Volume 8
Number 1

October 1999


FUNDED BY UNDERWRITERS AT LLOYD'S, LONDON, BROKERS AND THEIR KENTUCKY AGENTS



−−−この号の内容:解説、各国の情報(1999年第2四半期/日本における伝染性馬子宮炎)、国内の情報(ツチハンミョウの中毒)、ケンタッキー州の情報(厩舎の火災/馬のレプトスピラ症)。

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In this issue:

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解 説

 1999年8月、馬インフルエンザの防疫に関するWHO(世界保健機関)/OIE(国際獣疫事務局)の第4回会議が、マイアミで開催された。この会議には、研究機関、家畜診断所、ウマ用ワクチン製造業者、アメリカ家畜保健協会、全米馬開業獣医師協会および米農務省をはじめとし、各国政府機関の代表者が出席した。
 ウマ2型インフルエンザは、イギリス、スカンジナビア諸国、北米および南米など、世界の各地域で依然として流行している。しかし、オーストラリアとニュージーランドでは、これまで発生がみられていない。一方、日本や香港では厳格な検疫と予防接種を講じることにより、再発が阻止されている。
 アメリカでは、競走馬の繋養頭数が多いカリフォルニア州、フロリダ州、ケンタッキー州、オハイオ州およびニューヨーク州において、ウマ2型インフルエンザの発生が報告されている。一方、これらの州と頭数的には同等であるが、その殆どが使役馬や娯楽馬であるテキサス州では報告されていない。この相違は、インフルエンザに対する認識度およびウマに対する監視体制の相違によるものであり、発生が報告されていない州にインフルエンザが存在しないとはいえない。
 過去15年間におよぶ検疫体制の弱体化により、アメリカやイギリスからの輸出馬からインフルエンザが各地へ持ち込まれた。1990年代、アメリカおよび世界各地の監視体制は強化されたが、これを継続させるためには、今後ともさらなる科学的な根拠に基づき、最新のウイルス株を検討する必要がある。
 会議に参加した代表者は、1995年の会議の勧告を修正するべきではないとの見解を表明した。すなわち、ウマ2型インフルエンザ株には、Newmarket/2/93(ユーラシア系)株およびKY/94(アメリカ系)株を継続して使用し、Miami/63株は使用しないとするものであった。
 大半のワクチン製造業者は、この勧告を満たす製品あるいは勧告を満たした改良型ワクチンを製造している。製造業者は、ウイルス株の変更を勧告する場合には、十分な科学的根拠に基づくものでなければならないと主張した。
 アメリカおよび諸外国からの科学的な調査結果から、1978年以降にウマ1型インフルエンザの流行はみられず、血清陽性例が散発的に認められるが、これは交差反応による偽陽性の可能性が極めて高いことが示唆された。
 代表者は、ヒトインフルエンザワクチンに対するWHOの見解をウマ用の指針とし、ウマ1型株を維持する必要性はないと結論付けた。しかし、ワクチン製造業者はこの株を保持する必要があろう。
 馬インフルエンザワクチンの有効性に関して、長時間にわたり議論された。比較研究の結果から、血清抗体に基づく免疫を長期間確保するうえで、種々の問題が生じることが明らかにされた。ケンタッキー州立大学やカリフォルニア州立大学(デービス)をはじめとするいくつかの研究グループにより、母馬からの移行抗体とワクチン接種による抗体が干渉することが報告されたが、この問題は現在でも論議を呼んでいる。
 ワクチンの有効性を評価する基準(動物モデル・システムを作成する可能性を含む)と、ワクチン認可の指針が考案された。実験的な攻撃に対する防御措置は、検定機関が有効性の証拠としている血清反応法に代わる可能性があるが、攻撃モデル・システムの標準化が必要になるであろう。
 現在、ワクチン認可に関する指針は、アメリカとEU諸国とで異なっている。しかし、この会議の席上では、これらの指針の調整・統一は可能であることが採択された。また、最新のウィルス株を用いて作製されたワクチンを認可するための、迅速な対応システムの考案も、可能であることが示唆された。
 疾病診断機関や検定機関の代表者が会議に参加したことは、馬のインフルエンザとその防疫対策に関し、望ましい相互コミュニケーションの促進に重要な一歩と考えるべきである。

問い合わせ先:

