米国におけるウマのWNV感染症の発生(4)  

 2009年8月10日付の総研HPのニュース記事に、米国におけるウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の発生報告を掲載しましたが、9月22日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年9月22日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのWNV感染症の症例数はワシントン州が58例、コロラド州が15例、モンタナ州が13例、カリフォルニア州が10例、アイダホ州が8例、アラバマ州、ニューメキシコ州が各6例、ユタ州、テキサス州が各4例、イリノイ州、ルイジアナ州、ケンタッキー州、サウスダコタ州が各3例、アイオア州、ミズーリー州、ミシシッピー州、ニュージャージー州、ネバダ州、バージニア州、ワイオミング州が各2例、フロリダ州、ウィスコンシン州、ウェストバージニア州が各1例である。8月11日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州は9州から23州に、ウマの症例数は14例から153例に増加している。直近約1週間でのウマのWNV感染症の症例数を比較してみると、9月16日が98例、9月22日が153例であり、この1週間で急増していることがわかる。9月22日付の米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によれば、現在のところ陽性サンプル、陽性症例、或いはWNVに関する調査により本ウイルスの活動が認められている州は46州で、ヒトのWNV感染症の症例数は31州で345例確認されており、ほぼ米国全土に広く伝播している。昨年のウマのWNV感染症の症例数は178例で、ワシントン州が41例、カリフォルニア州が32例となっており、西側の州で症例数が多く報告されている。毎年8月から9月にかけて本症のピークが見られ、蚊が活動する11月頃まで発生が継続することを考慮すると、ウマの東部馬脳炎と同様に今年のウマのWNV感染症の症例数は昨年より多くなる可能性が高い。

参考情報
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 8. 11.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 8. 25.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 2.
4. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
5. 2009 West Nile Virus Activity in theUnited States, CDC, 2009. 9. 1.
6. 2009 West Nile Virus Activity in theUnited States, CDC, 2009. 9. 22.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22, 鎌田正信, 2009. 9. 30)

 

米国におけるウマの東部馬脳炎の発生(6)  

 2009年6月24日付の総研HPのニュース記事に、米国における今年最初のウマの東部馬脳炎(EEE)の発生を報告して以来、5回にわたりその続報を紹介しておりますが、9月22日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年9月22日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのEEEの症例数では依然フロリダ州が他の州を大きくリードしている。フロリダ州が67例、ジョージア州、ミシシッピー州が各36例、ルイジアナ州が21例、アラバマ州が19例、ノースカロライナ州が16例、メイン州が14例、サウスカロライナ州が11例、バージニア州が7例、テキサス州が4例、ニューヨーク州が3例、ニュージャージー州とニューハンプシャー州が各2例である。8月11日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州は9州から13州に、ウマの症例数は134例から238例に増加している。2008年には米国の15州でウマのEEEの発生が認められ、症例数は合計185例で、フロリダ州が89例でトップであった。既にウマの症例数は昨年の数値を上回っており、毎年11月頃まで発生が継続することを考慮すると、今年度はウマの症例数が多い傾向にあると考えられる。これを裏付けるように9月26日付のProMed-mailでは、マサチューセッツ州で今年最初のEEE感染馬が摘発され、メイン州でも1頭のEEE陽性馬が追加報告されている。なお、2008年秋に16頭のウマが感染し、死亡又は安楽死の処置が施されたカナダでは、本年は未だウマの発生報告がない。

参考情報.
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 8. 11.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22.
3. ProMed-mail, Archive Number 20090905.3127, 2009. 9. 5.
4. ProMed-mail, Archive Number 20090917.3259, 2009. 9. 17.
5. ProMed-mail, Archive Number 20090926.3369, 2009. 9. 26.
6. ProMed-mail, Archive Number 20090929.3397, 2009. 9. 29.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22, 鎌田正信, 2009. 9. 30)

 

米国ミズーリー州における馬ピロプラズマ病の発生(4)  

