米国におけるウマの東部馬脳炎の発生(2)  

 2009年6月24日付の総研HPのニュース記事に、米国ジョージア州における東部馬脳炎(EEE)の発生を紹介しましたが、ルイジアナ州でもウマのEEEの発生が報告されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年6月24日付の米国ルイジアナ州農林業省コミッショナーの声明で、同州におけるウマのEEEの発生が報告された。声明によれば、ルイジアナ州バトンルージュの同州動物病診断研究所により、Rapides Parishにおいて死亡した1頭のウマの血液から死亡原因としてEEEが同定された。ルイジアナ州ではこの事例が2009年最初の発生例であり、また死亡例でもある。この発生に引き続き、マイク・ストレインコミッショナーはウマ所有者に自分のウマに予防接種をするように勧告した。また、2009年6月26日付の米国ルイジアナ州農林業省コミッショナーの声明で、ルイジアナ州Iberville Parishで更に2頭のウマのEEEの発生が確認された。

参考情報
1. Thehorse.com news (http://www.thehorse.com/), Article#14425, 2009. 6. 25.
2. ProMED-mail, Archive Number 200906027.2332, 2009. 6. 27.

(出典:Louisiana Departement of Agriculture & Forestry, Press Release Current, 2009. 6. 24 & 6. 26, 鎌田正信, 2009. 6. 30)

 

米国におけるウマの水胞性口炎の発生(2)  

 2009年6月16日付の総研HPのニュース記事で、米国における今年最初のウマの水胞性口炎(VS)の発生報告を掲載しましたが、6月24日付のThehorse.com newsにニューメキシコ州におけるウマのVSの発生が報告されました。また、6月29日付のOIE World Animal Health Information Databaseにも本件に関する報告が掲載されましたので、その内容も加味して以下に紹介します。
 米国テキサス州動物衛生局の発表した声明では、ニューメキシコ州De Baca郡の1頭のウマがVS陽性と報告された。感染施設は2009年6月18日以降、検疫下に置かれており、他にVSの症状を示しているウマはいない。本病の診断は国立獣医学研究所(NVSL)が競合エライザ及び補体結合試験で実施し、6月22日に確定している。米国農務省動植物検査局(APHIS)がニューメキシコ州農務省と連携して疫学調査を継続実施している。
 VSは米国では散発的に発生する地方病的なウイルス病である。元々はウマ、ウシ、ブタに感染するが、ヒツジ、ヤギ、シカにも感染する。本病は口、歯肉、舌、口唇、鼻孔、蹄、包皮、乳頭に水泡病変を引き起こす。水泡が壊れたときには、疼痛感のある糜爛領域が露出した状態となり、突然の跛行や食欲減退を示す。
 この症例は今年米国のウマでVS陽性と報告された2例目である。他の症例はテキサス州のスター郡で飼養されていた1頭のウマで発生している。その事例では、テキサス州の家畜に対するある種の追加的措置としての移動制限が行われた。テキサス州はニューメキシコ州からテキサス州に入ってくる動物に対する追加要件を課している。
 ニューメキシコ州の家畜所有者は彼らの動物が感染しているかもしれないと思われる場合には獣医師による検査を受けなければならない。VSは届出疾病のリストに載っており、疑わしい症例は米国農務省とニューメキシコ州家畜委員会に速やかに報告しなければならない。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 6. 12.
2. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 6. 23.
3. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 6. 29.

(出典:Thehorse.com news, Article#14422, 2009. 6. 22, 鎌田正信, 2009. 6. 29)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(22)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、21回にわたりその続報を紹介しておりますが、6月25日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新されましたので、その内容を掲載します。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計21頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追跡するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 21頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、952頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計978頭の馬は、48州に所在する。270頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は30州に所在し、708頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。現在のところ、少なくともハワイ州とロードアイスランド州だけには感染が疑われる馬や陽性と認められる馬は1頭もいない。21頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が8頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。所在が明らかになった全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。検査と治療のプロトコールは全ての所在が明らかとなった馬に対して実行されている。
 270頭中110頭の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコールを完了し、CEM菌陰性であることが確認されている。これら現在CEM菌陰性となっている110頭の種牡馬のうちの100頭については感染が疑われたものであり、10頭については先の検査でCEM菌陽性となっていたものである。これら10頭中4頭の種牡馬はケンタッキー州に、3頭はインディアナ州に、1頭はテキサス州、残りの2頭はウィスコンシン州にそれぞれ所在しており、治療及び再検査後の現在はCEM菌陰性となっている。他の92頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。トータルで708頭中572頭の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この572頭には検査と治療を完了してCEM菌陰性となった先のカリフォルニア州及びイリノイ州のそれぞれ2頭の陽性牝馬、計4頭が含まれている。
 ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいた。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、並びに8番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 6. 25, 鎌田正信, 2009. 6. 29)