トーマス・M・チェンバーズ医師、電話(606)257-3407、tmcham1@ukcc.uky.edu 、マックスウェル・H・グルック馬研究センター。

Dr. Thomas M. Chambers, (606) 257-3407, tmcham1@ukcc.uky.edu
Maxwell H. Gluck Equine Research Center

(in this issue)


各国の情報

1999年第2四半期

 ニューマーケットの国際照合センターおよび他機関からの情報。
 南アフリカ西ケープ州で発生していたアフリカ馬疫(血清7型)は、6月28日に正式に終息宣言が出された。最終報告は5月19日であり、34頭が発症して28頭が死亡し、3頭が安楽死処分された。生存したウマは3頭であった。
 スイスからは、馬伝染性子宮炎(CEM)の発生が報告された。感染馬はフランスとドイツから輸入されたウォームブラッド種の種牡馬2頭、およびこの1頭と交配した雌馬1頭であった。アメリカのルイジアナ州では5月から6月に、東部馬脳炎(EEE)が発生した。その後、アラバマ、フロリダ、ミシガン、ミシシッピーおよびテキサスの各州で発生している。
馬ヘルペスウイル1型感染症(流産型)は、カナダ、ドイツ、日本、イギリスおよびアメリカから報告されている。ケンタッキー州の中央部では、1999年の分娩期にサラブレッド種22頭がこのウイルスにより流産した。ほとんどは各牧場1頭づつの発生であり、流産馬は予防接種を受けていた。
 1999年の第1四半期に、カナダでは約11,000頭のウマを対象に馬伝染性貧血の検査を実施したところ、非サラブレッド種118頭がコギンズテスト陽性となった。また、ニュージーランドでは、6月初旬にオーストラリアのニューサウスウェールズ州から輸入された雌馬1頭が輸入検査において、陽性と診断されて殺処分された。同時に輸入された他の5頭および陽性馬に接触した2頭は、検査結果が得られるまで隔離検疫が継続された。しかし、30日および60日間隔の検査はいずれも陰性であったことから、規制は解除された。
 イングランド南西部では6月に、去勢馬1頭が馬ウイルス性動脈炎(EVA)と確認された。接触したすべてのウマを検査したが、いずれも陰性であった。また、ニュージーランドでは、スタンダードブレッド種の雄馬6頭が血清学的にEVA陽性と診断された。これらのウマは1頭の保毒種牡馬との接触が確認されており、現在、精液中のウイルス検査が実施されている。
 馬インフルエンザ2型ウイルスが、ケンタッキー州の1頭の若馬から分離された。この型のウイルスは、イギリスとフランスで確認されているものと同様であった。
シンガポールでは、ニパウイルスに対する血清学的検査が実施されたが、新たな証拠は発見されなかった。マレーシアでは、豚に接触していた人々がこのウイルスに感染し、死亡している。
 ドイツでは2頭のウマが狂犬病と診断された。また、オーストラリア、アイルランド、南アフリカ、スウェーデン、スイス、イギリスおよびアメリカからは、腺疫の発生が報告されている。

(in this issue)


各国の情報

日本における馬伝染性子宮炎

 1980年に馬伝染性子宮炎(CEM)が初めて流行して以来、Taylorella equigenitalis陽性馬の頭数は大幅に減少し、現在では北海道(日本の主要なサラブレッド種生産地)に数頭の保菌状態の雌馬が存在するに過ぎない。
 最近のCEMの発生は、スウェーデン、オランダ、スイス、日本から報告されており、アメリカを始めとする数カ国では、ドイツから輸入したウォームブラッド種の種牡馬が陽性と確認された。この菌は世界中のサラブレッド種ではほぼ撲滅されているが、少数頭の保菌馬による流行が繰り返されている。
 ウマの国際間移動は増加しており、シャトル種牡馬は北半球と南半球を毎年往復している。サラブレッド種以外の品種も、人工授精用精液の輸出入回数は増加している。日本では昨年より、日本中央競馬会から資金援助を受けたCEM撲滅計画がスタートしている。
 このCEM清浄化対策事業では、繁殖牝馬および種牡馬の所有者がこの疾病の重要性を理解すること、獣医師が繁殖牝馬の分泌物の採取、治療および選別することの重要性を認識することに重点が置かれている。
 検査対象の基準により交配前に採取された検体は、家畜保険衛生所で検査されるとともに、日本中央競馬会の競走馬総合研究所栃木支所に送付され、安斉博士が開発したPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法により検査される。
 1,253検体について、菌分離とPCR法(1 step法)との比較調査が行われた。その結果、子宮頚部から採取された486検体のうち2例、陰核窩から採取された286検体のうち4例、陰核洞から採取された326検体のうの5例が、PCR法で陽性であった。一方、菌分離法での陽性は陰核洞からの検体の2例に過ぎなかった。種牡馬からの検体は、いずれの検査法でも陰性であった。
 この計画が実施された初年度は、約15,000頭中から検査対象の基準により選択された繁殖牝馬1,082頭が検査され、PCR検査法により11頭の陽性馬が確認された。これらは、治療および交配中止の措置が取られた。その後、1999年5月までに、CEMの発生は確認されていない。