 2009年6月15日付の総研HPのニュース記事に米国ミズーリー州における馬ピロプラズマ病(EP)の発生報告を掲載して以来、その続報についても紹介してきましたが、9月15日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に最終報告が掲載されましたので、これまでの発生経過を含めて以下にその概要を紹介します。
 今回のEPの発生事例は、2009年6月10日にミズーリー州ジャクソン郡のRaytown馬事公苑に所在する7歳のクオーターホース去勢馬がEP陽性と診断され、摘発されたことが発端であった。ここにはウマ、ポニー、ラバを含む64頭の馬科動物が飼養されていたが、その後の検査でさらに6頭のウマが陽性と診断された。この合計7頭の陽性馬にはマイクロチップが埋め込まれ、6月18日に5頭については安楽死の処置が施された。しかし、残りの2頭についてはその後他の場所に違法に移動され、州法および連邦法の強制執行により捜査が行われたが行方不明となった。米国農務省動植物検疫局(APHIS)とミズーリー州農務省は連携してこの発生および行方不明の2頭のウマについて追跡調査を継続実施していた。また、6月26日のOIEの声明によれば、EP感染が疑われその後陽性と確認されたRaytown馬事公苑からカンザス州に移動していた1頭のウマは、カンザス州で検疫中に違法に移動され、同じく行方不明になっていた。
 9月15日付のWAHIDの最終報告によれば、今回の発生源は依然不明であるが、少なくとも今回の発生においてダニは疫学的な役割りを演じていないことが詳細な調査により確認された。本病の伝播は、お粗末な飼養管理が原因であり、全てのウマが注射針による接種伝播であった。検査でEP陽性となった5頭のウマは全て安楽死の処置が施された。当該施設及び疫学的に関連のある施設で飼養されている全てのウマについては、追跡調査によりEP陰性と確認された。以上の結果を踏まえ、すべての検疫は解除された。なお、行方不明となっている3頭のウマについては、今後も法令執行機関により調査が継続されるが、今なお全く実体がつかめない現状から、違法に移動されたウマは既に国内から海外へ違法に輸送されたものと考えられる。以上の最終報告を受け、9月15日付の総研HPのニュース記事で紹介したように、カナダ政府はミズーリー州からのウマに対する輸入規制を全面的に解除している。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 9. 15, 鎌田正信, 2009. 9. 29)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(29)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、28回にわたりその続報を紹介しておりますが、2009年9月18日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新されましたので、その内容を掲載します。なお、現在までの検査対象馬は989頭(種牡馬が274頭、牝馬が715頭)で、27頭(種牡馬が22頭、牝馬が5頭)がCEM陽性、865頭(種牡馬が213頭、牝馬が652頭)がCEM陰性とそれぞれ診断され、残り124頭(種牡馬が61頭、牝馬が63頭)について検査が継続されています。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計22頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追求するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 22頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、他の962頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計989頭の馬は、48州に所在する。合計274頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は31州に所在し、715頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。ハワイ州とロードアイランド州だけは感染が疑われる馬や陽性馬が1頭も認められていない。
 22頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が9頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。検査と治療のプロトコルが未だ完了していない全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。
 274頭中213頭(77.7%)の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコルを完了し、CEM菌陰性であることが確認されている。これら現在CEM菌陰性となっている213頭の種牡馬のうちの193頭については感染が疑われたものであり、20頭については先の検査でCEM菌陽性となっていたものである。これら20頭中7頭の種牡馬はウィスコンシン州、4頭はケンタッキー州、各3頭はイリノイ州及びインディアナ州、各1頭はアイオワ州、ジョージア州並びにテキサス州にそれぞれ所在しており、治療及び再検査後の現在はCEM菌陰性となっている。他の27頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。
 合計715頭中652頭(91.2%)の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この652頭には検査と治療を完了してCEM菌陰性となった先のカリフォルニア州の2頭、イリノイ州の2頭、ウィスコンシン州の1頭の陽性牝馬、合計5頭が含まれている。
 全体的には、989頭中865頭(87.5%)が現在CEMフリーであることが判明している。CEM陽性馬がいた8州中3州、すなわちジョージア、インディアナ、ケンタッキーの各州は全ての既知の陽性及び感染が疑われる馬の検査と治療を完了し、現在ではCEMフリーと考えられている。
 今回の発生調査では、ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいたことが確認されている。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、8番目並びに9番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の陽性種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭の牝馬はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の陽性牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 9. 18, 鎌田正信, 2009. 9. 29)

 

米国ミズーリー州における馬ピロプラズマ病の発生(3)  