 

気候変動は新興及び再興動物病に強い影響を及ぼしている  

 2009年5月26日付のHorsetalk-International Horse newsに 、世界獣疫事務局(OIE)が加盟国と共同で実施した「気象変動が新興及び再興動物病に及ぼす影響」に関する調査報告が紹介されていましたので、以下のその概要を掲載します。
 世界獣疫事務局(OIE)の加盟国の調査において、半数以上の国では新興又は再興動物病と気候変動が連動していることがわかった。OIEは同組織による世界規模の研究において過半数の加盟国や地域で、気候変動が新興及び再興動物病に強い影響を及ぼしていることが確認されたと述べた。より多くの国では、気候変動がこれらの地域で発生している少なくとも一つ以上の新興又は再興動物病の原因になっているとOIEのBernard Vallat事務局長は述べた。これは現実であり、我々が注意を払わないわけには行かない。また、この問題を取り扱うためには良好なガバナンス(統治能力)の国際基準に従って行動するシステムを準備して世界中の獣医サービスを支援しなければならないと説明した。174のOIE加盟国及び地域の代表者が第77回OIE総会で国際社会への脅威に関する警報を発した。代表者によれば、「気候変動や環境変化が新興及び再興動物病ならびに動物生産に強い影響を及ぼす」という調査の結論についてはオーストラリアの専門委員のPeter Blackが発表した。Blackはこれらの新しい脅威を避けるための新たなアプローチを訴えた。全部で126の加盟国及び地域がこの調査に参加した。これらの国の71%は気候変動が及ぼす新興及び再興動物病への予測される強い影響に対して非常に心配していると述べた。58%は気候変動と関連していると確信できる少なくとも一つ以上の新興或いは再興動物病をこれらの地域では確認している。回答してきた加盟国が最も高い頻度で述べている代表的な3つの動物病は、ブルータング、リフトバレー熱、ウエストナイル熱である。ブルータングは致死的な病気であるアフリカ馬疫と密接な関連性を有しており、ヨーロッパではアフリカ馬疫の脅威を認識している。大部分の国でも環境に及ぼすヒトの影響は気候変動に強い影響を及ぼし、それ故に環境変化に及ぼすヒトの影響は新興又は再興動物病に強い影響を及ぼすという意見である。OIE参加国は同組織に対して、特に世界、地域、地区レベルで、その科学力やネットワークを使って問題点に対処すべく話し合いを進めて行く権限を与えた。動物生産やヒトへの伝染性疾病を含めた動物病に及ぼす気候変動の影響を予防、或いは減少させる目的で、研究、公的及び私的領域での動物衛生システムに対する国家的な受け入れ体制の確立、コミュニケーションの各レベルにおける新たな行動を提唱している。

(出典:Horsetalk-International horse news, 2009. 5. 26, 鎌田正信, 2009. 6. 25)

 

米国におけるウマの東部馬脳炎の発生  

 2009年6月13日付のProMED-mailに、米国ジョージア州におけるウマの東部馬脳炎(EEE)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。わが国では、人獣共通伝染病の各種馬脳炎は存在しませんが、米国南部の州では地方病的な疾病であり、今回の報告でもヒトのEEEの発生を防ぐための予防策についても少し記載されています。
 米国ジョージア州ロング郡において2頭のウマが東部馬脳炎(EEE)に感染した。Coastal Empireのウマ所有者は、ロング郡の2頭のウマがEEEと診断されたので、警戒が必要である。なお、Coastal Health地区当局によれば、2頭は同じ牧場のウマではなく、既に安楽死の処置が施されている。
 サバンナにあるノースウッドきゅう舎は一年を通じて24頭から36頭のウマを管理している。共同所有者のリンダ・ブラウンによれば、所有馬をEEE様疾病から守るための特別な処置として、獣医師に依頼し全ての蚊媒介性疾病に対して年に2回の予防接種を実施している。また、彼らのきゅう舎に入ってくる全ての動物に対して健康証明書をチェックしている。自分のウマが健康面で危険に曝されるのは誰もが望まないことであり、入きゅうしてくるウマが健康であることを知ることは非常に重要である。また、たくさんの蚊が繁殖しないようにたまり水には注意を払っており、全てのウマの水のみ桶は、毎日排水して空にしているとのことである。
 衛生当局によれば、ウマのEEEは致死率が70〜90%である。Coastal Health 地区の疫学者のロバート・ソートンによれば、本病は所有者が自分のウマに予防接種をすれば予防できる疾病である。EEEワクチンの予防効果は6ヶ月程度しか持続しないので、6ヶ月毎に1回の補強接種を行う必要がある。基礎免疫ができていないウマには、2週間間隔で2回の予防接種が必要である。一般的に我々がヒトのEEEについて考えるときには、室内と屋外の両方について考える。しかし、動物、特にウマの場合には、ほとんどの時間、或いはヒトに比べてより多くの時間を屋外で過ごすので、より蚊に刺されやすく、そしてより蚊媒介性疾病に罹りやすい。
 また、ソートンによれば、ウマのEEEは疫学監視メカニズムとして本病がその地域に存在することを我々に知らせており、それ故にヒトは本病に対する予防策を取るべきである。ヒトはウマからEEEを移されることはないが、蚊から移される。ビューホート郡の子供は2007年8月に本病で死亡している。ウマ用ワクチンはあっても、ヒト用ワクチンはない。
衛生当局としては、自分とその家族を蚊から守るために、以下の5つのDを注意して実行してもらいたいと思っている。