問い合わせ先:

熊埜御堂 毅 獣医師、日本中央競馬会 競走馬総合研究所、takeshi@center.equinst.go.jp

Dr. Takeshi Kumanomido, takeshi@center.equinst.go.jp
Equine Research Institute, Japan Racing Association

(in this issue)


国内情報

ツチハンミョウの中毒

 ツチハンミョウ(ツチハンミョウ科の昆虫の総称)による中毒は、この昆虫に汚染されたアルファルファの乾草をウマが摂取することにより発生する。アメリカ国内では、200種類以上のツチハンミョウが確認されている。ツチハンミョウの幼虫は、バッタの卵を餌にしており、成虫はアルファルファなどの顕花植物の花粉や蜜を食する。アルファルファが開花する夏から秋にかけて、成虫は群れを作り交尾する。したがって、この時期のアルファルファ乾草は、汚染されている可能性が高い。

図1:ツチハンミョウの一種。(イラストはミズ.ヒーサー・ベアー)。


 成虫の体は細く、長さ0.5から1.25インチである。体色は種類により異なっており、縞模様や斑点があるもの、全身が黒色あるいは灰色を呈しているものなど様々である(図1を参照)。ツチハンミョウはカンタリジンといわれる毒素を有しており、これが粘膜の炎症や低カルシウム血症の原因となる。
 カンタリジンの含有量は、虫体の乾燥重量に対して0.1%から12.7%までと、種類および性別により異なっている。ウマにおけるカンタリジンの最小致死量は、体重1kgあたり1mg未満といわれている。したがって、乾燥重量が4〜6gしかないツチハンミョウでも、ウマを死に至らしめる可能性がある。
 カンタリジンの刺激によって発生する臨床症状は、主に疝痛症状であり、元気消沈や食欲減退を伴うこともある。また、尿路への刺激により、頻尿や排尿時の緊張を引き起こすこともある。その他の症状としては、発熱、下痢、脱水状態、呼吸数および心拍数の増加などがある。
 低カルシウム血症による徴候は、筋の繊維束性攣縮、横隔膜の同期性粗動、歩様の硬直化および異常行動(攻撃性動作、頭を押しつける動作、首を振る動作、見当識障害)などである。また、特異な症状を示すことなく突然死する例も、報告されている。
 実験例での異常所見は、血液中のカルシウム、マグネシウムおよびタンパク質量の低下、腎機能障害、血尿などである。剖検所見は、消化器系(主に食道と胃)および尿路(膀胱、尿管、腎盤)の発赤あるいは潰瘍である。心筋には、つぎはぎ状の壊死部分がみられることもある。確定診断は、尿や消化管中のカンタリジンの検出である。
ツチハンミョウの毒に対する有効な解毒剤はなく、汚染が疑われるアルファルファの乾草、キューブ、ペレットを飼料から排除することが重要である。活性炭やミネラルオイルは、体に吸収された毒素を軽減させる作用があるといわれている。
 対症療法としては、鎮痛剤、補液、電解質の補充および抗生物質投与などがあげられる。予後はツチハンミョウの摂取量によるが、治療の開始時期や積極性によっても異なる。
ツチハンミョウによる中毒を完全に防止する方法はないが、管理上の注意事項を以下に述べる。