 2009年6月15日付の総研HPのニュース記事に米国ミズーリー州における馬ピロプラズマ病(EP)の発生報告を掲載しましたが、9月14日付のHorsetalk-International horse newsに、カナダにおけるミズーリー州からのウマに対する輸入規制の解除に関する記事が掲載されましたので、これまでの発生経過を含めて以下にその概要を紹介します。
 今回のEPの発生事例は、2009年6月10日にミズーリー州ジャクソン郡に所在する7歳のクオーターホース去勢馬がEP陽性と診断され、摘発されたことが発端であった。この牧場にはウマ、ポニー、ラバを含む63頭の馬科動物が飼養されていたが、その後の検査でさらに6頭のウマが陽性と診断された。この合計7頭の陽性馬にはマイクロチップが埋め込まれ、6月18日に5頭については安楽死の処置が施された。しかし、残りの2頭についてはその後他の場所に違法に移動され、州法および連邦法の強制執行により捜査が行われたが行方不明となった。米国農務省動植物検疫局(APHIS)とミズーリー州農務省は連携してこの発生および行方不明の2頭のウマについて追跡調査を継続実施していた。
 今回の9月14日付のHorsetalk-International horse newsの記事では、「カナダ政府は2009年6月に1頭のウマがEPで摘発されたことに引き続いて実施されてきた、米国ミズーリー州からのウマの輸入規制を解除した。2009年9月10日付で、カナダ食料検疫局は米国農務省からの最新情報に基づき、追加要件を解除した」と記載されており、ミズーリー州については少なくともEPの清浄化を確認した内容となっている。しかし、ここに記載されている米国農務省からの最新情報の中味や行方不明の2頭については説明がなく、米国国内のEPの清浄化については未だ明らかになっていない。また、ミズーリーのEPの終息宣言についても、OIE World Animal Health Information Databaseに未だ報告がなされていない。

(出典:Horsetalk-International horse news, 2009. 9. 14, 鎌田正信, 2009. 9. 15)

 

米国インディアナ州の競馬場が腺疫発生の疑いで検疫下に  

 2009年9月13日付のTheHorse.com newsに、米国インディアナ州の競馬場で臨床的に腺疫の疑いのあるウマが1頭摘発され、59頭のウマときゅう舎施設が検疫下に置かれたというニュース記事が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 インディアナ州中央部のアンダーソンにあるHoosier Park Racing and Casinoの競馬場で、バックストレッチ側に位置するきゅう舎で飼養されていた1頭のサラブレッド競走馬が腺疫様症状を呈し、週末の9月12日から予防対策として検疫が実施されている。現在、検査機関から結果が報告されるまで、きゅう舎で飼養されている全59頭が検疫下に置かれ、施設は閉鎖されている。Hoosier Park事務所によれば、州および競馬場の獣医師が連携して定期的な状況調査を継続しており、完全な検査結果が72時間までに報告されることを期待している。検査結果が陽性と診断された場合には、検疫下に置かれている全てのウマに対して強制的に腺疫の検査が要求されるであろう。なお、この競馬場の競馬番組表には、スタンダードブレッド、サラブレッド、クオーターホース競馬が含まれている。

参考情報
1.Horsetalk-International horse news, 2009. 9. 15.

(出典:TheHorse.com news, Article#14899, 2009. 9. 13, 鎌田正信, 2009. 9. 15)

 

オーストラリアにおけるヘンドラウイルス感染症の発生(5)  

 2009年8月11日付の総研HPニュース記事に、オーストラリアにおけるウマのヘンドラウイルス(HeV)感染症の発生報告を紹介しましたが、9月9日付のTheHorse.com newsにオーストラリアのクイーンスランド州北部の牧場で新たに1頭のウマがHeV感染症と確認されたというニュース記事が掲載されましたので、以下に主な内容を紹介します。なお、今回の事例により、1994年以来のウマのHeV感染症の症例数は13例となります。
 クイーンスランド州バイオセキューリティ(BS)は、州北部のBowen郊外の牧場施設で安楽死の処置が施された1頭のウマに関する検査結果について、HeV陽性と診断されたことを発表した。Rick Symons博士によれば、先週、開業獣医師がこの施設の1頭のウマを往診後に疑わしい症例がいるとBSに報告してきた。このウマは9月8日(火)に安楽死の処置が施された。獣医師は先週数日間にわたりそのウマを往診し、検査材料を採取してブリスベンに送付した。この検査結果については、昨夜陽性と返答し、現在迅速に本病の防止対策を実行している。この施設には現在のところ健康状態にある1頭のウマが飼養されている。また、同施設には1ヶ月前に死亡した3頭目のウマがいたが、検査材料は全く採取されていない。施設は現在検疫下に置かれている。近隣の施設には、沢山のウマがおり、BS事務所員はウマ所有者と一緒に一番最近死亡したウマに暴露されたウマ、ヒト、物などについて調べを進めている。また、スタッフは本日この危機管理地域の住民に対しても説明し、HeVに関する最近の情報を提供した(略)。なお、Symons博士によれば、Alister Rodgers獣医師は毒ヘビに咬まれた症例と思って防御服を着ないで病気のウマを治療したが、Bowenの開業獣医師は適切な防御服を身に着けていた。また、典型的な週では所定業務以外に4検体ほどのHeV感染症関連の検査を行っており、2008年には200サンプル以上を検査し、今年は既に100サンプル以上を検査した。

参考情報
1. Horsetalk-International horse news, 2009. 9. 9.
2. ProMed-mail, Archive Number 20090910.3189, 2009. 9. 10.

