米国テキサス州における馬ピロプラズマ病の発生(5)  

 2009年10月27日付の総研HPのニュース記事で米国テキサス州における馬ピロプラズマ病(EP)の発生を報告して以来、4回にわたりその続報を紹介しておりますが、2009年11月23日付のOIE World Animal Health Information Database (WAHID) に最新の情報が掲載されましたので、以下にこれまでの経過概要を含めて紹介します。今回の報告によれば、11月18日現在、EP陽性馬は米国12州で合計334頭に達しており、この騒動は今後更に米国各州に拡大するものと思われます。
 今回のテキサス州におけるEPの発生は、2009年10月2日に同州クレバーグ郡の牧場で飼養されていた7歳のクオーターホース雌使役馬が発病して地域の獣医病院で診察を受け、10月12日にテキサス獣医医療診断研究所でEP陽性と診断されたのが発端であった。その後、10月19日には当該馬及びこのウマと疫学的にリンクする31頭の使役馬、合計32頭が米国国立獣医学研究所(NVSL)によりEP 陽性(Theileria equi) と確定診断された。 
また、10月29日付の報告では、当該施設に所在する97頭中69頭のウマが新たにEP陽性と診断され、EP陽性馬は合計101頭となった。更に、11月6日付のWHAIDの報告では、11月4日までにテキサス州の当該牧場に所在していた187頭のウマが新たにEP陽性と診断され、合計で288頭がEP陽性となった。また、当該牧場の施設やウマのダニ調査を実施した結果、多数のウマから採集したダニの中から、本病の媒介が可能なAnocentor nitensDermacentor variabilisという2種類のダニが同定された。
 今回の11月23日付のWHAIDの報告では、2009年11月18日現在、米国の12州でEP陽性馬が摘発され、陽性馬頭数は合計334頭に達している。その内訳は、テキサス州が311頭(当該牧場が289頭、その他が22頭)、フロリダ州、ルイジアナ州が各5頭、ニュージャージー州が3頭、カリフォルニア州、ノースカロライナ州が各2頭、アラバマ州、ジョージア州、ミネソタ州、テネシー州、ユタ州、ウィスコンシン州が各1頭である。現在実施中の疫学調査において、860頭以上のウマが既に検査を受けているが、そのうちの297頭は当該牧場の施設外でEP陽性と診断されたウマの追跡調査対象馬として検査を受けたものである。現在のところ、これら297頭のウマは全てEP検査陰性と判定されている。また、当該牧場の施設やウマのダニ調査において、新たにAmblyomma cajennenseTheileria equi媒介性が実証され、今回採集された媒介ダニは合計3種類となった。現在、全てのEP陽性馬は検疫下に置かれており、その関連施設やウマのダニ調査及び疫学的関連馬の調査などが継続的に実施されている。防疫対策としては、衛生昆虫の抑制、検疫、当該施設の消毒、殺虫剤の噴霧を行っており、予防接種や陽性馬の治療、その他の対策は行っていない。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 10. 2, 10. 30, 11. 6, 11. 13.
2. TheHorse.com news, Article#15262, 2009. 11. 11, #15300, 2009. 11. 16, #15323, 2009. 11. 20, #15336, 2009. 11. 23.
3. ProMed-mail, Archive No. 20091111.3912, No.20091117.3963.
4. Horsetalk-International horse news, 2009. 11. 11, 2009. 11. 17.

(出典OIE World Animal Health Information Database, 2009. 11. 23, 鎌田正信, 2009. 11. 25)

 

米国におけるウマの東部馬脳炎の発生(11)  

 2009年6月24日付の総研HPのニュース記事に、米国における今年最初のウマの東部馬脳炎(EEE)の発生を報告して以来、10回にわたりその続報を紹介しておりますが、11月17日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年11月17日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、フロリダ州が72例、ジョージア州、ミシシッピー州が各43例、ルイジアナ州が26例、アラバマ州が20例、ノースカロライナ州が19例、メイン州が15例、サウスカロライナ州が14例、バージニア州が9例、ニューヨーク州が7例、ニュージャージー州が6例、テキサス州が4例、ニューハンプシャー州が3例、ロードアイランド州が2例、アーカンソー州、メリーランド州、マサチューセッツ州が各1例である。11月4日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州の数は17州で変動が無く、ウマの症例数は280例から286例に微増している。ピーク時と思われる9月9日から9月16日の1週間では症例数が27例増加したが、それ以降は1週間当たりの症例数の増加が10例前後で推移し、10月21日以降の4週間では12例(週平均3頭)しか増加していない。これらのことから、米国における今年のウマのEEEの流行はほぼ終息したと考えられる。現在のところ、今年のウマのEEEの症例数は昨年より約100例多く、過去5年間では2005年の330例に次いで多い。因みに、2008年には米国の15州でウマのEEEの発生が認められ、症例数は合計185例で、フロリダ州が89例でトップであり、ジョージア州が24例、アラバマ州が23例であった。