  • ツチハンミョウの鑑別法を学ぶ。この昆虫は群を作ることから、大量のツチハンミョウが乾草の特定部位に集中し、他の部分にはまったく存在していないことが多い。梱包された乾草は個々のブロックに分け、ウマに与える前の検査が重要である。
  • ツチハンミョウは、夏の終わりに群を作り交尾する。したがって、夏の早期に刈った乾草の方がより安全である。
  • アルファルファは、完全開花の前段階に刈り取ること。また、牧草地では、他の開花植物の数を抑制する必要がある。ツチハンミョウは、花に引き寄せられることを忘れてはならない。
  • 乾草の刈取法を工夫すること。乾草を束ねることは、ツチハンミョウが中に残存することになる。したがって、乾草が束にされる前にツチハンミョウが逃げ出せるように、トラクターにより乾草を地上に広げる方法をとる。このことにより、ツチハンミョウが潰されて乾草の束に残ることはない。
  • ツチハンミョウの成虫や幼虫の餌となるバッタの卵を削減するためには、殺虫剤の使用を考慮する必要がある。
  • 自分で乾草を刈り取らない場合は、乾草の提供業者と乾草の管理方法を知っておくことが重要である。
  • 問い合わせ先:

    コニー・プラムリー医師、電話(217)337-5030、内線0、kplumlee@napcc.aspca.org、ASPCA全国家畜中毒抑制センター。

    Dr. Konnie Plumlee, (217) 337-5030, ext. 0, kplumlee@napcc.aspca.org
    ASPCA National Animal Poison Control Center

    注意:ASPCA(米国動物愛護協会)−NAPCC(全国家畜中毒抑制センター)は、家畜の所有者および獣医が利用できる、24時間体制の家畜中毒相談サービスを提供している。センターの運営費を賄うため、1件の相談につき45ドルの料金が徴収されている。クレジットカードからの引き落としを希望する場合は1−800−548−2423に、また相談料を電話料金に含めることを希望する場合は1−900−680−0000に電話する。しかし、30以上の企業が自社製品に関する電話相談料を負担しており、この場合は無料となる。

    (in this issue)


    ケンタッキー州の情報

    厩舎火災

     木材、藁、乾燥およびかんなくずなどの燃えやすい材質が関係する火災は、著者の経験によると分単位で燃焼規模が2倍になる。したがって、10分経過後の火災規模は4,086倍になる。このことは防火の重要性や、火災時の迅速な行動の必要性を示している。
     ケンタッキー州では、厩舎火災がもたらす被害の大きさを判断するために、火災の実態と原因を明らかにする試みがなされた。厩舎(あるいは他の建物)の火災が発生した場合、消防署の現場指揮官は火災原因(例えば、落雷)を即座に特定することができるか、あるいは更なる調査が必要になるかを判断しなければならない。
     詳細な調査が必要と判断された場合は、消防署の調査隊が現場に呼ばれることになる(ただし、このような指揮系統は各自治体により異なっている)。火災原因は数時間で明らかになることもあれば、放火の疑いのある場合などには、原因究明に数週間を要することもある。州消防局の調査チームが、原因究明に参加することもある。
     建物に保険が掛けられている場合には、保険会社の調査員が消防署に連絡し、火災発生から48時間以内に現場を調査する。消防署は火災原因の調査が終了すると、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が管理する全国火災報告システム(NFIRS)に報告し、統計処理される。
     当初、ケンタッキー州の厩舎火災に関する統計データを入手することは、容易な作業と考えられていた。すなわち、NFIRSシステムに入力されているデータを取出せばよいと思われていた。しかし、ウマの厩舎火災は、牛、家禽、豚、あるいはその他の家畜施設の火災より下位に分類されており、保険会社はデータを検索する機関をもっていなかった。
    そこで、データはレキシントン消防局、図書館、ケンタッキー州の新聞社および馬関連の出版社などの協力により収集された。また、ケンタッキー州において、1980年から1999年8月までに発生した厩舎火災に関するニュースも調査された。
     このようにして収集されたデータは完全ではないが、将来のデータを編集するうえでの基礎となるであろう。将来のデータ分析のために、FEMAには厩舎火災に対するデータコードを設定するよう働き掛ける予定である。
    28件の厩舎火災に関するニュースが調査された(火災発生場所は、図2に示す)。厩舎火災により、以下の場所で267頭のウマが死亡した。個人所有牧場(23ヶ所)、競馬場(1ヶ所)、競走馬の調教施設(1ヶ所)、公共の乗馬施設(1ヶ所)、家畜病院の厩舎(1ヶ所)および所有者が特定されていない建物(1ヶ所)である。1件の火災で死亡したウマの頭数は、1頭から38頭であった。5件の火災においては、避難に成功したか、あるいは火災時に放牧地にいたため、ウマの死亡はみられなかった。死亡したウマの品種は、図3に示す。1件の火災では、ひとりの人命が失われた。夕方あるいは夜間(午後6時から午前6時まで)に発生した火災は14件であり、昼間の発生は7件であった。他の6件については、発生時間が記載されていなかった。

