を与えなかった。魚油およびアマニ給与群は、非給与群と比較して、PHA注射による皮膚の肥厚の程度が非接種群と比べ大きかった。これらは脂肪酸給与が、PHAに対してより早期の炎症反応を惹起していることを示している。

(出典:K. R. Vineyard et al., J. Anim. Sci., 88, 248-257, 2010, 近藤高志, 2011. 3. 15)

 

ニュース アイルランドにおける馬ピロプラズマ病の発生  

 2011年3月8日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、アイルランドにおける馬ピロプラズマ病(EP)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 3月8日付のRESPEの情報によれば、アイルランドで1頭の流産胎児が病原検査によりBabesia caballiが検出され、EP陽性と診断された。母ウマは過去にフランスで飼養されており、血清学的にB. caballi陽性と診断されていた。今般アイルランドで流産し、その流産胎児が研究所の病理解剖検査においてPCR検査によりB. caballi陽性と診断されたものである。病理解剖検査ではB. caballi以外に流産の原因は認められていない。なお、この繁殖牝馬の品種、性別、年齢などは明らかにされておらず、具体的な日時や防疫対応などについても記載されていない。

参考情報
1. International Collating Center, Interium Report-March 2011 #3, 2011. 3. 7.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2011. 3. 8, 鎌田正信, 2011. 3. 9)

 

ニュース 南アフリカにおけるアフリカ馬疫の発生(2)  

 2011年3月7日付のTheHorse.com newsに、南アフリカで発生したアフリカ馬疫(AHS)の続報が掲載されましたので、以下にこれまでの発生概要を含めて紹介します。
 今回の南アフリカにおけるAHSの発生は今年最初となるもので、2011年3月3日に同国農林水産省当局は92頭のAHS罹患馬が今年南アフリカ国内で既に確認され、そのうちの52頭が死亡したと発表した。この時点では西ケープ州におけるAHSの発生はまだ確認されていなかったことから、当局は感染地域から西ケープ州へのAHSの伝播防止策として南アフリカの他の地域から同州へのウマの移動規制を迅速に実施した。2011年3月7日付のTheHorse.com newsによれば、西ケーブ州でも12頭のAHS罹患馬が新たに確認されたことが南アフリカのニュースウエブサイトのEye Witness Newsによって報告された。この発生は、92頭のAHS罹患馬が既に確認されている西ケープ州以外の地域での発生に引き続くものである。3月4日付で当局は今回AHS罹患馬が確認された西ケープ州マームズベリーの西ケープ地区へのウマ、ポニー、ロバ、ラバなどのウマ科動物の輸送を全面的に禁止した。なお、先の報告で、西ケープ州農務部は、今回のAHS症例数の劇的な増加は南アフリカの他の地域における持続的な多雨がもたらした結果であり、AHSの発生時期は過去数年に比べて非常に早いと発表している。

参考情報
1. ProMed-mail, Archive Number 20110303.0702, 2011. 3. 3.
2. Horsetalk-International horse news, 2011. 3. 4.
3. TheHorse.com news, Article # 17879, 2011. 3. 4.

(出典:TheHorse.com news, Article # 17888, 2011. 3. 7, 鎌田正信, 2011. 3. 8)

 

ニュース 英国王室属領のガーンジー島におけるウマの腺疫の発生  

 2011年3月3日付のProMed-mailに、グレートブリテン島周辺の英国王室属領であるチャンネル諸島の一つのガーンジー島で発生したウマの腺疫に関する記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。腺疫はStreptococcus equiによって起こされる呼吸器感染症で、ウマ、ロバ、ラバなどのウマ科動物が感染します。
英国海峡のノルマンディー海岸側に位置するガーンジー島のウマ所有者によれば、腺疫を疑うウマの疾病が発生したことから、その後必要な予防策を取っているとのこと。今回1頭のウマが腺疫の疑似患馬と診断された後に、実際に2011年2月26日および27日に開催予定であった英国障害馬術協会の冬季競技会は本事例が原因となって中止された。ガーンジー島のウマ所有者は獣医師が状況を正確に確認するまでの間、出来る限り彼らの家の近くでウマを飼養するようにアドバイスされている。なお、今回のProMed-mailの情報には、腺疫の原因、症状、疫学、治療・診断・予防法などが追加掲載されているが、具体的な防疫対応策などの詳細な情報は記載されていない。

参考情報
1.Horsetalk-International horse news, 2011. 3. 8.

