2007.6.5

 
馬の気持ちになってみよう

 今年も新人獣医さんたちが常磐に研修にやってきました。昨年は4名でしたが、今年は7名。緊張した様子で硬かった表情も、恒例の行事で緩んでいきましたよ。「馬の気持ちになってみよう」ということで、プール調教?と温泉療法に挑戦です。身をもって知るということは、時に大事なことですね(そうかなあ?)
 2日目はマムシ君との遭遇に一同驚いておりました。自然がいっぱいの常磐。たった2日間でしたがいろいろな経験が出来たようです。
 これから競馬の世界を背負って立つかもしれない彼らに、常磐の印象や抱負を語ってもらったのでご紹介します。
 ユージ先生の感想
 「常磐は治療中の競走馬を長期間診ることが可能なところでした。治療過程を最後まで観察することの大切さ、面白さを感じ取ることが出来ました。これから、馬の獣医師としてきゅう舎の人たちに信頼される獣医師になれるように、良い人間関係を築くことを心がけたいです。」
 タクヤ先生の感想
 「トレセンがすべてではないことを痛感しました。馬に問題が発生したとき、それに対処するのがトレセンの獣医師としての仕事ですが、常磐の馬たちは大きな問題を抱えてくることも少なくなく、先を見据えた計画性のある治療方針が必要であると感じました。その場しのぎではない、先を見据えた治療を考えることの出来る獣医を目指して生きたいと思っています。」
 ヒロタカ先生の感想
 「常磐は、落ち着いた雰囲気の中で1頭1頭診ることの出来る素晴らしいところだなあと思いました。トレセンでは限られた期間しか馬を見ることが出来ないと思うので、診療を終えた以降も、その馬の経過を見ることを大切に出来る獣医師になりたいと思います。」
 ヒロカズ先生の感想
 「トレセンでは、重い疾病を発症した競走馬の復帰までの過程を見ることは出来ませんが、常磐では復帰までを見ることが出来て、多くの時間と多くの人の熱意が注がれていることを知りました。トレセンで診療をする際は、このことを思い出して1頭1頭の将来を考えながらアドバイスが出来る獣医師になりたいと思っています。」
 タカヤ先生の感想
 「常磐では馬1頭1頭に長い時間と愛情をかけているなあと感じました。これは獣医師として働いていく上で、とても大切なことだと思います。トレセンに戻っても常磐での馬に対する考え方や接し方を忘れずに、実践していきたいと思っています。」
 ヒデマサ先生の感想
 「第一に一芸を持つこと。自分が得意なことで自分の名前を売り込めるような獣医になりたいと思っています。そして、調教師をはじめとしたきゅう舎関係者の声を聞き、その要望にこたえることが出来るようにしたいと思っています。その中でも自分の考えを持って、やむを得ず競走に使うことが出来なければ、毅然とした態度でNOと言える自分の芯を持った、信頼される獣医師になりたいと思っています。常磐はじっくりと治療が出来ることが長所だと思いましたが、その分根気が必要で難しいところもあるなあと思いました」
 ダイスケ先生の感想
 「馬のリハビリは、今まであまり意識して考えたことはありませんでした。馬の獣医師は、どうしても「診断・治療」がメインである、と考えがちでした。常磐での研修を通して、馬の獣医師の役割の深さ、多様性を実感することが出来ました。」
 若い先生たちの意見を聞くことが出来て、私も勉強になりました。
 まずはトレセン・競馬場でいろいろなことを勉強してください。活躍を期待しています!(ASHI)

ウイドーハンター号が勝利

 2回東京競馬で卒業馬のウイドーハンター号が勝利したと、またまた開催に入っていた職員から報告を受けましたよ!!ヒシシンエイに続いての嬉しい報告です。常磐スタッフの励みにもなります。来週以降も卒業馬から目が離せませんね!(ASHI)

 

馬の気持ちがわかりましたか?

立派な獣医さんになってください

2007.6.13

 
男としての風格

 突然ですが、皆さんは初対面の人と会った時、直ぐに話が出来て打ち解けることができる方ですか?それとも、緊張して無口になって、「なんだあいつは」なんて思われてしまうほうですか?私は見かけも暗い顔をしているし、無口になるタイプなので後者の方です。馬にもいろいろな性格があります。人とそんなに変わらないと思います。好かれやすい馬、嫌われる馬がいるんですね。
 彼とは2回目の出会いです。昨年は元気なイメージがあったのですが、今年は少し大人しくなったような印象があります。
 「ん?ちょっと変わった・・・?」
 久しぶりに会った彼は穏やかな顔で僕を迎えてくれました。
 「元気だったかい?」
 当然何も答えてはくれませんが、一掴み乾草を差し出すと穏やかな顔でゆっくりと食み始めたのです。昨年のイメージでは可愛げなく、バクっと取り上げてむしゃむしゃ食べていたのに・・・。私は少し寂しさを感じてしまいました。 
 「バン、バンッ!!(馬房の中で壁を蹴る音)」
 「また、始まったよ」
 「ケガしないように注意してな!」
 担当きゅう務員がなだめに行く・・・それが昨年の彼の日常。でも今年はどこか大人しい印象があるんです。いつもと違う・・・こんな時、人の場合は心配になりますよね。
 「ホント、あの性格どうにかならないかな!腹立つ!!」
 って思っているはずなのに、急に大人しくなると
 「いつもと違うね、どこか調子悪いんじゃないのかな?」
 なんて、思っちゃう。勝手なモンです。
 私も彼のイメージが変わって、少し寂しくなっているのかも。昨年は肢を挙げて診断をしたいときでも、彼の機嫌を見ながらの触診でした。
 「しょうがないな、触ることを許可しよう!!」
 な〜んていわれているようで。どこか男の風格みたいなものが伝わってきたんですね。馬運車の中でも大変のようで、常磐に来る時はいつも人が付き添ってきます。
 「気に入らないな!何とかならんのか!!」
 なんて文句を言いながら揺られてくるのでしょう。
 ある日のこと
 「チョッと肢が腫れているんで見てもらえませんか?」
 「えっ、どの馬?」
 それは彼でした。普通は
 「わあ〜、どうしよう!ケガがひどくなければいいけど・・・」
 と心配した気持ちで、見に行くものですが、私は少しホッとしていたんです。
 「なんだ、昔と変わらないじゃないか・・・良かった!」変な意味で取ってほしくない(もちろん心配して見に行きます!)のですが、どこか嬉しかったのです。気に入らないことがあると馬房を蹴りまくる・・・彼の姿は健在だったのです。
 彼は静かに触らせてくれました。
 「腫れも小さいし、痛みもない。体温の変化と腫れの大きさに注意してね。」
 一安心。私は彼が変わってなかったことにも安心しました。
 人には嫌われる、馬にも愛想がない彼は「わが道を行く」スタイルを変えていませんでした。 人の世界でも不器用な人っていますよね。損しちゃってるなあって思う人。でもそんな人もいろんなことに悩んで、でも元気出してやっているんですよね。そんな不器用な生き方をしながら、競走の世界で勝ち残ってきた彼。思わぬ再会でしたが、私は静かに彼を見守っていきたいと思うのでした。
 「でも・・・ちょっと、大人しくしててもらったほうが・・・やっぱりいいかな?」
 「お前の指図はうけん!!」(ASHI)




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