    図2:ケンタッキー州の厩舎の火災、1980年―1999年。

    発生郡:アンダーソン郡(1件)、バーボン郡(2件)、ボイル郡(1件)、フェイエット郡(11件)、ハーディン郡(1件)、ヘンダーソン郡(1件)、ジェファーソン郡(3件)、マーサー郡(1件)、ラッセル郡(1件)、シェルビー郡(2件)、スコット郡(1件)、ウッドフォード郡(1)、特定されていない郡(1件)。


     火災による経済的損失は膨大である。ある火災では14頭のウマ(推定価格が150万ドル)と建物が失われた。14件の火災について、失われたウマや建物の推定価格が記載されていたが、その総額は560万ドルにも達していた。
     火災原因は、電気系統(4件)、放火あるいは放火の疑い(3件)、落雷(2件)、電気器具の誤作動(1件)、電気ヒーターの誤作動(1件)、換気扇に接続されている電気コードの過熱(1件)、暖房用ランプによる乾草の発火(1件)、厩舎に保管されていたトラクター式芝刈り機の誤作動(1件)、牧場の作業員によるタバコの不始末(1件)、溶接の火花(1件)であった。しかし、12件の火災については原因が明らかにされていなかった。
     上記の火災について、NFIRSへの報告がなされなかったとしたら、消防署員による調査によって明らかにされた可能性はあるが、火災の原因やその他の詳細は不明であったかもしれない。
     火災原因調査の専門家は、厩舎火災の80%〜85%は人間の過失(喫煙や、燃えやすい物質の近くでの溶接作業など)あるいは電気器具の誤作動による事故であると推測している。放火による火災、あるいは放火の可能性が強く疑われる火災は、厩舎火災の約15%である。通常、放火を行う人物の動機は、欲あるいは怒りであり、真の放火癖を持っている人物(火を付ける衝動に駆られる人物)の割合は非常に少ないのである。
     火災事故を追跡調査し、信頼性・継続性のあるデータベースを開発することにより、ウマおよび保険産業に携わる人々や消防士により正確な情報を提供することが可能になるであろう。厩舎火災を経験した人はその惨状を認識しており、火災予防の重要性を理解している。

    図3:火災で死亡した馬の品種。

    品種               死亡した頭数    火災の件数(*)

    アメリカン・サドルホース         83        5
    サラブレッド種               77       10
    品種が報告されていないウマ         51        5
    テネシー・ウォーキングホース       24        1
    スタンダードブレッド           14        1
    アラブ種                 13        3
    ミニチュアホース              2        1
    ポニー                   2        1
    ハクニー・ポニー              1        1

    * :一部の火災では、複数の品種の馬が死亡した。

    問い合わせ先:

    ロバータ・M・ドワイヤー医師、電話(606)257-4285、rmdwyer@pop.uky.edu 、マックスウェルH・馬研究センター、あるいは、ルーシャン・アンダーソン所長、電話(606)231-9453、レキシントン消防局調査事務所。

    Dr. Roberta M. Dwyer, (606) 257-4285, rmdwyer@pop.uky.edu
    Maxwell H. Gluck Equine Research Center.
    OR Captain Lucien Anderson, (606)-231-9453
    Lexington Fire Department Investigations Office.