参考情報.
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 9.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 20.
4. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11. 4.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11. 17, 鎌田正信, 2009. 11. 24)

 

米国におけるウマのWNV感染症の発生(9)  

 2009年8月10日付の総研HPのニュース記事に、米国におけるウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の発生報告を掲載して以来、8回にわたりその続報を紹介しておりますが、11月17日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年11月17日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのWNV感染症の症例数はワシントン州が71例、コロラド州が21例、カリフォルニア州が17例、モンタナ州が14例、テキサス州が9例、アイダホ州、ケンタッキー州が各8例、ニューメキシコ州が7例、アラバマ州、ミシシッピー州が各6例、フロリダ州、ルイジアナ州が各5例、イリノイ州、サウスダコタ州、ユタ州が各4例、アイオア州、ネブラスカ州、ネバダ州、バージニア州が各3例、ミズーリー州、ペンシルベニア州、ワイオミング州が各2例、アーカンソー州、ジョージア州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、サウスカロライナ州、ウィスコンシン州、ウェストバージニア州が各1例である。11月4日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、ウマのWNV感染症の症例数は206例から214例に、発生州は28州から29州に増加している。ウマの症例数は、9月17日から9月22日のピーク時の1週間には55例も増加したが、その後は1週間当たり10数例の増加で推移し、直近の2週間では8例しか増加していない。この結果から、米国における本年のウマのWNV感染症の流行はほぼ終わったと考えられる。一方、11月17日付の米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によれば、ヒトのWNV感染症の症例数は34州で608例確認されている。しかし、発生州の数にはこの1月間変動が無く、また、症例数も直近の2週間では18例しか増加していないことから、ヒトのWNV感染症の流行もほぼ終息したと推察される。なお、昨年のウマのWNV感染症の症例数は178例で、ワシントン州が41例、カリフォルニア州が32例となっており、西側の州で症例数が多く報告されているが、今年も同様の傾向が認められている。

参考情報
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 20.
4. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11. 4.
5. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 11. 3.
6. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 11. 10.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11. 17, 鎌田正信, 2009. 11. 24)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(33)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、32回にわたりその続報を紹介しておりますが、2009年11月19日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新されましたので、その内容を掲載します。なお、現在までの検査対象馬は991頭(種牡馬が276頭、牝馬が715頭)で、27頭(種牡馬が22頭、牝馬が5頭)がCEM陽性、909頭(種牡馬が233頭、牝馬が676頭)がCEM陰性とそれぞれ診断され、残り82頭(種牡馬が43頭、牝馬が39頭)について検査が継続されています。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計22頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追求するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 22頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、他の964頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計991頭の馬は、48州に所在する。合計276頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は31州に所在し、715頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。ハワイ州とロードアイランド州だけは感染が疑われる馬や陽性馬が1頭も認められていない。
 22頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が9頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。検査と治療のプロトコルが未だ完了していない全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。
 全体的には、991頭中909頭(91.7%)が現在CEMフリーであることが判明している。CEM陽性馬がいた8州中4州、すなわちジョージア、インディアナ、アイオワ、ケンタッキーの各州は全ての既知の陽性及び感染が疑われる馬の検査と治療を完了し、現在ではCEMフリーと考えられている。
 276頭中233頭(84.4%)の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコルを完了し、CEM菌陰性となっている。この233頭の種牡馬の中には、先の検査でCEM菌陽性となっていた22頭の種牡馬が含まれており、これらの22頭は現在治療及び再検査を受けている。他の19頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。
 合計715頭中676頭(94.5%)の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この676頭の牝馬の中には、先にCEM菌陽性となっていた5頭の牝馬が含まれており、これらの5頭は検査と治療を完了して現在はCEM菌陰性となっている。
 今回の発生調査では、ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいたことが確認されている。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、8番目並びに9番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の陽性種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭の牝馬はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の陽性牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 11. 19, 鎌田正信, 2009. 11. 24)

 

