英国における馬伝染性子宮炎の発生(2)  

 2009年10月23日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に、英国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。なお、英国におけるCEMの発生報告は本年になって2件目であり、2009年7月29日にヨーロッパ本土から輸入された種牡馬1頭がCEM陽性と診断され、2009年9月11日付のWAHIDに最終報告が掲載されています。
 今回の英国におけるCEMの発生は、バッキンガムシャー州ミルトン・キーンズの7歳の非サラブレッド種雌ウマ(不顕性感染馬)が、2009年10月22日に細菌検査及びPCR検査によりCEM陽性と確認されたものである。疫学調査は継続中であり、詳しい内容は報告されていない。現在、検疫、国内の移動制限、感染施設の消毒、CEM、K. pneumoniae、緑膿菌に対する行動規範に基づく感染馬の治療などが防疫対策として行われている。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 10. 23, 鎌田正信, 2009. 10. 27)

 

米国テキサス州における馬ピロプラズマ病の発生  

 2009年10月20日付のOIE World Animal Health Information Databaseに、米国テキサス州における馬ピロプラズマ病(EP)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。なお、米国では2008年8月に1988年以来となるEPの発生がフロリダ州で報告され、2009年2月の終息宣言までに25施設の201頭が検疫下に置かれ、最終的に7施設の20頭のウマがEPに感染したことが確認されています。また、2009年6月にはミズーリー州でもEPの発生が報告され、最終的にミズーリー州とカンザス州で飼養されていた8頭のウマがEP陽性と確認されました。なお、8頭中5頭のウマについては安楽死の処置が施されましたが、残りの3頭のウマについては検疫中に不法に移動され、未だに所在が確認されていません。
 2009年10月2日にテキサス州クレバーグ郡の牧場で飼養されていた7歳のクオーターホース雌使役馬が発病し、地域の獣医病院で診察を受けたところ、EPが疑われて隔離された。10月12日にこのウマはテキサス獣医医療診断研究所でEP陽性と診断された。10月13日に外来動物病調査として、疫学的に当該馬とリンクする31頭のクオーターホース使役馬についてEPの検査が実施された。また、検査と種族分類のためにダニが5頭のウマから採集された。さらに、テキサス動物衛生委員会(TAHC)は当該施設にいる全てのウマを検疫下に置いた。10月19日に米国国立獣医学研究所(NVSL)は競合エライザ、補体結合試験、間接蛍光抗体法、顕微鏡検査により7歳の当該雌使役馬とこのウマと疫学的にリンクする31頭の使役馬、合計32頭をEP 陽性(Theileria equi) と確定診断した。また、検査結果はまだ得られていないが、これらのウマとリンクする96頭のウマについても検査を実施している。現在、当該施設のダニ調査は継続されており、ダニの検査及び種族分類の予備調査の結果はまだ得られていない。なお、防疫対策としては、衛生昆虫の抑制、検疫、当該施設の消毒、殺虫剤の噴霧を行っており、予防接種や陽性馬の治療、その他の対策は行っていない。米国農務省動植物衛生検査局(APHIS)とTAHCは連携して追跡調査を行っており、10月26日現在、カナダとモンタナ州ではテキサス州のウマに対する輸入規制と移動規制を行っている。

参考情報
1. TheHorse.com news, Article#15128 (2009. 10. 20), Article#15133 (2009. 10. 21), Article#15140 (2009. 10. 23).
2. ProMed-mail, Archive Number 20091021.3617, 20091022.3631, 20091024.3675.
3. Horsetalk-International horse news, 2009. 10. 22, 10. 23, 10. 26.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 10. 20, 鎌田正信, 2009. 10. 27)

 

腺疫試作ワクチンのウマでの有効性の実証試験  

 2009年9月28日付のHorsetalk-International horse newsに、新しい多価組換え腺疫試作ワクチンのウマでの有効性を馬体効果試験により実証した研究についての論評が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 スウェーデンとイギリスの研究者たちによれば、この試作ワクチンを接種された7頭のウェリッシュマウンテンポニーは腺疫の原因菌であるStreptococcus equiS. equi)から有意に防御された。無料の電子ジャーナルであるPloS Pathogensにおける報告によれば、著者らはS. equiは福祉及び経済性の両方の観点から世界的に重要なウマの病原細菌で、host adapted pathogenである。本病は流行性及び伝染性が高く、ウマに重い病気を起こす。抗生物質療法は通常有効ではない。S. equiの弱毒生ワクチン株は生体にとって副作用などがあり、免疫期間も短いのが悩みの種で、S. equiに対する安全かつ有効なワクチンが非常に求められている。本研究では、試作ワクチンを接種された7頭のポニー(試験馬群)と、アジュバントのみを接種された7頭のポニー(対照馬群)にS. equiをそれぞれ実験感染させた。S. equiの感染を受けた対照馬群に比べ、7頭の試験馬群ではリンパ節の腫脹及び膿瘍の所見が有意に減少し、発熱も僅かであった。試験馬群では7頭中6頭で腺疫の発症が抑制されたが、対照馬群では7頭全てが腺疫を発症した。ワクチンに含まれる抗原は、5種類の表在蛋白と2種類のIgGエンドぺプチダーゼから構成されている。今回の研究は、自然宿主における組換え多価サブユニットワクチンによって賦与されたS. equi感染症に対する感染防御能についての数少ない実証実験の一つである。興味のある方は、2009年9月18日付のopen access journal のPloS Pathogens, 5 (9)に掲載された「Getting to Grips with Strangles: An Effective Multi-Component Recombinant Vaccine for the Protection of Horses from Streptococcus equi infection」 をご一読いただきたい。

