ロドコッカス・エクイ感染症の流行地における   アジスロマイシン投与による同症肺炎の予防効果  

 アジスロマイシンは,エリスロマイシンやクラリスロマイシンなどと同じマクロライド系抗菌薬であり,長い半減期(ヒトでは500mgを1日1回3日間の内服で7日間効果が持続)を有する。また,本薬は好中球やマクロファージなどの貪食細胞内では血中濃度の70?256倍に達するとともに,これらの細胞によって感染部位に運ばれるため, 症例によっては血中濃度以上の臨床効果が期待できる薬として注目されている。米国では,子馬のロドコッカス・エクイ感染症の治療に,エリスロマイシン(日本では重篤な腸炎を起こす可能性が高いため使用されていない)やリファンピシンなどが一般的に使用されているが,上記の利点から本薬がエリスロマイシンに代わる薬剤として期待されている。
 近年,ロドコッカス・エクイの子馬への感染において生下時直後?2週間までの期間が非常に重要であるという考え方が議論されており,筆者らは本病の予防において生後数日間の管理がその後の数ヶ月よりも効果的であろうと考えている。本論文では,この生下時直後?2週齢までの時期にアジスロマイシンをロドコッカス肺炎の流行地の牧場の新生子馬に投与し,本病の予防効果を検討している。
 計10牧場で生まれた338頭の新生子馬をアジスロマイシン投与群(10mg/kgを48時間毎)と非投与群に分け,本病の発生率を比較したところ,発生牧場のいずれも投与群での発生率が低く,総計では投与群が6.7%(9/135頭)と非投与群25.6%(34/133頭)であった。本研究の結果は,ロドコッカス肺炎に対するアジスロマイシンの予防的投与の有用性を示しているが,実際の導入には薬剤耐性菌の抑制や子馬に対する副作用などの観点から,十分な議論とさらなる研究が必要であるといえる。

(出典:M. K. Chaffin et al., J. Am. Vet. Med. Assoc., 232, 1035-1047, 2008, 丹羽秀和, 2009. 2. 24)

 

Actinobacillus equuli subsp. haemolyticusによる成馬の致死的な出血性肺炎の一例  

 Actinobacilus equuli(A. equuli)は,新生子馬(1ヶ月未満の子馬)に重篤な敗血症を引き起こし,子馬病の主要な病原体として知られている。A. equuliは溶血毒(RTX毒素)を保有するA. equuli subsp. haemolyticus(A. haemolyticus)と保有しないA. equuli subsp. equuliという亜種に分類されている。これらの亜種は,いずれも正常細菌叢の一部として口腔内,上部気道ならびに腸管に常在していることが知られているが,A. haemolyticusは,子馬病だけではなく,成馬に肺炎,腹膜炎,関節炎,心内膜炎など様々な疾病を引き起こすことが報告されている。
 本論文では,A. haemolyticusによる成馬の致死性出血性肺炎について臨床,病理,病原学的に詳細な検討を行っている。症例馬は 6歳のアメリカンペイント種で、入院前に2週間にわたり間歇的な咳,発熱,両側性の鼻出血を示し,入院後に衰弱が進み死亡した。超音波検査,X線検査,気管洗浄液の細胞診の結果から,この症例馬については急性び慢性出血性肺炎を起こしていることが示唆され,気管洗浄液の培養により多数のA. haemolyticusが分離された。剖検時には肺実質に多数の孤立性〜融合性出血性病変が,上部気道に凝固した血液がそれぞれ認められ,肺組織からも多数のA. haemolyticusが分離されたことから,症例馬はA. hemolyticusによる致死的な出血性肺炎であったと診断された。
 本症例では,治療によって期待されるほどの効果が得られなかったにもかかわらず,A. hemolyticusは通常使用される抗菌薬に対して感受性であった。このことは,本症の効果的な治療には、早期診断及び早期治療が不可欠であり、今回の事例はその重要性を強く示唆しているものと思われる。

(出典:N. Pusterla et al., J. Vet. Diagn. Invest., 20, 118-121, 2008, 丹羽秀和, 2009. 2. 23)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(5)  