1. Dusk(夕暮れ、夕方)−ウエストナイルウイルスを運ぶ蚊は通常夕暮れ時や夜明け時にヒトを刺す。
2. Dawn(夜明け、明け方)−もし可能であるなら、夕暮れ時と夜明け時には屋外での行動を避ける。もし屋外にいなければならないのであれば、蚊に刺されないように身を守りなさい。
3. Dress(衣服)−皮膚の露出量を減らすために長袖のシャツと長ズボンを身に付けなさい。
4. DEET(防虫剤)−蚊に対して最も効果的な防虫剤である化学物質のDEET(ディート)を含む忌避剤で皮膚の露出部分をガードしなさい。
5. Drain(排水)−たまり水はウイルス媒介蚊にとって絶好の繁殖場所となるのでたまり水の入っているどんな容器についても排水して空にしなさい。

(出典:ProMED-mail, Archive Number 20090613.2197, 2009. 6. 13, 鎌田正信, 2009. 6. 24)

 

米国ミズーリー州における馬ピロプラズマ病の発生(2)  

 2009年6月15日付の総研HPのニュース記事に米国ミズーリー州における馬ピロプラズマ病(EP)の発生報告を掲載しましたが、6月19日付のOIE World Animal Health Information Database (OIEWAHID) に続報が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。なお、6月11日付のOIEWAHIDでは、EPの陽性例は7歳のクオーターホース1頭のみでしたが、新たに6頭が陽性と診断され、トータルで7頭となっています。
 2009年6月11日に、当該施設で飼養されているウマ、ポニー、ラバを含む63頭の馬科動物のうち、6頭のクオーターホースが国立獣医学研究所(NVSL)による検査で新たにEP陽性と追加確認された。その他の全ての馬科動物は臨床的に健康でありEPの検査は陰性であった。6月2日に感染が最初に確認された当該馬は、6月12日に許可及び厳重な監視の下でカンザス州獣医医療病院から感染施設に返送され、到着と同時に検疫下に置かれた。当該感染施設の全てのEP陽性馬はマイクロチップ個体識別装置(RFID)を埋め込まれた。6月18日には、当該感染施設のEP陽性馬7頭中5頭に対して安楽死の処置が施された。当該感染施設の残り2頭のEP陽性馬は検疫施設から違法に移動させられたが、州法及び連邦法の強制執行者により所在場所が捜し出されている。今回の発生源または感染源はまだ特定されていないが、違法な動物の移動と医療行為による伝播が示唆されている。
なお、米国農務省動植物衛生検査局(APHIS)はミズーリー州農務省と連携してこの発生についての追跡調査を更に継続実施中である。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 6. 19, 鎌田正信, 2009. 6. 23)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(21)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、20回にわたりその続報を紹介しておりますが、6月18日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新されましたので、その内容を掲載します。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計21頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追跡するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 21頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、945頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計971頭の馬は、48州に所在する。270頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は30州に所在し、701頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。現在のところ、少なくともハワイ州とロードアイスランド州だけには感染が疑われる馬や陽性と認められる馬は1頭もいない。21頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が8頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。所在が明らかになった全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。検査と治療のプロトコールは全ての所在が明らかとなった馬に対して実行されている。
 270頭中95頭の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコールを完了し、CEM菌陰性であることが確認されている。これら現在CEM菌陰性となっている95頭の種牡馬のうちの85頭については感染が疑われたものであり、10頭については先の検査でCEM菌陽性となっていたものである。これら10頭中4頭の種牡馬はケンタッキー州に、3頭はインディアナ州に、1頭はテキサス州、残りの2頭はウィスコンシン州にそれぞれ所在しており、治療及び再検査後の現在はCEM菌陰性となっている。他の105頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。トータルで701頭中537頭の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この537頭には検査と治療を完了してCEM菌陰性となった先のカリフォルニア州の1頭の陽性牝馬が含まれている。
 ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいた。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、並びに8番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 6. 18, 鎌田正信, 2009. 6. 22)