(出典:Horsetalk-International horse news, 2009. 9. 28, 鎌田正信, 2009. 10. 23)

 

腺疫菌によるウマの肩甲下リンパ節の膿瘍形成  

 腺疫菌は,ウマの下顎リンパ節を中心に膿瘍を形成するが,時として様々な部位に膿瘍を形成することがある。Sweeneyら(2005)によれば、腺疫菌はウマの体のどのリンパ節でも膿瘍を形成する可能性があるとのこと。本論文では、腺疫菌の感染によりウマの肩甲下リンパ節に膿瘍が形成された珍しい症例が報告されている。本症例は,罹患馬が肩甲骨部の触診や頸部の屈曲を極度に嫌がったため,同部を中心に様々な検査が実施された結果,腺疫菌による膿瘍形成が確認された。そこで,全身麻酔下で外科的に膿瘍が取り除かれ,同馬は手術の6ヶ月後には完治した。ウマの膿瘍形成には,黄色ブドウ球菌が関与することが多いが,今後は腺疫菌が関与している可能性も含めて細菌検査を実施すべきであると考えられた。

(出典:D. Whelchel et. al., Equine Vet. Edu. 21, 131-134, 2009,帆保誠二. 2009. 10. 23)

 

腺疫菌のキャリアーを血清抗体価の測定で摘発することは困難  

 腺疫はウマ特有の細菌性急性伝染病で,通常腺疫菌が罹患馬から他のウマに直接又は間接的に感染することにより発症し、主に下顎リンパ節の腫脹や自潰を特徴とする臨床症状を呈する。腺疫菌のキャリアーは,他の馬へ腺疫を広めてしまう危険性が特に高いので、摘発して淘汰或いは隔離することが非常に重要である。著者らは,腺疫菌のフィブリノーゲン結合蛋白質に対する血清中の抗体価を測定し,腺疫菌のキャリアーの摘発を試みた。しかし,非キャリアーとキャリアーとの間に明確な差はなく,この方法による血清診断では腺疫菌のキャリアーを摘発出来ないことが明らかとなった。この結果から、腺疫菌のキャリアーの摘発には、従来から行われている喉嚢の内視鏡検査とその洗浄液の解析が重要であると結論づけている。

(出典:A. Davidson et. al., J. Vet. Diagn. Invest., 20, 457-462, 2008,帆保誠二, 2009. 10. 22)

 

カナダにおけるイヌの腺疫の発生  

 2009年10月17日付のProMed-mailに、ウマの腺疫の原因菌であるStreptococcus equi subspecies equi (S. equi) がカナダの動物愛護協会保護施設の2匹のイヌに感染し、重篤な出血性肺炎を起こして死亡したという非常に珍しい症例報告が掲載されていましたので、以下にその内容を紹介します。S. equiはウマに固有の疾病である腺疫を引き起こしますが、他の動物に感染して病気を起こすことは非常に稀であり、今回と同じようなイヌでの事例は2006年にイギリスで初めて報告されております。Journal of Clinical Microbiology, 44, 2664-2665, 2006にその論文が掲載されていますので、ご参照ください。
 カナダのオタワ動物愛護協会保護施設で、2匹のイヌが過去2ヶ月の間に非常に稀で重篤なタイプのイヌの肺炎で死亡した。動物愛護協会の獣医師によれば、過去にこのようなタイプの病気に遭遇したことは無かったとのこと。イヌは最初咳、昏睡、発熱などの症状を示すが、血液の混じった咳をしたり1日以内に瀕死の状態に陥るなど、症状は急速に進行する。動物愛護協会の1匹目のイヌは今年の真夏に発症し、2匹目のイヌは9月初旬に発症した。その後スタッフは全てのイヌを抗生物質で治療するとともに、全てのイヌ小屋を消毒し、1週間にわたって里親探しを一時的に停止した。動物愛護協会のShelly Hutchings獣医師によれば、このイヌの病気はウマに固有な疾病である腺疫の原因菌であるS. equiによって引き起こされた。この感染症はイヌでは稀であるが、重篤な症状を示し、出血性肺炎を起こす。なお、この病気はヒトには伝播しない。イヌがどのようにして本病に罹るのかということについてはほとんど分かっていないし、本病の予防用ワクチンもない。考えてみたら確かに恐ろしいことである。我々は本病の潜伏期間について本当に何も知らないし、伝播のことについても、どんなイヌに感染するのかも分かってないことが多い。専門家は保護施設のイヌは狭い場所に入れられ、絶え間ないほえ声に曝されるなどのストレスを受けているので、病気に罹りやすいと考えている。オタワ動物愛護協会のBruce Roney会長によれば、2011年に開設予定の新しい保護施設にとって感染症が如何に重要かを今回の事例は明確に教えてくれている。我々はこの建物の中に適当な隔離場所を所有しておらず、それが病気の抑制を困難にしている。現在のところ、本病の新しい症例はこの施設で認められていないし、里親探しをしている他のどのイヌにも肺炎は見られない。動物愛護協会は地域の獣医師に対して本病の臨床症状に注意を払うように要望している。