 22008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、4回に渡りその続報を紹介しておりますが、その後も牝馬を含む陽性馬が摘発されておりますので、米国農務省の2月19日付のニュース記事を掲載します。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、合計11頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬に加え、3頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。陽性種牡馬は4州に所在しており、インディアナ州が3頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が3頭である。陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州、イリノイ州、ウィスコンシン州にそれぞれ1頭づつ所在する。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追跡するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 ケンタッキー州に現在所在している4頭の陽性種牡馬の全ては2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいた。テキサス州とインディアナ州の種牡馬は、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の種牡馬は、ケンタッキー州にいたことはないが、これらの全ての種牡馬は2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の陽性種牡馬のうちの1頭と交尾による繁殖を行っていた。イリノイ州とカリフォルニア州の感染牝馬は、1頭の陽性種牡馬の精液を用いた人工授精により各々繁殖していた。
 11頭の陽性種牡馬と3頭の陽性牝馬に加えて、600頭の感染が疑われる馬の所在も明らかにされている。これらの合計614頭の馬は、45州に所在する。84頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は16州に所在し、530頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は44州に所在している。その他、8頭の牝馬と1頭の種牡馬を含む9頭の感染が疑われる馬については、まだ追跡調査を精力的に行っている。
 所在が明らかになった全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬は、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。検査と治療のプロトコールは全ての所在が明らかとなった馬に対して実行されている。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、さもなくば疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 2. 19, 鎌田正信, 2009. 2. 23)

 

米国ケンタッキー州で認められた馬の狂犬病  

 2009年2月12日付のTheHorse.com Newsに、米国における馬の狂犬病の発生状況を示す内容の記事が掲載されましたので、下記に紹介します。
 レキシントンのファイアット郡保健省の声明によれば、米国ケンタッキー州レキシントンのHamilton Lane/North Yarnallton Pike 地域で飼養されていた1頭の馬が狂犬病の検査で陽性と診断された。
 省報道官のケビン・ホール氏によれば、そのサラブレッドは2月5日に疝痛様の臨床症状を示した。同馬を馬の病院に入院させ、検査手術を行った。手術に引き続く隔離中に、激しい発作を引き起こし、安楽死の処置を施した。
 検査の結果、2月11日に馬の狂犬病であることが確認された。ホール報道官は、ヒトの汚染レベルに関する調査を行っていると述べた。「ちょうど今、我々はヒトの汚染レベルを把握すべく努めているところであり、汚染されたかもしれない牧場や全ての従事者に対して視察を行っている。」
 今週また、Abbeywood Road近くにいたスカンクが検査の結果、陽性と分かった。今年の早い時期に、狂犬病の検査で陽性となった他のスカンクが、Spurr Road近くの草原で発見されている。この症例では、一人のヒトがスカンクを処分しようとして噛まれている。これらの症例を含めて、2009年にこの郡で狂犬病と診断された症例の合計は5例であり、すでに2008年の合計よりも1例多い。
 ケンタッキー州の法律では、イヌ、ネコ、フェレットは、年1回の狂犬病の予防接種が義務付けられている。馬の狂犬病の臨床症状は、疝痛を含む多種多様なものであると形容できる。CDCは、2006年に53症例の馬の狂犬病を報告している。

(出典:theHorse. com News, Article #13604, 2009. 2. 12, 鎌田正信, 2009. 2. 19)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(4)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、3回に渡りその続報を紹介しておりますが、その後も牝馬を含む陽性馬が摘発されておりますので、米国農務省の2月12日付のニュース記事を掲載します。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、合計11頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬に加え、2頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。陽性種牡馬は4州に所在しており、インディアナ州が3頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が3頭である。陽性牝馬のうちの1頭はウィスコンシン州に、もう1頭はイリノイ州に所在している。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追跡するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 テキサス州とインディアナ州の種牡馬は、2008年の繁殖シーズン中にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の種牡馬は、ケンタッキー州にいたことはないが、これらの全ての種牡馬は2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の陽性種牡馬のうちの1頭と交尾による繁殖を行っていた。イリノイ州の感染牝馬は、陽性種牡馬の精液を用いた人工授精により繁殖していた。
 11頭の陽性種牡馬と2頭の陽性牝馬に加えて、562頭の感染が疑われる馬の所在も明らかにされている。これらの合計575頭の馬は、45州に所在する。70頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は14州に所在し、505頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は43州に所在している。その他、19頭の牝馬と14頭の種牡馬を含む33頭の感染が疑われる馬については、まだ追跡調査を精力的に行っている。
 所在が明らかになった全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬は、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。検査と治療のプロトコールは全ての所在が明らかとなった馬に対して実行されている。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、さもなくば疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 2. 12, 鎌田正信, 2009. 2. 17)

