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2011年4月28日付のThe horse.comに、サラブレッドの距離適性に関わる遺伝子の同定に関する記事が掲載されていましたので、財団法人競走馬理化学研究所の戸崎晃明氏にトピックスとして記事概要の紹介をお願いしました。なお、この関連記事は2010年11月27日付のThe
horse.comにも、「Specific gene thought to determine athletic ability」というタイトルで掲載されておりますので、ご参照ください。
ここ数年、サラブレッドの競走能力に関わる遺伝学的な研究が人気となっている。最近、多頭数の競走馬を用いた研究が日本の研究機関において実施され、ウマの18番染色体上に存在するであろう「パフォーマンス遺伝子」の同定は、競馬におけるサラブレッドの理想的な競走距離を確認するのに役立てることができるとしている。しかしながら、競馬に関する獣医師の中には、このような情報は今後更なる研究的な評価が必要であり、慎重に利用すべきであると示唆する獣医師もいる。
4つの異なる研究プロジェクトに関わった研究者達は、共通してウマの18番染色体に存在し競走能力と関連すると考えられるDNA部位を同定した。また、それらの研究チームの一つは、そのDNA部位に存在するミオスタチン遺伝子に特異的なDNA変異があることも発見した。以前にも研究者達は、ミオスタチン遺伝子のこのDNA変異を解析・評価することで、その変異が筋肉の肥大(増大)に関与し、短距離や中距離、長距離といった距離適性の予測に有用であるかもしれないということを述べた。
競走能力に対するウマ18番染色体上の遺伝子の影響を更に評価するために、財団法人競走馬理化学研究所の戸崎晃明博士らは、最近、1993年から2000年に誕生し、JRAで出走登録した多頭数の競走馬の血液サンプルを用いてその遺伝学的な評価を実施した。戸崎博士らの研究チームは、PCR反応や塩基配列決定といった研究手法により、ウマの18番染色体上のミオスタチン遺伝子内もしくはその近傍に位置する4個のSNP(一塩基多型:DNA変異の一種)の遺伝子型を決定し、その後、勝利時の走行距離(win-race
distance)、パフォーマンス・ランク及び生涯獲得賞金額を指標として、1710頭の競走馬を評価した。
戸崎博士によれば、ウマ18番染色体上のSNPは雌・雄共に、競走能力に関連しており、特に、距離適性に関連している。今回得られた結果は、ウマの18番染色体上には、恐らくサラブレッドの距離適性に影響を与えるSNP(または遺伝子)が少なくとも一個、もしくは複数個存在することを示唆している。我々が以前述べたように、ミオスタチン遺伝子は、競走能力に影響を与えるようであり、今回使用したSNPは、競走能力の指標としての遺伝子診断マーカーになるかもしれない。現在、戸崎博士の研究チームは、ミオスタチン遺伝子の変異に関わる生理学的な変化とこれらが競走成績とどのように関わるかに注目しており、例えば、トレーニングや競走による個体間の筋量の違いを調査している。
この研究は多くの関連した研究の一つであるけれども、American Association of Equine Practitioners(AAEP)は最近次のような声明を出している。競馬に関わる獣医師は依然としてこれらの研究結果を慎重に解釈しており、検査結果の解釈は単純ではなく、予測される検査の重要性は高くないかもしれない。AAEPは方法論及び結果が審査され学術雑誌に公表され、適切な科学的批評に耐えうるのであれば、根拠に基づいた検査として医療及び競走成績に関連する遺伝学的検査の利用を支持する。
この研究は、「A cohort study of racing performance in Japanese Thoroughbred
racehorses using genome information on ECA18」というタイトルで、Animal
Geneticsに掲載予定となっている(現在、電子版を公開中)。論文の要旨はオンラインで閲覧可能である。
(出典:TheHorse.com news, Article
# 18168, 2011. 4. 28, 戸崎晃明, 2011. 5. 11)
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