アラブ首長国連邦における馬伝染性子宮炎の発生  

 2009年11月17日付のOIE World Animal Health Information Databaseに、アラブ首長国連邦における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 アラブ首長国連邦におけるCEMの発生は、今回が初めての報告となる。当該馬は、臨床的に健康な12歳のサラブレッド雄馬で、今回輸出前検査でCEM陽性と診断されたものである。このウマは米国生まれで、調教中の当歳時に英国へ輸出され、2001年にアラブ首長国連邦の競走馬きゅう舎に輸入された後、個人ウマ所有者が馬場馬術用に購入したものである。なお、このウマは繁殖には供用されていない。輸出前検査の一部として、英国のOIEリファレンスラボラトリーにCEMのスワブ検査を依頼した結果、2009年11月11日に細菌検査及びPCR検査によりCEM陽性と確認された。現在、検疫、国内の移動制限、感染施設の消毒、感染馬の治療などが防疫対策として行われており、今回の発生源を含む疫学調査は継続中である。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 11. 17, 鎌田正信, 2009. 11. 18)

 

米国テキサス州における馬ピロプラズマ病の発生(4)  

 2009年10月27日付の総研HPのニュース記事で米国テキサス州における馬ピロプラズマ病(EP)の発生を報告して以来、3回にわたりその続報を紹介しておりますが、2009年11月13日付のOIE World Animal Health Information Database (WAHID) に最新の情報が掲載されましたので、以下にこれまでの経過概要を含めて紹介します。今回の報告によれば、2009年11月11日現在、EP陽性馬は米国11州で317頭も摘発され、今後調査は更に米国全土に拡大しそうな様相を示しております。
 今回のテキサス州におけるEPの発生は、2009年10月2日に同州クレバーグ郡の牧場で飼養されていた7歳のクオーターホース雌使役馬が発病して地域の獣医病院で診察を受け、10月12日にテキサス獣医医療診断研究所でEP陽性と診断されたのが発端であった。その後、10月19日には当該馬及びこのウマと疫学的にリンクする31頭の使役馬、合計32頭が米国国立獣医学研究所(NVSL)によりEP 陽性(Theileria equi) と確定診断された。また、10月29日付の報告では、当該施設に所在する97頭中69頭のウマが新たにEP陽性と診断され、EP陽性馬は合計101頭となった。
 前回の11月6日付のWHAIDの報告では、11月4日までにテキサス州の当該牧場に所在していた187頭のウマが新たにEP陽性と診断され、合計で288頭がEP陽性となった。また、当該牧場の施設やウマのダニ調査を実施した結果、多数のウマから採集したダニの中から、本病の媒介が可能なAnocentor nitensDermacentor variabilisという2種類のダニが同定された。
 今回の11月13日付のWHAIDの報告では、2009年11月11日現在、米国の11州でEP陽性馬が摘発され、陽性馬頭数は合計317頭に達している。その内訳は、テキサス州が295頭(当該牧場が288頭、その他が7頭)、フロリダ州、ルイジアナ州が各5頭、ニュージャージー州が3頭、カリフォルニア州、ノースカロライナ州が各2頭、アラバマ州、ジョージア州、ミネソタ州、テネシー州、ウィスコンシン州が各1頭である。これらのウマには、2008年に当該牧場から購入されたものも含まれており、今後疫学調査やダニ調査の範囲が過去に遡り、更に拡大する可能性が高いと予想される。現在、全てのEP陽性馬は検疫下に置かれており、その関連施設やウマのダニ調査及び疫学的関連馬の調査などが継続的に実施されている。防疫対策としては、衛生昆虫の抑制、検疫、当該施設の消毒、殺虫剤の噴霧を行っており、予防接種や陽性馬の治療、その他の対策は行っていない。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 10. 2, 10. 30, 11. 6.
2. TheHorse.com news, Article#15262, 2009. 11. 11, #15300, 2009. 11. 16.
3. ProMed-mail, Archive No. 20091111.3912, No.20091117.3963.
4. Horsetalk-International horse news, 2009. 11. 11, 2009. 11. 17.

(出典OIE World Animal Health Information Database, 2009. 11. 13, 鎌田正信, 2009. 11. 17)

 

イスラエルにおける馬脳症の発生状況(2009年)  