 

ウマインフルエンザウイルス感染馬の発症モデルの解析  

 競走馬は、馬インフルエンザワクチンの接種が義務化されているが、ワクチン接種した馬群の抗体保有レベルから、馬インフルエンザの流行による被害規模を事前に予測する方法は今まで確立されていなかった。そこで、1992年に香港シャティン競馬場で馬インフルエンザが流行した際に記録されていた在きゅう馬の抗体価や罹患率のデータを参考に、馬インフルエンザの流行時における罹患率のシミュレーションモデル式を作製した。つぎに、そのモデル式を用いて2007年以前の本会の馬群を対象にアメリカ型株が流行したと仮定した場合の発症予測をしたところ、ウマインフルエンザウイルス感染馬のうちおよそ27%のウマが発症するという予測値が算出された。一方、2007年に日本で発生した流行では、感染馬のうち、23.2%が発症し、事前に得られていた予測値と近い値であった。このように、このモデル式はわが国の競走馬群を対象に新しい変異ウイルス株が出現した場合でもその発症予測を罹患率という具体的な数字で表し予防効果を評価できる点において、馬インフルエンザの防疫上有用であると考えられる。

(出典:S. Sugita et al., J. Equine Sci., 19(3), 63-66, 2008, 杉田繁夫, 2009. 2. 19)

 

リアルタイムPCR法を用いた脊髄脳症発症馬の神経組織からのEHV-1神経病原性株の検出  

 近年欧米では、ウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)感染による馬の脊髄脳症(Equine herpesvirus myeloencephalopathy:EHM)の発生が増加傾向にある。そのような中、2006年に英国の研究グループは、EHV-1のDNAポリメラーゼ遺伝子に存在する1塩基多型(SNP)を指標にして、神経病原性株と非神経病原性株に型別できる可能性を報告した。本論文は、米国カリフォルニア大学の研究グループによるもので、このSNPを高感度かつ迅速に検出するリアルタイムPCR法の開発に関するものである。免疫染色法で診断されたEHM発症馬8頭の脳組織パラフィン包埋材料をこの方法で検査したところ、全検体から神経病原性タイプのSNPを示す遺伝子が検出された。一方、EHV-1感染により流産した母馬5頭の胎盤からは、非神経病原性タイプのSNPを示す遺伝子のみが検出された。これらの結果は、今回開発されたリアルタイムPCR法が臨床材料の検査に応用可能であることを示すとともに、報告されたSNPがEHV-1の神経病原性に関与することを支持するものであった。ただし、前述の英国の研究グループの調査では、EHMから分離されたEHV-1株の86%が神経病原性タイプのSNPを示す遺伝子を保有していたが、一方で約14%は非神経病原性タイプのSNPを示す遺伝子を保持していた。このことから、EHV-1の神経病原性株の遺伝子診断については、このSNP以外の他の関連遺伝子も考慮する必要があり、リアルタイムPCR法の結果だけではなく、実際の臨床症状にも十分注意を払って、EHMの診断を行う必要があるものと考えられる。

(出典:C. M. Leutenegger et al., Vet. Rec., 162, 688-690, 2008, 辻村行司, 2009. 2. 9)

 

野外例のEHV−1感染症の診断における血液および鼻汁中ウイルス量の活用  

 この研究は、野外のウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)感染馬から採取した血液および鼻汁中のウイルス量をリアルタイムPCR法で定量化し、それらのウイルス量と臨床症状との関係を検討したものである。検査馬は臨床症状によって、発熱馬、神経症状馬および不顕性感染馬に分けられた。まず、発熱馬では、鼻汁と比較して血液中のウイルス量が有意に多かった。実験感染の場合には、EHV-1に初めて感染した馬は二峰性の発熱を示すことが知られている。その際、前期の発熱時には、鼻汁に大量のウイルスが排出されるが血液中ではウイルスが検出されないか非常に少量なことが多い。一方、後期の発熱時はウイルス血症の発現時期と一致するとされ、この時期の鼻汁へのウイルス排出量は感染初期と比較して減少傾向にある。したがって、今回の検査馬で認められた発熱は、ウイルス血症に伴うものであったと推察される。神経症状馬から採取した材料については、発熱馬の場合と逆で血液中と比べて鼻汁中のウイルス量が有意に多い傾向にあった。この成績は、感染初期だけでなく、神経症状の発現にまで病状が進行した段階でも鼻汁中に大量のウイルスが排出され続けていることを示している。不顕性感染馬については、血液中のウイルスは検出されないか非常に少量であったのに対し、鼻汁中のウイルス量は発熱馬と同程度であった。このことは、不顕性感染馬であっても、他馬への感染源に十分なりうることを示唆している。以上の成績は、今後リアルタイムPCR法を野外例の診断に広く応用していく際、臨床獣医師がその活用の有無やデータの解釈を考える上で貴重な基礎的データになるものと考えられた。