 

NS1蛋白質の一部を欠損させた生A型インフルエンザワクチン:ウマにおける安全性と効果の予備実験  

 ウマインフルエンザウイルス(H3N8)は、ウマの呼吸器粘膜に感染し、発熱を伴う急性呼吸器症状を引き起こす。馬インフルエンザの予防には不活化ワクチンの接種が一般的である。しかし、ウイルスのターゲット部位が呼吸器粘膜であることから、液性免疫を主に誘導する不活化ワクチンでは、流行時におけるより完全な予防を期待することはできない。また、誘導する液性免疫の主体をなすものは、ウイルス表面に存在するヘマグルチニン(HA)に対する抗体(HI抗体)である。しかし、このHAは、アミノ酸の点変異の蓄積により、抗原性が変化することがあり、このことが原因で不活化ワクチンの予防効果が大きく低下することがある。
 筆者らは、宿主側のインターフェロン(IFN)α/βの拮抗物質の産生を調節することが知られているインフルエンザウイルスの非構造蛋白質(NS1)に着目し、NS1蛋白質の一部を欠損させたウイルスをリバースジェネティクス技術{人為的に改変した遺伝子(核酸)を利用して、完全なウイルス粒子を合成する技術}により合成し、生ワクチンとして、鼻腔内に接種し、攻撃試験を行った。その結果、ワクチン未接種の対照馬に比べて、接種馬では、発熱や鼻漏などの呼吸器症状が明らかに軽度であり、鼻腔からのウイルス排泄量が減少していた。また、接種馬にはワクチン接種に関連したと考えられる異常は認められなかった。以上のことから、筆者らは、本生ワクチンの安全性および有効性を主張している。
 今回の研究では、攻撃ウイルスのNS1遺伝子を一部分欠損させたウイルスを生ワクチン株としている。筆者らは、この生ワクチンの不活化ワクチンに対する優位性の一つとして、HA抗原性のズレを受けないことを主張しているが、攻撃ウイルスの由来をHA抗原性の異なるウイルスを用いて、効果を検証する必要があろう。さらに、本論文では、対照がワクチン未接種馬だけである。したがって、既存の不活化ワクチンからの優位性を論じるのであれば、不活化ワクチン接種馬も対照として付け加える必要があるのではないだろうか。

(出典:T.M. Chambers et al., Equine Vet. J., 41, 87-92, 2009, 山中隆史, 2009. 6. 18)

 

オンタリオ州のイヌにおけるイヌインフルエンザウイルス抗体保有状況  

 イヌは、インフルエンザウイルスに感受性が低い動物であると考えられてきた。僅かに、ヒトのインフルエンザウイルス(H3N2およびH1N1)を実験的に感染させた報告は存在したが、野外での症例は確認されたことがなかった。しかし、2004年に米国フロリダ州で、競走用グレイハウンド犬の間に急性呼吸器疾患が集団的に発生し、分離ウイルスの解析の結果、8つの遺伝子分節の全てが、世界中の馬群間で流行しているウマインフルエンザウイルス(H3N8)と極めて相同性が高く、遺伝子再集合を伴わない稀なインフルエンザウイルスの異種宿主間伝播による事例であったことが判明した。以降、ウマからイヌに伝播し、主に米国のイヌの間で流行しているH3N8のインフルエンザウイルスは、イヌインフルエンザウイルス(Canine influenza virus)と一般的に呼ばれるようになっている。
 本論文は、2006年にカナダ・オンタリオ州の9箇所の動物病院で採取した225検体のイヌ血清を用いて、ウマインフルエンザウイルス(G04-5401)を抗原とする血球凝集抑制(HI)試験を行い、同地のイヌの間におけるH3のインフルエンザウイルスの浸潤状況を調べたものである。その結果、1頭が陽性(1:40)を示した。この陽性犬は、いつの時期かは明示されていないが、フロリダ州のイヌの競走場で飼育されていたとのことである。したがって、カナダのウマの間で流行していたウマインフルエンザウイルス感染馬から同犬にウイルスが感染したのではなく、単にフロリダ州でイヌインフルエンザの流行に巻き込まれたことのあるイヌが、カナダに移動してきたと思われる。カナダを含め、ウマインフルエンザの発生地域では、このような疫学監視は極めて重要である。