 2009年5月11日付の記事で、イスラエルにおいて初めて確認された馬脳症の発生(2008年)について紹介しましたが、今般、2009年10月26日付のProMed-mail にイスラエルにおける馬脳症の発生状況(2009年)が掲載されていましたので、以下にその概要を簡単に紹介します。なお、イスラエルにおける馬脳症の発生は、昨年初めて確認されましたが、最初は馬ウイルス性動脈炎と誤って報告されました。本年5月の最終報告によれば、2008年10月1日にイスラエルのHamerkaz州で最初の発生が認められ、その後6州で約2ヶ月間に渡り継続発生し、12月に終息しております。トータルで42件の発生があり、800頭中150頭の馬が発症し、臨床症状としては発熱、食欲減退、鼻汁、衰弱などが認められたと記載されています。
 今回の報告では、2009年の馬脳症のシーズンに入り、昨年同様に本病の症例がイスラエルの種々の場所で確認されている。昨年秋の本病のシーズン中に見られた臨床症状と同じような症状(主に数日間にわたる体温の上昇と食欲不振)が発症馬で認められているが、感染馬の90%は後遺症も無く回復している。使用できるワクチンは無い。本病の診断のために急性期と2週間後に検査材料を採取し、検査機関に送付している。ウイルス分離及びPCR検査のために、全血を採取している。
 馬脳症は感染率が高く、死亡率が低いウイルス性熱性疾病で、原因ウイルスであるオルビウイルスがヌカカによって媒介されて伝播する。全ての馬科動物は本ウイルスに感染し、時にはゾウも感染する。2008年秋にイスラエルで初めて本病の発生が確認されたが、ウイルスは中東及び東地中海地域の他の国々にも伝播している。因みに、イスラエルの馬群では毎年本病の流行が秋に繰り返されていたことが、昨年の発生後の調査により明らかにされている。本病の流行シーズンは、ブルータングやアフリカ馬疫など、ヌカカが媒介する他のオルビウイルスと同様に、7月〜12月と伝統的に考えられており、流行のピークは10月〜11月である。

(出典:ProMED-mail post, Archive Number 20091026.3709, 鎌田正信, 2009. 11. 16)

 

米国テキサス州における馬ピロプラズマ病の発生(3)  

 2009年10月27日付の総研HPのニュース記事で米国テキサス州における馬ピロプラズマ病(EP)の発生について紹介しましたが、11月6日付のOIE World Animal Health Information Database (WAHID) にその続報が掲載されましたので、以下にこれまでの経過概要を含めて紹介します。
 今回のテキサス州におけるEPの発生は、2009年10月2日に同州クレバーグ郡の牧場で飼養されていた7歳のクオーターホース雌使役馬が発病して地域の獣医病院で診察を受け、10月12日にテキサス獣医医療診断研究所でEP陽性と診断されたのが発端であった。その後、10月19日には当該馬及びこのウマと疫学的にリンクする31頭の使役馬、合計32頭が米国国立獣医学研究所(NVSL)によりEP 陽性(Theileria equi) と確定診断された。 
 そこで、米国農務省動植物衛生検査局(APHIS)とテキサス動物衛生委員会(TAHC)は、EP陽性馬とリンクするウマについて疫学検査を継続実施し、10月29日付のHorsetalk-International horse newsの報告では、当該施設に所在する97頭のウマを追加検査し、新たに69頭のEP陽性馬を摘発した。この結果、EP陽性馬は合計101頭となった。なお、これらの69頭のウマと10月19日にEP陽性と診断された32頭のウマとの間では直接的な接触は確認されておらず、当該施設のダニ調査が継続されていた。
 2009年11月6日付のWHAIDの報告では、11月4日までに当該牧場に所在していた187頭のウマが新たにEP陽性と診断され、合計で288頭がEP陽性となった。また、当該施設のダニ調査を実施した結果、現在までに本病の媒介が可能な15種類以上のダニのうち、Anocentor nitensDermacentor variabilisという2種類のダニが、多数のウマから採集したダニの中からNVSLにより同定された。現在更に当該施設のダニ調査及び関連馬の疫学調査が継続実施されており、当該施設のウマは検疫下に置かれている。防疫対策としては、衛生昆虫の抑制、検疫、当該施設の消毒、殺虫剤の噴霧を行っており、予防接種や陽性馬の治療、その他の対策は行っていない。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 10. 2, 2009. 10. 30.
2. TheHorse.com news, Article#15128 (2009. 10. 20), #15133 (2009. 10. 21), #15140 (2009. 10. 23), #15191 (2009. 10. 30), #15217 (2009. 11. 4)
3. ProMed-mail, Archive No. 20091021.3617, No. 20091022.3631, No. 20091024.3675, No. 20091030.3749,
4. Horsetalk-International horse news, 2009. 10. 22, 10. 23, 10. 26, 10. 29, 11. 12.