(出典:ProMed-mail, Archive Number 20091017.3567, 2009. 10. 17, 鎌田正信, 2009. 10. 20)

 

中米ベリーズにおけるウマの東部馬脳炎の発生  

 2009年10月10日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に、中央アメリカ北東部、ユカタン半島の付け根に位置するベリーズにおける東部馬脳炎(EEE)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 ベリーズにおけるウマのEEEの発生は2005年10月18日以来となるもので、2005年11月24日付のWAHIDの発生報告によれば、予防接種を受けていなかった4歳の雌馬が1頭発症している。なお、それ以前の発生報告は1997年まで遡る。今回のWAHIDの発生報告では、カヨ州Duffy Bankの川沿いの森林地帯にある牧場で飼養されていた14ヶ月齢のクオーターホース雌子ウマが7月3日に発症し、7月17日にOIEのリファレンスラボラトリーである米国国立獣医学研究所(NVSL)でIgM補足エライザおよびプラック減少中和試験によりEEEと確定診断された。防疫対応としては、検疫及び衛生昆虫の駆除が行われているが、予防接種、治療、その他の防疫対応などは行われていない。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2005. 11. 24..
2. ProMed-mail, Archive Number 20051126.3428, 2005, 11, 26.
3. ProMed-mail, Archive Number 20091019.3593, 2009. 10. 19.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 10. 10, 鎌田正信, 2009. 10. 20)

 

米国におけるウマのWNV感染症の発生(6)  

 2009年8月10日付の総研HPのニュース記事に、米国におけるウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の発生報告を掲載して以来、5回にわたりその続報を紹介しておりますが、10月13日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年10月13日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのWNV感染症の症例数はワシントン州が67例、コロラド州が20例、カリフォルニア州が15例、モンタナ州が14例、テキサス州が9例、アイダホ州が8例、アラバマ州、ケンタッキー州、ニューメキシコ州が各6例、イリノイ州、サウスダコタ州、ユタ州が各4例、フロリダ州、ルイジアナ州、ネブラスカ州、ネバダ州、バージニア州が各3例、アイオア州、ミズーリー州、ミシシッピー州、ペンシルベニア州、ワイオミング州が各2例、アーカンソー州、ニュージャージー州、ウィスコンシン州、ウェストバージニア州が各1例である。10月6日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、ウマのWNV感染症の症例数は179例から192例に増加しているが、発生州の数には変化が無く、症例数の増加する勢いは明らかに減弱してきている。すなわち、ウマの症例数の合計は9月16日が98例、9月22日が153例、9月30日が164例、10月6日が179例、10月13日が192例と報告されており、9月17日から9月22日のピーク時の1週間には症例数が55例も増加したが、その後は1週間当たり10数例の増加で推移している。なお、10月13日付の米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によれば、現在のところ陽性サンプル、陽性症例、或いはWNVに関する調査により本ウイルスの活動が認められている州は46州で、ヒトのWNV感染症の症例数は34州で474例確認されている。因みに、昨年のウマのWNV感染症の症例数は178例で、ワシントン州が41例、カリフォルニア州が32例となっており、西側の州で症例数が多く報告されている。

参考情報
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 30.
4. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 6.
5. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 10. 6.
6. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 10. 13.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 13, 鎌田正信, 2009. 10. 19)

 

米国におけるウマの東部馬脳炎の発生(8)  