(出典:ProMed-mail, Archive Number 20110303.0693, 2011. 3. 3, 鎌田正信, 2011.3. 8)

 

ニュース 南アフリカにおけるアフリカ馬疫の発生  

 2011年3月4日付のTheHorse.com newsに、南アフリカにおけるアフリカ馬疫(AHS)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 今回の南アフリカにおけるAHSの発生報告は今年最初となるもので、2011年3月3日付の南アフリカのニュースウエブサイトのケープタイムズによれば、同国農林水産省当局は92頭のAHS罹患馬が今年南アフリカで確認され、そのうちの52頭が死亡したと発表した。本病は小型の吸血昆虫のヌカカによって伝播される致死的なウイルス性疾病で、イヌやラクダと同様にウマ、ラバ、ロバが罹患する。ウマはAHSに対する感受性が最も高く、致死率は75%〜90%である。ワクチンは使用できるが、感染馬に対する有効な治療法はない。今回感染地域から西ケープ州へのAHSの伝播防止策として、当局は南アフリカの他の地域から同州へのウマの移動規制を迅速に実施した。西ケーブ州農務部の声明によれば、今回のAHS症例数の劇的な増加は南アフリカの他の地域における持続的な多雨がもたらした結果であり、AHSの発生時期は過去数年に比べて非常に早いとのこと。また、西ケープ州の競馬シーズンはもう終了したので、今回の移動規制によって競馬産業が強い影響を受けることは殆どない。ウマは競馬のために西ケープ州から他の地域へ移動することは許可されており、ボーフォートウエストで3週間滞在してAHSに罹患していないことが確認されたウマについては西ケープ州に入ることができる。

参考情報
1. ProMed-mail, Archive Number 20110303.0702, 2011. 3. 3.
2. Horsetalk-International horse news, 2011. 3. 4.

(出典:TheHorse.com news, Article # 17879, 2011. 3. 4, 鎌田正信, 2011. 3. 7)

 

ニュース 中米ベリーズにおける水胞性口炎の発生  

 2011年3月4日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)
に、中米ベリーズにおけるウマの水胞性口炎(VS)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。本病はウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカなどが水胞性口炎ウイルス(VSV)に感染して口腔、口唇、歯肉、乳頭、蹄、包皮、皮膚などに水疱や糜爛などを形成し、突然の跛行や食欲減退などの症状を引き起こします。吸血昆虫等が機械的に伝播することにより広がる伝染病で、わが国では家畜伝染病に指定されています。
 ベリーズにおけるウマのVSの発生は2007年以来となるもので、同年4月24日付のWAHIDによれば、約1ヶ月の間にカヨ州の3ヶ所の牧場で96頭中27頭がVSに感染している。今回のWAHIDの緊急報告では、2011年2月21日にカヨ州Central Farmで飼養されていた11歳のアラブ種牝馬がVS様の臨床症状を示し、3月3日にパナマの水泡病診断研究所(LADIVES)で抗原検出用エライザ法によりVSV陽性と診断された。この牧場には他に2頭のウマが飼養されているが、症状は認められておらず、夜間は別々の馬小屋で飼養されている。今回の発生源または感染源については現在のところ不明であり、防疫対応としては衛生昆虫の駆除、検疫、国内の移動規制、疫学調査、薬剤散布などが実施されている。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2007. 4. 24.
2. ProMed-mail, Archive Number 20110306.0739, 2011. 3. 6.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2011. 3. 4, 鎌田正信, 2011.3. 7)

 

ニュース フランスにおけるウマヘルペスウイルス脊髄脳症の発生(7)  