(出典OIE World Animal Health Information Database, 2009. 11. 6, 鎌田正信, 2009. 11. 12)

 

米国におけるウマの東部馬脳炎の発生(10)  

 2009年6月24日付の総研HPのニュース記事に、米国における今年最初のウマの東部馬脳炎(EEE)の発生を報告して以来、9回にわたりその続報を紹介しておりますが、11月4日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年11月4日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、フロリダ州が69例(今回は数値表示無し。10月20日付の数値を表示)、ジョージア州が43例、ミシシッピー州が42例、ルイジアナ州が26例、アラバマ州、ノースカロライナ州が各19例、メイン州が15例、サウスカロライナ州が13例、バージニア州が9例、ニューヨーク州が7例、ニュージャージー州が6例、テキサス州が4例、ニューハンプシャー州が3例、ロードアイランド州が2例、アーカンソー州、メリーランド州、マサチューセッツ州が各1例である。10月20日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州が16州から17州に増加し、ウマの症例数は274例から280例に微増している。ピーク時と思われる9月9日から9月16日の1週間では症例数が27例増加したが、それ以降は1週間当たりの症例数の増加が10例前後で推移し、直近の2週間では6例しか増加していない。これらの症例の増加傾向から推察すると、米国におけるウマのEEEの流行はほぼ終息し、今年の症例数は昨年より100例ほど多くなるものと思われる。因みに、2008年には米国の15州でウマのEEEの発生が認められ、症例数は合計185例で、フロリダ州が89例でトップであった。なお、2008年秋に16頭のウマが感染して死亡又は安楽死の処置が施されたカナダでは、11月3日現在、ノバスコシア州で13頭のウマがEEEで死亡しており、今年も昨年に引き続き発生している。

参考情報.
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 9.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 20.
4. ProMed-mail, Archive Number 20091001.3416, 2009. 10. 1.
5. ProMed-mail, Archive Number 20091004.3451, 2009. 10. 4.
6. ProMed-mail, Archive Number 20091105.3826, 2009. 11. 5.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11. 4, 鎌田正信, 2009. 11. 11)

 

米国におけるウマのWNV感染症の発生(8)  

 2009年8月10日付の総研HPのニュース記事に、米国におけるウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の発生報告を掲載して以来、7回にわたりその続報を紹介しておりますが、11月4日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年11月4日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのWNV感染症の症例数はワシントン州が71例、コロラド州が21例、カリフォルニア州が17例、モンタナ州が14例、テキサス州が9例、アイダホ州が8例、ケンタッキー州、ニューメキシコ州が各7例、アラバマ州が6例、ルイジアナ州、ミシシッピー州が各5例、イリノイ州、サウスダコタ州、ユタ州が各4例、ネブラスカ州、ネバダ州、バージニア州が各3例、アイオア州、ミズーリー州、ペンシルベニア州、ワイオミング州が各2例、アーカンソー州、フロリダ州、ジョージア州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ウィスコンシン州、ウェストバージニア州が各1例である。10月20日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、ウマのWNV感染症の症例数は197例から206例に、発生州は27州から28州に増加している。ウマの症例数は、9月17日から9月22日のピーク時の1週間には55例も増加したが、その後は1週間当たり10数例の増加で推移し、直近の2週間では9例しか増加していない。なお、11月3日付の米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によれば、現在のところ陽性サンプル、陽性症例、或いはWNVに関する調査により本ウイルスの活動が認められている州は46州で、ヒトのWNV感染症の症例数は34州で590例確認されており、直近の2週間では75例も増加している。すなわち、アラスカ州、ハワイ州、ニューハンプシャー州の3州を除く47州及び1特別区でWNVの活動が確認されており、ヒトではまだWNVの活動が継続している。因みに、昨年のウマのWNV感染症の症例数は178例で、ワシントン州が41例、カリフォルニア州が32例となっており、西側の州で症例数が多く報告されている。

参考情報
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 20.
4. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 10. 20.
5. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 11. 3.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11. 4, 鎌田正信, 2009. 11. 10)

 