 2009年6月24日付の総研HPのニュース記事に、米国における今年最初のウマの東部馬脳炎(EEE)の発生を報告して以来、7回にわたりその続報を紹介しておりますが、10月13日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年10月13日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのEEEの症例数では依然フロリダ州が他の州をリードしている。フロリダ州が69例、ジョージア州が42例、ミシシッピー州が41例、ルイジアナ州が21例、アラバマ州が19例、ノースカロライナ州が17例、メイン州が14例、サウスカロライナ州が12例、バージニア州が8例、ニュージャージー州が6例、テキサス州、ニューヨーク州が各4例、ニューハンプシャー州が3例、ロードアイランド州が2例、アーカンソー州、マサチューセッツ州が各1例である。9月30日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州は15州から16州に、ウマの症例数は249例から264例に増加しているが、その勢いは明らかに減弱してきている。すなわち、ピーク時と思われる9月9日から9月16日の1週間では症例数が27例増加したが、それ以降は1週間当たりの症例数の増加が10例前後で、直近の1週間における症例数の増加は3例に留まっている。しかし、既にウマの症例数は昨年の数値を76例も上回っており、毎年11月頃まで発生が継続していることを考慮すると、今年のウマの症例数は昨年より100例程多くなるものと推察される。因みに、2008年には米国の15州でウマのEEEの発生が認められ、症例数は合計185例で、フロリダ州が89例でトップであった。なお、2008年秋に16頭のウマが感染し、死亡又は安楽死の処置が施されたカナダでは、9月28日及び10月2日付で2頭の発生例がノバスコシア州農務省から発表されたが、それ以降の発生は報告されていない。

参考情報.
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 9.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22.
4. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 30.
5. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 6.
6. ProMed-mail, Archive Number 20091001.3416, 2009. 10. 1.
7. ProMed-mail, Archive Number 20091004.3451, 2009. 10. 4.
8. ProMed-mail, Archive Number 20091014.3543, 2009. 10. 14.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 13, 鎌田正信, 2009. 10. 19)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(31)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、30回にわたりその続報を紹介しておりますが、2009年10月15日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新されましたので、その内容を掲載します。なお、現在までの検査対象馬は991頭(種牡馬が276頭、牝馬が715頭)で、27頭(種牡馬が22頭、牝馬が5頭)がCEM陽性、890頭(種牡馬が221頭、牝馬が669頭)がCEM陰性とそれぞれ診断され、残り101頭(種牡馬が55頭、牝馬が46頭)について検査が継続されています。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計22頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追求するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 22頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、他の964頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計991頭の馬は、48州に所在する。合計276頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は31州に所在し、715頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。ハワイ州とロードアイランド州だけは感染が疑われる馬や陽性馬が1頭も認められていない。
 22頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が9頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。検査と治療のプロトコルが未だ完了していない全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。
 276頭中221頭(80.1%)の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコルを完了し、CEM菌陰性であることが確認されている。これら現在CEM菌陰性となっている221頭の種牡馬のうちの201頭については感染が疑われたものであり、20頭については先の検査でCEM菌陽性となっていたものである。これら20頭中7頭の種牡馬はウィスコンシン州、4頭はケンタッキー州、各3頭はイリノイ州及びインディアナ州、各1頭はアイオワ州、ジョージア州並びにテキサス州にそれぞれ所在しており、治療及び再検査後の現在はCEM菌陰性となっている。他の20頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。
 合計715頭中669頭(93.6%)の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この652頭には検査と治療を完了してCEM菌陰性となった先のカリフォルニア州の2頭、イリノイ州の2頭、ウィスコンシン州の1頭の陽性牝馬、合計5頭が含まれている。
 全体的には、991頭中890頭(89.8%)が現在CEMフリーであることが判明している。CEM陽性馬がいた8州中3州、すなわちジョージア、インディアナ、ケンタッキーの各州は全ての既知の陽性及び感染が疑われる馬の検査と治療を完了し、現在ではCEMフリーと考えられている。
 今回の発生調査では、ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいたことが確認されている。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、8番目並びに9番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の陽性種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭の牝馬はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の陽性牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 10. 15, 鎌田正信, 2009. 10. 19)

 

中米ベリーズにおけるベネズエラ馬脳炎の発生(2)  