 2011年3月2日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、フランスで発生したウマヘルペスウイルス脊髄脳症(EHM)の続報が掲載されていましたので、以下にこれまでの発生概要を含めて紹介します。
 2010年12月14日〜17日の間にフランスのヴァル・ドワーズ県の4つの競技用馬の牧場で、EHV-1感染症の発生が報告され、このうちの2牧場のウマでEHMの発生が確認された。1つ目の牧場では最終的に100頭中68頭(68%)が感染し、16頭(16%)が運動失調等の神経症状を呈した。神経症状を呈した16頭中9頭(56%)は中等度の運動失調を呈し、5頭(31%)はより重篤な神経症状を呈して治療され、残りの2頭(12.5%)はさらに重篤な神経症状を呈して安楽死の処置が施された。12月14日に発症馬の鼻汁スワブを用いたPCR検査でEHV-1感染症と診断され、後日EHV-1分離株のPCR株タイピングでEHV-1のG2254変異型の存在が証明された。2つ目の牧場では80頭中3頭が感染し、1頭のウマがPCR検査等によりEHMと診断された。その後2010年12月23日〜2011年2月18日までにエロー、オルヌ、ヴァル・ドワーズ、パ・ド・カレー、セーヌ・マリティームの5県で合計8件11例のEHMの症例が診断された。すなわち、エロー県では2月14日までに2ヶ所の繁殖牧場で感染した3頭中2頭が、オルヌ県では1月13日までに1ヶ所の繁殖牧場で感染した7頭中2頭が、ヴァル・ドワーズ県では1月25日までに2ヶ所の乗馬センターで感染した17頭中3頭が、パ・ド・カレー県では2月11日までに2ヶ所の乗馬センターで感染した6頭中3頭が、セーヌ・マリティーム県では2月18日に1ヶ所の乗馬センターで死亡した3頭中1頭がEHMと診断された。3月2日付のRESPEの続報によれば、フランス南西部のヴァル・ド・マルヌ県の娯楽用施設で18歳のフレンチサドルブレッド種の雄馬が不全麻痺を呈し、3月2日にPCR検査等によりEHMと診断された。なお、EHV-1分離株の株タイピングおよび疫学調査は現在も継続実施されている。

参考情報
1. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 12. 14 & 12. 15 & 12. 17 & 12. 20 & 12. 21 & 12. 24 & 12. 28 & 12. 31, 2011. 1. 5 & 1. 13 & 1. 26, 2011. 2. 4 & 2. 11 & 2. 14.
2. International Collating Center, Interim Report-December 2010 #4, 2010. 12. 21, January 2011 #2, 2011. 1. 21, February 2011 #2 & #3 & #5, 2011. 2. 4 & 2. 11 & 2. 25.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2011. 3. 2, 鎌田正信, 2011. 3. 3)

 

ニュース ドイツにおける馬伝染性貧血の発生  

 2011年3月2日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、ドイツにおける馬伝染性貧血(EIA)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。なお、ドイツにおけるEIAの発生は2006年以降毎年報告されており、2010年には4州で合計25頭のEIA陽性馬が摘発されています。
 今回のドイツにおけるEIAの発生は、今年最初となるもので、2011年2月28日にドイツ南西部のバーデン・ヴェルテンベルグ州で4頭中2頭のウマが、国立リファレンスラボラトリーのFriedrich-Loeffler研究所でコギンス試験によりEIA陽性と診断された。これらのウマの詳細については報告されていないが、いずれも安楽死の処置が施された。なお、感染源または発生源については不法な移動と考えられており、防疫対策として衛生昆虫の駆除、検疫、国内の移動制限、感染施設の消毒などが実施されている模様である。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 3. 16, 2010. 6. 25, 2010. 9. 2 & 9. 6 & 9. 8 & 9. 10 & 9. 16 & 9. 23, 2010. 10. 5 & 10. 13, 2010. 11. 10 & 11. 19.
2. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 9. 6 & 9. 7 & 9. 8 & 9. 10 & 9. 13 & 9. 20, 2010. 10. 8 & 10. 13, 2010. 11. 5 & 11. 10 & 11. 19 & 11. 23.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2011. 3. 2, 鎌田正信, 2011. 3. 3)

 

ニュース イタリアにおける馬伝染性貧血の発生(14)  