米国における馬伝染性子宮炎の発生(32)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、31回にわたりその続報を紹介しておりますが、2009年11月5日付で米国農務省公式発表のニュース記事が更新されましたので、その内容を掲載します。なお、現在までの検査対象馬は991頭(種牡馬が276頭、牝馬が715頭)で、27頭(種牡馬が22頭、牝馬が5頭)がCEM陽性、896頭(種牡馬が226頭、牝馬が670頭)がCEM陰性とそれぞれ診断され、残り95頭(種牡馬が50頭、牝馬が45頭)について検査が継続されています。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計22頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追求するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 22頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、他の964頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計991頭の馬は、48州に所在する。合計276頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は31州に所在し、715頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。ハワイ州とロードアイランド州だけは感染が疑われる馬や陽性馬が1頭も認められていない。
 22頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が9頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。検査と治療のプロトコルが未だ完了していない全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。
 276頭中226頭(81.9%)の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコルを完了し、CEM菌陰性であることが確認されている。これら現在CEM菌陰性となっている226頭の種牡馬のうちの205頭については感染が疑われたものであり、21頭については先の検査でCEM菌陽性となっていたものである。これら21頭中8頭の種牡馬はウィスコンシン州、4頭はケンタッキー州、各3頭はイリノイ州及びインディアナ州、各1頭はアイオワ州、ジョージア州並びにテキサス州にそれぞれ所在しており、治療及び再検査後の現在はCEM菌陰性となっている。他の18頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。
 合計715頭中670頭(93.7%)の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この670頭には検査と治療を完了してCEM菌陰性となった先のカリフォルニア州の2頭、イリノイ州の2頭、ウィスコンシン州の1頭の陽性牝馬、合計5頭が含まれている。
 全体的には、991頭中896頭(90.4%)が現在CEMフリーであることが判明している。CEM陽性馬がいた8州中4州、すなわちジョージア、インディアナ、アイオワ、ケンタッキーの各州は全ての既知の陽性及び感染が疑われる馬の検査と治療を完了し、現在ではCEMフリーと考えられている。
 今回の発生調査では、ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいたことが確認されている。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、8番目並びに9番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の陽性種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭の牝馬はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の陽性牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 11. 5, 鎌田正信, 2009. 11. 9)

 

人と馬のウエストナイルウイルス感染症の発生時期の相関性  

 ウエストナイルウイルス(WNV)は蚊と鳥類の間で感染環を形成しており、人や馬は終末宿主である。蚊や死亡野鳥におけるWNVの分離あるいは遺伝子検出はある地域におけるWNVの活動状況を知る上で重要な指標となる。本研究で著者らは、2002年のテキサス州での人と馬のWNV感染症の発生時期の関連性を調査した。
 テキサス州では2002年に初めてWNVが確認された。馬での初発は6月27日で、その後25週間にわたって発生が認められ、発症頭数は1,689頭であった。発生のピークは10月5日で、9月3日から10月17日までの6週間に全体の約半数で発生が認められた。人の発生は2月の1例を除くと、7月3日から32週間にわたって認められ、発症例は全体で204例であった。発生のピークは8月26日で、8月11日から9月18日までの5週間に全体の約半数で発生が認められた。
 調査では、発症者1名につき、発症者の住居から半径5km以内で飼養されていた発症馬のうち、最も近い場所のものを選び、それぞれの発症日を比較した。最終的には、条件を満たす80ペアを調査対象とした。そのうち、51例(64%)が都市部に居住していた。また、人と馬の発症日には正の相関が認められた(r=0.494、P<0.001)。全体では相関は認められなかったが(P=0.207)、都市部においては馬の発症日(8月7日)は人の発症日(8月19日)に比べて有意に早かった(P=0.011)。
 馬のワクチン接種歴などは考慮する必要はあるが、本論文では、人と近接して飼育されている馬のモニタリングは、比較的費用を必要とせずに人のWNV感染のリスクを評価するひとつの指標となりうることを示している。

(出典:M. P. Ward & J. A. Scheurmann, Vet. Microbiol., 129, 378-383, 2008, 近藤高志, 2009. 11. 9)

 

WNVのエンベロープタンパク質の糖鎖付加部位は馬に対する免疫原性を有す  

 著者らは、ウエストナイルウイルス(WNV)粒子表面に存在するエンベロープ(E)タンパク質のドメインIに反応するモノクローナル抗体(MAb)を用いて馬血清中の抗WNV抗体を検出するブロッキングELISA法を以前に報告している。このMAbが反応する部位はEタンパク質の146-193番アミノ酸領域内に存在していることがすでに報告されているが、今回、合成ペプチドを用いた解析により、147-165番の19アミノ酸残基からなる合成ペプチドWN19がこのMAbと反応することが明らかとなった。しかし多くのWNV感染馬由来の血清はこのペプチドとほとんど反応しなかった。この原因を検討した結果、156番目のアミノ酸であるセリンへの糖鎖付加が、すべてではないが調べた多くの感染馬血清中に存在する合成ペプチドWN19に対する抗体の認識に重要であることが示された。すなわち、セリンへの糖鎖付加がないと反応しないことが示唆された。このような現象は、WNVに近縁で相同部位に糖鎖付加を有するマレーバレー脳炎ウイルス感染馬血清においても示された。
 一般に、抗原領域を含むペプチドの長さが短くなるほど、診断用抗原としての特異性は高くなるが、反応しなくなる血清の割合は高くなる傾向がある。またWNVの株の中にはこの部位の糖鎖付加が欠損している株もあり、このような株に感染した馬血清が合成ペプチドWN19に対してどのような反応性を示すのか、検討が必要である。この領域のペプチドの診断用抗原としての有用性を評価するためには、より多くの感染馬血清を用いてペプチドに対する反応性と糖鎖の有無の関係を検討する必要があろう。