 2009年9月3日付の総研HPのニュース記事に、中央アメリカ北東部、ユカタン半島の付け根に位置するベリーズにおけるウマのベネズエラ馬脳炎(VEE)の発生報告を掲載しましたが、10月8日付のOIE World Animal Health Information Databaseにより詳細な発生状況が報告されましたので、以下にその概要を紹介します。
 ベリーズにおけるウマのVEEの発生は2007年11月以来となるもので、今回の報告では6つの州のうちの4州で8回の発生が確認され、977頭中12頭が発症し4頭が死亡している。先ず2009年1月25日と4月1日にベリーズ州とスタンクリーク州で各1例の発症例が確認され(8月28日にIgM捕捉エライザによりVEEと確定診断された)、その後8月から9月にかけてカヨ州とオレンジウォーク州で発症例が急増した。8月14日にカヨ州で最初の発症例が確認されて以降に本格的な調査が開始され、OIEのリファレンスラボラトリーである米国国立獣医学研究所(NVSL)において8月28日にはIgM捕捉エライザにより、9月21日にはプラック減少中和試験によりVEEの確定診断が行われた。現在までのところ、カヨ州では406頭中7頭が発症して2頭が死亡し、オレンジウォーク州では512頭中3頭が発症して2頭が死亡している。なお、発症例の多くは川沿いにある森林地帯で報告されており、保健省ではベクター抑制対策を促進している。また、予防策としてスタンクリーク州では19頭、ベリーズ州では40頭、カヨ州では500頭、オレンジウォーク州では559頭、合計1,118頭の馬属に、VEE弱毒生ワクチン又は不活化ワクチンが接種されている。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 8. 31.
2. ProMed-mail, Archive Number 20091010.3513, 2009. 10. 10.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 10. 8, 鎌田正信, 2009. 10. 15)

 

米国フージャーパーク競馬場における腺疫の発生(2)  

 2009年9月15日付の総研HPのニュース記事に、米国インディアナ州のフージャーパーク競馬場における腺疫様疾病の発生報告について掲載しましたが、10月8日付のHorsetalk-International horse newsに最新の情報が掲載されましたので、以下にこれまでの発生経過を含めてその概要を簡単に紹介します。
 インディアナ州アンダーソンにあるフージャーパーク競馬場のバックストレッチ側に位置するきゅう舎で、1頭のサラブレッド競走馬が腺疫様症状を呈し、9月12日から全59頭のウマとそのきゅう舎が予防策として検疫下に置かれた。9月17日に2頭が検査陽性となり、州動物衛生当局の勧告に沿ってそれらのウマは競馬場外にある2次検疫きゅう舎に移動させられ、隔離された。残りの57頭については競馬場内にある1次検疫きゅう舎内で飼養され、検査のために1回目の材料採取が行われた。9月22日には57頭中1頭が大腸炎で死亡し、ウマの飼養頭数が56頭となった。9月24日に1回目の検査結果が報告され、全頭が陰性であったが、9月30日に56頭中2頭が発熱し、予防策として2次検疫きゅう舎に移動させられた。10月1日には残り54頭のウマについて2回目の材料採取が行われた。2009年10月8日付のHorsetalk-International horse newsによれば、10月6日に報告された2回目の検査結果では、54頭中2頭が臨床症状は示していないが、検査陽性となり、先に発熱した2頭中1頭についても同じく検査陽性と診断された。これらの検査結果と、競馬場獣医師や州衛生当局の勧告を受け、ジェネラルマネジャーのJeff Smithは、検疫下に置かれている全54頭のウマを競馬場外の2次検疫施設に移動させ、本検疫きゅう舎については清掃、消毒、閉鎖し、本年度中(少なくとも10月24日までの競馬開催中)は使用しないという決定を下した。また、検疫下に置かれている全てのウマについてはそれぞれの調教師等が2次検疫施設に輸送し、それらのウマの所在や情報についてはフージャーパーク競馬場が対応する。なお、フージャーパーク競馬場のバックストレッチ側には16きゅう舎(1,032馬房)があり、約1,000頭のウマが飼養されているが、10月13日付の情報によれば、検疫きゅう舎以外の競馬場施設の検疫は全て解除され、フル活用されている。

参考情報
1. Horsetalk-International horse news, 2009. 9. 15.
2. Horsetalk-International horse news, 2009. 9. 17.
3. TheHorse.com news, Article#14899, 2009. 9. 13.
4. TheHorse.com news, Article#14921, 2009. 9. 17.
5. TheHorse.com news, Article#14958, 2009. 9. 24.
6. TheHorse.com news, Article#14998, 2009. 10. 1
7. TheHorse.com news, Article#15054, 2009. 10. 8.

(出典:Horsetalk-International horse news, 2009. 10. 8, 鎌田正信, 2009. 10. 14)

 

米国におけるウマのWNV感染症の発生(5)  

