米国における馬伝染性子宮炎の発生(34)  

 2008年12月17日付の記事で、米国における馬伝染性子宮炎(CEM)の発生を報告して以来、33回にわたりその続報を紹介しておりますが、2009年12月17日付で米国農務省公式発表のニュース記事が1ヶ月ぶりに更新されましたので、その内容を掲載します。なお、現在までの検査対象馬は991頭(種牡馬が276頭、牝馬が715頭)で、27頭(種牡馬が22頭、牝馬が5頭)がCEM陽性、914頭(種牡馬が237頭、牝馬が677頭)がCEM陰性とそれぞれ診断され、残り77頭(種牡馬が39頭、牝馬が38頭)について検査が継続されています。
 2008年12月15日、ケンタッキー州は中央ケンタッキーの施設に飼養されている1頭のクオーターホース種牡馬がCEMの病原体であるTaylorella equigenitalis(CEM菌)に感染していることを確認した。現在までに米国農務省国立獣医学研究所(NVSL)により、1頭の去勢馬を含む合計22頭の種牡馬がCEM菌陽性として確認されている。これらの陽性種牡馬と共に、5頭の牝馬がNVSLによりCEM菌陽性と確認された。今回のCEMの発生源となる陽性馬は未だ同定されていない。今回の発生源の決定に関わる全ての活用可能な情報を追求するため、疫学調査は継続されているが、結論はまだ引き出されていない。
 22頭の陽性種牡馬と5頭の陽性牝馬に加えて、他の964頭の感染が疑われる馬についても所在が明らかにされている。これらの合計991頭の馬は、48州に所在する。合計276頭の陽性及び感染が疑われる種牡馬は31州に所在し、715頭の陽性及び感染が疑われる繁殖牝馬は46州に所在している。ハワイ州とロードアイランド州だけは感染が疑われる馬や陽性馬が1頭も認められていない。
 22頭の陽性種牡馬は7州に所在しており、ジョージア州が1頭、イリノイ州が3頭、インディアナ州が3頭、アイオア州が1頭、ケンタッキー州が4頭、テキサス州が1頭、ウィスコンシン州が9頭である。5頭の陽性牝馬は3州に所在しており、カリフォルニア州が2頭、イリノイ州が2頭、ウィスコンシン州が1頭である。検査と治療のプロトコルが未だ完了していない全ての陽性馬と全ての感染が疑われる馬については、現在検疫下に置かれるか、拘束命令下にある。
 全体的には、991頭中914頭(92.2%)が現在CEMフリーであることが判明している。CEM陽性馬がいた8州中4州、すなわちジョージア、インディアナ、アイオワ、ケンタッキーの各州は全ての既知の陽性及び感染が疑われる馬の検査と治療を完了し、現在ではCEMフリーと考えられている。
 276頭中237頭(85.9%)の種牡馬については、現在全ての検査と治療のプロトコルを完了し、CEM菌陰性となっている。この237頭の種牡馬の中には、先の検査でCEM菌陽性となっていた22頭の種牡馬が含まれており、これらの22頭は現在治療されて再検査で陰性となっている。他の22頭の感染が疑われる種牡馬については、最初に採取された材料の培養では陰性であったが、CEM菌陰性と公表される前に完了すべき追加検査が要求されている。
 合計715頭中677頭(94.7%)の牝馬については、検査と治療を完了し、CEM菌陰性となっている。この677頭の牝馬の中には、先にCEM菌陽性となっていた5頭の牝馬が含まれており、これらの5頭は検査と治療を完了して現在はCEM菌陰性となっている。
 今回の発生調査では、ケンタッキー州に所在している4頭の陽性種牡馬はいずれも2008年の繁殖シーズン中には中央ケンタッキーの施設にいたことが確認されている。テキサス州とインディアナ州の種牡馬も同様に、2008年にはケンタッキー州の当該施設で過ごしている。ウィスコンシン州の陽性種牡馬は、ケンタッキー州にはいなかったが、これらの種牡馬のうちの4頭はいずれも2008年にケンタッキー州の施設でCEM陽性となった1頭の種牡馬とウィスコンシン州で少なくとも一繁殖シーズンを一緒に過ごしていた。ウィスコンシン州の5番目、6番目、7番目、8番目並びに9番目の種牡馬はいずれもウィスコンシン州の4番目の陽性種牡馬、イリノイ州の3頭の陽性種牡馬、並びにアイオア州の種牡馬が飼養されていた同じ繁殖施設で過ごしていた。アイオア州の種牡馬はその後去勢をしている。ジョージア州の陽性種牡馬は2008年にはウィスコンシン州の3頭の陽性種牡馬と一緒に過ごしていた。
 ウィスコンシン州の陽性牝馬は、同州の2番目の陽性種牡馬と交尾により繁殖を行っていた。イリノイ州及びカリフォルニア州の各陽性牝馬は、2008年に1頭の陽性種牡馬の精液を用いて人工授精により繁殖を行っていた。カリフォルニア州の2頭の牝馬はいずれも人工授精によりウィスコンシン州の1番目の陽性種牡馬から感染し、イリノイ州の1番目の牝馬はインディアナ州に現在所在している1頭の陽性種牡馬から感染を受けた。イリノイ州の2番目の陽性牝馬は同州の2番目の陽性種牡馬から2008年に人工授精により感染を受けていた。
 感染が疑われる馬とは、州及び連邦の動物衛生当局によって決定されているように、自然交配もしくは人工授精を介してCEM陽性馬と繁殖を行った馬か、或いは疫学的にCEM陽性馬と関連がある馬である。