(出典:J. Hobson-Peters et al., J. Gen. Virol., 89, 3063-3072, 2008, 近藤高志, 2009. 11. 9)

 

中米ベリーズにおけるウマの東部馬脳炎の発生(2)  

 2009年10月20日付の総研HPのニュース記事で、中央アメリカ北東部、ユカタン半島の付け根に位置するベリーズにおける東部馬脳炎(EEE)の発生報告について紹介しましたが、2009年10月25日付のProMed-mailに、その発生に関連するコメントが掲載されましたので、以下にその内容を紹介します。
 南米のEEEウイルス(EEEV)は北米株のように伝播力が強く、かつ毒力が強いわけではない。北米株と南米株とは抗原的にも遺伝子学的にも識別することができる。EEEVが南米で広範に伝播していることを示す血清学的な証拠があるにもかかわらず、これらの地域でこのウイルスとヒトの病気や死亡との関連性が殆ど認められていない。北米及び南米由来のEEEVの遺伝子タイプには、ウイルスの伝播サイクルや毒力に関わる重要な違いがある。すなわち、南米株は北米株に比べてヒトに対する毒力が弱い。EEEVの南米サブタイプはヒトと同様にウマにも間違いなく病原性がある。しかしながら、これらの南米サブタイプの脊椎動物に対する病原性は、北米サブタイプに比べて低く、非病原性ではないが、病原性がより低いといえる。したがって、あちらで1例、こちらで1例というように単発的に発生し、その為にEEEの発生として認識されていない可能性がある。上記のように、EEEVの南米サブタイプは家畜に感染するが、症例としては非常に少なく、これらの症例を検査室で診断するほど重要視されていないのかもしれない。しかしながら、南米で本病は間違いなく発生している。このようなことから、EEEの発生についてはラテンアメリカからは殆ど報告されていないと理解されても驚くべき事ではない。今回の事例は、多分非常に稀な発生であろう。このウイルスは北米では非常に悪さをするウイルスであるが、南米ではチョイ悪ウイルスである。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2005. 11. 24.
2. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 10. 10.
3. ProMed-mail, Archive Number 20051126.3428, 2005, 11, 26.
4. ProMed-mail, Archive Number 20091019.3593, 2009. 10. 19.

(出典:ProMed-mail, Archive Number 20091025.3690, 2009. 10. 25, 鎌田正信, 2009. 11. 3)

 

米国におけるウマのWNV感染症の発生(7)  

 2009年8月10日付の総研HPのニュース記事に、米国におけるウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の発生報告を掲載して以来、6回にわたりその続報を紹介しておりますが、10月20日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年10月20日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのWNV感染症の症例数はワシントン州が67例、コロラド州が20例、カリフォルニア州が15例、モンタナ州が14例、テキサス州が9例、アイダホ州が8例、ケンタッキー州、ニューメキシコ州が各7例、アラバマ州が6例、ルイジアナ州が5例、フロリダ州、イリノイ州、ミシシッピー州、サウスダコタ州、ユタ州が各4例、ネブラスカ州、ネバダ州、バージニア州が各3例、アイオア州、ミズーリー州、ペンシルベニア州、ワイオミング州が各2例、アーカンソー州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ウィスコンシン州、ウェストバージニア州が各1例である。10月13日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、ウマのWNV感染症の症例数は192例から200例に、発生州は26州から27州に増加している。ウマの症例数の合計は9月16日が98例、9月22日が153例、9月30日が164例、10月6日が179例、10月13日が192例、10月20日が200例と報告されており、9月17日から9月22日のピーク時の1週間には症例数が55例も増加したが、その後は1週間当たり10数例の増加で推移している。なお、10月20日付の米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によれば、現在のところ陽性サンプル、陽性症例、或いはWNVに関する調査により本ウイルスの活動が認められている州は46州で、ヒトのWNV感染症の症例数は34州で515例確認されている。すなわち、アラスカ州、ハワイ州、ニューハンプシャー州の3州を除く47州及び1特別区でWNVの活動が確認されている。因みに、昨年のウマのWNV感染症の症例数は178例で、ワシントン州が41例、カリフォルニア州が32例となっており、西側の州で症例数が多く報告されている。