 2009年8月10日付の総研HPのニュース記事に、米国におけるウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の発生報告を掲載して以来、4回にわたりその続報を紹介しておりますが、10月6日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年10月6日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのWNV感染症の症例数はワシントン州が67例、コロラド州が16例、モンタナ州が14例、カリフォルニア州が13例、アイダホ州が8例、アラバマ州、ニューメキシコ州、テキサス州が各6例、ケンタッキー州が5例、イリノイ州、サウスダコタ州、ユタ州が各4例、ルイジアナ州、ネブラスカ州、ネバダ州、バージニア州が各3例、アイオア州、ミズーリー州、ミシシッピー州、ペンシルベニア州、ワイオミング州が各2例、アーカンソー州、フロリダ州、ニュージャージー州、ウィスコンシン州、ウェストバージニア州が各1例である。9月22日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州は23州から26州に、ウマの症例数は153例から179例に増加しているが、この2週間でその勢いは明らかに減弱してきている。すなわち、ウマの症例数の合計は9月16日が98例、9月22日が153例、9月30日が164例、10月6日が179例と報告されており、9月17日から9月22日の1週間が増加のピークであった可能性が高い。10月6日付の米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によれば、現在のところ陽性サンプル、陽性症例、或いはWNVに関する調査により本ウイルスの活動が認められている州は46州で、ヒトのWNV感染症の症例数は33州で436例確認されており、ほぼ米国全土に広く伝播している。昨年のウマのWNV感染症の症例数は178例で、ワシントン州が41例、カリフォルニア州が32例となっており、西側の州で症例数が多く報告されている。今年は既に昨年の症例数を上回っており、毎年8月から9月にかけて本症のピークが見られ、蚊が活動する11月頃まで発生が継続することを考慮すると、ウマの東部馬脳炎と同様に今年のウマのWNV感染症の症例数は昨年よりかなり多くなる可能性が高い。

参考情報
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 30.
4. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 9. 30.
5. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 10. 6.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 6, 鎌田正信, 2009. 10. 13)

 

ノースダコタ州は家畜に対する炭その予防を奨励  

 2009年9月21日付のTheHorse.com newsに、米国ノースダコタ州でウマを含めた家畜に対する炭その予防を奨励しているニュース記事が掲載されていましたので、以下にその内容を掲載します。
 炭その発生歴のある地域の家畜生産者は、本病から自分の家畜を予防する対策を取るべきである。我々はHettinger-Slope郡の境界線沿いのウシにおける炭その事例の確認報告を受けている。過去の多くの年では、その年の最初の発生報告はこの地域で報告されてきたが、今年もノースダコタ州での最初の事例である。炭そはノースダコタ州の北東、南東、南中部で最も高頻度に報告されているが、州のほとんどの地域でも認められていることを忘れてはいけない。ノースダコタ州立大学学外教育普及サービスのCharlie Stoltenow獣医師もまた、生産者が家畜に予防接種をするように奨励している。炭そワクチンは有効であり使用できるが、免疫が成立するまでに1週間かかり、毎年接種しなければならない。生産者は自分の家畜の免疫が十分であるか或いは維持されているかどうかを予防接種計画で確認するために、獣医師と一緒にチェックすべきである。また、生産者は自分の家畜の予期せぬ死亡に対する監視を行い、獣医師にそれらを報告すべきである。炭そは長期に渡る問題となる懸念がある。Stoltenowによれば、原因菌の芽胞が何十年も土壌中で生息できる。炭その事例は殆ど毎年その地域で繰り返される。しかしながら、例えば大雨、洪水、日照りなどの芽胞にとって最適な気象条件は炭そをより広範囲に伝播する。雨や洪水は土壌表面に芽胞を押し上げる。日照りの条件は土壌を侵食させ、再び土壌表面に芽胞を押し上げる。動物が芽胞で汚染された牧草を食べたり、飼葉を食べたり、汚水を飲んだときに家畜は本病に曝される。我々が今年経験した気象条件は、炭そが本性を現す(活発化する)には好都合である。MidwestやMonitobaにおける2005年の発生では、食草行動をする家畜に対する炭その危険性を実際に証明した。動物衛生当局は、ノースダコタ州では1000頭以上のウシ、バイソン、ウマ、ヒツジ、ラマ、家畜化されたシカ、オオシカが損失していると算定している。家畜の予防接種を生産者に奨励するための獣医師や学外教育普及サービスによる学外普及の教育効果は、家畜の死亡例の劇的な減少結果に結びついている。

(出典:TheHorse.com news, Article#14943, 2009. 9. 21, 鎌田正信, 2009. 10. 8)

 