(出典:Contagious equine metritis, newsroom, APHIS, USDA, 2009. 12. 17, 鎌田正信, 2009. 12. 21)

 

米国テキサス州における馬ピロプラズマ病の発生(6)  

 2009年10月27日付の総研HPのニュース記事で米国テキサス州における馬ピロプラズマ病(EP)の発生を報告して以来、5回にわたりその続報を紹介しておりますが、2009年12月14日付のOIE World Animal Health Information Database (WAHID) に最新の情報が掲載されましたので、以下にこれまでの経過概要を含めて紹介します。今回の報告によれば、12月7日現在、EP陽性馬は米国12州で摘発され、合計351頭に達しております。
 今回のテキサス州におけるEPの発生は、2009年10月2日に同州クレバーグ郡の牧場で飼養されていた7歳のクオーターホース雌使役馬が発病して地域の獣医病院で診察を受け、10月12日にテキサス獣医医療診断研究所でEP陽性と診断されたのが発端であった。その後、10月19日には当該馬及びこのウマと疫学的にリンクする31頭の使役馬、合計32頭が米国国立獣医学研究所(NVSL)によりEP 陽性(Theileria equi) と確定診断された。 
また、10月29日付の報告では、当該牧場の発端施設に所在する97頭中69頭のウマが新たにEP陽性と診断され、EP陽性馬は合計101頭となった。更に、11月6日付のWHAIDの報告では、11月4日までにテキサス州の当該牧場に所在していた187頭のウマが新たにEP陽性と診断され、合計で288頭がEP陽性となった。また、当該牧場の発端施設やウマのダニ調査を実施した結果、多数のウマから採集したダニの中から、本病の媒介が可能なAnocentor nitensDermacentor variabilisという2種類のダニが同定された。なお、11月23日付のWAHIDによれば、このダニ調査において、新たにAmblyomma cajennenseTheileria equi媒介性が実証され、今回採集された媒介ダニは合計3種類となっている。
 今回の12月14日付のWHAIDの報告では、2009年12月7日現在、米国の12州でEP陽性馬が摘発され、陽性馬頭数は合計351頭に達している。その内訳は、テキサス州が326頭(当該牧場が289頭、その他が37頭)、フロリダ州、ルイジアナ州が各5頭、ニュージャージー州が4頭、アラバマ州、カリフォルニア州、ノースカロライナ州が各2頭、ジョージア州、ミネソタ州、テネシー州、ユタ州、ウィスコンシン州が各1頭である。現在のところ、12州で摘発された全てのEP陽性馬は当該牧場の発端施設と疫学的に直結する結びつきがある。すなわち、全ての陽性馬は、発端施設に現在又は過去に所在していたり、発端施設の直ぐ近くに隣接する施設に所在していたり、或いはリスクの高い接触(感染牝馬から生まれたEP陽性子ウマ)があった。現在実施中の疫学調査において、1,200頭以上のウマが既に検査を受けているが、そのうちの456頭は当該牧場の施設外でEP陽性と診断されたウマの追跡調査対象馬として検査を受けたものである。これら456頭のウマは全てEP検査陰性と判定されている。現在、全てのEP陽性馬は検疫下に置かれており、その関連施設やウマのダニ調査及び疫学的関連馬の調査などが継続的に実施されている。防疫対策としては、衛生昆虫の抑制、検疫、汚染施設の消毒、殺虫剤の噴霧が行われており、予防接種や陽性馬の治療、その他の対策は行われてない。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 10. 2, 2009. 10. 30, 2009. 11. 6, 2009. 11. 13, 2009. 11. 23.
2. TheHorse.com news, Article#15262, 2009. 11. 11, #15300, 2009. 11. 16, #15323, 2009. 11. 20, #15336, 2009. 11. 23.
3. ProMed-mail, Archive No. 20091111.3912, No.20091117.3963.
4. Horsetalk-International horse news, 2009. 11. 11, 2009. 11. 17.