(出典:TheHorse.com news, Article#14867, 2009. 9. 9, 鎌田正信, 2009. 9. 14)

 

アイルランドにおける馬ピロプラズマ病の発生  

 2009年9月8日付のOIE World Animal Health Information Databaseに、アイルランドにおける馬ピロプラズマ病(EP)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。なお、アイルランドにおけるEPの発生は今回が初めてとなります。
 2009年6月10日に、アイルランド東岸のレンスター地方ミース州Dunshaughlinの牧場で飼養されていたウマが発熱、貧血、プアパフォーマンスなどの臨床症状を示した。イギリスのウエブリッジにあるVeterinary Laboratories Agency(民間研究所)に検査を依頼した結果、7月17日には間接蛍光抗体法、8月17日には競合エライザ法および補体結合試験によりTheileria equi陽性と診断された。疫学的なコメントによれば、所轄当局には9月2日に3頭のウマの陽性検査結果が報告された。そこで、この牧場で飼養されていた59頭のサラブレッドと1頭のポニー、合計60頭について検査材料を採取し、フランスのカーンにあるFrank Duncombe Laboratory(民間研究所)にEPの検査を依頼した。その結果、9月7日に60頭中28頭(46.67%)がエライザ法によりEP陽性と診断され、9月8日付でOIEに報告された。現在のところ、発生源又は感染源は不明であり、防疫対応としては検疫、スクリーニング検査が継続されている。

参考情報
1. ProMed-mail, Archive Number 20090909.3183, 2009. 9. 9.
2. Horsetalk-International horse news, 2009. 9. 10.
3. TheHorse.com news, Article#14874. 2009. 9. 10.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 9. 8, 鎌田正信, 2009. 9. 14)

 

湿度の高い天候がKY州のウマに毒キノコの危険性を及ぼす  

 2009年8月8日付のTheHorse.com newsに、「湿度の高い天候が米国ケンタッキー州の牧草地にいるウマに毒キノコの危険性を及ぼしている」というタイトルの記事が掲載されていましたので、以下にその内容を紹介します。
 8月初旬にケンタッキー大学家畜疾病診断センター(LDDC)はケンタッキー東部のあちらこちらの牧草地に存在するキノコに関する数件の電話を受けている。電話の主はキノコの生えた牧草地で家畜に牧草を食べさせても問題が生じないかどうかについて不安を感じていた。臨床毒性学者のCynthia Gaskill博士によって出された8月3日のLDDCの声明によれば、キノコは雨で湿度の高い天候によりいつもの年よりも多いように思われる。数千種類のキノコが存在し、その多くは動物に対して脅威を与えないものである。しかしながら、多くの種類の毒キノコが存在しており、潜在的には動物に中毒を起こさせる。キノコは種々の毒性物質を含んでおり、臨床症状もキノコのタイプや毒の存在によって非常に様々である。キノコの種類の鑑別は素人には事実上不可能であり、経験者である真菌学者でも本当に難しいといわざるを得ない。地方の所在場所、増殖媒体、増殖している樹木のタイプなどに関する情報が準備されることにより、キノコの鑑別や危険性の決定の手助けとなる。危険に曝される機会を減らすことは常にどんな潜在的な中毒症においても助けとなる。幸運にも大動物におけるキノコの毒性による中毒症の発生は稀である。我々は小動物ではもっと多いことを知っている。

(出典:TheHorse.com news, Article#14689, 2009. 8. 8, 鎌田正信, 2009. 9. 10)

 

オーストラリアにおけるヘンドラウイルス感染症の発生(4)  