    火災予防
  • 厩舎周辺では禁煙を厳守する。禁煙標識の掲示をし、その指示を常に遵守させること。
  • 厩舎管理;厩舎の通路はゴミのない状態とし、くもの巣も払い落とすこと。燃えやすいものは厩舎の外に保管し、可能であれば乾草および藁を貯蔵する場所は別に設けること。
  • 電球は金網で覆う。ほとんどの馬関係者は、電球に金網が付けられている理由はウマによる破損を防止するためと思っているが、藁や乾草が熱くなった電球上に付着し、発火することを防止する役割を果たしている。発火した藁や乾草は床の上に落ち、燃えやすいものに引火することがある。金網は厩舎の中だけではなく、ウマを競技会に運搬する馬運車内の電球にも取り付けること。
  • 換気扇、延長コード、電気ヒーター、暖房用のランプなどの取扱いに注意し、ヒーターのそばに燃えやすいものを置かない。電気器具、特に常時使用する換気扇が正常に作動しない場合は、処分あるいは直ちに修理する。
  • 水栓にホースを常に繋いでおく。水は、乾草、藁、かんなくずなどの火災に最良の消火剤である。電気、あるいは可燃性液体による火災の際は、化学薬品(ABCの種類が指定されている)の消火剤が必要となる。また、火災がどれほど速く広がるかを忘れてはならず、人命を危険にさらすことがないようにする。
  • 免許業者により、避雷針を設置してもらう。
  • 雷が厩舎から数マイル離れた電気柵に落ち、電流が電線を介して変圧器(通常は厩舎の中に置かれている)まで伝わり、火災が発生することもあり得る。このような事故を防止するためには、有資格の電気技師に依頼して電気柵の変圧器にアースを取り付けてもらう。
  • 馬の避難計画を事前に作成し、避難訓練を実施すること。
  • (in this issue)


    ケンタッキー州の情報

    Equine Leptospirosis

    馬のレプトスピラ症

     家畜疾病診断所において、過去2回の出産シーズン中にレプトスピラ菌による流産や胎児の死亡が12例診断された。このうち3例は1998年の出産シーズン、9例は1999年の出産シーズンであった。過去11回の出産シーズン中におけるレプトスピラ菌による流産あるいは胎児の死亡件数は、図4に月毎および年毎に示している。
     1998年の出産シーズンに診断された雌馬3頭(すべてサラブレッド種)のうちの2頭は、同一牧場で飼養されていた。これら3頭の内訳は、1997年12月8日に出産(30日の早産)した2日後に死亡した例、妊娠約7.5ヶ月で流産した例、1998年4月20日(出産予定日の3週間前)に流産した例であった。
     1999年の出産シーズンに診断された雌馬9頭(サラブレッド種7頭、スタンダードブレッド種1頭、ベルギー種1頭)は、いずれも地理的に離れた9つの牧場で飼養されていた。発生を月別にみると、1月3頭、2月2頭、3月2頭および4月2頭であった。3頭は出産したが、その生存期間はそれぞれ1時間、24時間、3日間であった。他の6頭は流産したが、妊娠期間は8ヶ月から満期まで様々であった。過去2年間にわたる12例の血清学的検査により、1例はグリップチフス型レプトスピラ菌、11例はポモナ型ケネウィキィ菌の関与が明らかにされている。

    図4:レプトスピラ菌による流産が確認されたケース、1989-1999年。

    月毎:9月/10月/11月/12月/1月/2月/3月/4月/5月
    年毎:1989年/90年/91年/92年/93年/94年/95年/96年/97年/98年/99年

    問い合わせ先:マイク・ドナヒューあるいはバーバラ・スミス医師、電話(606)253-0571、家畜疾病診断センター、レキシントン、ケンタッキー州。

    Dr. Mike Donahue or Barbara Smith, (606) 253-0571
    Livestock Disease Diagnostic Center, Lexington, Kentucky

    (in this issue)



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    Equine Disease Quarterly
    Funded by Underwriters at Lloyd's, London, Brokers and their Kentucky Agents

    University of Kentucky
    College of Agriculture
    Department of Veterinary Science

    Editors:
    Roberta Dwyer
    David Powell
    Neil Williams

    Staff:
    Libby Noble
    Diane Furry
    Linda Millercox

    エクワイン・ディジーズ・クォータリーの回報

    獣医学部、グルック馬研究センター、ケンタッキー大学、レキシントン、ケンタッキー州40546−0099。

    Correspondence should be addressed to the editors,
    Department of Veterinary Science
    Gluck Equine Research Center
    University of Kentucky
    Lexington, KY 40546-0099
    Telephone (606) 257-4757
    FAX (606) 257-8542
    dfurry1@pop.uky.edu

    Internet address
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