(出典:Steven A. Kruth et al., Can. Vet. J., 49, 800-802, 2008, 山中隆史, 2009. 6. 18)

 

弱毒化馬伝染性貧血ウイルスワクチンの免疫抑制状態での安全性  

 本論文で使用された馬伝染性貧血(伝貧)のワクチンは、1985年に発表されたもので、ロバの白血球培養細胞で継代することにより、弱毒化に成功した。伝貧ウイルスは、エイズの原因ウイルスと極めて近縁であることから、現象としては興味深い。しかし、このワクチンを接種した実験馬は、原株の攻撃には耐えられるものの、異なった株の接種により発症する。すなわち、抗原性の異なる野外株には効果はないことから、臨床的な価値は低い。さらに、このワクチンを接種したウマは、現在世界的に使われている寒天ゲル内沈降反応(コギンズテスト)が陽性となることから、もし野外応用された場合には防疫行政の面で混乱を生じかねない。
 この研究では、免疫抑制剤を投与したウマにおける、弱毒化ウイルスの表在たんぱく質であるgp90の変異を調べた。gp90は、ウイルスの表面にある糖たんぱく質で、その構造を支配している遺伝子が、広範囲に変異することにより、抗原性が変わるのが、本ウイルスの特徴である。この部位の抗原が異なっていると、防御能は成立しない。すなわち、体内で変異した株が再増殖したり、抗原性の異なった株を接種すると、発熱発作が起こる。まず、ワクチン株を接種して、18ヶ月まで観察した。その結果、gp90遺伝子の配列に変化はなかった。ついで、免疫抑制剤(dexamethasone)を投与した。その結果、血漿中のgp90のRNAレベルは、原株を接種した不顕性状態の対照馬と比較して25,000倍まで増加したものの、遺伝子の配列そのものに変化はなかった。以上のことから、このワクチンは臨床的に安全であると結論づけている。

(出典:Jian Ma et al., Arch. Virol., 154, 867-873, 2009,杉浦健夫, 2009. 6. 16)

 

米国テキサス州における水胞性口炎の発生  

 2009年6月12日付のOIE World Animal Health Information Database に、米国テキサス州における今年最初のウマの水胞性口炎の発生例が報告されましたので、その概要を以下に紹介します。米国での本病の発生は2006年のワイオミング州のウマやウシでの発生以来となります。なお、本病はウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカなどが水胞性口炎ウイルスに感染して口腔、口唇、歯肉、乳頭、蹄、包皮、皮膚などに水泡や糜爛などを形成し、突然の跛行や食欲減退などの症状を引き起こします。吸血昆虫や蚊などの節足動物媒介性伝染病で、わが国では家畜伝染病に指定されています。
 2009年5月29日に米国テキサス州スター郡の郊外にある小さな牧場で、12歳の去勢馬が鼻口部の腫脹や水泡病変などの臨床症状を示し、ウマ所有者が最初に気づいて届け出た。6月1日に水胞性口炎の疑いのあるウマの鼻口部の水泡病変に対して海外動物病調査が開始され、国立獣医学研究所(NVSL)に検査材料が送付された。6月11日に競合エライザ、補体結合、ウイルス分離、ウイルス中和の各試験によりNew Jersey型ウイルスに陽性の結果が得られ、水胞性口炎の症例であることが確認された。牧場には罹患馬に加え、3頭のウマがいるが、これらのウマは牧草地で飼養され、罹患馬はウマ小屋(小さなきゅう舎)で隔離飼養されている。ウマ小屋は他のウマが飼養されている牧草地と隔離されており、道具、餌、水は供用されていない。6月11日の検査報告では、他のウマは水胞性口炎の臨床症状を示していない。感染施設から1/4マイル離れたロープで囲われた地域で飼養されている9頭の去勢された雄ウシは検査されたが、やはり臨床症状は認められていない。感染施設と隣接はしていないが、近くの施設で飼養されている3頭のヤギも検査されたが、臨床症状は認められていない。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 6. 12, 鎌田正信, 2009. 6. 16)

 