 2009年8月11日付の記事で、オーストラリアにおけるヘンドラウイルス(HeV)感染症の発生を紹介しましたが、2009年9月2日付のTheHorse.com newsにHeV感染症に罹患し昏睡状態に陥って入院していたクイーンスランド州の獣医師が9月1日(火)の夜中に死亡し、オーストラリア獣医師会による死亡報告と声明が掲載されましたので、以下にその内容を紹介します。なお、今回の獣医師の死亡により、1994年以来のヒトのHeV感染症の犠牲者は4人目となりました。
 オーストラリア中の獣医師がHeV感染症によるAlister Rodgers獣医師の死を悲しんでおり、この致死的な疾病と戦うために早急に資金の増額を政府に要求する。同国獣医師会のMark Lawrie会長によれば、丁度12ヶ月前に我々は今回、Alisterが行ったと同じように病気のウマを治療して本病に罹患した、友であり仲間であったBen Cunneenを、HeVにより失った。このように早く他の獣医師を失うことは本当に大きな損失であり、再びこのような事態が起きることを防ぐために我々の力で出来る事は何でもやらねばならない。全ての事象はHeVがオーストラリアに常在していることを示している。クイーンスランド州以外の州でも本病の症例が出現し、今すぐにでも本病の取り扱いが必要となり、問題解決策のために資金を投入することになるであろう。獣医師会は、予防策に関する教育及び訓練、ヒトの治療に関する研究、発生に対応する政府獣医師のためのさらに良好な資金の投入という、3項目からなるHeV対応のための解決策を提唱する。Lawrieによれば、HeV感染症の犠牲者となる危険性を低減するためには、ウマ所有者や獣医師を含めてウマと深く関わる全てのヒトの教育及び訓練にかなりのまじめな資金の投入が必要である。しかしながら、実際のところ最も厳重な予防策は誰もがそんなに簡単にできるものではない。したがって、ヒトがHeVに曝された場合の病気の治療については、早急にある程度の前進がなされる必要があり、そのことは極めて重要である。我々は本病の本質、ワクチン、そして迅速診断用検査に関わる多くの研究成果が必要である。我々の3番目の懸念は、オーストラリア政府獣医サービスが多年にわたり資産の枯渇を徐々に進行させてきたことである。我々は研究室の成果を加速させる方策と、どの場所でも本病の発生に対応できるだけの政府獣医師の十分な人が必要である。本病がもっと認知されるようになれば、多分、疑わしい症例の数も増加するであろう。HeV感染症によるこれ以上の死亡を避けるためには、我々は3つの領域全てにおいて緊急な行動を必要としている。我々はAlisterの家族、友人、仕事仲間に対してオーストラリア中の獣医師の同情の念を表明する。不幸にもこの問題は進行していない。我々は決してHeV感染症で他の仲間を失う悲しみをこれ以上もたらさないような回答が得られることを希望する。

参考情報
1. TheHorse.com news, Article#14829, 2009. 9. 2.
2. Horsetalk-International horse news, 2009. 9. 2.
3. Horsetalk-International horse news, 2009. 9. 3.
4. ProMed-mail, Archive Number 20090903.3098, 2009. 9. 3.

(出典:TheHorse.com news, Article#14830, 2009. 9. 2, 鎌田正信, 2009. 9. 9)

 

サラブレッド競走馬における高速襲歩II 体重心および機械的エネルギーの変動に対する傾斜の影響  

 この研究では、坂路を駈け上ることが、体重心や機械的(運動)エネルギーと運動効率にどのような影響を与えるかについて検討していた。
 坂を上る運動では、体重心を高い位置へと動かす(位置エネルギーを増加させる)ための機械的エネルギーが必要とされる。著者らは、6頭のウマが坂路および平地を襲歩走行している際の機械的エネルギーの変動と運動コストを測定していた。著者らは、第4から第6胸椎棘突起背面に6自由度(3軸加速度+3軸角速度)の慣性センサーを装着して、体幹の動きを測定していた。肢の着地および離地のタイミングは四肢に取り付けた加速度センサーにより、走行速度はGPSシステムにより測定していた。様々な傾斜において走行速度9-12 m/sの範囲の直線(前後、左右、上下)および回転(ロール、ピッチ、方向)運動のパラメーターを計算して、機械的エネルギーおよび運動効率を推定していた。その結果、襲歩時の
体幹の運動に対する傾斜の影響は小さいとの結果を得ていた。機械的エネルギーの増加と運動効率の低下は、主に体を坂の上に移動させるのに必要な仕事(位置エネルギーを増加させる)を行うためと考えられた。また、この仕事は、後肢が主に行っていた。
 これらの結果から、ウマは坂路を上るときは、頸や四肢の動きは平地と異なるかもしれないが、体全体で見ると、動き方や走りの効率には大きな影響がないと考えられた。