(出典:N. Pusterla et al., Vet. Rec., 162, 728-729, 2008. 辻村行司, 2009. 2. 6)

 

2009年繁殖シーズンに向けた馬伝染性子宮炎の行動規範に関する最新情報(勧告)  

 競馬賭事賦課公社(HBLB)は、1977年にイギリスで馬伝染性子宮炎(CEM)が初めて流行して以降、本病を含む細菌性性病に関する行動規範を毎年繁殖シーズン前に作成・配付し、これらの性病の流行防止を協定5カ国(イギリス、フランス、アイルランド、ドイツ、イタリア)で徹底させている。既に総研HPのニュース記事でも紹介したとおり、2008年12月15日付で米国農務省が本病の発生を公式に発表し、その後も感染馬及び感染が疑われる馬の頭数や調査地域が拡大していることから、今般HBLBは、2009年繁殖シーズンに向けたCEMの行動規範に関する最新情報(勧告)を公表したので、以下に記載する。
 米国農務省は、米国及びカナダの多数の州における多数の馬からCEMの原因菌であるTaylorella equigenitalisが分離されたと報告している。その結果として、HBLBの行動規範は2009年のシーズンに向けて次のように勧告する。
★ 2008年1月以降に北米(米国、カナダ)にいたことがあり、かつ関係国(フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、イタリア)に輸入された全ての牝馬は、ハイリスク馬と認識される。
★ 2種類の陰核スワブ(陰核窩、陰核洞)は、少なくとも7日以上の間隔で採取されなければならない。そして、子宮内膜スワブは、交配前に発情期間中に採取されなければならない。
★ 好気性及び微好気性培養の検査結果は、HBLBの認定検査機関(イギリス)又は他の国の認定検査機関(フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア)から得られなければならない。
★ スワブの検査結果は、2008年1月以降に北米にいたことのあるどのような牝馬についても交配前に得られなければならない。

(出典:Interim Update to HBLB Codes of Practice on CEM, BEVA, 2009. 1. 24, 鎌田正信, 2009. 2. 3)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(3)  

 2008年12月17日付の記事2009年1月27日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生報告とその続報について紹介しましたが、その後も新たに牝馬を含む陽性馬が摘発されておりますので、米国農務省の2月2日付のニュース記事を紹介します。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMに罹患していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、合計11頭の種牡馬がCEM陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬に加え、1頭の牝馬がNVSLによりCEM陽性と確認された。感染種牡馬は4州に所在しており、インディアナ州が3頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が3頭である。感染牝馬はウィスコンシン州に所在している。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追跡するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出せていない。
 テキサス州とインディアナ州の種牡馬は、2008年の繁殖シーズン中にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の種牡馬は、ケンタッキー州にいたことはないが、これらの全ての種牡馬は2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の感染牝馬は、同州の1頭の陽性種牡馬と、同種牡馬がCEM感染の恐れがあると認識される少し前に、交尾による繁殖を行っていた。
 11頭の陽性種牡馬と1頭の陽性牝馬に加えて、512頭の感染が疑われる馬の所在も明らかにされている。これらの合計524頭の馬には、45州に所在する59頭の種牡馬と465頭の牝馬が含まれている。59頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は13州に所在し、465頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は43州に所在している。その他に、まだ追跡調査を行っている25頭のCEMの感染が疑われる牝馬がいる。
 所在が明らかになった全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬は、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。検査と治療のプロトコールは全ての所在が明らかとなった馬に対して実行されている。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、さもなくば疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 2. 2, 鎌田正信, 2009. 2. 3)

 

 
 

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