 2011年3月1日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、イタリアにおける馬伝染性貧血(EIA)の発生に関する続報が掲載されましたので、これまでの発生経過を含めて以下に紹介します。
 今回のイタリアにおけるEIAの発生は、2010年2月13日にイタリア南部のプーリア州で1頭のウマが発症し、2月18日にコギンス試験によりEIA陽性と診断されたのが発端である。この発生では、さらに1頭のEIA陽性馬が摘発された。その後引き続いて実施されている疫学調査では、2010年1月7日〜12月30日までの期間に北西部のピエモンテ、リグーリア、北東部のヴェネト、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア、エミリア・ロマーニャ、中部のトスカーナ、ウンブリア、マルケ、ラツィオ、南部のアブルッツォ、モリーゼ、カンパニア、プーリア、バジリカータ、カラブリア、離島部のシチリアの合計16州で176頭のEIA陽性馬が摘発されている。また、2011年1月4日〜1月11日までに中部のウンブリア、南部のモリーゼの2州で6頭のEIA陽性馬が摘発されている。2011年3月1日付のRESPEによれば、2011年2月1日までに中部のウンブリア、南部のカンブリア、モリーゼの3州で5頭が新たにEIA陽性と診断され追加された。この結果、これまでに摘発されたEIA陽性馬は最初の発生の2頭を含めて2010年が178頭、2011年が11頭、合計189頭になった。なお、イタリア政府は毎年約20万頭の馬科動物を対象に強制的にEIAの疫学調査を実施しており、2010年にはウマ以外にもロバでは7,433頭中12頭(0.16%)、ラバでは861頭中92頭(10.7%)がEIA陽性で摘発されている。

参考情報
1. International Collating Center, Interim Report-March 2010 #5, 2010. 3. 26, -April 2010 #2, 2010. 4. 13, -November 2010 #1, 2010. 11. 5, January 2011 #2, 2011. 1. 21.
2. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 3. 26, 2010. 4. 13, 2010. 4. 20, 2010. 5. 5, 2010. 5. 12, 2010. 6. 9, 2010. 6. 15, 2010. 6. 30, 2010. 7. 13, 2010. 7. 19, 2010. 8. 18, 2010. 9. 14, 2010. 11. 5, 2010. 11. 10, 2010. 11. 16, 2011. 1. 20, 2011. 3. 1.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2011. 3. 1, 鎌田正信, 2011. 3. 2)

 

ニュース ケンタッキー大学獣医診断研究所が新しい腺疫検査法を公表  

 2011年2月21日付のTheHorse.com newsに、ケンタッキー大学獣医診療研究所が新たに提供する新しい腺疫検査法に関する記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 ケンタッキー大学獣医診断研究所(旧ケンタッキー大学家畜疾病診断センター)は、腺疫ワクチン関連疾病と野外株による感染症との鑑別診断ができる、腺疫の原因菌であるStreptococcus equi subspecies equiに対する新しい検査法について公表した。腺疫は、非常に伝染力の強い上気道およびリンパ節の感染症である。感染馬は、緑色がかった黄色または白色鼻汁漏出、発熱、食欲減退または食欲廃絶、元気消沈、発咳、リンパ節膿瘍の結果としてのリンパ節の腫脹などの臨床症状を示す。より重篤な続発症には、種々の部位への膿瘍の拡大(Bastard Strangles)と出血性紫斑病(免疫介在性の炎症)が含まれる。現在使用可能な腺疫ワクチンは、組換え生ワクチン株(病原性は変異してなくなったが、まだウマの免疫システムに作用して免疫応答を高めることができる)によるものであり、この生ワクチン株は免疫システムによって迅速に認識され、体内から排除される。しかしながら、ワクチン接種されたウマではしばしば呼吸器症状または膿瘍が見られる。新しい腺疫検査法による検査結果はウマ所有者や獣医師が、ワクチン接種によって生じた疾病なのか、あるいは隔離の必要がある野外株によって起こされた感染症なのかを確定する助けとなるであろう。このワクチン株と野外株の鑑別診断の検査費用は100ドルで、結果は1週間以内に得られる。なお、もっと詳しい情報を得たい方はケンタッキー大学獣医診断研究所の診断微生物学者のErdal Erol博士に連絡すること。

(出典:TheHorse.com news, Article # 17828, 2011. 2. 21, 鎌田正信, 2011. 3. 1)

 