(出展:K. J. Parsons et al., J. Exp. Biol., 211, 945-956, 2008: 高橋 敏之, 2009. 9. 9)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(28)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、27回にわたりその続報を紹介しておりますが、2009年9月4日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新され、新たにウィスコンシン州で1頭の陽性種牡馬が摘発されておりますので、その内容を掲載します。なお、現在までの検査対象馬は988頭(種牡馬が273頭、牝馬が715頭)で、27頭(種牡馬が22頭、牝馬が5頭)がCEM陽性、855頭(種牡馬が205頭、牝馬が650頭)がCEM陰性とそれぞれ診断され、残り133頭(種牡馬が68頭、牝馬が65頭)について検査が継続されています。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計22頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追求するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 22頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、他の961頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計988頭の馬は、48州に所在する。合計273頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は31州に所在し、715頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。ハワイ州とロードアイランド州だけは感染が疑われる馬や陽性馬が1頭も認められていない。
 22頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が9頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。検査と治療のプロトコルが未だ完了していない全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。
 273頭中205頭(75%)の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコルを完了し、CEM菌陰性であることが確認されている。これら現在CEM菌陰性となっている205頭の種牡馬のうちの185頭については感染が疑われたものであり、20頭については先の検査でCEM菌陽性となっていたものである。これら20頭中7頭の種牡馬はウィスコンシン州、4頭はケンタッキー州、各3頭はイリノイ州及びインディアナ州、各1頭はアイオワ州、ジョージア州並びにテキサス州にそれぞれ所在しており、治療及び再検査後の現在はCEM菌陰性となっている。他の35頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。
 合計715頭中650頭(91%)の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この650頭には検査と治療を完了してCEM菌陰性となった先のカリフォルニア州の2頭、イリノイ州の2頭、ウィスコンシン州の1頭の陽性牝馬、合計5頭が含まれている。
 全体的には、988頭中855頭(86%)が現在CEMフリーであることが判明している。CEM陽性馬がいた8州中3州、すなわちジョージア、インディアナ、ケンタッキーの各州は全ての既知の陽性及び感染が疑われる馬の検査と治療を完了し、現在ではCEMフリーと考えられている。
 今回の発生調査では、ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいたことが確認されている。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、8番目並びに9番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の陽性種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭の牝馬はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の陽性牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 9. 4, 鎌田正信, 2009. 9. 8)

 

米国におけるウマのWNV感染症の発生(3)  

 2009年8月10日付の総研HPのニュース記事に、米国におけるウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の発生報告を掲載しましたが、9月2日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年9月2日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのWNV感染症の症例数はワシントン州が23例、モンタナ州が8例、アイダホ州が5例、カリフォルニア州とユタ州が各4例、アラバマ州、ケンタッキー州、サウスダコタ州が各3例、ルイジアナ州、ミシシッピー州、テキサス州が各2例、フロリダ州、ミズーリー州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ウェストバージニア州が各1例である。8月11日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州は9州から16州に、ウマの症例数は14例から64例に増加している。9月1日付の米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によれば、現在のところ陽性サンプル、陽性症例、或いはWNVに関する調査により本ウイルスの活動が認められている州は40州で、米国全土に広く伝播している。昨年のウマのWNV感染症の症例数は178例で、ワシントン州が41例、カリフォルニア州が32例となっており、西側の州で症例数が多く報告されている。毎年8月から9月にかけて本症のピークが見られ、蚊が活動する11月頃まで発生が継続することを考慮すると、ウマの東部馬脳炎と同様に今年のウマのWNV感染症の症例数は昨年より多くなる可能性がある。9月5日付のTheHorse.com newsに、バージニア州における今年最初のウマの発生が報告され、トータルで発生州は17州、症例数は65例となった。

参考情報
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 8. 11.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 8. 25.
3. TheHorse.com news, Article#14837, 2009. 9. 3.
4. TheHorse.com news, Article#14855, 2009. 9. 5.
5. TheHorse.com news, Article#14858, 2009. 9. 6.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 2, 鎌田正信, 2009. 9. 7)

 

米国におけるウマの東部馬脳炎の発生(5)  

 2009年6月24日付の総研HPのニュース記事に、米国における今年最初のウマの東部馬脳炎(EEE)の発生を報告して以来、4回にわたりその続報を紹介しておりますが、9月2日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年9月2日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのEEEの症例数では依然フロリダ州が他の州を大きくリードしている。フロリダ州が64例、ジョージア州が36例、ミシシッピー州が31例、ルイジアナ州が19例、アラバマ州が15例、ノースカロライナ州が12例、バージニア州が7例、テキサス州が3例、メイン州とサウスカロライナ州が各2例、ニュージャージー州とニューヨーク州が各1例である。8月11日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州は9州から12州に、ウマの症例数は134例から193例に増加している。2009年9月1日付の米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によれば、ウマを含む動物のEEEの症例数は合計198例で、発生州は12州と報告されていることから、昨年の報告と同様にこれらの症例数の大部分はウマの症例と考えられる。2008年には米国の15州でウマのEEEの発生が認められ、症例数は合計185例で、フロリダ州が89例でトップであった。現時点で既にウマの症例数は昨年の数値を上回っており、毎年11月頃まで発生が継続することを考慮すると、今年度はウマの症例数が多い傾向にあると考えられる。これを裏付けるように9月3日付のProMed-mailでは、メイン州で新たに5頭のEEE陽性馬と3頭の感染が疑われるウマが報告されており、州衛生担当者がこのような発生は過去に見たことがないと述べている。なお、2008年秋に16頭のウマが感染し、死亡又は安楽死の処置が施されたカナダでは、本年は未だウマの発生報告がない。