米国ミズーリー州における馬ピロプラズマ病の発生  

 2009年6月11日付のOIE World Animal Health Information Databaseに、米国ミズーリー州における馬ピロプラズマ病(EP)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。なお、米国では2008年8月に1988年以来となるEPの発生がフロリダ州で報告され、2009年2月の終息宣言までに25施設の201頭が検疫下に置かれ、最終的に7施設の20頭のウマがEPに感染したことが確認されています。
 2009年6月10日にミズーリー州ジャクソン郡に所在する7歳のクオーターホース去勢馬がEP陽性と診断された。このウマは6ヶ月前に購入されたもので、それ以降この施設で飼養されていた。罹患馬に加え、この牧場にはウマ、ポニー、ラバを含む63頭の馬科動物が飼養されている。63頭中44頭はきゅう舎で飼養され、18頭は一緒に牧草地で、残りの1頭は隔離された牧草地で飼養されている。6月1日に罹患馬はEPと一致する臨床症状を示した。6月2日に罹患した当該馬である7歳のクオーターホースはカンザス州獣医医療病院へ血液介在性病原体による感染症と一致する急性疾病に罹患したことを申し出た。馬は検疫下に置かれ、隔離された。6月3日に海外動物病調査によりEPが疑われたことから、検査材料が国立獣医学研究所(NVSL)に送付された。6月6日にミズーリー州農務省は感染施設を書面により検疫下に置いた。6月9日に感染した当該馬と感染施設の他の馬科動物についてはダニの検査が行われたが、ダニは検出されなかった。6月10日にNVSLは補体結合、間接蛍光抗体、PCRの各試験により当該馬のEPがTheileria equiであることを確認した。6月10日現在、この施設の他のウマ科動物に関する検査結果は未だ得られていない。なお、米国農務省動植物衛生検査局(APHIS)はミズーリー州農務省と連携して追跡調査を行っている。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 6. 11, 鎌田正信, 2009. 6. 15)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(20)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、19回にわたりその続報を紹介しておりますが、6月11日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新されましたので、その内容を掲載します。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計21頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追跡するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 21頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、948頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計974頭の馬は、48州に所在する。276頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は30州に所在し、698頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。現在のところ、少なくともハワイ州とロードアイスランド州だけには感染が疑われる馬や陽性と認められる馬は1頭もいない。21頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が8頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。所在が明らかになった全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。検査と治療のプロトコールは全ての所在が明らかとなった馬に対して実行されている。
 276頭中88頭の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコールを完了し、CEM菌陰性であることが確認されている。これら現在CEM菌陰性となっている88頭の種牡馬のうちの79頭については感染が疑われたものであり、9頭については先の検査でCEM菌陽性となっていたものである。これら9頭中4頭の種牡馬はケンタッキー州に、3頭はインディアナ州に、1頭はテキサス州、残りの1頭はウィスコンシン州にそれぞれ所在しており、治療及び再検査後の現在はCEM菌陰性となっている。他の105頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。トータルで698頭中527頭の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この527頭には検査と治療を完了してCEM菌陰性となった先のカリフォルニア州の1頭の陽性牝馬が含まれている。
 ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいた。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、並びに8番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 6. 11, 鎌田正信, 2009. 6. 15)

 

インドにおける馬インフルエンザの発生(3)  

 2009年6月3日付のOIE World Animal Health Information Database (OIEWAHID)に、インドにおける馬インフルエンザの発生に関する続報が掲載されましたので、以下にこれまでの発生経過と合わせてその概要を紹介します。
 これまでのOIEWAHIDの情報によれば、インドにおける馬インフルエンザは2008年6月にジャム・カシミール地方で発生した後、デリー州で2008年9月、マハラシュトラ州で2008年10月、西ベンガル州、ラジャスタン州、カルナタカ州、ヒマチャル・ブラデシュ州で2008年11〜12月、グジャラート州とラジャスタン州(2回目)で2009年3月、ウッタランチャル州で5月にそれぞれ発生が報告されています。この結果、これまでにインドの9州で馬インフルエンザの発生が報告されたことになりますが、これらの州はいずれもバングラディシュ、ブータン、ネパール、中国、パキスタンとの国境沿いに位置しております。今回のOIEWAHIDでは、中国との国境沿いにあるウッタランチャル州では160例、2回目の発生報告となるパキスタンとの国境沿いにあるラジャスタン州では43例の発生が報告されました。このことから、インドにおける馬インフルエンザの流行は、1年近く続いていますが、その勢いはあまり衰えていないのではないかと推測されます。また、ラジャスタン州では2008年11月8日に27例の発生が報告されていますので、馬インフルエンザの流行は同じ州においても長期間にわたって継続発生しているものと思われます。今後インドにおける馬インフルエンザの流行がまだ発生報告のない州や周辺諸国を含めてどのように展開していくのか、またいつ終息するのか、インドの動物衛生当局にとっては息の長い戦いになりそうです。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 6. 3, 鎌田正信, 2009. 6. 9)