参考情報
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 6.
4. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 13.
5. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 10. 13.
6. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 10. 20.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 20, 鎌田正信, 2009. 11. 2)

 

米国におけるウマの東部馬脳炎の発生(9)  

 2009年6月24日付の総研HPのニュース記事に、米国における今年最初のウマの東部馬脳炎(EEE)の発生を報告して以来、8回にわたりその続報を紹介しておりますが、10月20日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 2009年10月20日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのEEEの症例数では依然フロリダ州が他の州をリードしている。フロリダ州が69例、ジョージア州が42例、ミシシッピー州が42例、ルイジアナ州が26例、アラバマ州が19例、ノースカロライナ州が18例、メイン州が15例、サウスカロライナ州が12例、バージニア州が8例、ニュージャージー州、ニューヨーク州が各6例、テキサス州が4例、ニューハンプシャー州が3例、ロードアイランド州が2例、アーカンソー州、マサチューセッツ州が各1例である。10月13日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州(16州)の数には変化が無く、ウマの症例数は264例から274例に増加している。ピーク時と思われる9月9日から9月16日の1週間では症例数が27例増加したが、それ以降は1週間当たりの症例数の増加が10例前後で推移しており、今年のウマのEEEの症例数は昨年より100例程多くなるものと推察される。因みに、2008年には米国の15州でウマのEEEの発生が認められ、症例数は合計185例で、フロリダ州が89例でトップであった。なお、2008年秋に16頭のウマが感染し、死亡又は安楽死の処置が施されたカナダでは、9月28日及び10月2日付で2頭の発生例がノバスコシア州農務省から発表されたが、それ以降の発生は報告されていない。

参考情報.
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 9.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22.
4. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 30.
5. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 6.
6. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 13.
7. ProMed-mail, Archive Number 20091001.3416, 2009. 10. 1.
8. ProMed-mail, Archive Number 20091004.3451, 2009. 10. 4.
9. ProMed-mail, Archive Number 20091014.3543, 2009. 10. 14.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 20, 鎌田正信, 2009. 11. 2)

 

米国テキサス州における馬ピロプラズマ病の発生(2)  

 2009年10月27日付の総研HPのニュース記事で米国テキサス州における馬ピロプラズマ病(EP)の発生について紹介しましたが、10月29日付のHorsetalk-International horse newsにその続報が掲載されましたので、以下にこれまでの経過概要を含めて紹介します。
 今回のテキサス州におけるEPの発生は、2009年10月2日に同州クレバーグ郡の牧場で飼養されていた7歳のクオーターホース雌使役馬が発病して地域の獣医病院で診察を受け、10月12日にテキサス獣医医療診断研究所でEP陽性と診断されたのが発端であった。その後、10月19日には当該馬及びこのウマと疫学的にリンクする31頭の使役馬、合計32頭が米国国立獣医学研究所(NVSL)によりEP 陽性(Theileria equi) と確定診断された。そこで、米国農務省動植物衛生検査局(APHIS)とテキサス動物衛生委員会(TAHC)は、EP陽性馬とリンクするウマについて疫学検査を実施していた。
 今回の報告では、更に97頭の馬を追加検査し、69頭のEP陽性馬を摘発している。これらの69頭のウマと10月19日にEP陽性と診断された32頭のウマとの間では直接的な接触は確認されていない。この施設でのEP検査は更に継続されているが、現時点では合計101頭のウマがEP陽性と診断されたことになる。当該施設のダニ調査は継続されNVSLにて解析されているが、EP原虫を媒介するダニは15種類以上にも及び、今回のEPがどのダニによって媒介されたかは現時点では不明である。なお、防疫対策としては、衛生昆虫の抑制、検疫、当該施設の消毒、殺虫剤の噴霧を行っており、予防接種や陽性馬の治療、その他の対策は行っていない。11月1日現在、カナダ政府はテキサス州からの馬に対する輸入規制を行っており、ケンタッキー州でもテキサス州からの馬に対する移動規制を設けている。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 10. 2, 2009. 10. 30.
2. TheHorse.com news, Article#15128 (2009. 10. 20), #15133 (2009. 10. 21), #15140 (2009. 10. 23), #15191 (1009. 10. 30)..
3. ProMed-mail, Archive No. 20091021.3617, No. 20091022.3631, No. 20091024.3675, No. 20091030.3749.
4. Horsetalk-International horse news, 2009. 10. 22, 2009. 10. 23, 2009. 10. 26.

(出典:Horsetalk-International horse news, 2009. 10. 29, 鎌田正信, 2009. 11. 2)

 

 
 

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