参考情報.
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 8. 11.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 8. 25.
3. TheHorse.com news, Article#14837, 2009. 9. 3.
4. TheHorse.com news, Article#14840, 2009. 9. 3.
5. TheHorse.com news, Article#14858, 2009. 9. 6.
6. ProMed-mail, Archive Number 20090905.3127, 2009. 9. 5.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 2, 鎌田正信, 2009. 9. 7)

 

中米ベリーズにおけるベネズエラ馬脳炎の発生  

 2009年8月31日付のOIE World Animal Health Information Databaseに、中央アメリカ北東部、ユカタン半島の付け根に位置するベリーズにおけるベネズエラ馬脳炎(VEE)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。なお、2009年9月1日付の総研HPのニュース記事に、同じ中米に位置するコスタリカにおけるVEEの発生報告が掲載されておりますので是非ご一読ください。
 ベリーズには6つの州があるが、今回の報告ではそのうちの3州でVEEの発生が確認されている。疫学状況としては、ベリーズでは蚊が増加し、保健省ではベクター抑制活動を促進している。VEEについては、2009年1月と4月にベリーズ州とスタンクリーク州で各1例が隔離され、その後7月から8月にかけてカヨ州で症例が急増した。8月14日に調査を開始し、8月31日にOIEのリファレンスラボラトリーである米国国立獣医学研究所(NVSL)がIgM捕捉エライザにより数例についてVEEであることを確認した(3州において約5例のVEEの症例が報告されている)。現在のところ、スタンクリーク州とベリーズ州では各19頭、カヨ州では224頭の合計268頭の馬属には、VEE不活化ワクチンが接種されている。防疫対応としては、野生生物保有種対策、国内での移動規制、予防接種、衛生昆虫の駆除などが行われている。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 8. 31, 鎌田正信, 2009. 9. 3)

 

ウマコロナウイルスは培養細胞のアポトーシスを誘導する  

 ウマコロナウイルス(ECoV)は2000年に下痢を発症した子馬から初めて分離されたが、本ウイルスの病原性については十分に解析が行われていない。著者らは予備実験で、ウシ腎由来の細胞株であるMDBK細胞においてECoVが細胞死を誘導していることを観察した。そこで本研究では、この細胞死がアポトーシスによるものかどうかを調査した。なお、アポトーシスとは細胞死の一種であり、生体の恒常性維持のために引き起こされるプログラム細胞死である。
 MDBK細胞にECoVを感染させると細胞の円形化、細胞の剥離、シンシチウムの形成、さらにアポトーシスの特徴である核の断片化およびDNAラダーの形成が観察された。また、他の動物のコロナウイルスに感染した際にも観察されるアポトーシス関連因子であるCaspase(細胞にアポトーシスを起こさせるシグナル伝達経路を構成する一群のシステインプロテアーゼ)のうちCaspase-3/7、Caspase-8およびCaspase-9の上昇が観察された。このことから、ECoVはCaspaseを介してアポトーシスを誘導することが示唆された。Caspase-8の上昇から細胞膜上のデスレセプターを介したアポトーシス経路と、Caspase-9の上昇からミトコンドリアを介したアポトーシス経路の両方が機能していると考えられた。現在のところ、ECoVの病理発生については多くは謎であるが、アポトーシスがECoV感染における消化器官への病原性の基礎となっているのかもしれない。

(出典:K. Suzuki et al., Vet. Microbiol., 129, 390-395, 2008, 根本 学, 2009. 9. 2)

 

ウマヘルペスウイルス2型と関連した子ウマの口腔および食道潰瘍  

 生後1ヶ月齢の子ウマが、発熱、嚥下障害、流涎、口腔粘膜の乾燥、食道の潰瘍などの症状を示した。潰瘍部分のスワブからEHV-2が分離され、同部位のバイオプシーではヘルペスウイルスと思われる核内封入体が観察された。EHV-2に対する免疫組織化学染色を行ったところ、食道潰瘍の近くの上皮細胞ではEHV-2に対する陽性反応を示し、離れた部分の粘膜では陰性であった。バイオプシー材料を電子顕微鏡で観察したところ、上皮細胞にはヘルペスウイルス様の粒子が観察された。この子馬は5日間の加療で回復し、潰瘍は治癒した。血清学的および免疫組織化学的には、この子ウマの病変はEHV-1, 4, 5ではなく、EHV-2に関連した病変であると思われた。EHV-2は馬群に広く浸潤しておりほぼ100%の馬が感染するが、その病原性についてはまだ明らかになっていない。今回の病変がEHV-2に起因したものとは断言はできないが、少なくとも関連性はあると思われた。しかしながら、著者らが考察しているように、EHV-2感染症の臨床的な重要性を決定するためには、さらなる症例報告やこのウイルスの遺伝的多様性と病気との関連性に関する広範な調査が必要と思われる。