R. equi研究者が20万ドルの公的研究助成金を獲得  

 ケンタッキー大学マクスウェル・グリュックウマ研究センターのWilliam Robert Millsウマ免疫学講座のDavid Horohov教授は、子ウマにおける免疫学的応答の発達について研究を行うため、USDA-CSREES(米国農務省−州協力研究教育学外普及サービス)競争助成金プログラムから20万ドルの助成金を獲得した。ウマを含む多くの動物の新生児は、母親から獲得した免疫グロブリンの存在にもかかわらず、多くの細菌感染症やウイルス感染症に対して感受性である。Rhodococcus equiR. equi)感染症に対する幼若な子ウマ特有の感受性は、この年齢依存性現象の良く知られた事例の一つである。米国農務省がウマの研究に対する支援を継続し、我々のプロジェクトが助成金の対象に選ばれたのは幸運である。子ウマのR. equi感染症は、馬産業にとって大きな問題の一つであり、本病に対するより有効な予防策が必要である。本感染症に対する子ウマの感受性について、その理由をより明確に理解することができるまで、我々は本病の予防のための新しい解決策を開発できるようにすべきである。Horohovらの研究は、子ウマの免疫システムの未熟さがR. equiに対する抵抗性を減弱させていることを示唆している。現在の研究プロジェクトは、例えばR. equiのような病原体に対する免疫刺激において決定的な役割りを演じている子ウマの肺の細胞に焦点を当てるとともに、子ウマの肺における免疫機能の発達についてその特徴をより描写したものとなるであろう。本研究の最終目標はR. equiや他の感染症から子ウマを防御するためのより有効な解決策を決定することである。子ウマのR. equi感染症はウマの健康改善に関わる米国農務省の使命のうちの優先事項の一つである。

(出典:TheHorse.com news, Article#14882, 2009. 9. 11, 鎌田正信, 2009. 10. 8)

 

米国におけるウマの東部馬脳炎の発生(7)  

 2009年6月24日付の総研HPのニュース記事に、米国における今年最初のウマの東部馬脳炎(EEE)の発生を報告して以来、6回にわたりその続報を紹介しておりますが、9月30日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年9月30日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのEEEの症例数では依然フロリダ州が他の州をリードしている。フロリダ州が67例、ジョージア州が41例、ミシシッピー州が36例、ルイジアナ州が21例、アラバマ州が19例、ノースカロライナ州が16例、メイン州が14例、サウスカロライナ州が11例、バージニア州が8例、テキサス州、ニューヨーク州、ニュージャージー州が各4例、ニューハンプシャー州が2例、マサチューセッツ州、ロードアイランド州が各1例である。9月22日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州は13州から15州に、ウマの症例数は238例から249例に増加しているが、先週に比べてその勢いはかなり減弱してきている。しかしながら、既にウマの症例数は昨年の数値を64例も上回っており、毎年11月頃まで発生が継続することを考慮すると、今年のウマの症例数は少なくとも300例に達するものと考えられる。因みに、2008年には米国の15州でウマのEEEの発生が認められ、症例数は合計185例で、フロリダ州が89例でトップであった。なお、2008年秋に16頭のウマが感染し、死亡又は安楽死の処置が施されたカナダでは、9月28日付で今年最初のウマの発生例がノバスコシア州農務省から発表され、10月2日には同州南西部で2頭目の症例馬が報告されている。

参考情報.
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 30.
3. ProMed-mail, Archive Number 20090930.3407, 2009. 9. 30.
4. ProMed-mail, Archive Number 20091001.3416, 2009. 10. 1.
5. ProMed-mail, Archive Number 20091004.3451, 2009. 10. 4.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 30, 鎌田正信, 2009. 10. 5)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(30)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、29回にわたりその続報を紹介しておりますが、2009年10月2日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新されましたので、その内容を掲載します。なお、現在までの検査対象馬は991頭(種牡馬が276頭、牝馬が715頭)で、27頭(種牡馬が22頭、牝馬が5頭)がCEM陽性、868頭(種牡馬が216頭、牝馬が652頭)がCEM陰性とそれぞれ診断され、残り123頭(種牡馬が60頭、牝馬が63頭)について検査が継続されています。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計22頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追求するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 22頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、他の964頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計991頭の馬は、48州に所在する。合計276頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は31州に所在し、715頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。ハワイ州とロードアイランド州だけは感染が疑われる馬や陽性馬が1頭も認められていない。
 22頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が9頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。検査と治療のプロトコルが未だ完了していない全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。
 276頭中216頭(78.3%)の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコルを完了し、CEM菌陰性であることが確認されている。これら現在CEM菌陰性となっている216頭の種牡馬のうちの196頭については感染が疑われたものであり、20頭については先の検査でCEM菌陽性となっていたものである。これら20頭中7頭の種牡馬はウィスコンシン州、4頭はケンタッキー州、各3頭はイリノイ州及びインディアナ州、各1頭はアイオワ州、ジョージア州並びにテキサス州にそれぞれ所在しており、治療及び再検査後の現在はCEM菌陰性となっている。他の24頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。
 合計715頭中652頭(91.2%)の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この652頭には検査と治療を完了してCEM菌陰性となった先のカリフォルニア州の2頭、イリノイ州の2頭、ウィスコンシン州の1頭の陽性牝馬、合計5頭が含まれている。
 全体的には、991頭中868頭(87.6%)が現在CEMフリーであることが判明している。CEM陽性馬がいた8州中3州、すなわちジョージア、インディアナ、ケンタッキーの各州は全ての既知の陽性及び感染が疑われる馬の検査と治療を完了し、現在ではCEMフリーと考えられている。
 今回の発生調査では、ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいたことが確認されている。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、8番目並びに9番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の陽性種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭の牝馬はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の陽性牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 10. 2, 鎌田正信, 2009. 10. 5)

