イスラエルにおける馬ウイルス性動脈炎の発生について  

 11月14日付の軽種馬防疫協議会ニュース速報に、イスラエルにおける馬ウイルス性動脈炎の発生概要が紹介されましたので、以下に号外の全文を掲載します。
 2008年10月7日、イスラエルにおいて馬ウイルス性動脈炎(EVA)の発生が確認された。これはOIEのリファレンスラボであるWeybrdge研究所において発熱馬のサンプルを用いた中和試験により診断されたものである。11月3日までに28件の発生報告があり、115頭で陽性例が確認されている。イスラエルにおける本疾病の発生は初めてとなる。
 当初は発生農場に限定した隔離措置がとられたが、11月7日にはイスラエル全土において96時間の移動制限が課された(11月8〜9日に予定されていた馬術競技イベントによる感染拡大を防止するため)。これまでに収集された疫学データによれば、10月初めにHaMerkaz(Center)地区の4きゅう舎においてほぼ同時に発生が確認され、その3週間後には国内全土に拡大している。新規の馬の導入(輸入)あるいは種付けによって侵入し、馬術競技会等を介して国内全土に拡大したものと考えられている。

(OIE)
http://www.oie.int/wahis/public.php?page=single_report&pop=1&reportid=7505

(出展:軽種馬防疫協議会ニュース速報「号外」, 2008. 11. 14, 編集子, 2008. 11. 21)

 

インドにおける馬インフルエンザの発生について  

 11月11日付の軽種馬防疫協議会ニュース速報に、インドにおける馬インフルエンザの発生概要が紹介されましたので、以下に号外の全文を掲載します。
 平成20年10月28日、インドのマハラシュトラ州において馬インフルエンザが発生したとの報道がなされた(The Time of India)。11月3日現在、プネー(ムンバイの近隣都市)ではおよそ1,200頭もの馬が、馬インフルエンザを疑う症状を示しているとのことである。
  The Royal Western India Turf Club (RWITC)当局からの発表では、11月16日に予定されていた競馬シーズンの開幕は、当面の間見合わせることとなった(ムンバイ競馬場においては来年1月までは開催中止との発表がされている)。
 インドでの馬インフルエンザの発生は1987年以来となる。

参照HP
(The Time of India)
http://timesofindia.indiatimes.com/India/Flu_epidemic_keeps_Maharashtra_horses_off_course
/rssarticleshow/3647835.cms

(RWITC)
http://www.rwitc.com/inside.asp?source=linkfile1.htm

(出展:軽種馬防疫協議会ニュース「号外」, 2008. 11. 11, 編集子, 2008. 11. 17)

 

韓国の動物におけるレプトスピラの抗体調査  

 レプトスピラ症は、腎不全やブドウ膜炎を引き起こす人獣共通感染症であり、ヒトを含めたほとんどの動物が感染することから、家畜やペットの飼養管理上注意が必要な疾患である。ここで紹介する論文は、韓国の動物(ブタ、ウシ、ウマ、イヌ)におけるレプトスピラに対する抗体調査を報告したものである。調査は、MAT法(レプトスピラ生菌と血清中に含まれる抗体との反応を顕微鏡で直接観察する検査法)で行われた。その結果、398検体中67検体(16.8%)が陽性と判断され、全ての動物において陽性例が認められたが、その抗体価は比較的低かった。陽性となった血清の多くは、Sejroeという血清型のレプトスピラに反応していた。また、ウマでは98検体中13検体(13.3%)が陽性で、その血清型は全てSejroeであった。このSejroeという血清型については、これまで韓国では調査されていなかったが、今回の結果から韓国の動物間で広く伝播している可能性が示唆された。

(出典:B. Y. Jung et al., Vet. Rec., 163, 28-39, 2008, 帆保誠二, 2008. 11. 17)

 

インフルエンザ予防のためのウマヘルペスウイルス1型を用いた組換えワクチンの評価  

 2004年にフロリダで、流行の発生が確認された犬インフルエンザは、以降、様々な州で陽性犬が摘発され、米国では蔓延の様相を呈している。犬インフルエンザの病原体であるイヌインフルエンザウイルス(H3N8、 以下、CIV)は、遺伝学的にウマインフルエンザウイルス(以下、EIV)と極めて近縁であり、馬から犬への宿主の壁を越えて伝播したものである。本論文は、EIVのヘムアグルチニン(HA)遺伝子をウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)の遺伝子に挿入した組換えウイルスを作製し、そのウイルスの接種によるCIVの予防効果を攻撃試験により評価したものである。その結果、統計学的に有意な症状の緩和、およびウイルス排泄の有意な減少が認められ、CIVの予防に有効であるとのことであった。
 使用対象が食用と成り得る動物種(牛、馬、豚、鶏など)用の遺伝子組換えワクチンは、日本では製造販売されていない。また、現在の遺伝子組換え食品に対する日本人の考え方を鑑みても、食用と成り得る馬用ワクチンとしては、本論文のような遺伝子組換えワクチンの製造販売の認可は、近い将来には無理であろう。しかし、最近になり、猫用の遺伝子組換えワクチンの国内使用に向けた承認作業が、進んでいると聞いた。したがって、日本で食用として一般的でない犬を対象としたものであれば、近い将来、今回紹介したCIV予防用遺伝子組換えワクチンが、日本で使用される日もやってくるかもしれない。

(出展:C. Rosas et al., Vaccine, 26, 2335-2343, 2008, 山中隆史, 2008. 11. 13)

 

新しい馬インフルエンザワクチンのウイルス株が決定される  

 第5代目となるわが国の馬インフルエンザワクチンに組み入れられるウイルス株の選定作業が、馬防疫検討会「馬インフルエンザワクチンに関する専門会議」で昨年5月から本年7月まで行われ、新しい馬インフルエンザワクチンのウイルス株の組み合せが決定された。専門委員の一人である山中隆史委員(JRA競走馬総合研究所栃木支所)がその概要を2008年10月24日付の総研HP「トピックス」に報告してくれたので、簡単に紹介する。
 報告によれば、新しい馬インフルエンザワクチンに組み入れられるウイルス株は、ウマインフルエンザA2型ウイルス(H3N8)のA/equine/Ibaraki/1/07, A/equine/Avesta/93, A/equine/La Plata/93の3株で、1980年以降世界的に流行の見られていないA1型ウイルス(H7N7)は新しいワクチンには含まれていない。すなわち、A1型ウイルスのA/equine/Newmarket/77の代わりに、昨年夏に発生した馬インフルエンザの流行時に美浦トレーニングセンター所属馬から分離されたA/equine/Ibaraki/1/07が新たに加えられたことになる。新しいワクチンには、最近の流行株を組み入れることにより、わが国や諸外国で現在伝播しているウマインフルエンザウイルスに対して現行ワクチンより高いレベルの予防効果が期待されている。なお、新しいワクチンは、平成21年秋の発売を目指して今後製品開発が進められる予定である。

(出展:山中隆史、「馬防疫検討会」馬インフルエンザワクチンに関する専門会議について、総研HP「トピックス」、2008. 10. 24, 鎌田正信, 2008. 10. 31)

 

 
 

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