(出典OIE World Animal Health Information Database, 2009. 12. 14, 鎌田正信, 2009. 12. 17)

 

アイルランドにおける馬ピロプラズマ病の発生(最終報告)  

 2009年9月14日付の総研HPのニュース記事でアイルランドにおける馬ピロプラズマ病(EP)の発生について紹介しましたが、12月14日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に最終報告が掲載されましたので、以下にこれまでの経過概要を含めて紹介します。
 今回のアイルランドにおけるEPの発生は、2009年6月10日にアイルランド東岸のミース州の牧場で飼養されていた1頭のウマが発症し(主な臨床症状は発熱、貧血、プアパフォーマンスなど)、イギリスのウエブリッジにある獣医学研究所(VLA)で7月17日と8月17日に3種類の血清学的試験によりTheileria equiT. equi)陽性と診断されたのが発端であった。9月2日に3頭のウマの陽性結果が所轄当局に報告されたことから、この牧場で飼養されていた59頭のサラブレッドと1頭のポニー、合計60頭について検査が行われた。その結果、9月7日にフランスのFrank Duncombe Laboratoryでエライザ法により60頭中28頭がEP陽性と診断され、9月8日付でOIEに報告された。その後、これらの陽性馬28頭中11頭にそれぞれのウマ所有者の牧場などへの移動歴があることから、追跡調査が実施された。9月17日には、ウェックスフォード州にある競走馬の休養牧場で飼養されていた102頭中8頭が血清学的にEP陽性と診断され、これらの陽性馬は疫学的に発端牧場と関連性のあることが示唆された。また、9月17日から10月16日にかけて、キルデア州の2牧場で166頭中5頭、ミース州の1牧場で23頭中5頭、ティペラリー州の1牧場で88頭中3頭、合計277頭中13頭のウマがEP陽性と報告された。
 12月14日付のWAHIDの報告によれば、今回の疫学調査期間中に、感染リスクが確認された11牧場の458頭のウマについてEPに対する検査(812回)が行われ、6牧場の50頭のウマが最終的にT. equi陽性と診断された。この6牧場のウマに関わる検査経過から、発端牧場と休養牧場の2牧場で最初にEPの発生が見られ、その後他の4牧場に伝播したことが明らかになった。すなわち、発端牧場の29頭と休養牧場の8頭、合計37頭のEP陽性馬については、疫学的には一つの馬群の中での伝播であり、残りの4牧場中3牧場については発端牧場からEP陽性馬がウマ所有者の牧場に戻ったことによるものである。また、残りの牧場のEP陽性馬については、これらの3牧場の1つからの移動によるものであった。なお、感染馬の検査でダニは認められなかったことから、ダニは今回の伝播に関与していないと考えられる。アイルランドには唯一種類のIxodes ricinusというダニが存在するが、過去にEPの伝播との関連性は知られていない。明確な証拠は無いが、今回の伝播は医療行為を介して起きたのではないかと思われる。発生源は確認されていないが、海外のEPの流行地に長期滞在してアイルランドに帰国したウマと関連があると思われる。発生は終息し、全ての牧場に対する規制は現在解除され、血清学的陽性馬の登録簿は既に作成されている。

参考情報
1. OIE World Animal Health Information Database, 2009. 9. 8、2009. 9. 23, 2009. 10. 8.
2. TheHorse.com news, Article#14874, 2009. 9. 10.
3. ProMed-mail, Archive Number 20090909.3183, 2009. 9. 9.
4. Horsetalk-International horse news, 2009. 9. 10.

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 12. 14, 鎌田正信, 2009. 12. 17)

 

ドイツにおける伝染性貧血の発生  

 2009年12月8日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に、ドイツにおける馬伝染性貧血(EIA)の発生が掲載されましたので、下記にその概要を紹介します。なお、軽種馬防疫協議会ニュースの馬伝染病発生情報によれば、ドイツにおけるEIAの発生は2006年以降毎年報告されており、特に2006年から2007年にかけてドイツ中部のチューリンゲン州での本病の発生が発端となって、大規模な疫学調査が実施され、最終的に数10頭のウマが死亡又は安楽死の処置を施されています。
 今回の12月8日付のWAHIDの緊急報告では、10月9日にドイツ南部のバイエル自由州の牧場で、3頭中1頭のウマが疑わしい臨床症状を示し、10月12日にEIAの国立リファレンスラボラトリーのFriedrich-Loeffler研究所でEIAウイルス陽性と確認された。このウマは、11月26日に寒天ゲル免疫拡散法(AGID)で陽性と診断された後、他の2頭のウマと一緒に安楽死の処置を施された。また、11月23日にはドイツ南西部のバーデン=ヴュルデンベルグ州の牧場で67頭中1頭のウマが疑わしい症状を示し、11月24日に同州獣医学研究所でEIA陽性と診断され、安楽死の処置が施された。現在のところ、感染源および発生源は不明であるが、防疫対策として衛生昆虫の駆除、検疫、国内の移動制限、疫学調査、施設の消毒などが実施されている。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 12. 8, 鎌田正信, 2009. 12. 15)

 