 

米国カンザス州におけるウマの狂犬病の発生  

 2009年6月5日付のTheHorse.com newsに、米国カンザス州における狂犬病の発生に関する2編のニュース記事が掲載されましたので、その概要を紹介します。なお、2009年2月19日付の総研HPのニュース記事に、ウマの狂犬病の関連記事が掲載されていますので、参照していただきたいと思います。
 クレイ中央通信の記事によれば、カンザス州クレイ郡の1頭のウマが狂犬病陽性と診断された。同郡における今年のウマの狂犬病の発生は2例目で、本病に感染する危険性があるウマの所有者や他の人々は予防策として狂犬病の予防接種をしている。それ以外の情報は無い。AAEPは予防接種ガイドラインの中に重要な予防接種の一つとして狂犬病を含めている。ウマや他の家畜を含む飼育動物の予防接種はヒトへの感染を防止するために重要である。「全てのイヌ、ネコ、ウマの所有者に、狂犬病の予防接種について獣医師と連絡を取りなさいと提言している。狂犬病の予防接種は動物に対して生涯に一度だけのものではなく、ウイルスから安全に身を守るためには毎年の補強接種が必要であるということを我々は時々忘れる」とクレイ郡衛生管理者のDana Rickleyは格言のように述べた。カンザス州ではスカンク、イヌ、ウシ、各1匹のヤマネコ、キツネ、アライグマを含む38匹の狂犬病に感染した動物が報告されている。なお、今回の症例を診療したカンザス州クレイセンターにあるSalava獣医クリニックのDavid Salava獣医師によれば、狂犬病陽性と確認されたカンザス州のウマは最初右前肢の蹄葉炎を示した。筋肉の筋線維束攣縮(不規則な軽度の攣縮)が認められ、神経学上の何かを示すように全てのひじが落ちていた。狂犬病の検査はカンザス州立大学で実施され、本病であることが確定診断された。

(出典:TheHorse.com news, Article#14300&14301、2009. 6. 5, 鎌田正信, 2009. 6. 8)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(19)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、18回にわたりその続報を紹介しておりますが、6月5日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新されましたので、その内容を掲載します。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計21頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追跡するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 21頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、944頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計970頭の馬は、48州に所在する。276頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は29州に所在し、694頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。現在のところ、少なくともハワイ州とロードアイスランド州だけには感染が疑われる馬や陽性と認められる馬は1頭もいない。21頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が8頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。所在が明らかになった全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。検査と治療のプロトコールは全ての所在が明らかとなった馬に対して実行されている。
 276頭中76頭の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコールを完了し、CEM菌陰性であることが確認されている。これら現在CEM菌陰性となっている76頭の種牡馬のうちの67頭については感染が疑われたものであり、9頭については先の検査でCEM菌陽性となっていたものである。これら9頭中4頭の種牡馬はケンタッキー州に、3頭はインディアナ州に、1頭はテキサス州にそれぞれ所在しており、治療及び再検査後の現在はCEM菌陰性となっている。他の106頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。トータルで694頭中478頭の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この478頭には検査と治療を完了してCEM菌陰性となった先のカリフォルニア州の1頭の陽性牝馬が含まれている。
 ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいた。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、並びに8番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 6. 5, 鎌田正信, 2009. 6. 8)

 

米国ワイオミング州におけるウマのボツリヌス中毒症の発生  

 2009年5月31日付のThehorse.com newsにウマのボツリヌス中毒症の記事が掲載されましたので、以下に内容を紹介します。本中毒症は、わが国のウマではほとんど発生報告はありませんが、欧米諸国では一般的に発生しており、サイレージやヘイレージなどを作る時には注意すべき疾病の一つとされています。
 2009年5月29日付のNatalie Patersonの報告したThe KCWYの記事によれば、2009年4月に米国ワイオミング州のキャスパー西部の牧草地で12頭のウマがボツリヌス中毒症で死亡した。George Marble獣医師によれば、牧場で3頭が死亡して彼が牧場を訪れた時に、歩行できないウマが2頭以上いるのを目撃したと述べた。2日以内に牧場の12頭のウマが全て死亡するか安楽死の処置が施されたと記事では報告されている。ほとんど全てのウマはボツリヌス中毒症の一般的な症状である脚と舌の麻痺を発症していた。獣医師は他の牧草地ではボツリヌス毒素による発症馬はいないと述べている。彼はニュース報道局に対して、発症した牧場(牧場間を小川が通っている)の下流のウマは発症していないと説明した。ウマは通常汚染された飼料や飲み水の中に入った嫌気性細菌のClostridium botulinumC. botulinum)によって産生された神経毒素を摂取することによりボツリヌス中毒症を発症する。飼料汚染は腐敗したげっ歯類や鳥の死骸が干草に包み込まれたときに発生することがある。これはロールベール(丸く巻かれた干草)でより頻繁に認められる。飼料はまた不適当な貯蔵や不完全な発酵によっても汚染されることがある。まれに、ウマは土壌中から傷口を介してC. botulinumに感染した時に、ボツリヌス中毒症を発症する。The KCWY13記事は飼料を与える前に動物の死骸を注意して見ることを含めて干草をチェックすることが重要であると強調している。