ニュース ウルグアイにおける馬ウイルス性動脈炎の発生(3)―最終報告  

 2011年2月24日付のOIE World Animal Health Information Database (WAHID) に、南米南東部に位置するウルグアイで発生した馬ウイルス性動脈炎(EVA)の最終報告が掲載されていましたので、以下にこれまでの発生概要を含めて紹介します。
 今回のウルグアイにおけるEVAの発生報告は、9月7日にタクアレンボー県の牧場のセン馬が国立獣医学研究所(DILAVE)で間接エライザ法によりEVA陽性と診断されたのが発端である。この牧場はウシの生産牧場であるが、陽性馬以外に30頭の牝馬と1頭の種牡馬が別々に飼養されていた。陽性馬はこの牧場で競技用馬として生産および飼養されたもので、外国への渡航歴はないが、2009年3月にウルグアイで開催された耐久騎乗競技会へ参加していた。そこで、この陽性馬の飼養されていた牧場のウマと耐久騎乗競技会に参加した疫学関連馬に対して追跡調査が行われ、9月14日までにセル・ラルゴ県の1牧場とカネローネス県の2牧場の各1頭、合計3頭がDILAVEで間接エライザ法によりEVA陽性と診断された。2011年2月24日付のWAHIDの最終報告によれば、先にDILAVEが間接エライザ法によりEAV陽性と診断したすべてのウマと、それらの同居馬および疫学関連馬についてはその後の精密検査ですべてEVA陰性と診断され、最終的にウルグアイにはウマのEAVもEAV感染馬も存在しないことが判明した。すなわち、ウルグアイの家畜保健衛生所が疫学調査の目的で市販の試薬を用いてEAV間接エライザ法を実施したのは今回が初めてであったことから、DILAVEはケンタッキー大学グリュック馬研究センターとアルゼンチンの国立ウイルス学研究所(INTA)の技術援助を受けながら、中和試験を同時に実施した。その結果、今回の疫学調査過程で得られたすべての陽性検体は中和試験では陰性と判定され、間接エライザ法による予備検査の結果はすべて否定された。このことから、2010年9月8日と9月23日のWAHIDの報告内容を修正し、今回最終的にウルグアイではウマのEAVは存在しないことが確認されたという報告がWAHIDに掲載された。

参考情報
1. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 9. 9.
2. OIE World Animal Health Information Database, 2010. 9. 8, 2010. 9. 23.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2011. 2. 24, 鎌田正信, 2011. 3. 1)

 

ニュース フランスにおけるウマヘルペスウイルス脊髄脳症の発生(6)  

 2011年2月25日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、フランスで発生したウマヘルペスウイルス脊髄脳症(EHM)の続報が掲載されていましたので、以下にこれまでの発生概要を含めて紹介します。
 2010年12月14日〜17日の間にフランスのヴァル・ドワーズ県の4つの競技用馬の牧場で、EHV-1感染症の発生が報告され、このうちの2牧場のウマでEHMの発生が確認された。1つ目の牧場では最終的に100頭中68頭(68%)が感染し、16頭(16%)が運動失調等の神経症状を呈した。神経症状を呈した16頭中9頭(56%)は中等度の運動失調を呈し、5頭(31%)はより重篤な神経症状を呈して治療され、残りの2頭(12.5%)はさらに重篤な神経症状を呈して安楽死の処置が施された。12月14日に発症馬の鼻汁スワブを用いたPCR検査でEHV-1感染症と診断され、後日EHV-1分離株のPCR株タイピングでEHV-1のG
2254変異型の存在が証明された。2つ目の牧場では80頭中3頭が感染し、1頭のウマがPCR検査等によりEHMと診断された。その後2010年12月23日〜2011年2月14日までにエロー、オルヌ、ヴァル・ドワーズ、パ・ド・カレーの4県で合計7件10例のEHMの発生が報告された。エロー県では2ヶ所の繁殖牧場で30頭中2頭および4頭中1頭が感染し、2010年12月23日と2011年2月14日に各1頭のウマがEHMと診断された。オルヌ県では繁殖牧場の150頭中7頭が感染し、2011年1月13日までに2頭がEHMと診断された。ヴァル・ドワーズ県では2つの乗馬センターでそれぞれ45頭中7頭および40頭中10頭が感染し、1月25日までに合計3頭がEHMと診断された。パ・ド・カレー県では2ヶ所の乗馬センターで6頭が感染し、2月4日〜2月11日までに合計3頭がEHMと診断された。2月25日付のRESPEの続報によれば、フランス北部のセーヌ・マリティーム県の乗馬センターで30頭中3頭が倦怠感、発汗などの臨床症状を示して死亡し、2月18日にそのうちの1頭の脳検体を用いたPCR検査等によりEHMと診断された。

参考情報
1. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 12. 14 & 12. 15 & 12. 17 & 12. 20 & 12. 21 & 12. 24 & 12. 28 & 12. 31, 2011. 1. 5 & 1. 13 & 1. 26, 2011. 2. 4 & 2. 11 & 2. 14.
2. International Collating Center, Interim Report-December 2010 #4, 2010. 12. 21, January 2011 #2, 2011. 1. 21, February 2011 #2 & #3 & #5, 2011. 2. 4 & 2. 11 & 2. 25.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2011. 2. 25, 鎌田正信, 2011. 3. 1)