ベネズエラにおけるウマの東部馬脳炎の発生  

 2009年12月11日付のOIE World Animal Health Information Database(WAHID)に、南アメリカ北部に位置するベネズエラにおける東部馬脳炎(EEE)の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。
 12月11日付のWAHIDによれば、今回のベネズエラにおけるウマのEEEの発生報告は2005年以来となるもので、バリナス州Obisposにある牧場で飼養されていた1歳以上の2頭のウマが11月15日に発熱、元気消沈、食欲減退などの臨床症状を示し、12月3日に国立農業研究所(INIA)のアルボウイルス研究室で赤血球凝集抑制試験によりEEEと診断された。この牧場には21頭のウマと130頭のウシが飼養されており、本年2月にEEE、ウエストナイルウイルス感染症、ベネズエラ馬脳炎の三種混合ワクチンが接種されていた。発生牧場の半径50km以内は、検疫下に置かれ、三種混合又は二種混合ワクチンの予防接種が行われている。また、衛生昆虫の駆除、国内の移動制限、疫学調査などが防疫対応として行われているが、治療などは行われていない。

(出典:OIE World Animal Health Information Database, 2009. 12. 11, 鎌田正信, 2009. 12. 15)

 

不法なウマの輸入が英国へのアフリカ馬疫の侵入リスクを高めている  

 2009年12月7日付のHorsetalk-International horse newsに、「最近のレポートによれば、イギリスへの不法なウマの輸入は、アフリカ馬疫(AHS)の国内侵入リスクを増加させている」という記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 イギリス政府と馬産業団体によって委嘱されたAHSワーキンググループの報告によれば、英国でAHSが発生すれば、英国の馬産業は半減してしまい、35億ポンド以上の損失をもたらすと考えられている。AHSは20世紀にヨーロッパで2回発生しており、最も新しい事例である1990年のスペインでの発生は、アフリカから感染したシマウマを輸入したことと多分に関連していると考えられている。地球の温暖化がイギリスの各州へAHSを到達させるリスクを増加させているが、一方で報告は不法なウマの輸入に関連するリスクについても概説している。AHSがイギリスへ到達するリスクは現在のところ低いと公表されているが、感染馬がイギリスに不法に輸入される可能性を通して生じるリスクの増大については、非常に懸念されると報告している。域内通商動物衛生条件(ITAC)の適用無しで、繁殖や生産のためにイギリス、フランス、アイルランドの3国間をウマが移動できるように認可しているEC3国間の合意が、イギリスに本病を侵入させるリスクの増加に寄与していると思われる。イギリスの馬群は全てAHSに感受性なので、もし媒介ヌカカがAHSウイルスに感染した場合には、迅速に伝播するであろう。本病のワクチンは、AHSが定着しているサハラ砂漠以南のアフリカで現在使用されており、EUにも万が一の場合の緊急使用のために備蓄ワクチンがある。しかし、これらのワクチンは病原性の復帰や病気を広げるという主として生ワクチンに付随するリスクにより、イギリスにとっては現在のところ魅力的な計画とはいえないと考えられている。移動規制やヌカカの駆除とともに感染動物のと殺は、病気の伝播を緩和させるための重要な方針選択肢である。AHSは1週以内に感染馬の90%以上を死に至らしめる恐ろしい疾病で、サハラ砂漠以南のアフリカで風土病的に発生している。本病はウシのブルータング病を伝播するヌカカと同じ種類のヌカカによって主に伝播される。本病の流行は風の分散によるヌカカの伝播とともに、温かく、湿気のある天候や高雨量を含むヌカカの生存に適した気象条件に影響を受ける。

(出典:Horsetalk-International horse news, 2009. 12. 2 & 2009. 12. 7, 鎌田正信, 2009. 12. 14)

 