(出典:TheHorse.com news, Article#14255, 2009. 5. 31, 鎌田正信, 2009. 6. 1)

 

米国の獣医師におけるレプトスピラの血清抗体保有状況と危険因子  

 レプトスピラ症は病原性レプトスピラというグラム陰性のらせん状の細菌によって引き起こされる人獣共通感染症です。病原性レプトスピラはほとんど全ての哺乳動物に感染することができると考えられており、感染動物の多くが保菌動物となりレプトスピラを腎臓に保菌し尿中に排出します。獣医師は多くの動物と接触するため、レプトスピラ症に罹患する危険性が高いと考えられます。本論文では、2006年のAAEP年次総会に参加した511名の獣医師を対象に実施したレプトスピラ症の血清疫学調査の成績が報告されています。今回の調査では、9名のウマ専門の獣医師と154名の専門外でウマの診療に携わっている獣医師が参加しており、これら163名のうちの6名(3.7%)でレプトスピラに対する抗体の陽転が確認されています。
 米国の獣医師におけるレプトスピラの各血清型に対する血清抗体の保有状況を明らかにし、獣医医療を行う際のレプトスピラ感染の危険因子を確認するために血清疫学調査を実施した。この調査対象となった獣医師は2006年のAAEP年次総会に参加した者である。 血液材料は511人の獣医師から採取され、6種類の血清型のレプトスピラに対する抗体検出用マイクロカプセル凝集試験(MCAT)が実施され、データ解析された。その結果、過去にレプトスピラ症に罹患した事例が獣医師の2.5%で確認された。また、不用意な注射接種禍(379/511、74.2%)、動物による咬傷(345/511, 67.5%)、動物による掻き傷(451/511, 88.3%)を含めて、過去12ヶ月以内にレプトスピラ及び他の病原体に複数回にわたり潜在的に曝された事実を多くの獣医師が報告した。この1年にインフルエンザ様疾病に罹患したイヌを治療した事例ではレプトスピラに対する抗体が陽転し、レプトスピラ症が関係していた。結論としては、獣医師はレプトスピラに感染する危険性があり、一般論としては感染因子に潜在的に曝される機会を減少させる対策を取るべきである。獣医師が原因不明の熱性疾病に遭遇したときには、レプトスピラの診断用検査を考慮に入れるべきである。

(出典:Ellen A. Spotts Whitney et al., J. Am. Vet. Med. Assoc., 234, 938-944, 2009, 鎌田正信, 2009. 6. 1)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(18)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、17回にわたりその続報を紹介しておりますが、新たにアイオア州とウィスコンシン州で各1頭の陽性種牡馬が摘発され、さらに疫学調査の成績についても一部修正されていますので、米国農務省公式発表の5月29日付のニュース記事を掲載します。
2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計21頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追跡するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 21頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、913頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計939頭の馬は、48州に所在する。272頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は29州に所在し、667頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。現在のところ、少なくともハワイ州とロードアイスランド州だけには感染が疑われる馬や陽性と認められる馬は1頭もいない。21頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が8頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。所在が明らかになった全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。検査と治療のプロトコールは全ての所在が明らかとなった馬に対して実行されている。
 272頭中85頭の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコールを完了し、CEM菌陰性であることが確認されている。これら現在CEM菌陰性となっている85頭の種牡馬のうちの76頭については感染が疑われたものであり、9頭については先の検査でCEM菌陽性となっていたものである。これら9頭中4頭の種牡馬はケンタッキー州に、3頭はインディアナ州に、1頭はテキサス州にそれぞれ所在しており、治療及び再検査後の現在はCEM菌陰性となっている。他の95頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。トータルで667頭中466頭の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この466頭には検査と治療を完了してCEM菌陰性となった先のカリフォルニア州の1頭の陽性牝馬が含まれている。
 ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいた。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、並びに8番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 5. 29, 鎌田正信, 2009. 6. 1)

 

 
 

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