(出典:M. Vengust et al., J.Vet. Diagn. Invest., 20, 811-815, 2008, 根本 学, 2009. 9. 2)

 

ナショナルハント競走用サラブレッドのストライドパラメーターに対するトレーニング効果:予備的研究  

 研究を実施した理由:ストライドパラメーターに対するトレーニング効果は、意見の分かれる問題であり、今まで、トレーニングが野外における高速運動中のストライドパラメーターにどのように効果を及ぼすかについての情報はなかった。
 目的:この研究の目的は、サラブレッド競走馬において、トレーニングが高速運動中のストライドパラメーターに及ぼす効果を決定することである。
 材料および方法:8頭のサラブレッドにおいて、速度、ストライド頻度、スタンスおよび浮遊時間を、蹄に装着した加速度センサーとGPSセンサーにより測定した。測定時期は、夏期休養後の最初の週の駈歩時および6ヶ月間のトレーニング後であった。
 結果:11 m/sの速度において、ストライド頻度(平均値 +/- 標準偏差)は、トレーニング前は2.160 +/- 0.120 ストライド/s、トレーニング後は2.167 +/- 0.083 ストライド/s、平均スタンス時間は、トレーニング前は125.3 +/- 9 ms、トレーニング後は125.9 +/- 7 ms、浮遊時間は、トレーニング前は340.7 +/- 20.4 ms、トレーニング後は337.2 +/- 14.3 msであった。トレーニング後のストライド頻度の増加および浮遊時間の減少は有意であった。それぞれのウマの最高走速度には、トレーニング前後で有意な差は認められなかった。
 結論:実験対象馬では、スタンス時間はトレーニング期間中一定のままだった。しかし、トレーニング後には、浮遊時間の有意な減少と、それに対応したストライド頻度の有意な増加が観察された。
 関連性:競走馬のトレーニングは、変更可能なパラメーターに対する効果を最大化し、トレーニングによる病変の危険性を減少させるように適応させることができる。多頭数を対象とした異なるトレーニング方法の効果についての調査を将来は実施する予定である。

(出展:M. Ferrari et al., Equine Vet J., 41(5), 493-478, 2009: 高橋 敏之, 2009. 9. 1)

 

コスタリカにおけるベネズエラ馬脳炎の発生  

 2009年8月31日付のOIE World Animal Health Information Databaseに、中央アメリカ南部に位置するコスタリカにおけるベネズエラ馬脳炎(VEE)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 今回のコスタリカにおけるVEEの発生は2002年以来となるもので、グアナカステ州Liberiaの牧場で飼養されている9頭中5頭が発症し、1頭が死亡した。最初の発生は2009年7月28日に認められ、8月25日に国立大学獣医学部ウイルス研究室でエライザ法によりVEEであることが確認された。現在のところ、グアナカステ州の150頭の馬属には、VEEに対する不活化ワクチンが接種されている。防疫対応としては、検疫、国内での移動規制、予防接種、衛生昆虫の駆除などが行われている。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 8. 31, 鎌田正信, 2009. 9. 1)

 

米国ペンシルベニア州における神経病原性EHV-1の発生(2)  

 2009年7月27日付の総研HPのニュース記事で、米国ペンシルベニア州における神経病原性ウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)の発生報告を掲載しましたが、8月31日付のTheHorse.com newsに発生牧場における検疫が解除されたという記事が掲載されましたので、以下のその内容を紹介します。
 Dennis Wolff農務省長官によれば、ペンシルベニア州Allegheny郡BridgevilleのRolling Hills Ranch Stableの検疫については、そこで飼養されている116頭のウマの全てから採取されたサンプルが神経病原性EHV-1に対して陰性と検査された後で解除された。今回の検疫は少なくとも3頭のウマが神経病原性EHV-1に対して陽性と検査された7月20日付で開始された。きゅう舎のウマの移動は本病の伝播を抑制するために規制された。検疫命令に合致して、8月1日から起算して21日が経過してもEHV-1の症状を呈するウマはいない。7月17日から7月31日の間に6頭のウマが運動失調、虚弱又は後肢の麻痺、或いは失禁を含む神経病原性EHV-1感染症の臨床症状を呈したので、安楽死の処置が講じられた。

(出典:TheHorse.com news, Article#14817, 2009. 8. 31, 鎌田正信, 2009. 9. 1)

 

 
 

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