イングランドで初めて報告されたウマのレプトスピラ流産  

 2009年12月4日付のTheHorse.com newsに、「イングランドで初めて報告されたウマのレプトスピラ流産」というタイトルの論評が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 最近、ニューマーケットにあるアニマルヘルストラスト(AHT)の診断病理学者達は、イングランドでは最初の報告となるウマのレプトスピラ流産に関する論文を発表した。共著者のKatherine Whitwellによれば、イギリスのウマは数種類のレプトスピラに汚染されていることが血清学的に証明されているが、同国の獣医師はこれまでプトスピラによって引き起こされる多くのウマの病気に遭遇してこなかった。この最新の報告は、レプトスピラがイギリスのウマの流産の原因となっていることを初めて証明したものである(42例の流産胎児又は死産胎児の腎臓から検査材料を採取し、PCR検査や種々の病理学的検査により2例のレプトスピラ陽性例を確認)。AHTの病理学者達は、2007年のウマの流産の調査時に病原体を調べたが、当初レプトスピラ感染症はイングランドでは稀な症例であると認識していたとのこと。今回のレプトスピラ流産のように、流産の症例において今までと少し異なる変化が確認されるのであれば、それは牝馬の繁殖衛生に関するウマ疾病サーベイランスにおいては重要なことであると考えられる。牝馬が胎児を流産した場合には、ウマ所有者は何故流産が起きたのかを確認するため、可能性のある感染性及び非感染性原因の検討に用いる流産材料を診断研究所に送付することが推奨される。また、診断研究所へ流産胎児や死産胎児(胎盤を含む)を送付することに加えて、ウマ所有者は牝馬の環境汚染を防止するため、発生場所およびその周辺を清掃し消毒すべきである。レプトスピラ症によって流産を起こした牝馬は、他のウマに感染させる可能性があるので隔離すべきであり、病気又は流産牝馬に遭遇する臨床獣医師はどのような流産の後でも牝馬や接触した馬のスクリーニングや治療、飼養管理について迅速に助言できる最も良い立場にいる。レプトスピラはヒトにも感染するので、ウマ所有者が流産材料又は既知の感染馬の尿を取り扱う場合には、ディスポーザブルの手袋の着用が望ましい。なお、本論文のタイトルは、「Two cases of equine pregnancy loss associated with Leptospira infection in England」で、Vet. Rec., 165, 377-378, 2009に掲載されている。

(出典:TheHorse.com news, Article#15402, 2009. 12. 4, 鎌田正信, 2009. 12. 14)

 

カナダにおけるイヌの腺疫の発生(2)  

 2009年10月20付の総研HPのニュース記事で、10月17日付のProMed-mailに掲載された「ウマの腺疫の原因菌であるStreptococcus equi subspecies equi (S. equi) がカナダの動物愛護協会保護施設の2匹のイヌに感染し、重篤な出血性肺炎を起こして死亡したという非常に珍しい症例報告」を紹介しましたが、10月29日付のProMed-mailに原因菌に関する修正レターが投稿されました。主な修正点は、原因菌が腺疫菌のS. equi から Streptococcus equi subspecies zooepidemicus (S. zooepidemicus) に変更され、この細菌が人獣共通感染症の病原体であると修正されたことです。正式な修正記事が再掲載されていませんが、以下に修正変更後の10月17日付のProMed-mailの主な概要を掲載します。
 カナダのオタワ動物愛護協会保護施設で、2匹のイヌが過去2ヶ月の間に非常に稀で重篤なタイプのイヌの肺炎で死亡した。動物愛護協会の獣医師によれば、過去にこのようなタイプの病気に遭遇したことは無かったとのこと。イヌは最初咳、昏睡、発熱などの症状を示すが、血液の混じった咳をしたり1日以内に瀕死の状態に陥るなど、症状は急速に進行し、出血性肺炎を起こす。動物愛護協会の1匹目のイヌは今年の真夏に発症し、2匹目のイヌは9月初旬に発症した。その後スタッフは全てのイヌを抗生物質で治療するとともに、全てのイヌ小屋を消毒し、1週間にわたって里親探しを一時的に停止した。動物愛護協会のShelly Hutchings獣医師によれば、このイヌの病気は当初報告したウマに固有な疾病である腺疫の原因菌のS. equiではなく、S. zooepidemicusによって2頭とも引き起こされた。この病気の原因菌は人獣共通感染症の病原体であるが、ヒトへの感染は家畜からの報告例が多く、イヌからは稀にしか伝播しない。なお、2009年12月5日付のProMed-mailに、米国オハイオ州の動物愛護協会保護施設でも同様の疾病が発生し、12月4日時点で5頭のイヌが既に死亡しているという内容の記事が掲載され、その続報も掲載されているので、興味のある方は参照していただきたい。

参考情報
1. ProMed-mail, Archive Number 20091017.3567, 2009. 10. 17.
2. ProMed-mail, Archive Number 20091205.4151, 2009. 12. 5.
3. ProMed-mail, Archive Number 20091207.4174, 2009. 12. 7.
4. ProMed-mail, Archive Number 20091208.4184, 2009. 12. 8.

(出典:ProMed-mail, Archive Number 20091029.3742, 2009. 10. 29, 鎌田正信, 2009. 12. 9)

 