 

ニュース フランスにおける馬伝染性子宮炎の発生  

 2011年2月25日付のフランス馬感染症疫学監視ネットワーク(RESPE)に、フランスにおける馬伝染性子宮炎(CEM)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。フランスでは、サラブレッド以外の品種の馬群で毎年CEMの発生が報告されており、2009年には12例、2010年には4例のCEM菌陽性馬が摘発されています。
 今回のフランスにおけるCEMの発生は今年最初となるもので、2011年2月23日にフランス北部のウール県の牧場で飼養されていた15歳のフレンチ・トロッター種の牝馬が、研究所で細菌培養検査によりCEM菌陽性と診断された。CEM菌は牝馬の子宮スワブから分離されたもので、分離菌の性状については明らかにされていない。なお、今回の感染源または発生源は不明であり、防疫対応を含めて詳細な疫学情報については記載されていない。

参考情報
1. Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2010. 3. 10, 2010. 8. 30, 2010. 10. 18, 2010. 12. 24.
2. International Collating Center, Interim-Report February 2011 #5, 2011. 2. 25.

(出典:Reseau d' Epidemio-Surveillance en Pathologie Equine, 2011. 2. 25, 鎌田正信, 2011. 3. 1)

 

文献紹介 ダントロレン経鼻投与前の食餌制限時間の違いが血中濃度におよぼす影響  

 運動性の筋融解症や悪性高熱症に用いられるダントロレン投与時の食餌制限時間の違いがダントロレンの血中濃度におよぼす影響を調べた。5頭の馬を用い、ダントロレン(6mg/kg bw)の経鼻投与前の食餌制限時間を0時間・4時間・8時間・12時間の4種類に設定し、実験を行なった。投与後60・90・120・150・180・210分に血液を採取し、血漿ダントロレン濃度は分光蛍光法で測定した。血漿ダントロレン濃度のピーク値は0時間(0.65ug/ml@120分)および4時間(0.66ug/180分)で高く、8時間(0.45ug/ml@1150分)および12時間(0.21ug/ml@180分)で低かった。平均血漿ダントロレン濃度は、0時間および4時間ではどの採材時間においても差はなかったが、8時間では0時間と4時間に比べ、60分後と180分後で有意に低い値を示した。12時間ではすべての採材時間で0時間および4時間よりも有意に低い値を示した。これらのことから、経鼻的に投与されたダントロレンの吸収は、投与前の食餌制限時間に影響を受けることが明らかとなった。最適な血中濃度を得るためには、投与前の食餌制限時間は4時間を越えないようにする必要がある。

(出展:McKenzie et al, Equine Vet. J. Suppl. 38, 613-617,ICEEP8, 2010, 平賀敦, 2011. 3. 1)

 

オーストラリア野生馬の移動距離  

 オーストラリアの荒野に生息する2グループの野生馬の移動距離を調べた。オーストラリアの2箇所の荒地環境(バビローラ;セントラルクイーンズランド・広さ2000km2およびキングスキャニオン;セントラルオーストラリア・広さ20000km2)にすむ12頭の野生馬の移動距離をGPSにより求めた。特製のGPSを首輪に装着し、6日半の連続記録を行なった。平均移動距離は15.9±1.9km/day(8.1〜28.3km/day)であった。飲水場所から最大55km移動し、なかには採食場から飲水場まで12時間移動する馬もいた。平均飲水頻度は2.67日(1〜4日)であった。セントラルオーストラリアの馬たちの飲水頻度はセントラルクイーンズランドの馬よりも少なく、移動範囲も異なっていた。セントラルオーストラリアの馬たちは採食場まで長距離を直線的に歩くのに対し、セントラルクイーンズランドの馬は水源の近くで採食でき、円形のパターンで移動する傾向があった。これらの結果から、オーストラリアの野生馬は家畜化された馬よりも長距離を移動し、長期間水なしでも移動できることが明らかとなった。

(出展:Hampson et al, Equine Vet. J. Suppl. 38, 582-586, ICEEP8, 2010, 平賀敦, 2011. 3. 1)

 

 
 

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