 

イタリアにおけるウエストナイルウイルスの再興感染  

 2009年10月3日付のTheHorse.com newsに、イタリアのウマにおけるウエストナイルウイルス(WNV)の再興感染に関する記事が掲載されましたので、以下にその内容を紹介します。
 イタリア公立衛生研究所のIZSA&Mによって作成された疫学公報によれば、WNVはイタリアで昨年から再興感染を起こしており、今年も先週までに7頭の死亡馬を含む28頭のウマが臨床的に発症している。流行は、2008年の流行で33頭のウマが発症し、5頭のウマが死亡した場所と同じイタリア中東部で8月に始まった。1998年のTuscanyにおける発生以降、イタリアは昨年の発生までWNVフリーであった。IZSA&Mの研究者であり、最近公表された2008年の流行に関する科学論文の第一著者であるFederica Monaco博士によれば、全く予備試験的なデータではあるが、WNVはイタリアで越冬できたことが示唆される。自然生態系の中でのWNVの循環において、蚊、鳥、その他を含めてどのような自然宿主が含まれているかを定義できる十分なデータを未だ持ち合わせていないが、どうやらウイルスの循環は寒い月間を通して途絶えることはないらしい。また、Monaco博士によれば、ウイルスが他の場所に拡大している徴候は見られない。予防接種は現在強制されてはいないが、ウマ所有者がワクチンを利用できるようになっている。1999年以来、WNVは米国とカナダでは自然生態系の中で安定して循環しているが、ヨーロッパでは比較的まれであり、今回の発生までは2003年におけるフランスの発生が最後の事例であった。なお、イタリアにおけるWNVの再興感染に関する論文は、Journal Zoonoses and Public Health で 2009年7月に公表されており、抄録はPubMedで見ることができる。

(出典:TheHorse.com news, Article#15014, 2009. 10. 3, 鎌田正信, 2009. 10. 5)

 

高濃度イミドカーブ投与により馬体内からB. caballiを完全除去できる  

 2009年8月7日付のTheHorse.com newsに、「高濃度のイミドカーブをBabesia caballiB. caballi)感染馬に投与することによりウマの体内からバベシア原虫を完全に除去できるという論評が掲載されていましたので、以下にその主な内容を紹介します。
 B. caballiはバベシア症と呼ばれる病気を起こす。バベシア症は米国のウマにとっては外来疾病と考えられているが、他の国々では一般的な病気である。バベシア原虫のいる国から米国のようなこの原虫がいない国に輸入されるウマは、その国に入国する前にバベシア症に対する検査が陰性でなければならない。米国農務省農業研究サービスの動物病研究施設の研究リーダーであり、ワシントン州立大学の非常勤教授である、共同研究者のDonald P. Knowles獣医学博士によれば、ウマ所有者や繁殖業者が米国にB. caballi陽性馬を輸入したいと望むなら、我々の論文に記載されている使用量でのイミドカーブ治療によってバベシア原虫の感染除去を行い、ウマの輸入を可能にさせる選択肢がある。バベシア症はウマに対して致死的な感染症であり、それ故にバベシア原虫のいない国では自国内にこの原虫を入れないようにしたいと考えている。バベシア原虫に感染したウマは種々の方法でこの原虫に応答する。いくらかのウマは本感染症で死亡するが、他のウマは生き残りバベシア原虫が持続感染する。これらのウマは臨床症状を示さないが、バベシア原虫を未だ排出し他のウマへの感染源となる。バベシア症の発生のない国に感染馬を合法的に輸入するためには、先ず持続感染しているウマからバベシア原虫が除去されなければならない。Knowles博士によれば、イミドカーブはB. caballiの複製を抑制できるが、感染馬を本当に完治させる効能があるかどうかについては、幾らかの疑問があったので、今回本剤の研究を実施したという。今回の研究では少なくとも供試されたB. caballi株について、いくらかのウマではB. caballi感染症を完治させ、伝播の危険性を取り去ることができた。しかし、イミドカーブはウマに対する毒性を有しており、治療には厳重な監視が必要である。なお、イミドカーブジプロピオネートがバベシア原虫の伝播能を除去し、B. caballiの持続感染を完治させるというタイトルの今回の論文は、Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 53(10), 4327-4332, 2009に掲載されており、抄録はPubMedで見ることができる。

(出典:TheHorse.com news, Article#14666, 2009. 8. 7, 鎌田正信, 2009. 10. 1)

 

 
 

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