米国コールダー競馬場における神経型EHV-1感染症の発生  

 2009年12月1日付のTheHorse.com newsに、米国フロリダ州のコールダー競馬場おける神経型ウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)感染症の発生が報告され、その後続報が掲載されていますので、以下にその経過概要を紹介します。
 コールダー競馬場当局によれば、11月28日から29日にかけて同競馬場のきゅう舎で飼養されていた1頭のウマが神経症状を呈した。11月30日にフロリダ大学に搬送し、検査を受けたところEHV-1陽性と診断され、安楽死の処置が施された。このウマはBill White調教師のきゅう舎に所属しており、同調教師が所有する3つのきゅう舎の56頭のウマは、3週間の間、競馬への出走は認められず、これらのきゅう舎へのウマの搬入やこれらのきゅう舎から他への搬送も禁止された。また、コールダー競馬場は、同競馬場への入きゅうや競馬のための搬入、ならびに外部への搬送を12月14日までの2週間にわたり禁止した。なお、12月3日に他のきゅう舎の1頭のウマが最初のウマと同様の神経症状を呈し、このウマときゅう舎は検疫下に置かれていたが、12月5日に検査依頼をしたケンタッキー大学家畜疾病診断センターから陰性の結果が報告され、このウマ及びきゅう舎の検疫は解除された。コールダー競馬場は、今後の検査でEHV-1陽性馬が検出されなければ、全きゅう舎に対する移動制限を12月13日に、3つのきゅう舎に対する検疫を12月20日にそれぞれ解除することを決定した。コールダー競馬場のきゅう舎地域には1800頭のウマが飼養されているが、現在の検疫頭数は118頭から3つのきゅう舎の56頭に減少している。

参考情報
1. TheHorse.com news, Article#15401, 2009. 12. 4.
2. TheHorse.com news, Article#15419, 2009. 12. 7.
3. Horsetalk-International horse news, 2009. 12. 3.

(出典:TheHorse. com news, Article#15373, 2009. 12. 1, 鎌田正信, 2009. 12. 8)

 

米国におけるウマの東部馬脳炎の発生(12)  

 2009年6月24日付の総研HPのニュース記事に、米国における今年最初のウマの東部馬脳炎(EEE)の発生を報告して以来、11回にわたりその続報を紹介しておりますが、12月2日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、本年の最終報告として以下にその概要を紹介します。
 2009年12月2日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、フロリダ州が73例、ジョージア州、ミシシッピー州が各43例、ルイジアナ州が26例、アラバマ州が23例、ノースカロライナ州が22例、メイン州が15例、サウスカロライナ州が14例、バージニア州が9例、ニューヨーク州が7例、ニュージャージー州が6例、テキサス州が4例、ニューハンプシャー州が3例、ロードアイランド州が2例、アーカンソー州、メリーランド州、マサチューセッツ州が各1例である。11月17日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州の数は17州で変動が無く、ウマの症例数は286例から293例に微増している。ピーク時と思われる9月9日から9月16日の1週間では症例数が27例増加したが、それ以降は1週間当たりの症例数の増加が10例前後で推移し、10月21日以降の6週間では19例(週平均約3頭)しか増加していない。これらのことから、米国における今年のウマのEEEの本格的な流行は9月中旬をピークに10月中旬頃でほぼ終息し、それ以降は散発的な発生が南部を中心に来年1月頃まで継続すると思われる。現在のところ、今年のウマのEEEの症例数は昨年より100例以上も多く、過去5年間では2005年の330例に次いで多い。因みに、2008年には米国の15州でウマのEEEの発生が認められ、症例数は合計185例で、フロリダ州が89例でトップであり、ジョージア州が24例、アラバマ州が23例であった。

参考情報.
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 9.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 10. 20.
4. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11. 4.
5. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11. 17.
6. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11. 25.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 12. 2, 鎌田正信, 2009. 12. 7)

 

米国におけるウマのWNV感染症の発生(10)  

 2009年8月10日付の総研HPのニュース記事に、米国におけるウマのウエストナイルウイルス(WNV)感染症の発生報告を掲載して以来、9回にわたりその続報を紹介しておりますが、12月2日付の米国動物衛生サーベランスシステム(NAHSS)に最新の発生報告が掲載されましたので、本年の最終報告として以下にその概要を紹介します。
 2009年12月2日付のNAHSSの馬脳炎発生報告によれば、ウマのWNV感染症の症例数はワシントン州が72例、コロラド州が21例、カリフォルニア州、テキサス州が各18例、モンタナ州が14例、アラバマ州が11例、アイダホ州が9例、ケンタッキー州、ニューメキシコ州が各8例、ミシシッピー州、ユタ州が各6例、フロリダ州、ルイジアナ州が各5例、イリノイ州、サウスダコタ州が各4例、アイオア州、ネブラスカ州、ネバダ州、バージニア州が各3例、ミズーリー州、ペンシルベニア州、ワイオミング州が各2例、アーカンソー州、ジョージア州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、サウスカロライナ州、ウィスコンシン州、ウェストバージニア州が各1例である。11月17日付のNAHSSの馬脳炎発生報告の数字と比べると、発生州は29州で変動が無かったが、ウマのWNV感染症の症例数は214例から234例に増加した。ウマの症例数は、9月17日から9月22日のピーク時の1週間には55例も増加したが、その後は1週間当たり10数例の増加で推移し、11月17日の直近2週間では8例しか増加していなかった。しかし、今回の直近2週間では、ウマの症例数は中南部の州を中心に再び20例も増加し、特にテキサス州とアラバマ州ではそれぞれ9例→18例、6例→11例と倍増近い増加を示した。この結果から、本年の米国におけるウマのWNV感染症の本格的な流行は9月中旬をピークに10月末頃にほぼ終わったものの、それ以降は中南部を中心に小規模又は散発的な発生が12月末から来年1月頃まで継続するものと思われる。なお、昨年のウマのWNV感染症の症例数は178例で、ワシントン州が41例、カリフォルニア州が32例となっており、西側の州で症例数が多く報告されているが、今年も同様の傾向が認められている。

参考情報
1. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 16.
2. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 9. 22.
3. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11. 4.
4. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11.17.
5. Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 11.25.
6. 2009 West Nile Virus Activity in the United States, CDC, 2009. 12. 1.

(出典:Equine Encephalitides Reporting, NAHSS, USDA, 2009. 12. 2, 鎌田正信, 2009. 12. 7)

 

トリパノソーマ原虫高度蔓延地域におけるウマの飼養管理  

 ウマトリパノソーマ病の病原体であるTrypanosoma bruceiおよびT. congolenseはツェツェバエによって媒介されるが、タンザニア連合共和国セレンゲティ地区はツェツェベルトと呼ばれる同衛生昆虫の生息域に含まれるため、本病の高度蔓延地域となっている。近年、レジャー目的での乗馬が当地域で盛んに行われ、トリパノソーマ原虫から馬群を守ることが大きな課題となっている。本研究では、2年間の調査期間中に発生したウマトリパノソーマ病の事例を、診断・治療の観点から検証した。多くの症例で初期症状として発熱が見られたほか、黄疸、沈うつも発症初期から観察された。一方、本病で特徴的な症状とされる、腹部や四肢の浮腫、運動失調、麻痺などの臨床症状は発症後期にしか見られず、早期診断の目的には適わないと考えられた。したがって、体温のモニタリングを徹底した上で、発熱馬について迅速に血液塗抹標本の鏡検を行い、早期に診断することが重要である。患馬の多くではキナピラミンによる治療が奏効し、ほぼ5日以内に回復した。しかし、発症から2日以上経ってから治療を開始した場合、貧血、体重減少、神経症状を防ぐことができずに、長期化もしくは死の転帰をとることが多く、発症初期の治療が極めて重要であることが示された。こうした早期診断・早期治療に加えて、キナピラミンやイソメタミジウムなどの予防的投与や、ベクター対策を含めた予防策を実施することが、トリパノソーマ原虫高度蔓延地域におけるウマの飼養管理には必要であると思われる。

(出典:H. Auty et al., Vet. Parasitol., 154, 233-241, 2008, 坂内天, 2009. 12. 7)

 

カビ毒はドイツの多くのウマの餌から検出される  

 2009年11月27日付のHorsetalk-International horse newsに、「最近の研究において、ドイツの研究者達はサンプリングした62種類の市販のウマの餌の全てからカビ毒を検出した」という内容の記事が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 ドイツのJustus Liebig大学とLudwig Maximilians大学の研究者達は、62種類の市販のウマの餌をサンプリングし、6種類の異なったカビ毒について検査を行った。その6種類のカビ毒とは、デオキシニバノール(DON)、ゼアラレノン(ZEA)、フモニシン(FB1),T-2トキシン及びT-2 /HT-2混合トキシン(T-2/HT-2)、オクラトキシン(OTA),総麦角アルカロイド(GEA)である。検査の結果、全てのサンプルには、DON、T-2及びT-2/HT-2の2種類が含まれており、ZEAは98%から検出された。また、FB1は94%のサンプルから、麦角アルカロイドは61%から、OTAは42%からそれぞれ検出された。殆どの検出濃度は、通常の基準値或いは有毒なレベル以下であった。最も高い濃度のカビ毒は、シングルグレイン・シリアルの餌であった。DONとFB1の最高値はトウモロコシで、T-2/HT-2の最高値は燕麦で、麦角アルカロイドの最高値は大麦でそれぞれ検出された。なお、今回のカビ毒汚染以上の懸念は、特にDON、ZEA、フザリン酸を含むフザリウム属のカビによって産生される毒素が、北米産トウモロコシの採取時期の遅延により上昇していることである。

(出典:Horsetalk-International horse news, 2009. 11. 27, 鎌田正信, 2009. 12. 2)

 

イギリス領バミューダにおける腺疫の発生  

 2009年11月26日付のProMed-mail postに、北大西洋のイギリス領バミューダにおける腺疫の発生報告が掲載されましたので、以下にその概要を紹介します。本年はこれまでにイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アメリカなどで腺疫の発生があり、競馬や競技会、その他のイベントの中止、変更などが報告されています。2009年4月13日及び10月14日付の総研HPのニュース記事に、オーストラリアとアメリカにおける腺疫の発生報告がそれぞれ掲載されておりますので、参考にしてください。
 2009年11月26日付のProMed-mail post によれば、腺疫の発生によりバミューダ国立馬術センターは2週間にわたり閉鎖されている。すなわち、2頭のウマが腺疫様の症状(ヒトの風邪のような症状)を示したことより、バミューダ馬術連盟はデボンシャーにある馬術センターを閉鎖し2週間にわたり全てのショーを中止させた。予定では2009年農業展示会の目玉であった11月27日のポニー競馬と11月28日及び29日の馬術競技、ハンター競技、障害競技などから成るInwood Showが開催できなくなり、中止を余儀なくされた。バミューダ馬術連盟のMike Cherry会長によれば、政府獣医師の勧告を受けて予防策として中止の措置をした。政府獣医師は今後の措置を取る前に、腺疫であることの確認を待っている。本病は伝染性であり、バミューダ馬術連盟は如何なる大会も主催しないように勧告した。初期に本病を抑え込めれば、或いは今回の事例については大きな問題ではない。ショーが中止されたことには失望しているが、ウマの福祉は最も重要なことである。状況については現在進行中なので、メンバーは最新情報を得るように努めてもらいたい。

(出典:ProMed-mail post , Archive Number 20091126.4056, 2009. 11. 26, 鎌田正信, 2009. 12. 1)

 

馬ピロプラズマ病診断用の血清学的試験とPCR試験の比較研究  

 2009年11月24日付のTheHorse.com newsに、「馬ピロプラズマ病(EP)の診断法としての血清学的試験とPCR試験の比較研究」に関する論評が掲載されていましたので、以下にその概要を紹介します。
 馬ピロプラズマ病(EP)は感染馬が様々なそして非特異的な症状を示すので、診断することが難しい場合がある。また、検査が煩雑であり、偽陽性や偽陰性の結果が通常の検査で生じることがある。米国で海外病として認識されているEPは、テキサス州の発生調査が拡大することにより、現在11州の馬群で陽性馬が認められている。動物衛生当局は疫学的にリンクするウマを検査しているが、彼らはどんな検査を使用すべきなのか。アラブ首長国連邦のドバイの中央獣医学研究所の研究者達は、彼らの研究においてEPの検査において誤った結果を生じさせないためには、特異性と感度の両方が重要であることを示唆している。
 間接蛍光抗体試験(IFAT)とエライザ試験(ELISA)が、現在本病の潜伏感染を診断するために選択されている血清学的試験である。上記の研究者達は、新しい遺伝子検査法としてのTaqManリアルタイムPCR試験(PCR)と共にこれらの血清学的試験を使用し、ドバイの競技馬から採取した105例の血液サンプルを検査した。その結果、2種類の血清学的試験とPCRを使用し、30頭(28.6%)のウマがEP陽性であることを確認した。すなわち、105頭中33頭がPCRで陽性、105頭中38頭がIFAT又はELISAで陽性、105頭中8頭が血清学的試験でのみ陽性、105頭中3頭がPCRでのみ陽性、105頭中30頭が血清学的試験とPCRで陽性であった。この結果は、感染初期のウマでは未だ抗体が産生されていないという可能性も含めて、広く使用されている血清学的試験では感染馬の検出に失敗する場合があることを示している。また、PCRでも同様に、感染馬の検出に失敗することがある。彼らは、EP原虫が排除されてしまった後でもその抗体が持続しているウマを検出しているのかもしれないことを示唆した。また、Babesia caballi よりもTheileria equiの方が通常ウマに広く感染していること、13頭のウマが両方の原虫に対する抗体を保有していたことなどを確認した。なお、本研究は「A comparative study of serological tests and PCR for diagnosis of equine piroplasmosis」というタイトルで、Parasitology Researchに既に投稿受理されており、PubMedで要旨を見ることができる。

(出典:TheHorse.com news, Article#15338, 2009. 11. 24, 鎌田正信, 2009. 12. 1)

 

続発症や合併症が腺疫による死亡率を高くしている  

 腺疫はウマ特有の細菌性の急性伝染病で、原因菌のStreptococcus equi subsp. equiは罹患馬の下顎リンパ節や咽頭後リンパ節の腫脹や膿瘍を形成する。一般的に本病の死亡率は2.7〜20%と報告されているが、罹患馬が喉嚢の蓄膿症,免疫介在性疾患をはじめとした続発症や合併症を併発した場合,その死亡率はさらに高くなると思われる。本論文では、これらの続発症や合併症を併発した腺疫の症例について再調査を行い、その結果について考察している。結論としては、腺疫罹患馬の検査においては鼻腔スワブの検査のみならず,喉嚢を含む喉頭部の内視鏡検査やレントゲン検査を実施し,適切な加療を施すことによりキャリアーの排除や救命率の向上につながるものと考えられる。

(出典:D. Whelchel et. al., Equine Vet. Edu. 21, 135-141, 2009,帆保誠二, 2009. 11. 24)

 

 
 

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